「桂木先生のお見合い妨害作戦!?の巻」

 いずみのお見合いの時に、散々妨害工作を行った菊丸。もしも、桂木先生にもお見合いの話が持ち上がったら? こんなことがあったり、なかったり‥。

「すっごい大きなお庭ねぇ。さすが高級旅館だけあるって感じかしら」
 郊外に建つある旅館。外界の雑踏の音さえも吸いこんでしまいそうなほどの広い庭園に、私と菊丸くんは来ています。
 来ているというか、忍び込んでいるというのが正解かしら?
 こっちは周りを気にして落ち着かないのに、菊丸くんは、ずっといじけたままブツブツとつぶやいて後をついてきていて‥。
「うう。桂木先生も先生だよ。ボクというものがありながら、お見合いだなんて‥」

 そうなんです。
 桂木先生にお見合いの話が持ち上がっちゃったんです。
 今日はそのお見合いの当日。それを菊丸くんに伝えたら、急にお見合い場所のこの旅館に走りだしちゃって、慌てて後を追ってきたんだけど‥。

「何言ってるの。桂木先生だってもうお年頃なんだし、結婚相手を探したっていいじゃない。変な虫がまとわりつかれないためにも、ね」
 旅館の庭園を取り囲むように生えた木々の間に身を隠すようにしながら、目を細めて菊丸の頭を指先でつつくいずみ。今日はいつもより、つつく力が強いのはなぜだろうか。その手を払いながら菊丸が、言い返してくる。
「ひどいなぁ、どこに変な虫がいるのさ。こんなに先生を慕っている生徒はいないのに。それに、いずみちゃんまでこんなところにまでついて来るなんてさ」
「あんたが勝手に裏口から入っちゃったから連れ戻しにきただけでしょ! またお見合いの邪魔でもしようなんて考えてるんじゃないでしょうね?」
「!!」
 以前、いずみにお見合い話が持ち上がった時も、菊丸のせいで、めちゃくちゃにされたいずみにとって菊丸の行動はお見通しなのであった。
「‥やっぱり。私の時みたいに変なことして、先生のお見合いを妨害したら承知しないんだから! ほら、行くよ、菊丸くんっ」
 木にしがみついて、「やだー! 桂木先生はボクのものだぁ!」と叫んでいる菊丸のジャンパーの襟を掴むと、力づくで引きはがそうと引っ張るいずみ。
「こらぁっ! 木から手を離しなさいっ。う、う~ん!」
 しがみついて動く気配のない菊丸に、目をつぶって渾身の力で引っ張るいずみであったが、ふと、その菊丸の駄々をこねる声が聞こえなくなっていることに気付く。目を開けて菊丸のほうを見ると、
「!? ‥ああっ!?」
 襟を引っ張っていたジャンパーの腕の部分が木に巻きつけられているだけで、当の菊丸の姿がどこを見渡しても無いのだ。
「やられたぁ! 大変だわ、桂木先生を早く探さなきゃっ。菊丸くんに邪魔させるわけにはいかないんだからっ」
 こうして、広大な庭園の中で、菊丸を探すハメになったいずみなのであった。‥。

「うむうむ。今日も元気に育っているようだな」
 いずみが菊丸を探し始めた庭園を渡る小路に並んだ植え込みの前で初老の男が語りかけている。
 小路を縁取るように並んでいる腰の高さほどの茂みに向かっている法被姿は旅館の庭師のようだ。職人気質の強面でありながら、優しく撫でるように伸びた枝を刈っている。その途中で葉っぱの裏を歩いている毛虫を発見すると、
「虫がつくほど、葉に栄養も回っているようじゃ。よしよし。しかし、すまんの、お前にはもっと良いところを世話してやるからな」
 毛虫を摘まみあげると、あとで、自分の家の庭に放ってあげるため、腰を屈めて地面に置いた革袋に入れる。
 その庭師のいる小路に向かってくる人影。追手であるいずみから菊丸流忍法空蝉の術を使って逃げ出した菊丸である。手をかざして桂木先生を探している途中であった。
「ふぅ、危なかった。菊丸流忍法空蝉の術でなんとかいずみちゃんから逃げられたけど、うう~ん。どこにいるんだろう、桂木先生は? なんとしてでもお見合いを妨害せねばっ。先生の身体を喜ばせてあげられるのは、ボクだけなんだいっ」
 まったく勝手な言い分だが、菊丸にとっては真剣そのものであるから、しょうがない。
「先生、や~い」
 手をかざしながら、後ろ歩きに歩を進めていく菊丸が、その後ろで腰を屈めている庭師に気付く様子もなく、そのまま‥

 どっし~ん!!

