「地球防衛隊異聞 寄生型宇宙人をやっつけろ! の巻」

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 EDF―地球防衛隊―は1年前、宇宙から飛来した謎の未確認飛行物体―UFO―を発見、解析した結果地球外知的生物の確認及びその知性体が現人類の科学水準を上回り敵対しうると認識された結果生まれた、対地球外生命における防衛組織である。

 防衛隊の任務はもちろん宇宙人だけではなく、人類にとり脅威となりうるあらゆる事態を未然に防ぐことにあり、管轄地域をパトロールも当然のように組み込まれている。
「隊長、どうしたんですか、早くパトロールに行きましょうよ」
 なかなか移動車両から出てこない極東支部第一機動部隊隊長へ声をかけるのは同部隊隊員明智菊丸だ。
「‥っ、も、もう少し待って、あ、いやっ」
 部下からの催促に時間を置こうとする上司に業を煮やした菊丸がとうとう運転席の扉を開け隊長を引っ張り出す。
 車から出てきたのは20代も半ばの年若い女性だった。能力主義の防衛隊にあって組織内の男女比率はほとんど差はないのだが、それでも20代の若さで女性の、それも特区とさえ言われる極東地域の中で部隊隊長を任されるのは珍しい。
 しかしその女性を見て武骨な印象のある防衛隊、それも実戦部隊と言われる機動部隊と言われてもまず信じられないのは、エリートたる部隊長だからではないだろう。
「まったくもう。隊長なんだからもっとしっかりしてください」
 そう言ってマジマジと自身の上司、地球防衛隊極東支部機動部隊、桂木慶子隊長を見る目がそれを証明する。
 菊丸隊員より頭一つ背の高い桂木慶子は160センチほどだろうか、支給の制服に包んだ肢体は隙はなく、87センチのバストは見事な曲線で上向き、くびれた腰、90センチのヒップははちきれんばかりの迫力を示していた。
 そしてなによりその美貌だ。くっきりとして濃い目の眉に理知性を伺わせる澄んだ瞳。左の目尻にある泣き黒子が聡明さと同時、女らしさを滲ませ。すっと通った鼻筋にぽってりとした口元は優し気でありながらどこか艶めかしい色香を漂わせ、映画女優かモデルといった方がよほど信じられるほどだ。
 しかしそのエリート隊長である慶子はいまどこか自信なさげに美しい肢体を菊丸の目から隠すように捩り、頬は上気して額にもびっしりと汗が浮かんで明らかに不審な様子なのである。
「こ、こんなの付けられて、無茶言わないでよっ」
 無理やりに車外から引っ張り出された桂木隊長が制服のスカート裾を抑えながら恨みがましく部下である菊丸を睨みつける。
「しょうがないでしょ。隊長にはまだデカシリ星人が寄生してる疑いがあるんだし、命令に逆らうわけにもいかないじゃないですか」
「あ、いやっ!」
 言いつつ、太股を震わせ立っているのも辛そうな上司を無遠慮に引き寄せて腰を抱くのだ。
 デカシリ星人。
 先日、防衛隊によって駆逐された寄生型宇宙人のことだ。
 やっかいなのは寄生された宿主に自覚がないことで、また日常生活にもほとんど影響のないことだった。しかし世代を経て表面化し数世代の後にはいつの間にかデカシリ星人としての自覚を持った人類として上書きされる姿なき侵略者なのである。
 これにいち早く気付いた菊丸隊員の活躍により、あわや寄生されかけていた桂木隊長は事なきを得たのだった。
 しかし相手は未知の宇宙人である。いかに未然に防いだとはいえ疑いの目が完全に消えたわけではない人間に防衛の要をそのままに、というわけにもいかず、といって稀有な指揮能力の持ち主である桂木慶子をどう扱うかは上層部としても頭悩ませた。
 それを解決したのも菊丸隊員だった。
 曰くデカシリ星人の弱点は寄生部位への強い刺激であり、刺激されている間は浸食が行われないこと、また長期間の刺激を行えば完全に死滅すること、寄生先である人間を常に監視下に置くことで危険を未然に防ぐことを提案したのである。
 これは寄生型宇宙人に寄生された宿主の経過を見るのにも最適であると認められ、結果として上司である桂木隊長を部下の菊丸隊員が監視下に置くという逆転劇が起こったのだった。
「でへへ。装置はちゃんと動いてるみたいですね~」
「あ、い、いやっ、やめてっ!」
 腰を抱いたまま、短い防衛隊支給のスカートを捲り上げられ美しい隊長の悲鳴が管轄地域に響く。
 捲り上げられたスカートから現れたのは女性用の下着、ではなく小さな三角形の黒皮素材が大事なところを隠すだけの拘束帯のような代物だ。
 これが菊丸の提案から開発された対デカシリ星人寄生防止装置である。
 黒皮に見える部位の裏側にはびっしりと繊毛が生やされそれが微細な振動音を立てて、さっきから女隊長の大事なところを刺激し続けていたのであった。
「そんなこと言ったって任務なんですから。必ず装置が動いているか、それから隊長の意識があるかの確認。任務に支障がないかの定時報告。隊長だってわかってるでしょ?」
「だ、だからって、あ、あぁンっ、さっきから何回確認してるのよっ! これじゃパトロールなんて出来ないじゃな‥ぃっ、いぃっ!」
 抗弁しようとした慶子がビクンっと仰け反り悲鳴を上げる。菊丸隊員が持つデカシリ星人寄生防止装置を操作したのだ。
 繊毛は硬さも長さもまるで異なり、それらがうにょうにょとまるで生き物のように蠢き、女性の大切な場所を刺激するのである。
「念には念をですよ。仮にも防衛隊の隊長が宇宙人に寄生されてしまったんです。こんな不始末が二度も起こったら大変じゃないですか」
「だ、だからわたしはもう、寄生なんて、されてっ、あ、あっ、だめっ、動かさないでっ!」
 ツマミを回され、もう一段階上の刺激に襲われた桂木隊長がスカートを捲られたままの格好ではしたなく腰を突き出すようにして、悩ましく訴える。
「それを調べてるんですってば。どうです、装置は動いてますか?」
「い、いやっ、いやぁあんっ、う、動いてっ、あ、動いてるから、もうやめっ、やめてっ!
