ハートキャッチいずみちゃん SS_50

「菊丸式ロボット操縦法?! の巻」


こんにちは。わたしたち、今日はいま流行中のロボット格闘大会に来てるんです。

「すごいなあ、こんなに小さいのにリモコンで操縦できるのかー」
 菊丸が感心してしげしげと見入っているのは、指の先に乗せられるほど小さなロボットだ。
起き上がりこぼしのような形状で足はなく、コマのように回転しながら移動し、腕と呼べるものも本体から伸縮する形の一本しかない人型とは言い難いが、リモコンでの操作によって子供たちの間で対人戦のような遊びが流行っているのだった。
 リモコンも普通のラジコンカーのようなプロポではなく手のひらに収まる小ささの円盤を握ったり、回転させたりすることで腕を伸ばしたり、本体を移動させたりだ。
 仕組みは単純。有線では昔から似たような玩具は出てはいるが、ここまで小型化したことで学校にも持ち歩けるというのが人気の秘密になっている。学校側からすれば悩みの種になっているが、これもまたこうした玩具の歴史というものだろう。
「菊丸くんも男の子ねー」
「ふふ、かーわいい」
「日本ノテクノロジー素晴ラシイデース!」
 じつはこの玩具。いずみの父親の勤める会社の製品で、そのことを耳にした菊丸が主催の大会を見学したいと言い出しての参加であった。
 女性陣は菊丸の無邪気さを笑っているが、実際大会出場者は子供たちばかりでなく大きなお友達の数も相当数がいて、海外からも参加しているのだから、なかなかの盛況ぶりだろう。

 と、そんな強豪が参加する大会に昨日今日かじったばかりの菊丸が活躍できるはずもなく、本選どころか予選敗退を決めてきたのも無理からぬところではあろう。
「残念だったわねー、菊丸くん」
「まさかあんなふざけた奴に負けるなんて‥」
「ノー! 菊丸無理ナイデース。デビルフィッシュ、凶悪デス!」
「‥ああ、タコって海外だと悪魔だとかなんだとか」
 いささかとんちんかんではあるが、いずみたちからの励ましに菊丸も敗北の悔しさは忘れたようで、それよりもいまは三人娘の格好に気持ちが奪われている。
 タンクトップは大きく胸元が開き、下乳は丸見え。いずみたちのくびれもあでやかな腹部から鼠径部のギリギリまでを露出したローレグミニスカートに何を考えているのかお辞儀をしただけで見えそうなスカートの裾から菊丸が確認すればマイクロビキニ仕様のTバックという念の入れようである。
「いやあ、コンパニオンの衣装、似合ってますなあ♪」
「ど、どこ見てるのよっ! このっ!」
 同級生の遠慮のない視線を感じてさっと胸元やスカートの裾を抑えるいずみ、対照的に千春やリンダはあっけらかんと「えへへ、可愛いでしょー」「菊丸ヲ悩殺デース」などとポーズを取ってご満悦だ。

 そう、今回の大会はいずみの父親の会社が主催である。
 そこで父親からどうしても、と頼まれてコンパニオン役に扮することになったのではあるが、前述のように大きなお友達も参加することもあってコンパニオン衣装も子供向けよりも、金払いのいいお得意様向けの目のやり場に困る代物であったのだ。二重の意味でいやらしい話であった。
 というよりいくら会社のためとはいえ娘にさせる格好ではないだろう。ばつが悪いのかいずみ父も会場に来てはいるのだが三人娘とあえて距離を取っているのは菊丸にとっては好都合である。
(ふっふっふ、大会は残念だったが、いずみちゃんたちのコンパニオン役は予想外の収穫ですぞう♪)
 過激なコンパニオン衣装に童心から一気にスケベ心に火が点いた菊丸が密かに含み笑いを漏らすのだった。