「うわぁ?」
「ぬおおっ!?」
 思わず尻同士でお知り合いになった二人はお互いに前のめりの倒れ込んでしまった。
「いてて‥。な、なにがどうしたの?」
 頭を撫でながら起き上がった菊丸の目の前には、その原因であるお尻が見えている。見事に植え込みへ頭を突っ込んだらしく、見えている腰から下は、だら~んと力なく伸びている。
「あちゃあ、大変だ! だ、大丈夫ですか?」
 急いで足を掴んで引きずり出してみると、葉っぱまみれになった庭師は、打ちどころが悪かったのか、泡を吹いて白目をむいている。
「あらら‥。気を失っちゃってるよ。まいったなぁ」
 大の字に上を向いて気絶している庭師を見下ろして、途方に暮れている菊丸。その菊丸の鼻が、ぴくりと膨らんだ。
「むむ‥。この匂いは? 近くに先生が、いる!?」
 慣れ親しんだ先生のフェロモンを敏感に嗅ぎつける身体能力は、すでに常人を超えているようなものだが、そのフェロモンをたっぷりと分泌するほど身体を開発してきた菊丸だからこそ、とも言えるのだろう。
 とりあえず、気絶している庭師を奥の木陰まで引きずっていき、植え込みまで戻ると、身を隠して目を凝らす。
 腰の高さほどの植え込みに、顔をつっこむ勢いで向こうを覗き込んでいる菊丸の目に、こちらに歩いてくる桂木先生の姿が見えてくる。
「いたいた! 桂木先生、はっけ~ん!」
 普段の軽やかな服装と違う着物姿の桂木先生の姿に、思わず食い入るように見入ってしまう菊丸。
「わわわ。先生ってば今日は着物なんだぁ? こんな先生見るの始めてかも。和服姿もなかなかですなぁ」
 着物を着こなし、清楚な佇まいで歩いてくる姿は、大和撫子そのもののようだ。萌黄色のさわやかな生地が白い肌を際立たせ、大人の色気をさらに強調しており、草履で小路の石畳をしずしずと歩き、花を愛でるために腰を下ろす仕草も決まっている。
 そんな桂木先生のことをいつの間にか集まった男たちが注目しているのが見える。菊丸ならずとも視線を集めてしまう魅力を放っているのだから仕方ないだろう。
「大人っぽいっていうか‥。でも、ぴったり服が張り付いて、大きなお尻は隠せてないですよぉ」
 本来、着物にあう体型は筒型が理想であって、女性の身体の特徴を抑えることが基本なのに、どうしても先生の身体はそれを隠しきれない。丸みを帯びたヒップラインは、豊満な肉体の片鱗を覗かせてしまっている。平面に浮かぶ曲面が、逆に女の身体を強調してしまっているのだ。
 当初の目的を忘れ、植え込みから先生の後ろ姿をいつものようににやけ顔で見つめている菊丸の目の端に、先生の後ろに男が立っているのが入った。
 年齢は桂木先生とほとんど変わらないだろう。白いスーツを嫌味なく着こなし、目元涼しく爽やかな笑顔の青年は、何かを話しかけ、先生の手を取ると立たせてあげている。
(あれが先生のお見合い相手か‥。ふん‥、ま、まあ大した男じゃないね。先生をものにしようなんて百年早いよっ)
 菊丸の見た感じはこの際置いておくとして。はたから見ればすらりとした好青年の姿は、美貌の女教師と並んでも遜色のない、理想のカップル像に映るだろう。
 相手がかけてくる言葉に、笑顔で返している先生の姿を見て、
(ちぇっ。なんだいなんだい、先生もまんざらでもないみたいじゃん‥)
 菊丸の指は植え込みの葉っぱを摘まんではちぎり、摘まんではちぎりとまんじりとも出来ずにいる。
 菊丸に睨まれているのも気づかないお見合い相手は、にこにこと桂木先生に笑みを振りまきながら、
「慶子さんは、学園で教師をしておられるんでしたね。昨今の教育の現場は大変でしょう」
「そんなことはないですわ。生徒たちと過ごす毎日はとても楽しいですし。みんな私にとっては可愛い生徒たちばかりで」
 菊丸の言うとおり桂木先生自身も、まんざらでもない気持ちで相手の言葉につないでいっているようだ。
 お見合いの席で初めて会い、いくらか会話を交わしたあと「あとは若い二人で」と仲人の教頭先生に促されて、最初は戸惑いながら庭園に出た先生であったが、気さくな好青年との会話が楽しくなりかけている。
「そうですか。やはり貴方は私の思ったとおり、優しい人だ。お邪魔でなければ、慶子さんの働いている姿も見てみたいですね。生徒たちと向き合う慶子さんも素敵でしょう」
 どうやら相手は桂木先生を気に入っているらしく、積極的に迫っている。
 確かに、教師という職業柄か精神的にも落ち着いた雰囲気を醸し出しており、振袖に包まれている身体からは隠してもあふれ出てしまう大人の色気が満ち満ちているのだから、男なら興味を持って当然かもしれない。
「学校に、ですか? ええっと‥職場には、あまりプライベートは持ち込みたくないので‥」
 そう答える先生の脳裏には、毎日のように向き合い、可愛がられている生徒の顔が浮かんでしまう。にやにやと笑いかけながら、自分を淫らな女に変えていく憎らしい相手。向かい合い抱き合ったまま、何度恥ずかしい顔を見られてきたか‥。憎らしいのに、顔を見るたびに、いや思い出すだけでも身体の奥がジクジクと潤み、お尻の穴をキュウと締めさせるアイツ。
(もう。こんなお見合いの席で、なんで菊丸くんの顔が浮かぶのっ?)
 菊丸に抱きついて、はしたない声を上げている姿を見られたら‥。
 とんでもない空想を払うように頭を振って、話を変えようと相手を見返した先生の視線が、小路の脇に並んでいる植え込みの一つでハッと止まる。茂みの向こうに誰かいる!?
 こちらを見つめる目と目が会った瞬間、キュッとお尻の穴が締まって「菊丸くん!?」思わず声をあげてしまう先生。
(な、なんでこんなところに菊丸くんが?)
「どうしました、慶子さん?」
 いきなり知らぬ名を叫んだ先生を、きょとんとした顔で見つめるお見合い相手にひきつった笑みを返しながら、
「い、いえ。あの‥ちょっと、用事を思い出しちゃって‥。後から追いかけますから、お先に行っていただけますか? おほほ‥」
 お見合い場所に生徒が勝手に潜り込んでいるのが見つかったら大変なことになるはずだ。教頭にでも見つかったら、それこそ、菊丸とどんな関係かと疑惑を持たれる可能性もある。もしかしたら、お互いに学校を辞めるハメになってしまうかもしれない。
 そんな焦りにも気付かず、そわそわと太ももをこすらす姿にお見合い相手は一人納得がいったようで、
「ああ、そうですか。‥では、僕はこの先の東屋で待っていますよ」
 引きつった笑顔で見送る先生に、ニコリと笑うとなんとも爽やかな足取りで、切れ込んだ小路の奥へと歩いていく。
 相手の姿が見えなくなると、作り笑顔を脱ぎ捨て、キッと植え込みを睨むと、つかつかと裏に回り込む。
「こら! 菊丸くん! ここで何してるの!」
 腰に手を当てて、全身が見えてるのに顔だけ隠している菊丸に詰め寄っていく先生。
「うわぁ、見つかっちゃった。あ、いや探してたのはこっちなんだけど‥」
「なに訳わからないこと言っているのよ? それより、なんでこんなところにいるの!?」
 先生の勢いに、さすがの菊丸も圧倒され、しゅん‥と人指し指同士をくっつけながら、
「だって、先生がお見合いするって聞いて‥、それにお見合いがうまくいって先生が学校辞めちゃったらって思ったらボク心配で心配で‥」
 段ボール箱から見上げる子犬のように潤んだ目で訴える菊丸に、あきれ顔で溜息をつく先生。
「もう、バカね。お見合いしたからって、学校を辞める気なんてないわよ。教頭先生の紹介で会うだけならって受けただけなんだから」
 もとより、結婚なんて先のことを考えたこともないのである。若い子たちを励まし、導いていく憧れの聖職にやっとなったばかりで、それに身を入れようとしているところなのだから。
 しかし、いつもはいたずらばかり仕掛けてくる問題児が、まさかここまで教師として必要としてくれていたとは。こういうことがあるからやはり教師の仕事はやめられない。
 たぶん、菊丸の真意は別にあると思えるのだが‥。
「ほ、本当に? 桂木先生、学校にいてくれるんですか?」
「安心しなさい、菊丸くん。それよりもこんな場所にいるのを教頭先生にでも見つかったら大変。変な勘ぐりされる前に、早く帰りなさい」
 諭すように菊丸に笑いかける先生であったが、
「さてさて、桂木先生たちは上手くいっているのかな」
 と、その教頭の声が聞こえてきた。曲がりくねった小路の先からこちらに向かってきている!
「た、大変! 教頭先生だわ。なんでここにっ? 見つかっちゃうわっ。菊丸くん、早く隠れてっ」
「うわわ。こっちに来るっ!? 先生、早くっ!」
「え? きゃあ!」
 間一髪、植え込みに隠れた二人のそばに教頭が腕組をしながらやってきた。
「んん? ここらへんで桂木先生の声が聞こえたかと思ったんだが。気のせいか? 東屋のほうへもういってしまったかな」
 自分が仲介した二人のことが気になって、庭に出た二人を追ってきたのだ。小路の先の東屋の向かったはずの桂木先生たちを分厚いレンズのメガネを望遠鏡代わりに見つめながら、
「それにしても、あの二人はお似合いのカップルになりそうじゃないか。桂木先生はどうも乗り気でなかったようだが、彼ならなんの問題もないだろう。ふふふ、これでついに100組か」
 嬉しげな顔になると、急に周囲の見回し、そそくさとタバコに火をつけた。これまで99組のお見合いを組んできた教頭先生にとっても、今回もうまくいきそうな予感がしている。桂木先生ほどの教師を手放すのは惜しいが、記念すべき100組目となるのなら、それも致し方ないとさえ考え、緑あふれる庭園で美味しそうに煙を吐いているのだから、まったく困った教頭である。
 さて、困っているのは、教頭の横で、時折小さく揺れる植え込みの向こう側も同じで‥。

