最後のパンティー

 体育の授業が終わってシャワーを浴びるいずみたち。そこに菊丸が侵入し、やおら下着を漁り始めるのを目撃するいずみ。まさか下着ドロボーなんてと我が目を疑ういずみだが、確かにここ数日の様子はおかしかったと思いを巡らす。
 そうこうするうちに千春たちもシャワーから上がり、慌てるいずみだったがすでに菊丸は目的を果たし立ち去ったあとだった。
 その日はちょうどいずみの両親も出かけ、千春を招いて三人娘のお泊まり会。
 皆が寝静まったなか潜んでいた菊丸は、一人入手し損ねたいずみのパンティーを求め動き出すのだった‥

感想

 表題通りの最後のパンティーを求めて暗躍する菊丸の話。
 
 下着ドロボーをする菊丸に驚くいずみですが、いやいや、早瀬先生の回でしっかりまたこいつよーと叫ばれるほど定着してますやん。
 次に狙われるのは自分のパンティーだと確信し、お泊まり会を利用して菊丸を罠にかける迂遠さよ。その場で捕まえてしまえっ!
 なにより千春、リンダのパンティーが盗まれたからと次は自分と思う自惚れ、傲慢さも菊丸への一種の信頼感のようなものですね。菊丸が自分の下着を求めないはずはないと。

 そしていずみの思惑通り菊丸は不法侵入を働き、いずみの下着を盗もうとするも肝心の下着が見つからない。それならばといずみの穿いているパンティーを直に手に入れようとするわけですが「やはり来たわね‥こうなったらわたしのパンティーに手をかけた瞬間をつかまえてやる!!」とあるように、恐らくいずみはここまでを見越して下着を隠したのでしょう。どこまで体を張るのか。

 下着ドロボーとして菊丸をつかまえるために、いずみは自縄自縛に陥り菊丸の悪戯を甘んじて受ける羽目になり、胸に立てられたろうそくに結果として我慢できずいずみと菊丸両方の思惑は破綻してしまうことになるわけです。賢者の贈り物だな。

 いずみの剣幕にもやはり様子のおかしい菊丸はいつもの言い訳を並べもせず、素直に謝ると立ち去って。拍子抜けのいずみがその理由を知るのは翌日。教師から知らされる。

「菊丸くん‥‥転校しちゃうんですか!?」
 転校。菊丸との出会いがいずみの転校からなら、別れは菊丸の転校で告げられる。
「じゃあ‥‥わたしたちのパンティー欲しがったのも」ここに至り菊丸がなぜ下着ドロボーまで働いたのかを知って愕然とする。
「そんなに欲しかったんなら、ひとこと言えばいいじゃない‥‥!!」水臭い菊丸に怒りを覚え、次には「‥‥けっきょくわたしのパンティーだけ手に入れられなかったのね‥‥」と菊丸の胸中を思い、罠をかけて捕まえようとしたことに強い後悔を覚えるいずみ。

 ちょっと感動しそうになりますが、やっていることは変質者のソレです。いずみもいずみで、じゃあ菊丸が理由を話していたらパンティー渡していたのかという。千春はパンツくらい言えばあげるのに。と申しておりましたが。

 胸にこみ上げるに任せて走り出すいずみを追いかけ、千春、リンダ。そして桂木先生までが菊丸の元へと。
 歩道橋で軽トラックに乗る菊丸を見送る三人娘と桂木先生。そして突風。
 舞い上がるスカート。その奥に求めた最後のパンティーを見た菊丸は「ラスト‥‥チャーンス!!」と釣り竿を振って「やっと‥‥つかまえた─!!」
 いずみの温もりの残るパンティーを手に菊丸は
「ありがとう、いずみちゃーん。大切にするからねー!!」
 と去るのであった。

 最後の最後まで菊丸は菊丸だったという話ですね。

 歩道橋で風に髪を煽られ押さえるいずみの表情は素晴らしかったです。有終の美という奴です。

 さて。
 じつは最後の最後で考察の余地が出てきたのが桂木先生の再登場です。
 ここで先生はなかったものと扱われていれば逆になにも考えないで済んだのですが、わざわざ先生を登場させ別れの挨拶にまで参加させるのを見てしまうと、最後のパンティーという表題について考えざるを得ません。

 少なくとも菊丸も「いずみちゃん‥‥みんな─!!」と桂木先生を認めているわけで、いずみのパンティーだけを標的としたのは、やはりそういうことだったのだろうなあ、と。
 なにより桂木慶子は先生なわけで生徒の事情も弁えていたと考えられます。然るに千春、リンダの下着紛失も恐らくはその身をもって理解させられていた。そういうことにしておけば、あの体面を気にする先生がいずみと一緒に別れに駆け出すのもよく理解できるのでした。

満足度に応じて星を付けて下さると励みになります。
1 Star2 Stars3 Stars4 Stars5 Stars (3 votes, average: 5.00 out of 5)

Loading... 

コメント