「おつかれー、リンダ」
「オウ、菊丸。コンパニオン、意外ト疲レマス。ノド乾キマシタ」
 コンパニオンとして会場を案内していたリンダが休憩室に戻ってきたのを出迎えたのは菊丸だ。いずみもリンダもまだ会場でコンパニオン役の最中である。
「あ、それなら飲み物取ってくるよ」
「サンキュー、菊丸」
 椅子を用意して甲斐甲斐しくも休憩室備え付けのサーバーからジュースを取りに戻った菊丸に、ヤハリ大和男児、優シイデスと一人ごちるヤンキー娘は果たして菊丸がどう見えているのか。
「お待たせー、リンダ‥、っと、わ、わあああああっ!」
「? 菊丸?! キャ、キャアアアアアアッ!」
 同級生の絶叫に振り返ってみれば、菊丸がジュースを持ったまま盛大に転んでコップの中身がこちらに向かってくるところだった。もちろん避けることも叶わず、コンパニオン衣装はずぶ濡れとなってしまう。
「オー。衣装ガビショ濡レニナッテシマイマシタ」
「た、大変だ、いますぐ乾かさないと!」
「デモ、ドライヤーモナイノニ、ドウヤッテ‥」
 異国の少女の最もな疑問に、しかし菊丸は慌てもせず、いつものように自信たっぷりに「だいじょうぶ、ぼくにまかせて!」と片眼を瞑るのだった。