「教頭センセ、あそこから動く気ないみたいだね。あらら、タバコまで吸い始めちゃった‥」
「もう、ここは禁煙ですっ! 早くあっちへ行って~」
 と植え込みの枝の間から覗く二人の格好は、とんでもないものになっていた。
 菊丸に袖を引っ張られた勢いで、小さい植え込みの裏に倒れこんだため、地面に寝転がった菊丸の上に桂木先生がまたがる体勢になってしまっているのだ。振袖のスリットからは太ももがさらけ出され、きっちりと閉められていた襟は、白いうなじをのぞかせてしまっている。
「先生、足! 植木の端っこから足が出ちゃってるよ!」
「え? あ。ごめんなさい!」
 小さい植え込みに隠すように、草履をひくように足を折り曲げると菊丸にさらに密着するような格好になってしまう。
 よく考えると、菊丸に謝る必要はまったくないのだが、こういう緊急時になるとなぜか菊丸の言うことに素直に聞いてしまう女教師、桂木慶子。理性を保っていたなら、一人起き上がってつくろえばいいのだが、それに気付くのはいつも後になってからなのだ。
「もう、私まで隠れる必要なかったじゃないの。せっかく着付けしてもらったのに、帯がずれちゃいそう」
 その一言に、先生の下で植木越しに覗いていた菊丸が顔を向けると、目の前に、今にも着物の襟がはだけそうな胸元が飛び込んでくる。植え込みの向こうで動く気配のない教頭を心配そうに見つめる横顔は切ない顔にも見え、泣きぼくろがまたなんとも艶めかしくさせている。そして陶器のように白い首筋に浮いた冷や汗がくっきりと浮き出た鎖骨に流れていく様は、生唾を飲み込むほどに色気を出している。心配をする先生をよそに、菊丸はニヤ~っと双眸を崩し始めていく。
(うほほ~。考えたら、先生とまた密着しちゃってるよ。えりから見える白い肌が色っぽい~。そう言えば着物って下着つけないとか言わなかったっけ? ということはこの下はっ?)
 俄然、闘志を燃やし始め、頭を巡らす菊丸の目に、地面に置かれた植木道具が目に留まった。先ほどの庭師の道具が残っていたのだ。
 その上を、庭師の革袋から逃げ出してきた毛虫が這っているのを見つけると、菊丸の頭の上に電球がピカリと光った。
(よ~し、今日はこいつで! 先生のおっぱい見ちゃおう作戦決行だい。頼むぞ、毛虫一等兵!)
 と、いきなり摘まみあげられ、じたばたしている毛虫に敬礼すると、ぽいっと襟の隙間に放り込んでしまう。
「もう、早くどこかへ行って~。う、ううん‥?」
 不安そうに植え込みから教頭先生の動向を覗いている先生の目が、ピクリと細められる。鎖骨あたりがむずがゆくなる感覚に、びくぅと身体を震わせる。
「な、何? ああん、服の中に何か入った~!?」
 チクチクと肌を這いずりまわる感触に、思わず身体を硬直させる先生。顔をゆがめた先生を半笑いで見上げながら、菊丸が驚いた声で、
「たぶん、植え込みにいた毛虫が入ったんですよ! さっき植木に這ってたのが、僕たちが倒れ込んだときに飛んできたのかな? 」
「け、毛虫ぃ!? いや~ん、中でもぞもぞ動いてる~。気持ち悪~い」
 入れた張本人の言葉に、血の気が引いていく。葉っぱを這っている姿を見れば「頑張って」と励まそうとする先生だが、いざ、それが自分の身体を毛だらけでゆっくりと這っていると思うと話は別だ。這いまわる気配を感じて、身体をくねくねと揺らしてしまう。
「なんて毛虫だ! 大丈夫、僕が取ってあげますよ」
 身体をくねらせながら涙目になっていた先生だが、なぜか笑みを浮かべている菊丸を見つめると、毛虫が這うよりも激しい悪寒が走りぬけ、
「だ、誰が、菊丸くんなんかに! そうやってまた私に変なことするつもりでしょっ?」
「そんなことしませんって。先生は地面に手をついてるからそのままじゃ取れないでしょ? それに早く取らないと。もし噛まれたら腫れて、おっぱいがでっかくなっちゃいますよ!」
 その言葉に、大きく腫れあがった胸で学校の廊下を歩く姿を想像してしまう先生。かかとをつくたびに、カッターシャツの胸元からさらに深くなってしまった谷間を上下に揺らして、女子生徒の嘲笑と男子生徒の欲望に晒される自分をである。そんなことになれば菊丸以外の生徒のいたずらも受け入れることになってしまうかもしれない。
(菊丸くん以外にされるなんて‥。ああん! そういうことじゃなくてっ)
「ええっ!? これ以上大きくなんかされたくないっ!」
 しかし、自分で手を入れるには一度起き上がるしかなく、そうすれば教頭に見つかってしまう。地面から手を離せば、自然と身体を密着させるしかなく、そうなれば毛虫が間に挟まってしまうかもしれない。
「もう、どうしたらいいの!? いやっ! はんっ! 動かないでぇ。わ、わかったから、早く取りなさいっ!」
 ついに菊丸に助けを求めてしまう。
「だから最初からボクに任せればよかったのに。さ~てと、しっかりと取ってあげますから安心してください」
 待ってましたとばかりに、鎖骨を覗かせている襟のすそを掴むと、一気に引き下げてしまう菊丸。胸元で重なりあっていた襟が二の腕まで剥かれてしまう。
「きゃあっ! いきなり何するのよ!?」
「だってこうしないと毛虫探せないじゃないですか! もう、しっかりしてくださいよ」
 と言いながらも、内心では、ほくそ笑んでいる菊丸。
(こんにちは、おっぱいちゃ~ん! 今日もよろし‥。ん?)
 しかし、目の前に現れたのは、包帯のように白いさらしが巻かれた胸元であった。
 そのさらしも、着付けをされる際、着物にあうように筒型に体型を整えるため、係の人が二人がかりで胸の周りをぐるぐると何周もして奮闘しながら納めてくれたもので、きっちりと巻かれてしまっている。
 胸の谷間は、締められたさらしの上からほんの少しだけ申し訳程度に見えているだけである。今にもこぼれそうになっている乳房の上の部分がきゅうきゅうと音をさせているようだ。
「な、なんですか、これは? 先生、ずるいよっ」
「ずるくなんてないわよっ。着物はふくらみを押さえるためにさらしを巻いたりするの!」
(誰のせいで、こんなにきつく締めることになったと思ってるのよ!)
 存在感のある豊満な胸は、着付けの係の人さえも感嘆させてしまうほどであった。
 巻かれながら係の人に胸の大きさを褒められるたびに、その言葉の下に「胸が大きいから着付けも大変だわ」「誰にこんなに大きく育てられたのかしらね?」「あら、これはキスマークじゃないかしら」と忍ばされているようで、恥ずかしさに顔を朱に染め、自分の身体をここまで育て、発育させた相手を思いながら唇を噛みしめて耐えるしかなかったのだ。しかしそれが、まさかここで役立とうとは。
 ほっと溜息をつくと、勝ち誇った顔で菊丸を見下ろす先生。
「そう、いつも菊丸くんの思い通りにはさせないんだからっ」
「そんな~。ちぇっ」
 固く締められた晒しはさすがに手でも自慢の歯でさえ引きちぎるのは難しそうだ。
 しぶしぶとわずかばかりに見えている小さい丘の上を歩く毛虫を摘まみあげ、ため息まじりに地面に逃がしたのであるが、
「ああん、は、早く虫を取りなさいっ!」
 まだ胸の上を這う毛虫に、身体を揺らしている先生。自分で確認するのを恐れて顔を上げていて、取られたことに気づいていないらしい。
(あらら? 先生はまだ気づいていない? てへ‥そういうことでしたら、第二次おっぱい見ちゃおう作戦開始だ~)
「うわぁ! 毛虫が逃げた~。毛虫が谷間の隙間から中に入っちゃいましたよ!」
「え、ええ~! うそでしょ? ああん、いやん、胸の間を這ってるぅ!?」
 菊丸にそう言われるとそんな気がしてきてしまう。先ほどの這う感覚が肌に残っており、それが、さらしの谷間に流れ落ちていく汗の感覚とすり替わってしまったのだ。
「こ、これじゃ取れないわ! ど、どうしよう! ああん」
 と顔をゆがめて身体をよじらす先生を見上げてながら、落ちている道具袋の中から植木ばさみを手に取る。
「大丈夫です! こいつで切れば一発ですよ!」
「え? ちょっと、あ‥、やめなさいっ! やあ~ん、ダメぇ」
 思わぬ提案にあらがう先生をしり目に、菊丸は颯爽とさらしの隙間にハサミの先を入れるとジョキジョキジョキッと一気に切り開いてしまう。
 きつく締めつけられていた大きな膨らみは切れ目が入ると、堰を切ったように晒しを破り、弾け出るように菊丸の目の前に飛び出してくる。久々に触れた空気が美味しいらしく、元気よく「ぶるるん」と跳ねまわっているようだ。
(うほほ~、元気だった? 相変わらず重量感たっぷりのおっぱいちゃ~ん。うれしそうに跳ねちゃってるね~)
「ああ~ん。こんなところで胸出すなんて‥。な、なんてことするのよっ!」
 さらけ出してしまった胸を隠そうにも、半脱ぎにされた襟が二の腕を締められているせいで、腕の自由は利かず、地面に手をついて体勢を保つのが精一杯では、どうしようもない。無防備に熟した果実を二つ、見つめられるしかない。菊丸の視線が自分の胸の形に沿って動いているのがわかり、恥ずかしさに顔を赤らめて、菊丸に叱りつける先生。しかし、菊丸にはそんな先生のお叱りもどこ吹く風で、
「だって、こうしないと取れないじゃないですか~」
「くっ‥。このっ! だからってここまでするなんて、もう信じられない! ああ! でもまだ虫がいるぅ」