「それじゃ気分の方はどうですか~、寄生されてたら抵抗されて気分が悪くなるはずなんですけど」
「こ、こんなことされてっ、いいわけ、ないっ、ひっ、いっ、いぃっ!」
「気分が悪いって。それじゃやっぱり寄生されてるんじゃないですか?!」
「あっ、あ、だ、だめっ、振動、強くしないでッ、あぁっん、おかしくなっちゃうっ!」
 牽制のためにまたツマミを回し二段階目の動きの変化を与えると美しき防衛隊長ははしたなく腰を突き出してガクガクと膝を震わせるのだ。
「これも隊長を救うためです。我慢してください」
「だからっ、違うのよっ! 寄生なんて、あ、あっ、されて‥っ、い、いや、いやっ!」
「じゃあ、気分はどうなんですか?」
「っ、さ、最悪よっ! ぶ、部下のあんたにこんなっ‥?! あっ、あ、あっ、あ~~~~~~~~っ!」
 眉を上げ、無遠慮に腰に手を回す部下へ上司として叱責しかけるのを、またもツマミを操作されて桂木隊長は口をいっぱいに開いて無様な悲鳴に変えられてしまう。
「んもう。デカシリ星人の疑いが晴れるまでは隊長がぼくの部下でしょ。それに最悪って。寄生されてるって証拠じゃないですか」
「そ、そうじゃなくってっ、あ、あンっ、お願い、一度止めてっ、こ、これ以上はほんとに駄目ッ、だめぇ‥っ」
「駄目ですよ。止めたら寄生が定着しちゃうじゃないですか」
「だから、寄生じゃ、あ、そうじゃないのよっ、こ、このままじゃ、あ、あっ、いやぁっ!」
「さっきもそんなこと言って装置を止めさせたじゃないですか。だから今もデカシリ星人が暴れてるんですよ。今度は甘やかしたりしませんからね」
「‥そ、そんなっ、お、お願いっ! 止めてっ、止めてちょうだいっ、あ、あ、わ、わたし、こんなところで、あ、あっ!」
「そうですよ。こんなところで宇宙人が暴れたりしたらどうする気なんですか。隊長は栄えある防衛隊のエリートなんですよ? もっと自覚を持ってください!」
「あっ、あ、あっ! い、いやっ、いや! ぼ、防衛隊のわたしが、こんなところでッ、あ、やっ、駄目ッ、これ以上出力上げないでっ!」
 またツマミを回され繊毛の不規則な変化に女隊長の悲鳴が高くなる。
 一般隊員と違い隊長となると、その選考基準は一気に厳しくなる。知力、体力は言うに及ばず、100を超える事前の審査項目だけで大半が弾かれ、そこから選ばれた10名の候補生が半年の過酷な研修期間を経てそれでも年間に数人が残るといった難関なのだ。
 そのなかにあって桂木慶子は将来を嘱望され、すでに数部隊をまとめる大隊長を打診されるほどのエリート中のエリートであり、そも菊丸如き一般隊員が偉そうに指示をするなどありえない立場にある。
 そんな桂木隊長が昼日中、管轄地域の路地裏でスカートをたくし上げおぞましい拘束帯を着ける下半身を露出し、部下の命令で前後不覚に陥るなどプライドが許すはずもない。
「そうそう。隊長はエリートなんです。我慢出来ますよね~♪」
「くっ、ぅ‥っ! あ、当たり前っ‥でしょ! そ、それにわたしは寄生なんてッ、あ、あぅっ! あ、あ、あっ!」
「それじゃこれも我慢出来ますよね♪」
「あっ! やっ、駄目ッ、それは駄目ッ! き、菊丸隊員っ、やめ、やめてっ、お願いッ!」
 ツマミとは別に今度はボタンを押した菊丸の行為に、慶子は凄まじい反応を見せ部下である菊丸にしがみついてしまう。
 デカシリ星人寄生防止装置には振動を与える機構と装置を固定する突起が伸縮する機能が付けられており、その機能が防衛隊隊長に襲い掛かってきたのだった。
「同じ刺激だけだとデカシリ星人も慣れちゃいますからね。別の刺激も与えないと」
「あ、あっ、いやっ、お、お尻が‥、変になっちゃうっ! 菊丸隊員っ、お願い、お願いよっ、やめてえっ!」
「それもデカシリ星人が苦しがってる証拠です。耐えてください、隊長!」
 亜麻色の髪がびっしりと汗の浮いた額に張り付き、凄まじい色香を放つ上司の表情に見惚れながら励ます菊丸に、しかし桂木隊長は狂ったように美貌を振って「いやっ、いやよっ!」と繰り返す。
 装置に設えた突起の長さは3センチ、直径は2センチ程度とはいえ、伸縮を始めると最大で3倍近い長さになり、また表面には無数の返しが付いて容易に抜けないよう工夫が凝らされている。
 それがさっきから最小の伸縮とはいえ、女隊長の菊の蕾をゴリゴリと刺激するのだから堪ったものではなかった。
「い、いやっ、もういやっ! 装置を止めなさいっ! 菊丸隊員っ、命令よっ!」
 もう上層部からの指令も忘れ、慶子は部下の暴走を止めようと権力を行使してしまっていた。
 が、これは逆効果というほかはない。
 菊丸はデカシリ星人に寄生されているかもしれない桂木隊長を環視する立場にあり、この叱責は恐慌に駆られた宇宙人の足掻きにしか映らなかったのである。
「この苦しみよう。やはりデカシリ星人め隊長にまだ寄生していたな! ええい、これでも食らえ!」
「ひっ!」