 さらに怒りの声を菊丸に突きつけようとする先生だが、もぞもぞと動き回る感触に、ビクリと身体をくねらせてしまう。虫が這う感覚だけが残ってしまっているだけなのだが、それを知らない先生は、身体をゆすって払い落そうとする。そのたびに、重力に引かれ垂れさがった大きな胸は前後左右に揺れてしまい、その様が菊丸の目を楽しませてしまっている。
(上下左右にぶるんぶるん揺れてる~。弾力あるのに、柔らかいなんてすばらしいおっぱいだぁ!)
 先生の乳房の動きに感激のあまり涙さえほとばしらせている菊丸。しかし、ここで手を緩めるわけにはいかない。
「先生暴れないで! 刺激して刺されたらどうするんですか!」
「だ、だったら、早く取りなさいっ! いやん、お願いっ」
「はいはい。今取ってあげますってば。じゃあ、じっとしててくださいね~」
 そう言うと、ふぅぅぅと乳房に向かって息を吹きかける。
 肌を撫でるように生温かい風が吹き、先生の身体がひくっと震える。
「あ、あん? な、何してるの!?」
「毛虫を刺激しないように風で落とそうと思って‥。ふ~‥。ふふぅぅ~」
 きつく締められ押さえられていた分、解放され血流が一気に回った乳房は感度を増し、菊丸の息が当たるだけでも、敏感に反応をしめしてしまう。
 しかも、乳首のあたりにくると、吹きつける息が強くなっている。生温かい息で包み込まれ、そのまま押し込まれるような感覚に、寒気だけでない震えを見せてしまう先生であった。
「や、や~ん。そんなので取れるわけないでしょ! あん、ああん!」
(息だけで、感じちゃって、本当に先生ってば、敏感なんだからぁ。てへへ、もっと震えさせちゃおうっと)
「そうですねぇ。じゃあこうやって追い詰めてっと」
 指先を伸ばすと、円を描くように乳房の周りに這わせていく。乳房の外円から中心に向かって指が動くたびに、ヒクヒクと乳房が揺れる。
「あん‥。き、菊丸くん? や、やめなさいっ! あ、ああん!? そ、そんなので虫捕まえられるわけないじゃない! ああ!」
 くるくると丸みに沿って指が動くたびに、ヒクンヒクンと身体を震わし、ぷるる‥と胸を揺らしてしまう先生。虫を取ってもらっているはずなのに、その指先は乳房中に作られ開発された性感帯を的確に捉えてくるのだ。菊丸の指先が滑るだけで、声を漏らし、下に垂れた乳房の先が、むくりと頭を伸ばしてくるのを感じると、自分の身体を恨めしいとさえ思えてしまう。
「取ってあげてるだけなのに、ビクビクしちゃってさ。こんなので感じないでくださいよ、先生ってば本当に‥」
 あえて言葉尻を濁されてせいで、慶子の中で妄想が膨れてしまう。
 本当にいやらしい? 本当にいんら‥
 自分の身体の反応を見透かしている菊丸の声に、悔しさに奥歯を噛みしめる先生であったが、息だけでなく、性感マッサージで感度を上げてさせられたおかげで、ぴくぴくと尖ってくる乳首を菊丸につつかれると
「んんっ! んはぁ!」
 引き締めていた唇は開かされてしまう。
 つんと尖りを見せていた乳首を上下左右にこねられだけで、口を塞ごうと固く結んでも、きりっとした唇は開いてしまい、可愛らしい舌先を覗かせて喘ぎ声を漏らしてしまう。
「あ、あん! き、菊丸くん、それは毛虫じゃないでしょっ! んあっ!」
「先生がビクビク身体震わすから、捕まえられないんですよ。まったくもう、敏感にもほどがありますよ。しょうがない先生ですねぇ」
 学校にいる間、いや、学校でなくとも隙を見つけては、自分の身体をもてあそび、乳首の性感を苛めぬいて、開発してきた張本人にそんなことを言われようとは。
「くっ‥。こ、こんな身体にしたのは誰よ! あん。いっ、つもこんなことっ‥ばっかっ‥り、するから、あんっ!」
 元々感じやすい部分であったものの、ここまで感じやすくはなかったはずだ。しかし、この問題児に関わってから、そこは息が吹きかかるだけでもすぐさま反応を示すように作り変えられてしまっていた。
 そんな敏感乳首が菊丸の指から送り込まれる刺激に耐えられるはずもなく、優しく揉みほぐされ、こねられるたびに、じわじわと体中に甘い感覚を送り込まされてしまう。くにくにとした感触がこりっこりっと芯が出来ている。指先が動くたびに、乳首の薄皮を剥がされ、敏感な部分をむき出しにされていくようで、我知らず身体はのけ反ってしまう。
「あん。いや~ん。あ、ああっ」
「もう、先生感じすぎだってば。そんなにのけ反ったら、教頭先生に顔が見られちゃいますよ!」
 乳首責めに別の世界に送られていた先生が、菊丸の一言でハッと目を開けると、霞みかけている視界に教頭先生の背中が見えている。
(ああん! こ、こんな顔、教頭先生に見られたら! お見合いの席で私、なにしてるの!?)
 植え込み越しに頭を覗かせてしまうほど我を忘れて感じてしまっていたことを知り、自分の敏感な身体を、そしてそんな身体に開発した菊丸を上から睨みつけて、理性を保とうとする。
 菊丸の責めにのけ反っていた身体をなんとか植え込みに隠そうとする先生に当の菊丸は
「はしたなく感じてる顔を教頭先生に見られちゃいそうでしたよ。ダメじゃないですか」
 まるで自分のせいのように叱りつけてくる。手の自由さえなければそのにやけ顔を、思いっきり手の平で叩きたいくらいだ。
 しかし、手の平は地面で身体を支えるのがやっとで、菊丸の責めに腕の力は今にも抜けてしまいそうなのである。
「あん‥こ、このっ! どうせ、もう毛虫なんていないんでしょっ」
 気丈に菊丸を叱りつけようとする先生だが、ニタニタと笑う菊丸に通用するまでもなく‥。
「いますってば、ほら、ここに‥」
 笑いながら、汗ばみ赤みを増した乳首を摘ままれ、しゅこっとしごきあげられてしまう。
「ああ! だ、だからそこは違うってばぁ。あはっ‥んああんっ!!」
 たまらない刺激に、叱責の言葉もどこへやら、またもビクーンと身体をのけ反らせてしまう。
「ん? 誰かいるのかね?」
 後ろから悩ましい声が聞こえ、小路でタバコを吸っていた先生がびくりと振り返る。
 しかし、振り返った視線の先にある植え込みには、さわやかな初春の風が植え込みを揺らしているだけで、
「風‥か? なにか声が聞こえたようにも思えたが‥。気のせいだな」
 と、また煙草を吸おうと顔を戻した後ろで、桂木先生の感じている顔が植え込みの後ろからせりあがってくる。
(あんっ、‥ああん! 恥ずかしい顔見られちゃう‥。もし、こんなところ見られたら‥)
 学園を歩いている自分に、教頭先生が呼び止める。教育指導の件でと指導室に連れ込まれると、口止めとまたあの時の顔を見ようと教頭に、徹底的に身体に教育指導されてしまう自分を思い浮かべ、頭を振って追い払おうとする。しかし、それさえも吹き消すほどの刺激に、ただただ身体は反応することしかできない。当の菊丸は、その先生の心配を煽るかのように、絶妙なタイミングで刺激を送ってくる。
「ああ~ん!」「ん?」
 すれすれのところで見つかっていないのが奇跡である。しかし、のけ反るたびに見える教頭の背中に、桂木先生の羞恥心は燃え上がり、焼けただれさせられていってしまう。こんな場所で、しかも職場の上司の前で、学園では決して見せることのない淫らな顔を見せているのだ。それも学園一の問題児によって、見せたこともない敏感な乳首を尖らせ、しごかれてのあげくである。
「あっあ~ん!」「んん?」
 またも耳をくすぐってくる声に今度こそはと長い時間、身じろぎもせず植え込みを見つめる教頭であるが、聞こえてきたのは、「ニャ~ゴ」と泣き叫ぶ猫の声だけであった。
「‥なんだ、猫か。どこかから潜り込んできたのかな?」
 とりあえず正体がわかると、また一本タバコを出し火を点ける教頭の後ろで、ネコの鳴きまねをした菊丸がじっと気配を消していた。
「ふぅ~、危なかった。なんとかごまかせたみたいですね。先生、ちょっと感じすぎなんじゃないですか? おっぱいだけでこんなになっちゃってさぁ」
 あきれるように言う菊丸の首筋には、息も絶え絶えになり、はだけ出された首筋から肩や背中にかけて玉の汗を浮かべた先生が顔をうずめている。たっぷりとした乳房は菊丸と先生の胸の間で、柔らかくつぶれている。
 激しい乳首責めに、何度ものけ反らされ、そのたびに見られてしそうな恐怖と戦ってきた先生であったが、乳首を優しく潰しこまれた瞬間、大きくのけ反ると、支えた力がついに抜けてしまい、そのまま崩れ落ちてしまったのだ。
 甘く激しい快感にひくんひくんと身体を震わせている先生の耳元に囁きかける菊丸の言葉に、蝕まれて失いかけていた理性をなんとか取り戻し、、
「はぁ‥。はっあんっ‥。き、菊丸くんのせいじゃない! こんなときにまで私をおもちゃにしてっ。んんっ‥」
 言い返す言葉も荒い息にかすれるほど、身体は疲弊してしまっている。しかも菊丸の息が耳に吹きかけられ、鼓膜をいやらしい言葉で震わされるだけで、またしても達してしまう。
(ふふ~ん。さすがに先生もつらいかなぁ。また可愛い顔になっちゃって。でも、この顔を見れるのはボクだけなんですからね)
 汗が髪の毛を額にまとわりつかせ、泣きぼくろの目じりをとろりと下げながら、ルージュを引いた綺麗な唇を小さく開けて、荒い息をついている慶子の顔を楽しそうに見つめている菊丸の耳に東屋に行ったはずのお見合い相手の声が聞こえてきた。