 防止装置のツマミをぐいっと捻り、ボタンを連打する部下に、桂木隊長から声にならない悲鳴が上がった。
 ヴ、ヴヴヴッと顔近づけなくともわかるほどの振動音が拘束帯から広がり、大切な場所に張りついた黒皮が目に見えて蠢くのがわかる。
 さらに固定用の突起も5センチ近く伸び、それが伸縮を繰り返してくるのだから、桂木隊長が受ける刺激は言葉に出来るものではなかった。
「っ、~~~~~~~~~~~~~~!!」
 ガクンと部下に支えられた身体が仰け反り、拘束帯に覆われた下半身を見せつけるようにガニ股になる情けない格好で突き出される。
「や、やめっ、やめてっ! やめなさいっ! め、命令よっ、菊丸っ! あとでどうなるかわかっているのっ?!」
「なにが命令だっ! 尊敬する隊長を操ってそんなこと言わせるなんて許さないぞ!」
 苦し紛れに規律に厳しい桂木隊長の口から上層部の意向を無視させようとする卑劣さに、菊丸の怒りが爆発し装置を使ってデカシリ星人を懲らしめるべく、ツマミにボタンを見事な指さばきで制御するのだ。
「‥っ!? だっ、だめっ! そんなっ、だめっ、ゆ、許してっ! そんなのいやっ、許してえっ!」
「ええい、許すもんかっ! 桂木隊長から出ていけっ、デカシリ星人め!」
「あっ、あ‥、い、いやよっ、いやぁっ!」
 部下の地球防衛にかける熱意、上司への敬意に本当なら誇らしいはずが、いまは毅然とした女隊長が保身に権力を使うほどに苦しめる。
 防衛隊長選考の研修での過酷な訓練さえ耐えきった鋼の精神が部下の操る小さな装置一つにひび割られてゆく。
(だ、だめ‥っ、もうだめっ! わ、わたし、このままじゃほんとにどうかなっちゃう‥っ!)
 肉体的苦痛ならどれほどの痛みも堪える自信があった。対拷問用の訓練を受け慶子は期間いっぱい耐えきった事実もある。
 しかしこの装置から与えられるのは、そんなものとは一線を画していた。
 女の、女であるが故にこそ生じる苦悶。
 いくら堪えようとしても女である以上決して耐えられない感覚に、どうしようもなく泣き喚いた。
「き、菊丸隊員っ! も、もうだめっ! ほんとに駄目なのっ! あ、あっ、おかしくなっちゃうぅっ!」
「隊長! デカシリ星人が出て行くまで頑張るんです!」
「む、無理よっ! もう限界よっ、ねえ、き、菊丸っ、菊丸くんっ! け、慶子どうなるのっ? どうなっちゃうのよっ?!」
「でへ。どうやらデカシリ星人も耐えられなくなってみたいですね。隊長から出て行きそうなんですね?」
「あ、あっ、そうなの? これで出て行くの?」
「隊長こそもうわかってるんでしょ? 行きそうなんですよね?」
「あぁん、わからないわっ、もうなにもわかんないっ! 菊丸っ、ねえっ、きくまるうっ!」
 発狂しそうな刺激を与えられ、厳しい訓練ですら見せなかった泣き顔を見せながら、もう自分でわけがわからなくなったように部下の名前を泣き叫んでいた。
「でへへ。隊長、そういうときは出て行きますって言うんですよ♪」
「で、出て‥い、きます‥っ」
「そうそう。デカシリ星人を早く追い出したいんでしょ。ぼくも協力しますから頑張ってください」
「あ、あっ! 菊丸っ! 出て行くわっ! あ、ぁんっ、も、もう、だめっ、‥っく、いっちゃ、う」
「行くんですね?」
 部下からの確認に女隊長は泣きながら必死に頷き、装置の動きに合わせて艶めかしく腰をふりたくった。
「い、いくっ! ねえっ、菊丸っ、慶子いっちゃう! っ、あ、あっ‥い、いきますっ!」
 もうこの状況にどうしてなっているのかも、理解できないまま防衛隊期待のエリート隊長は部下のいいなりに寄生されてもいない宇宙人が出て行くと泣きじゃくる。
(うぅむ、あれほど寄生されていないと言い張っていた隊長がこんなに素直になるとは‥。いや、そうやって出ていったフリをしているのかもしれない)
 部下の中でも問題行動ばかりの菊丸隊員の前で恥ずかしい姿を晒す悔しさに美貌を歪め泣きじゃくる隊長に、だからこそ精神支配を得意とする
デカシリ星人の駆け引きを感じ取る菊丸。
 そう、あの桂木隊長が自分如きの指示でこうも素直になるはずがないのだ。それが証拠に規律正しき防衛隊隊長がついさっきは上層部の意向に逆らってまで権力を行使し、自分から装置を奪おうとしたではないか。
「ふっふっふ、桂木隊長、いやさデカシリ星人! 危うく騙されそうになったが、ぼくの目は誤魔化されないぞ。出ていったフリをして隊長の身体に居座るつもりだな!」
「な、なにを言って‥っ、あ?!」
 ようやく波が収まり、ハァハァと荒い息を吐きながら部下の肩に頭を預けていた桂木隊長が菊丸の台詞に驚き、顔を上げる。そうして部下の真意を確かめようとした直後、再び装置を動かされ拘束帯が緩い振動を開始したのだ。
「い、いやっ、あ、あっ、やめてっ! 菊丸隊員っ、もう出ていったって言ったじゃないっ! ど、どうしてまた動かすのよっ!?」
「そうやってぼくを騙そうったってそうはいかない。あの桂木隊長があんな台詞を簡単に口にするはずがないんだ!」
「そ、それは‥」
 菊丸隊員が力強く言い切るのを女隊長は首筋まで赤く染めて口籠るしかない。
 自分でもつい先ほどまでの自分が信じられないのだから。
 言い訳をしようにも、なにを釈明すればいいのかすらわからない。部下の操った防止装置の機能に狂わされ、言いたくもない台詞を叫びましたとでも言えばいいのか。
(言えるわけないじゃないっ‥)
 そうして黙っていることこそ、菊丸の疑いを肯定するとわかっていても防衛隊隊長としての自負と女としての矜持が桂木隊長の口を噤ませてしまうのだ。
「黙っているってことはやっぱりまだデカシリ星人が隊長に残ってるんだな! よーし、今度こそ追い出してやる!」
 いつの間にか定期点検を兼ねた動作確認がデカシリ星人を追い詰めるための作業に取って代わっているのだが、防衛隊隊員として侵略型宇宙人の存在を認められるわけもなく、自然菊丸の防止装置操作に熱が入ってゆくのである。

 すでに定期動作確認の開始から一時間が経過していた。
 いまはもう立っていることさえおぼつかない桂木隊長をパトロール車へと移し、菊丸は美貌の女隊長を膝上に乗せての防止装置の動作確認を続けていた。
「あっ、あ、い、いやっ‥、き、菊丸隊員ッ!」
「隊長、頑張るんですっ、デカシリ星人は出ていくフリをしてぼくらを騙してるだけなんです。いまは隊長の気持ちを操作してるだけなんですよ!」
「そ、そんなこと言ったって、あ、あっ! だ、だめっ、菊丸隊員ッ、あ、き、菊丸ッ! 慶子、また、出て‥い‥く‥っ、あ、い、言っちゃうっ!」
「我慢するんですっ! デカシリ星人の言いなりになっちゃ駄目です、隊長っ!」
「だ、駄目よッ、も、もう耐えらんないっ」
 後部座席に座る部下の、その膝上に跨ったまま背を弓なりに反らしあげ、白い歯を見せると「い‥く‥」と小さく呻き、部下であり年下のまだ少年と言える菊丸隊員にしがみついてもう一度全身を震わせる。
「あ、あっ、慶子だめっ、また‥、また言っちゃうっ! い、いくっ、いっちゃうぅっ!」
 狭い車内ですさまじい悲鳴を上げる防衛隊機動部隊長。

 デカシリ星人の狡猾な精神支配は防衛隊エリート中のエリートたる桂木慶子をすら欺き、恥ずかしい台詞を口にさせる恐ろしさを防衛隊も更ながらに思い知っていた。
『明智隊員。桂木隊長はどうやらキミの言う様にデカシリ星人の精神支配を受けているのは間違いないようだ。そうでなければ聡明な桂木隊長が部下からの定期操作確認にそこまで我を忘れるなどありえん』
 定時連絡にて隊長の様子を報告義務により、、上層部へと回線を開きパトロール用車両に搭載されているカメラによって今も逐次桂木隊長の様子を流しては指示を仰いでいるのである。
「ぼくもそう思います。とにかくデカシリ星人には弱点である寄生部位への刺激が一番ですから、このまま装置を使って隊長を正気に戻そうと思うのですが」
『了解した。我々もこのまま観測を続ける。デカシリ星人の支配がなくなるまで続けて欲しい』
「はい、必ず隊長を救います」
 上層部からも桂木隊長という稀有な人材をむざむざと寄生型宇宙人の好きにさせるつもりはないようで、一隊員である菊丸にすべての権限を委ねる裁量まで見せる寛容さだ。
「隊長、聞きましたか。上層部もデカシリ星人をこのままの状態にはしておけないと言っています。とにかく落ち着くまでは装置を使い続けましょう!」
「い、いやよっ、もういやっ! こ、こんなっ、もう許してっ、わたしにデカシリ星人なんて寄生してないって言ってるじゃないっ!」
「それを判断するのは上の人たちですよ。寄生されてる間は自覚が無いって知ってるでしょ。さ、続けますよん♪」
「あ、あっ、やっ、やめっ、動かさないでっ‥、あ、あっ、く、狂っちゃうっ、慶子、狂っちゃううぅっ!」
 美貌を屈辱に歪め泣きじゃくる女隊長。
 上層部にその映像が送られていると知っても、止めることも出来ないのが悔してならない。
 いくら寄生型宇宙人のデータが欲しいからと言ってこれではモルモットではないか。
 しかしいくら悔しく、情けなく思っても装置によって送られる刺激に堪えることも出来ず、部下に跨って恋人のようにしがみついて泣き喚いてしまうのを止められない。
「隊長、我慢するんです。デカシリ星人からの指示を無視出来るまで我慢できれば今日の定期動作確認は終わりなんですから」
「だ、だったら装置を止めてッ! こ、こんなことされて我慢なんか‥っ、あ、あ、あ~~~~~~~~~~~っ!」
 そうやって部下への戒めを口にしかけていた桂木隊長だったが、繊毛が女の急所を捉え、ゴシゴシとまるで洗うかのような動きに部下の膝上で仰け反り車内を揺らすほどの悲鳴を上げてしまう。
「だから装置を止めたら意味ないでしょ。ほらほら鬼隊長とまで言われた根性を見せてください」
「あっ、あ、あっ! や、やめっ、お願い、これ、だめっ、くるっちゃうっ、わたしほんとにおかしくなっちゃうっ!」