「あれ、教頭先生。こんなところで何をしているんですか?」
「おや、君たちは東屋のほうへ向かったんじゃないのかい?」
「いえ、桂木先生が小用だと言うんで、僕は先に行って待っていたんですが、遅すぎるんで迎えに戻ってきたところでして」
「なんだ、そうだったのか。‥たぶん、お化粧を直すのに時間をかけているんじゃないかい? やっぱり君には綺麗な姿を見せたいんだろう」
「ああ、なるほど! じゃあ僕のこと、気に入ってくれてるのかな。いやぁ、嬉しいですね」
 そう話す二人の横で、当の先生は、乱れ髪を汗で額に張り付かせ、眉根を寄せながら、菊丸に抱きついて荒い息を吐いているのだが‥。
(先生をあんな奴に渡すわけにはいかないよ! 先生の身体は、ボク無しじゃいられないことを、しっかり思い知らせてあげますからねぇ)
 朱に染まった先生の頬にキスすると、またがったまま顔を落としているために、突き上げるようになってしまっているお尻に手を伸ばしてゆく。
 生地が吸いつくように張り付いたヒップに回された手は左右の丘を優しく包み込み、指先が虫の脚のように蠢き始める。指が動くたびに、びくっ‥びくっとまたしても反応を示し始めてしまう先生の身体。
「はあんっ! き‥菊丸‥くん? こ、今度は、何?」
「いえ、植え込みからお尻が見えちゃってるから、隠そうと思って」
「え? うそっ! やだ、恥ずかしい。‥あ、きゃっ!」
 と、なんとか力の抜けた身体を奮い立たせ、引っ込めようとする先生であったが、それより先に、後ろに回った菊丸の手が、突き上がっているヒップを、むんずとわしづかみにしてしまったのだ。
「まったくもう、先生のお尻は大きすぎなんです! でっかい桃が、ひょっこり頭だけ出ちゃってましたよ。教頭先生たちに見られてもいいんですか?」
 自分のお尻が、植え込みの上からぷるんと覗かせ、それを見ている教頭とお見合い相手が「絶景かなァ」と見ている光景を想像し、ゾクゾクと恥ずかしさに顔を赤らめてしまう先生。
「こ、このっ! ひとの体をそんな風に例えるんじゃありません! んっ、ああん‥」
 叱っている顔が、ぴくっと苦しげにゆがめられる。
 ヒップを掴んでいた指先がまたしても、さわさわと丸みに沿って動き始めたのだ。
 生地が張り付いて際立った丸みに沿って指先が這い、くすぐるように滑って行く。
「先生のお尻大きすぎるから、こうやってマッサージして脂肪を燃焼させたほうがいいですよね~」
「こ、こんなので小さくなるわけないでしょ! あ、あんっ?」
 しかし、菊丸の言うとおり、指が動くたびに、先生のお尻はぷるっぷるって震えている。やはり開発され教え込まれたお尻の性感は、指先に的確にとらえられ、そこを責めるたびに意志に反して激しい痙攣を起こしてしまうのだ。
 しかし、毎日のマッサージは小さくなるどころか、逆に大きく育ててしまい、赴任当時より確実にヒップサイズはアップさせている結果になっているのだが。
「やっぱり服の上からじゃ効果ないかなぁ。直接マッサージしたほうがいいですね」
「‥ちょっ、直接!? ‥そ、それだけは許しません! やめてぇ‥」
「これも先生のためですから~。そ~れぃ!」
 はだけてしまっている着物の裾を掴むと、腰までめくり上げてしまう。
「い、いや~ん!?」
 完全に下半身をさらけ出してしまった先生。着物も帯の部分にすべて集まってしまい、半裸も同然の姿にされてしまっている。白い太ももからふくらはぎまでの美しいラインが、緑に映え、またがった格好で腰を上げている姿は、白鹿のようにさえ見える。
 しかもその尻尾の部分は、紐が一筋だけで大きな二つの丘が丸々と覗かせてしまっているのだ。
 菊丸の指がお尻に這うと、細い生地に触れて、
「うわっ。先生、今日はTバックなんですねっ! しかも紐ティ~。清楚な着物の下にこんなの穿いちゃって。淑女の振りして中身はやらしーんだ? それともボクのためかなぁ」
 恥ずかしさに顔を隠すように首にすがりついている先生の耳に、肩越しに覗いている菊丸の声が届くと、ぎゅうっこぶしを握り締めるしかない。お見合いの席で、しかも、隣に教頭の居るこんな外で、生徒に跨りながら自分の身体を、菊丸の言うやらしー下半身を見せているのだから、顔から火の出るように羞恥に焼かれてしまう。
 そして、見えないのだから、どんなものでも構わないはずが、下着を選ぶだけで1時間かけてしまった自分の姿を思い出させ、さらに身体を身体を熱くさせてしまう。
 菊丸に可愛いと言ってもらえるように‥菊丸が触りやすいように‥、
「ち、違うわよっ! き、菊丸くんのためじゃないわよっ! 着物に下着のラインを出さないために穿いたのっ! も、もう早く戻してぇ!」
 いやいやと身体を揺らすたびに、柔らかく脂肪ののったヒップは左右に振れさせ、肩越しに見ている菊丸の目を楽しませてしまう。
「わは! 先生のお尻がプルプル揺れてる~。桃山に巨大地震がぁ!」
「もうっ! 馬鹿言ってないで、早く戻しなさいっ!」
「でも、着物の布一枚取っても、先生のでっかいお尻はやっぱり隠し切れないですね」
 さわさわと指先でくすぐり、お尻を揺らせている菊丸が、
「そうだ! 木を隠すには森にってことわざがありましたよね。茂みの葉っぱに隠すには、葉っぱがあればいいんだ!」
「な、何言ってるの! 全然ことわざの意味なんか理解してないじゃない! それにお尻に葉っぱって、なに訳わかんないこと言ってるのよっ?」
「大丈夫ですよ。ちゃんと葉っぱを生やせる場所があるでしょ。先生には?」
 周りに落ちている切れ端の枝を目にして先生の顔は青ざめていく。
「まさか‥アレを‥。そ、そこはっ‥ダメ! 絶対ダメぇ!」
 菊丸の指先が大きな山に挟まれた谷間に落ちていき、紐の端から、かすかに覗いている小さな蕾に触れると、先生の身体が、ビクンと強張る。
「いやんっ! こんなところでそこまでするなんてっ! もう信じられないっ! あ‥‥、ひゃあんっ」