「でへ、これはぼくがプログラミングした隊長用の特別防止用の動きですからね。どうですか、効いてますか?」
「っ、こんなときばっかり本気を‥っ、あ、ぅっ、あっ! ひ、いっ、いやっ、、ゴシゴシしないでっ、そ、そこはっ、あ、あ、あっ!」
「効いてるんですかって聞いてるでしょ?」
 質問に答えようともせず、それどころか普段の勤務態度をあげつらわれてムッとした菊丸がさらに複雑な動作を繊毛に与えてやると桂木隊長は白目を剥いて美貌を打ち振るのである。
「ひっ、い、いぃっ~~~っ! だめっ、だめぇっ! も、もう死んじゃうっ、慶子、死んじゃうっ」
「地獄の訓練を耐えた隊長がこんなくらいじゃ死にはしませんってば。そんなに辛いならぼくにしがみついていいですから」
「あ、あぁんっ、き、菊丸っ、きくまるうぅっ!」
 あまりの辛さに部下の言いなりに身体中で菊丸へとしがみついてしまう。そうでもなければ繊毛の起こす刺激に本当に気が狂ってしまいそうなのだ。
 部下の膝上でたくましいヒップが悩ましく揺れ動くたび車内がサスペンションでも振動を殺しきれずに軋みを上げ、桂木隊長がいかに装置に追い込まれてゆくのかを示すのに菊丸としてはなんとも言えない気分になる。
(桂木隊長がこんなになるなんて。大隊長に推薦されてるって噂だけどこれじゃどうなることやら)
 ただでさえ防衛隊員が宇宙人に寄生されたという記録はエリートである隊長の経歴に傷をつけているだろう。それでも温情が与えられているのはその実力がずば抜けているからだが、これでは指揮管理能力に疑いを持たれるのも時間の問題だ。
 なにせ問題ばかりの駄目隊員である自分を相手にしがみついて、お尻を振って泣き喚いているのを今も上層部に診断され記録されているのだから。
 そも隊長が定期動作確認中にデカシリ星人に精神支配されてしまったのが一番の問題だから同情も出来ないのだが。
「さ、隊長。あと20分我慢できれば終わりです。頑張ってください」
「っ、に、20分ですって‥?! そ、そんなの無理よっ、我慢できるわけ‥っ」
「隊長なら耐えられます! それともいつまでもデカシリ星人の言いなりになるつもりですか!」
「くっ、わ、わかったわよっ、あと20分、耐えてみせるわっ、見てなさい、菊丸隊員っ!」
 コアラのように部下にしがみつきながら凄んで見せる上司に思わず吹き出しそうになる菊丸だ。
 とはいえ、デカシリ星人の脅威を見過ごすわけにもいかない。
 防衛隊の科学の粋とまではいかないが、小粋な小道具寄生防止装置の発案者として20分しっかり操作してみせましょうとせせら笑うのである。

「あっ、あ、あ、あ! い、嫌々っ、もう、いやっ! き、菊丸ッ、お願いっ、もう許してっ」
「隊長、なに言ってるんですか、我慢するんでしょ?」
「だ、だって、こんなの‥っ、あ、あ、やめてっ、お、お尻まで装置を使わないでっ!」
「デカシリ星人の本当の弱点はそっちなんですから動かさないわけにはいきませんよ」
「いやぁっ、お、お尻っ、ぁっ、んっ、ゴリゴリ‥させないでっ、ひ、い、っ、い、ぃ~~~~~~~~~っ!」
 部下にしがみつきながら90センチのヒップがガクガクと上下に揺れ、絡みついた長い両脚の先で足首交差し爪先がキュウッと閉じ合わされる。と思えば、背を反り返して。
「あっ、今度は、ま、前が‥っ、やっ、あ、ぁンっ! そ、そこを擦っちゃ、あ、あ~~~~~っ!」
 前後同時に装置を使って刺激を与えられ、鬼隊長とまで言われ強靭な精神力をもって部隊を指揮する桂木慶子もひとたまりもなく凄まじい悲鳴を上げて泣き喚く。
 それにしても地球防衛の象徴である堅苦しい支給制服も、汗に張り付き桂木隊長の肌を透けて見えさせ、短めのタイトスカートは腰にまでたくし上げられお尻の谷間を通るだけの拘束帯のせいで剥き出しのヒップと相まっていまはとてつもなく淫靡なものと映る。
 ましてそれが普段は規律正しき機動部隊長の衣装とあらば、いやらしさも増すばかり。
 事実、上層部に送られる映像は寄生型宇宙人の浸食を阻止するための必死の行動というより、ほとんど部下に躾けられモルモットにされているようにしか見えないほどだ。
 先ほど菊丸の懸念もどうやらそう遠いものではなく、人事部にはすでに第一機動部隊隊長桂木慶子の査定表に管理能力、忍耐力等に問題ありとして各部署へと更新され続けている。
 そして今も。
「あっ、あ、あ。き、菊丸ッ!」
「どうしましたか、隊長」
「も、もうだめっ! が、我慢できないのよっ、ねえ、あと何分なの?!」
「ええと。あと‥13分ですね」
「う、嘘よっ! そんはずないわ?!」
「嘘って言われても、ほら」
 狼狽する桂木隊長へ支給されている腕時計は几帳面にもストップウォッチへ機能させてデジタルの数字が07:42:30と表示されているのが示されているのだ。
「あと13分程度、隊長なら平気ですよね♪」
「む、無理よっ、あ、あぁんっ、あと13分もなんて、ほんとにおかしくなっちゃうわっ!」
「大丈夫ですってば」
 嫌々と首を振り続ける隊長を落ち着かせるように、菊丸は優しく頭を撫でながら「頑張りましょう。上の人たちだって見てるんですよ?」と励ますのである。
「い、いやぁんっ、もういやよっ! 菊丸っ、菊丸うぅっ!」
 さっき言われたようにまたも部下に必死にしがみつき、襲ってくる感覚から少しでも逃れようと年下の部下の頬に上気した頬をすり寄せて甘えるように泣きじゃくるのである。
 これを見た人事部から依存度に問題ありと記され、また桂木慶子隊長の人事考課が更新されていることに、果たして気付いているのかどうか。
 一方で菊丸の評価と言えば、寄生型宇宙人を発見、攻略した洞察力、その対処法に装置開発に対する提案。また隊長に対し有効なプログラム開発とそれなりの評価を得ているのだから、面白い。
 自身の評価を示すように、菊丸がまたも装置を操りしがみつく桂木隊長から生々しくも激しい叫びを引き出し、車内に汗を撒き散らさせてやるのだった。
「ああっん、あ、やっ、あ、だ‥めっ、もうだめっ、だめえっ!」
 顔を真っ赤にし、もうそれしか言えないように「駄目っ、駄目」とうわ言のように繰り返し、固定用の突起に責められる尻を部下の膝上で振り振りついには菊丸の肩を白い歯をむき出して噛みつくのだ。
「あいたっ」
 思わず声を上げ顔をしかめる菊丸にも気づかず、フゥフゥと荒く息を吐き、四肢を部下に絡ませて肩を噛み続ける慶子を可愛らしく思いつつも、防衛隊員の身体を傷つける行為にお仕置きをしなければ、と再び慶子用特別プログラムを走らせ拘束帯がヴヴヴッとおぞましい音を響かせる。
「ひ‥っ、い、いぃ~~~~~~~~~~~~~っ!」
 またも繊毛が蠢き、女の急所を捉えて根元をキュウッと搾り上げたかと思えば、ブラシ状のそれに包まれてゴシゴシと擦り上げてくるのだから堪らない。
 そうして仰け反れば、また固定用の突起がズンッと勢いをつけ菊の蕾を貫いては伸縮し、表面に穿たれた返しが問答無用に女隊長に未知の刺激を与えるのである。
「‥‥っ、い、やぁっ! ゆ、許してっ、お願いっ、ゴシゴシも、ズンズンもいやぁっ、狂っちゃう、おかしくなるぅっ」
 膝上で愛らしく泣きじゃくる隊長に「よしよし」と優しく頭を撫でて慰めながら、菊丸は心を鬼にして国民の税金で成り立つ防衛隊の隊員に傷をつけてしまった上司へのお仕置きを続けるしかないのだ。
「許してあげたいですけど隊長を救うにはこれしかないんです。頑張って耐えてください。それじゃあもう一度、ゴシゴシ、ズンズンしちゃいますね~~♪」
「ぅあっ、あっ! いやっ、いやっ、ゴシゴシ、ズンズン‥ッ、助けてっ、だ、誰かッ、こ、このままじゃ、わたしいっ!」
「どうなっちゃうんですかあ?」
「だ、だめになっちゃうっ、慶子だめになっちゃう!」
「どう駄目になっちゃうんですか、隊長?」
「わかんないっ、どうなっちゃうのか、もうわからないわっ! 菊丸っ、慶子、どうなっちゃうの? このままじゃほんとにどうかなっちゃうっ、気が狂っちゃうぅっ!」
 頬を摺り寄せ、部下からの問いかけにまともに答えることも出来ず、それこそ狂ったように泣き喚いてしまう。もう本当に頭がどうかしそうなのだ。
 お尻も、大事なところも部下の作った装置のせいで熱く疼いて溶け崩れそうで、その感覚に頭の中をぐちゃぐちゃにされる。
 防衛隊のエリートである自分が出せない答えを部下である菊丸に求めてしまう。
「寄生型の宇宙人はそうした乱れた脳波が苦手なんです。だから隊長はもっと乱れていいんですよ? ぼくが隊長を助けてあげます♪」
「あぁんっ、本当なの? 慶子を助けてくれるの、菊丸くんっ?!」
「もちろんですよん。いつだって隊長のこと助けてあげます。悪い宇宙人が寄生しないように毎日だって装置を使ってあげますから」
「‥き、菊丸っ、菊丸うぅッ!」

 防衛隊情報室。
『ふぅむ、桂木くんには大隊長を打診していたが、どうもこれは‥』
『そうですね、研修時には優秀な成績を出していましたし、実務でも問題はありませんでしたが、これではもし敵性体の捕虜になったときを懸念しますね』
『体力には問題はなさそうですよ、でも』
 上司らの査定に女性オペレーターが笑いを噛み殺し、そんな忠言をするのに上司も苦笑するしかない。
『確かに、体力は問題ないようだな。記録は取っているのだろう? 彼女はこれで何回目かな』
『ええと、本日の明智隊員とのパトロールからですと、深度100のものが28。中度35。軽度のものになりますと82となっています』
 女性オペレーターの努めて冷静な、しかし女性故の冷酷さで報告に思わず情報統合室内の空気が凍り付く。
『‥なるほど。それはまた』
『これは今日だけで200は軽く超えそうですね。いやはやこれは男性隊員が泣きますよ』
 年配の上司は軽く引き気味に。