 いやいやと頭を振って抵抗する先生なのだが、菊丸の指が動くと、手を固く握りしめて身体の震えをこらえる。
 片方の手でお尻の肉を開くと紐の下に見えてくる菊の花びらを一枚ずつ愛でるように指先で可愛がり始めたのだ。
 一枚‥一枚と花びらを撫でられていくたびに菊の花が開いていくのが自分でもわかる。
 ほんの少し前の自分であったなら、決してそこで感じるはずはなかった。しかし、菊丸に出会ったおかげで、桂木先生の菊の花はたっぷりと栄養を与えられ、毎日のように愛でられたあげくに、大輪のように開かされてしまっているのだ。指の指紋さえも敏感に感じ取るほどにである。
 固い指先が花びらを押さえるともう五分咲きに開いてしまってくるようだ。ぽっかりと小さい穴が桃山に出来上がってしまう。
「あ‥、あ‥」
 指で開かされたお尻の穴に外の空気が入ってくるようで、中をひんやりと撫でられる感覚に、羞恥と同時に身体は熱く燃え上がってしまっている。
「先生のここ、すごくヒクヒクしちゃってますよ。これで差し込めるかな?」
「説明しないでっ! はうん、ゆ、指入れちゃ‥。まだ無理だってばぁ」
「ああ、そうか。しっかり滑りを良くしないといけないですよね。はい、じゃあア~ン」
「はぁはぁ、な、なにする‥あむっ!? んんんっ」
 開きかけた口に、いきなり指を入れられて、声を遮られてしまう先生。菊丸の指が舌を撫でるように動いている。クチュクチュと音を立てて口の中を蹂躙されながら、
「滑りを良くするためには、ちゃんと濡らさなきゃいけないでしょう。これも先生のためですから」
 にやにやと笑いながら指を入れてくる菊丸に、かぁっと顔を赤らめ、噛んでやろうとした瞬間、ちゅぽんっとひきぬかれてしまう。
「これだけたっぷりあれば大丈夫かな?」
 唇から糸を引いている唾液にまみれた指先を見つめられて、恥ずかしさに顔を背けてしまう。その隙に菊丸の指は下へと伸びていき、菊の穴にぴちゃりと塗りこんでしまう。
「ひゃうんっ! つ、つめた~い! ああん、ぬるぬるしてる~」
 自分の唾液を恥ずかしい穴に塗りこめられて、そのぬめりにさらに身体が震えさせる先生の顔を見上げながら、
「ふふ~ん。これで入れやすくなりましたよ。先生のぬるぬるなったところに入れちゃいましょうね」
「やめてぇ! ダメダメっ! 絶対ダメぇ!?‥‥んっあああっ!」
 菊丸のシャツをきつく掴んで、唇を大きく開く。拾い上げた小枝が、その菊に開いた雌しべの代わりのように、それを差し込まれていく感覚が頭まで貫くようで耐えられないのだ。
 くりっ‥くりっ‥とねじを回すようにねじ込んこまれていくたびに、潤みがかった内側を刺激されてしまう先生。
「ああ‥。中に入ってくるぅ‥。うんんっ」
「おお! 絶景かな絶景かな~。お尻山の上に一本、緑が生い茂りました~」
「いや~ん! もう、信じられない!」
 丸く上を向いた白い二つの丘の谷間に左右に葉をつけた小樹がそそり立ってしまっている。風が吹くたびに、それがなびいて、中の壁をこすってくるようだ。
「ああん。中でこすれてっ‥。ダメぇ、風にまでいたずらされるぅ」
 植え込みから飛び出た枝が、揺れるたびに、びくっ! びくっ! とかき回されていくようだ。
 すぐ隣の植え込みでまさか、桂木先生の菊の穴をいたずらされているとは思ってもいない教頭とお見合い相手。
「おや、あんなところに枝があったかな?」
 先ほど植え込みを見ていた教頭が違いに気づく。植木の上にひょっこりと枝が生えているのだ。それに促されたお見合い相手も一緒にその枝を見て、
「ああ、庭師の人が、切り残したんでしょう。その辺に枝が切った枝が落ちてましたよ。途中でどこかへ行っちゃったんですかね?」
「こんな途中で仕事を抜け出してどこへ行ったんだ? まったく‥」
「いや、もしかしたら、芸術として一本残したのかもしれませんよ。よく見れば風にそよぐ姿も美しいと思えますし」
「ほう、ほう。そういえば、風が吹くたびに、ひくひくと揺れる様は不思議な感じがするね。なるほど、ここの庭師は名匠なのかもしれん」
 植え込み越しの覗く葉っぱがゆらりゆらりと優雅に揺れている。
(ああん。お尻に刺さっているのを見られてるっ! 教頭先生やお見合い手の前で、こんな恥ずかしいことをされているなんて‥)
 あまりのことにうっすらと涙さえ浮かんでしまう先生。二人に見られている枝が、決して人前にさらすことのない器官につながっているのだから、その恥ずかしさたるや想像に絶するものだろう。
 いや、生徒たちからも信頼もされ、憧れの先生である桂木慶子が、年下の生徒に菊穴調教を受けているのを誰が想像するだろうか。
 しかも、感心されているひくつきは、自分が敏感に感じている反応のせいなのだ。お尻に生えた枝を見つめられ視線を浴び、その視線は枝を伝い、自分の内側を覗き込まれているような感覚が襲ってきてしまう。
「はぁ‥はぁ‥。もう耐えられないっ! ああん、見られてるのに‥お尻で感じてるのを見られてるのに、止められないのっ」
 内側を刺激される快感が風が吹くたびに、冷えるどころか体温をあげていき、まさしくピンクの染まっていく桃尻には熟した蜜が染み出してくるように、汗が浮かび、谷間に沿ってトロリと流れていく。
 これだけでもすでに先生の精神は崩壊しようかというほどなのに、遠くで聞こえるような菊丸の声に、ピクンと身体が反応する。
「でも、これだけじゃ隠せませんね。やっぱりお尻の脂肪を燃焼させるには、摩擦しないとダメかなぁ」
 と笑いかける菊丸の顔を見返す先生の血の気が一気に引いていく。
「摩擦‥って。まさか‥。ダメダメっ! そんなことまでされたら、私、こわれちゃう‥っ!」
 身をよじって菊丸から逃げようとする先生だが、手が締めつけられたままでは、先ほどの毛虫のように身体をにじらせ這うことしかできない。植え込みの上を自動的に移動していく葉っぱを驚愕の目で追っている二人の前で、容赦なく後ろの紐を握りしめた菊丸が、
「せ~の!」きゅううっと上に向かって引きしぼった。