 それよりは多少年若い上司の方は桂木隊長の男性人気を知っているのだろう、苦笑を浮かべて記録映像の閲覧許可への機密度を下げ、一般隊員にも自由に閲覧できるよう裁可を求めた。それに許可を与えながら。
『この際だ。寄生型宇宙人の耐久力も兼ねてもらうとして明智隊員には頑張ってもらうとしよう』
『喜ぶと思いますよ、明智隊員。桂木隊長にだいぶご執心でしたし』
『ふむ。装置の褒美もかねて桂木隊長に関しては彼に一任し命令体系を変更。宿舎も寄生型宇宙人の件が片付くまでは同室という事にしておきたまえ。もちろん記録は常時情報部に流すよう指示を与えるのを忘れないように』
『了解しました。本日中に処理しておきます』
『急ぎたまえよ? どうもこれは桂木くんももう限界のようだしな』
 問答の間にも時間は進み、残り3分というところで、スピーカーから女隊長の切羽詰まった悲鳴が響き渡った。

「あっ、あ、あっ! だめっ、だめえっ! き、菊丸っ、菊丸くんっ! もう慶子、我慢できないっ! あ、あ、あ~~~~~~~~っ!」
 部下の頭を抱え込み、鬼隊長と異名を取る機動部隊長が朱唇をいっぱいに開いて泣き叫んでいた。
 半狂乱の慶子に対し、こちらは余裕たっぷりの菊丸だ。
 まさかこの瞬間、実際の部隊内での上下関係も一変されているとは知らず、装置を使ってこの愛らしい上司を今だけでも自分の好きにしようと精一杯に可愛がってやるのである。
「はいはい。我慢できないんですね」
「もうだめっ、もうだめなのっ、菊丸うっ」
「あと3分ですけど、いいんですね?」
「っ、い、いいからっ、もう無理なのよッ、くるっちゃうっ!」
「しょうがないなあ♪」
 ツマミにボタンを同時に器用に扱い、隊長用の特別プログラムの四つ目を走らせてやって、我慢の限界を迎えた桂木慶子隊長を優しく導いてやるのだった。
「い、い‥きますっ、慶子、もう言っちゃうぅっ!」
「デカシリ星人が出ていくんですね?」
 部下からの訂正を受け、一瞬女隊長は部下を睨みつけるが、それもすぐに舌っ足らずの悲鳴に変えられ、白い喉を見せて泣き喚く。
「そ、そうよっ、‥デカシリ星人よ。あ、あぁん、菊丸くんっ、菊丸くんっ! 慶子、い‥くっ、いくうぅっ」
 もうデカシリ星人に言わされているのか、菊丸に言わされているのか。自分でもわからなくなっている。
「っ、あ、あ、あ~~~~~~~~~~~~~~~~っ!」
 ヒップを揺すりたて、両手両足で年下部下にしがみつき背中に爪を立て、絡んだ足首の先で爪先が何度も閉じては開くのである。

「可愛いですよん、隊長」
「あ、だ、だめっ、菊丸隊員‥っ、菊ま‥るぅンっ、うぅんっ!」
 二人だけの車内にギシギシッとサスペンションでも吸収しきれない摩擦音が鳴るのに合わせて、いつの間にか機動部隊隊長とその部隊内の隊員は唇を合わせている。
(あ、あぁン、ど、どうして菊丸隊員とキスなんて‥)
 自分の意志に依らず年下の隊員に唇を許している現実が信じられなかった。
 もしかして本当に自分にはまだデカシリ星人が寄生したままなのだろうか。
 ギュッと抱きしめられ、不遜にも上司である桂木隊長をまるで自分の女のように扱い、固く閉じ合わさっていた歯を割って舌をねじ込ませてくるのに、つい舌を絡めあうのを許してしまう。
(あ、いやっ、動作確認のはずなのに、こんなことまでするなんて)
 舌を根元から吸い上げられ、唾液が混ざり合い喉奥まで流し込まれる。不快さに眉を顰めるが、拘束帯の繊毛と固定用の突起がその不快さを和らげるようにゆっくりと動くのに鼻先から「んっ、うぅっン」とくぐもった息が漏れてしまう。
(だめぇ、とけてきちゃう‥、き、菊丸隊員‥、部下なのに、あ、あン、菊丸く‥ん
 持ち前の正義感が恋愛にうつつを抜かすより、地球を守る使命を優先させてきた慶子である。
 理性では防衛隊隊長として部下である菊丸隊員と唇を交わし合うことを否定するのだが、装置を使われ何度も恥を晒してしまった相手にどうしても強く出ることができない。
 なにより恋人同士のようなキスに、自分でも信じられないほど頭の芯が溶けてしまうのだ。
 菊丸も心得たもので年上女上司の初心な反応に装置を巧みに使って気を散らしつつ、念入りに舌を絡ませては女の作法を覚え込ませ、時折顔を離しては「隊長、もっと舌を吸うんです」「そうそう。上手ですよ?」「唾、美味しいですか?」などと耳に囁き。
「あ、あぁん、菊丸くん、だめぇ。わたしはあなたの上司なのよ‥」
「いまは上司も部下もないでしょ。それともキス嫌ですか?」
「そ、そうじゃなくて、こ、恋人でもないのに、あ、ぁっ、んぅっ」
「でへ。恋人じゃなくてもキスくらいしますよ。さ、もう一度」
「あ、あ‥っん、むっ、ぅ‥んんっ!」
 そうやって何度も繰り返し唇を交わし合い、満足に男と付き合ったこともない鬼隊長は愛し愛される関係ではなくともキスをすることもあるのだと、躾けられていってしまう。
(ああ‥ん、菊丸隊員なんて好きじゃないのに、これが女の義務なの?)
 そうして何度も何度も舌を吸われ、お互いの唾液を交換し合ううちにまた女隊長の身体がブルっと小さく震え。
「んんっ、うっ、むっ、ぅう‥んぅっ‥
 もう一度きつく部下にしがみつき、うっとりと瞼を閉じて全てを受け入れてしまうのだった。

 そしてまた。
『同室はやりすぎかとも思ったが‥』
『どうも相性は問題ないようですね。まさか唇まで許すとは思いませんでした』
『幸せそうですし、いいんじゃないですか。あ、室長。第一機動部隊隊長桂木慶子及び同隊員明智菊丸に関する人事変更及び宿舎変更の手続き終了しました』
 車内の様子を情報室内の全員が呆れ返って眺めているところに優秀なオペレーターから煩雑な処理手続きの終了が告げられる。
『うむ。明智隊員には寄生型宇宙人侵略行為を未然に防いだ功として一週間の休暇。桂木隊長には寄生後の身体的ダメージを考慮し同じく一週間の養正を与える旨、パトロールから戻り次第二人に伝えたまえ。なお休暇中にも菊丸隊員には桂木隊長への命令権は変わらず与え、防衛隊内の施設を自由に使う許可も与えておけ』
『室長も意地が悪いですねえ。明智隊員に桂木くんを一週間預けるなんて。彼女気が狂っちゃうんじゃないですか?』
『なに、あれだけの体力自慢だ。たかだか一週間かそこら責められた程度で音は上げんだろう。それに防衛隊員には精神負荷がすさまじいものがある。二人の記録がいい慰めになるかもしれん』
『じつは今回の記録、もう閲覧数が千を超えてるんですよ、室長』
 ネットワークに情報を流して数分でこれである。桂木隊長の人気ぶりがうかがえようというものだ。
『体力は本当に心配いらないみたいですよ?』
 と、またも優秀なオペレーターからのご注進である。
 モニターを見れば再び明智隊員が上司たる桂木隊長から装置を使って熱心に寄生浸食を阻止しようと頑張り始めていた。
 初めのうちこそ「嫌っ、やめてっ」「ほんとに死んじゃうっ」と泣きじゃくっていた桂木隊長も、いつの間にやら聞いている方が恥ずかしくなりそうな鳴き声を上げ、モニターいっぱいにたくましいヒップを突き出し見せつけるようにして上下運動を行っているのだから、大したものと感服するしかない。
 しかもさっそくというべきか。情報室でも聞きなれた鳴き声を発して部下の名前を甘え泣き、またぞろ嫌だの駄目だのと言いつつ、ものの数分で「いくぅ」である。
『‥これで何回目よ? 情けないったらないわね』
 同性として耐え難いのか冷え切った視線を向け、鬼隊長と異名をとった恥知らずに思わず心の声が漏れてしまうのも仕方のないところか。
 それにしてもさすがは大隊長候補。
 装置の活躍に合わせて、再び始まった強制連続絶頂で送られてくる数値は深度36。中度47。軽度101と体力の限界と誰もが思っていたのに再度の更新である。
 室長の言う通り、一週間程度昼夜別なく可愛がられたところで応える体力は十分にありそうだ。そうこうしているうちに深度37と数値が変わりスピーカーから「あっ、あ、あーっ!」とひっきりなしに舌っ足らずの悲鳴が響き渡る。
「あ、あん、こんなっ! 慶子、もうだめっ、身体が言うこと聞いてくれないっ」
「でへ、ぼくの言うことだけ聞いてればいいんですよ? 可愛い桂木隊長♪」
「あぁあン、菊丸隊員、いや、いやよ‥っ」
 耳元に囁かれてしがみついた身体がブルっと震え、モニターに表示される数値がまた変化する。どうやら部下からの甘い囁きだけで軽く達してしまったようだ。
 そうこうするうちに「んっ、ん、ぁ、は‥っ、ぅむっ、ん」と上司と部下とで唇を貪り合い、部下の背に回した女隊長の手がきつくシャツを掴み、ブルブルと小刻みに震え続け。
 耐えきれなくなったように唇を振りほどき「あっあ、あ、ま、またっ」と真珠の歯並びを見せて泣きじゃくった。
「またですか? これで何回目ですかねえ♪」
「ああん、わ、わからないわっ、慶子、もうなにもわからないっ」
『これで本気のが40回目ですよ、桂木隊長』
「あ、あっ、慶子、い‥く、イッちゃう、イクうぅ‥ッ!」
 モニターに表示される数値が深度40を示すのをオペレーターが冷静に合いの手を入れると同時、防衛隊機動部隊長の泣きじゃくる声が響き情報室に失笑が包まれる。

(‥わたしの体、どうなっちゃったの? あれだけの訓練にも耐えたのに、菊丸くんに逆らえない。こんなに簡単にイッちゃう身体にされて、これからどうなっちゃうの‥、あぁん、菊丸くん、慶子のことどうするつもりなのよぉっ
 情報室で恥を晒す自分を笑われていると知らず、慶子は42回目の深度をモニター画面に提示し菊丸にしがみつきながらとうとう気を失ってしまう。
 気丈な鬼隊長の嫌悪する、人を無理やりに支配下に置こうという行為に屈するどころか甘い期待すら抱きながら。
 まさかパトロールから戻って受ける辞令が、本当に菊丸に逆らえない立場になるとは思いもしないだろう。
 もとより明智隊員も女性隊員からずいぶんと苦情の多い相手だから寄生宇宙人がいつ離れるかはわからないが、少なくとも休暇中の一週間はずいぶんと楽しませてもらえるはず。
『おちこぼれの問題隊員と将来を約束されていたエリート隊長ですか。わからないものですね』
『いつも気を張っていたようだからね。ああして可愛がってもらうのは初めてなのだろう。ふふ、ずいぶん感じやすいようだしハマってしまうのではないかな?』
「もうだいぶハマってるみたいですけど。いいんですか、本当に。彼女、あのままだと明智隊員のペットになっちゃうんじゃないですか?」
『君はそう思うのかね?』
「あれを見てたら誰だってそう思いますよ。送信されてるのに部下に抱き着いて。ほら、アレ。座席まで濡らしちゃって‥あ、また」
 防止装置を着けられた女の聖域からモニター越しにもわかるほど蜜が垂れ落ち、公用車の座席に水溜まりを作っていた。
 そしてこちらに見せつけるように腰を跳ね上げると、とうとう鬼隊長は潮まで噴いて座席をさらに濡らし「き、きくまるっ、きくまるうっ」などと甘え泣いている。
 画面に表示される数値を見れば深度51といつの間にか50回以上の記録を示しているのであった。
「ほんと情けないったら。ペットどころか菊丸のモルモットね」
 吐き捨てるように言いながら、記録映像を防衛隊内の共用閲覧室に更新させてゆく。
 部署こそ違えど防衛隊を代表する部下の情けない姿に上司二人も顔を見合わせ苦笑しつつ、オペレーターとは違い男として少々明智少年を羨ましく思うのであった。

 後日、菊丸休暇の一週間で公開許可された記録映像の閲覧数はまさしく空前絶後の数に上り、鬼隊長の愛らしさが防衛隊内に知れ渡るのである。


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