 しゅこっ!

「ああっ!」
 こすれあがる音と同時に、身体がびくーんと激しく震え上がってしまう先生。たったひとこすりだけではあるが、それだけでも、快感の渦に飲み込まれてしまったように、ぶるっぶるっとたわわな尻肉を痙攣させ、その波は止みそうにもない。
 先ほどの乳首責めと羞恥まみれの小枝調教で、すっかり身体中の感度はめまぐるしく花開いてしまっている。身体中がしかもその中でも一番大切な花弁を責められては、仕方ないのかもしれない。
 引きしぼられた紐に引っ張られた細い生地が、敏感な部分にきつく食い込み、今この姿を下から覗けば、何も穿いてないかのように見えているだろう。しかしお尻の間では確かに生地が存在しているのだ。その汗ばんだ生地が滑りを鈍らせ、ぞりぞりと優しく谷間に削り込んでくるたびに、むしろ無かったほうがいいくらいに思えてしまう。
「あんっ! ああんっ! ‥き、菊丸くん、ヤダ、こんなところで‥あっくっ‥」

 しゅここっ!

 今度は先ほどよりもゆっくりとこすりあげられる。こすりつける刺激は弱まったものの、今度はゆっくりと長い時間こすられるのは、永遠の時間にさえ思え、じわりじわりと気持ちよさをため込んでいくようなのだ。
(ああん、こ、こすれちゃう! また菊丸くんに‥‥あんんっ)
 菊丸の首にすがりつくように顔を寄せてると、自分の身体を責めている菊丸の横顔が見える。
 自分を感じさせようとしている横顔、自分の身体をここまで淫らに調教した横顔、自分を求めている顔を見つめている先生の唇が自然と突き出されていく。せっせと刺激を送り込んでいる菊丸の頬に顔を寄せていってしまう。
「君も桂木君を気に入ってくれたようでまずは良かった」
 教師と生徒が絡み合っている横で、上司とお見合い相手が、まだ談笑しあっている。
「いやぁ、実際会ってみると、ますます気に入ってしまいましたよ」
 女の部分を責め続けられながら、菊丸の頬にちゅっと、くっきりとした唇を触れさせる桂木慶子。
「ああ、見えても生徒には厳しいんだよ。不良生徒を更生させたこともあるね」
 ついばむように頬に唇をくっつけてくる先生に気付いた菊丸が顔を向ける。正面から見つめられて、知らぬうちに菊丸にキスしていた自分に気づき、目を伏せるように泳がせてしまう。
(ああ、私ったら、なんてことを? せ、生徒に自分からキスしちゃうなんて‥。こ、これじゃ、私から求めてるみたいじゃないっ!?)
 自分のとった行動を許せないように顔を背けようとするが、菊丸がそれを逃がすはずもなく、
「先生、我慢できないんですか? 声出ちゃうのが怖いんなら、ボクが塞いであげますよ」
「そ、そんなことないってば。いや、ダメっ! それをしたら、私‥菊丸くんに‥んんっ!? んふぅ‥っ」
 強引にぷっくりと柔らかい唇は塞がれてしまう。避けようと顔を横にするたびに激しく重ね合ってしまい、強くつながってしまう。いつしか先生の抵抗も弱まり、それどころか、菊丸の舌が伸びてくるのを自ら受け入れてしまっていく。
「意外と血気盛んなんですね。慶子さんも、そんな一面もあるなんて」
 ぴちゃっぴちゅっと何度も重ね合わされる唇。唇と唇の間からは、絡みあう舌が見えている。菊丸の舌が動くたびに、それに合わせるように慶子も舌を伸ばしていく。舌を吸われるたびに「んっ‥、んんっ!」と可愛い声をくぐもらせていく。
「まぁ。浮いた話一つもないのが不思議なくらいだがね。それも君に会うためだったんだろう」
 食い込んだ紐をひかれるたびに、ビクリと身体を震わせ、舌先同士で唾液のつり橋を作って、一度は離れるものの、少し波が引くとまたむさぼるようにキスをしていく先生。
 菊丸がさらに先生を喜ばせようと、片方の手で食い込んだTバックをこすりあげながら、もう片方の手は、乳首の芯をつぶしこんでいく。
「はぁっ! あんっ‥‥。ああんっ!」
 さすがに溜まらず、ちゅるんと舌を伸ばしたまま、身体をのけ反らせてしまう慶子。だらしなく舌を覗かせ、唇の端から涎を垂らしたまま、声を上げてしまう。
 そして、悩ましげに聞こえてくる声にさすがに気付いた教頭とお見合い相手の二人。
「だ、誰かいるんですか?」
「ああ、そういえば、猫が紛れ込んでいるようなんだよ。春なんだねぇ。だいぶ盛りのついたメス猫のようだ」
 菊丸に上に跨った先生が下からの愛撫を受けるたびに、小枝の尻尾を振っている。びくっびくっと身体の震えをわからせるように葉っぱがなびいていく。
「猫‥ですかね? し、しかし、学校でも人気があるんじゃないんですか? やさしいし、生徒にも体を張って指導しているみたいですし」
 たしかに体を張ってはいるが、それは淫らな開発をされているのだからしょうがない。
 学校に勉学を教えに行っているはずが、毎日一人の生徒に、体の至るところにある性感を目覚めさせられ、それを熱心に何度も何度も教え込まされてしまっているのだ。
 大人とふるまうべき存在が、菊丸にかかると、可愛い鳴き声を上げ、いつも最後は自らしっぽを振って求めてしまうまでになってしまったことに、心はわかっていながらも、身体はその快感を得ようとしてしまうことが、慶子の屈辱を煽り、それがまた身体の感度を上げてしまうのだ。自分のはしたない声を聞かれないように懸命に菊丸の唇にすがりついていくのだが、
「んっ! んああっ」
 唇の隙間からでも情けない声を漏らしてしまう。
「まったく、聞いておれんね。従業員に言って外に出してもらったほうがいいかもしれん」と頭を振る教頭に、
「では僕はもう少しここで待ってますよ。慶子さんももう戻ってくるでしょうから」
「そうかね。じゃあ、桂木先生と上手くやってくれよ。じゃあ」
 と帰っていく教頭を見送るお見合い相手のすぐそばで、ほとんど何も付けてない全裸の先生が、ちゅぽんと唇を離した。
「んっ、んっ! ああ‥んっ。ダメ、菊丸くん。我慢できない‥そ、そんなに激しくしたら、声出ちゃうっ!?」
 散々加えられる刺激に周囲の景色もかき消されていくようだ。
 目はトロ~ンと霞がかかり、くっきりとルージュを引いてきれいに整えられた唇は半開きにパクパクといやらしく開き、可愛く舌先を見せている。
(こ、こんなところでまた‥また頭の中に霞をかけさせられるなんて‥。でも‥)
「あ‥。あん‥。はっ‥」
 と甘い喘ぎ声を漏らし、のけ反らせていく。
「先生の、こんな姿を見たら、お見合い相手も幻滅しちゃいますよね。こんなやらしー先生には、ボク以外じゃ物足りないですもんね。しっかりわかってもらいますよ」
 たっぷりと先生の唇を味わった菊丸は、喉を見せて悶えている先生を姿を嬉しそうに見上げて、目の前に突き出された乳首に吸いついていく。火照りきった身体のむき出しの神経を這う舌の感触についに、
「ああっ! ああああーっ!!」
 たまらず慶子の身体は激しく反り返ってしまう。
 驚いたのはお見合い相手のほうだ。いきなり植え込みの向こうに先生の頭が出てきたのだから当たり前だ。
「桂木先生? なんでそんなところに? そんなに汗をかいて、顔が真っ赤ですよ」
「ああっ。違うんです! ダメ見ないでぇっ」
 汗を額に浮かばせ唇の端から涎を垂らしながら「見ないで」と訴える先生の顔をまじまじと見つめて、
「違うって、ど、どうしたんですか? 一体何を!?」
「だ、大丈夫‥ですっ。ちょっと‥あんっ! 転んだだけですからぁんっ」
 答えようとする先生の声が、甘く溶けていく。その顔を見せつけるように菊丸が乳首を甘く噛んだのだ。目を細めて感じている顔をさらけ出してしまう先生の顔は、さらに火がつくように真っ赤に染まっていく。
「なんですって!? それは大変だ」
「ああん、こっちに‥来ないでっ! こんな姿見せられません!」
「服が乱れてしまったんですか? 一人で立ち上がれますか?」
 お見合い相手の親切心が、さらに慶子の身体を燃え上がれせてしまう。こんなにいい人の前で、こんな女の顔を見せているなんて。しかし、そう思えば思うほど、身体中の性感がびりびりとむき出しにされ、そこを菊丸に触れられていく。
「はっ‥いいっ! 大丈夫‥なのっ。私のほうから行きますからああっ! んん!」
 そういうと植え込みに先生の顔が消えると、影からくぐもった声が聞こえる。
「もうダメぇ、ひどい、菊丸く‥ん。見られちゃったじゃな‥あむっ! ふあっんんちゅ」
 ぴちゃぴちゃ、チュウチュウとからめ合い、吸われる音がすると、また顔をのぞかせる。先ほどよりも唇はつやつやと光っているようだ。
「ああん、もうダメ! 菊丸くんっ! 行っちゃう! 私行っちゃうのぉ」
 羞恥と快感にまみれた先生の身体はまたしても高みに達してしまいそうになっている。もう先ほどから乳首から菊の花から、大事な部分まで、すべていじられ何度も何度も身体はステップアップされてしまっているのだ。こんな高い所から落とされたら‥。そう思うだけでも、足を踏み外してしまいそうでゾクリと身体が震える。
「え~。先生やっぱりお嫁さんに行っちゃうんですかぁ。お見合い手のところになんか絶対行かせるもんか~」
 植え込みの陰にいる菊丸は、淫らに声を上げる先生を見上げつつ、さらに責めを激しくしていく。先生が恥ずかしい姿を見られて興奮していることをまるで見越したように、食い込んだTバックをぐいぐいと引き上げ、こすりあげていく。乳房は強く揉まれて、人差し指と中指の間で、尖りきった乳首は挟みこまれ、もう片方の乳首が菊丸の口の中に消えて、吸引されていく。
「ち、違うの、そういうことじゃなくて‥。あふっ! あっあっ‥」
 涎を垂らしながら、身体をのけ反らせていく先生。お見合い相手にも、むき出しの肩が見えてしまっていても、もう何もわからないくらいだ。身体中の快感神経がつながり、ぽつぽつとそれが発光していくような感覚に包まれていく。頭の中がぼやけ、階段を駆け上ると、すこん‥と底が抜けそうになっている。
「慶子さん!? 一体何を‥」
 激しい乾布摩擦にお尻に生えさせられた枝が、ずるるると引きぬかれていく。中をこすりあげる感覚が背中を通って体中に満たされると‥
「ああ、ダメ! 行くのっ! 行くっ! 行く行くぅ~! あ‥‥っああ~ん!!」
 びくびくーんっと一層身体を怖ばらせると、何度か痙攣を繰り返し、がくりと菊丸の上に崩れ落ちてしまう。
 荒い息で、柔らかい地面に落下したような安堵した顔で抱きつくように気を失った先生を見つめ、
(うひょひょ~。やっぱり先生はこの後の顔が、たまりません! この顔を見れるのは、ボクだけだぁ!)
 目をつぶって、汗みずくの身体を余韻にひくつかせている先生にたまらず、キスしようと顔を近づけた菊丸の鼻の上に何かが落ちてきた。その鼻先を歩いているものが毛虫だと気づく。
 散々利用された毛虫は、怒りの表情でその小さい口を開くと‥かぷっ!
「いっでええええええええっ!」
 植え込みを突き破った菊丸の鼻が、ものすごい勢いで腫れあがっていく。

「やっと見つけたぁ」
 教頭の姿を見つけ、こちらの小路を探しにきたいずみであったが、目の前に現れた光景に顎が外れそうになる。
 腰を抜かせている白いスーツの男が見つめている先で、着物をすべてはだけさせ、腰の周りだけ残してほぼ全裸の身体をピクンピクンと震わせて、地面にうつぶせている先生と、鼻を押さえて植え込みを踏みつけながら飛び回っている菊丸がいる。
 それだけで、一足どころか何足も遅れてしまったことを知ったいずみが、肩を怒らせて叫んだ。
「あんた、お見合いの場所で、なんてことしてるのよー!」

 


 結局、お見合いは破談ということになったみたいです。
 お見合い相手からはものすごい熱心にアプローチがあったらしいけれど、桂木先生のほうでお断りしたみたい。
 先生にまだ学校に残ってほしかった私たちはうれしいけど、菊丸くんの毒牙にかかる危険はあるし、複雑な気分。
 またお見合いの話が持ち上がるかもしれないけど、菊丸くんがいる限り、うまくいかないのかしら? まったくもう、本当にしょうがないんだから。
 え? その菊丸くんはどうしたかって?

「おーろーしーてーくださーい! ゆーれーる‥おーちーるぅぅぅ!」

 巨大な鼻を包帯巻きにした菊丸くんが、周りの景色がすべて見渡せるほどの木の上で何か叫んでいる。
 せっかくの植え込みをダメにした罰で庭師さんの下で修行させられることになったのだ。
「まったく、命綱してるくせに、最近の若いもんは、根性なしだの。上の枝を全部切るまで降りてくるんじゃないぞ!」
 そう上に向かって叫んでいる庭師の横に立った桂木先生が、腰に手当てながら、
「まったくもう! お見合いでまでいたずらするなんて、どういう神経してるの! もう一生降りてこなくていいわ!」
 と、怒鳴っている。
「そーんーなぁー‥なぁ‥ぁ‥」
 木霊する菊丸の声が届いてくる。
「本当に困った子なんだから‥。あなたも一度落ちてみればいいんだわ」
 溜息混じりに呟く先生を見つめて肩をすくめるいずみ。ふと落ちている枝に気付き、それを拾おうとする先生であったが、その顔はなぜか赤らんでいるようだ。
 くるくると枝を指でいじっている先生と庭師・いずみの三人の前の木から地面に向かって、ひゅるひゅるとロープが落ちてくる。
「わぁー、切るのを間―違えーたぁ‥‥!」と上から菊丸が叫んでいる。

あら? これって、命綱じゃ? ‥‥‥大丈夫かしら、菊丸くん?

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