「服を乾かすには温めればいい。しかしリンダの言う通り、ドライヤーもない‥」
「ソノトオリデース」
「ならば代わりに熱を発するものがあればいいのさ!」
「熱‥デスカ?」
 菊丸の謎かけのような物言いに、まだ菊丸の思考回路を理解するに至ってはいない異国の少女は首を傾げる。
「ふっふっふ、つまり、こういうことさ!」
「エ? ナンデスカッ、キャアアアアッ!」
 リンダの疑問を解消するため、菊丸は己が答えを行動をもって披露する。
 叫ぶと同時、留学生の同級生を抱き寄せ、コンパニオン衣装の上からリンダの平均高校生のサイズを超える美巨乳をわし掴み、揉み始たのだ。
「ナ、ナニスルデスカ~~~?!」
「これぞ菊丸流速乾術、光輝指動さ!」
 どこかで聞いたような技名を口にしながらも、なおその指使いは動きを止めずまさに光り輝く高速の指の動きを見せつけてゆく。
「ア、アァン!」
「ふっふ、どうだい、リンダ。だんだん体が熱くなってきただろう?」
「オウ、ソウイエバ‥。菊丸ニ胸ヲ揉マレルト体ガ火照ッテキマス」
「こうすればわざわざ服を脱がなくても衣装も乾き、リンダも濡れた体を温められるって寸法さ!」
「! サスガ菊丸、ナンテイウインスピレーション! ア‥ッ、アアッ‥ン」
 東洋的神秘の発想に合理的大国主義に染まったヤンキーギャルは改めて日本人の素晴らしさをその身で体感し、感激するのである。
 一方の菊丸も遠い異国からやってきた白人娘を失望させてはいけないと、その圧倒的な質量に戦慄しつつも戦いは質なのだよ! と口中呟き、五本の指を器用に使って膨らみを根元から絞るようにしたかと思えば、絞った先でフルフルと震える蕾を優しく撫でるように指先で転がし。
「アッ、ウ‥ゥ、ン!」
 かと思えばまだ尖りかけのそこを無理やり摘み上げ、キュウっと捩じり上げ。
「ノ、ノーッ! ソ、ソンナノ駄目ッ、ア、アーッ!」
 金髪を振り乱し、流麗な眉を苦痛に寄せ、しかしどこか甘さを感じさせる悲鳴を上げて仰け反るのを支えてやりながら、コンパニオン衣装越しにしつこくコリコリと爪先で蕾の先っちょを刺激し続ける。
「ダ、ダメ‥ッ、菊丸ッ、ソレ、ダメエッ!」
 普段は陽気なヤンキー娘からは想像もできない切羽詰まった表情を見せ訴える様に生唾を飲み込みつつ、当然それをやめる気など微塵もない菊丸。
「これも衣装を乾かすため。頑張るんだ、リンダ!」
「日本人ノ忍耐力、スゴスギマースッ! ウッ、ク‥、ワタシ‥ッ、ア、アアンッ!」
 菊丸からの励ましも大和魂を持たぬコーカソイドには届かず、白い喉を見せて服の上からでもわかるほど硬く尖り切った勃起乳首を捻り潰される刺激に、ブルブルっと全身を震わせ仰け反るのだ。
(でへ。リンダもずいぶん成長しましたなあ♪)
 摘まんだ指先にコリコリと感じる勃起の感触を堪能しながら、出会った頃より格段に鋭くなった感受性に自身の仕事の確かさを認めて笑いがこぼれる。
 こうして勃起乳首を苛めてやると、ややもすると大雑把なヤンキー娘が愛らしく泣きじゃくるのだから堪らない。
 もちろん菊丸の仕事はそれだけではない。
 きっちりと我慢の大切さを教えるべく、今もまだ躾は続いているのである。
「日本人の心を理解するためにも頑張るんだ、リンダ。千春ちゃんたちに負けてもいいのか!」
 と、犬猿の仲であり親友でもある不可思議な関係の友人を持ち出し、リンダの負けん気を刺激すると。
「‥‥ッ、チ、千春ニハ負ケタクアリマセーン! タ、耐エテミセ‥ッ、ウッ、ゥウンッ!」
 案の定、リンダは唇を噛んで挫けそうになる己を必死に鼓舞するのであった。
「よーし、その調子だ! それじゃもうちょっと強くするよ~ん」
「エ?! キ、菊丸ッ、ナニヲ言ッテ‥、ァ、アッ、ヒイイィッ!」
 宣言通り、まるで本気を出していなかった菊丸の乾燥術、光輝指動が激しさを増し、リンダの二つの膨らみを裾野から揉みあげながら先端のピーンと硬く尖った勃起をまるで別の生き物のようにコリコリと爪先で刺激したかと思えば、指の腹で捩じり潰し、今度は勃起を上下に扱き上げる神技を披露する。
「ウッ、ア、アッ! ノ、ノォーッ!? ダメッ、ダメェッ! ソレ、ダメデスッ! ク、狂ッチャウウッ!」
 菊丸に背中を預け、ピーンと全身を突っ張らせて休憩室中に響く悲鳴を上げるリンダ。
 白い肌は上気し、菊丸の動きに呼応して身震いするたび、びっしりと浮き出た汗を飛び散らせては高校生とは思えない悩ましく、凄まじい色香を放つのだ。
(ぐふふ、可愛いなあ)
アメリカからやってきた少女がこの小さな島国で教わる礼儀作法を前に、すっかり大人の女性として振る舞う姿に頬を緩ませ、機嫌よく勃起を苛めぬく菊丸。
堪ったものではないのはリンダである。
いまだ細やかな日本人の気配りを知らぬヤンキーギャルにこの洗礼は厳しすぎ、次第に慎ましやかさを忘れて獣のように泣き吠え始めてしまう。
「オ、オウッ! ウ、ウゥッ…ン、ンゥアアアッ! アアーーーッ!」
「リンダ! 千春ちゃんに負けてもいいのかっ!」
「ソ、ソンナコトナイデスッ、ア、ア、デモ、モウダメデスッ! ワタシ、耐エラレマセン‥ッ!」
 菊丸を挟んで不倶戴天の相手を出されても、もう限界寸前の少女に取り繕う余裕もなく、見栄を張らなければならないそもそもの相手を前に「ノーッ、ダメデスッ!」と声を張り上げ泣きじゃくってしまう。
 事実、身体の反応はさっきから瘧にかかったように小刻みに摩擦を続け、もう一人では立っていられないのか全身を菊丸に預け切っている。
(うーむ、しょうがない。ここはいったん休ませて、と)
 このまま追い詰めるのは朝飯前の菊丸だが、どうせならもっと楽しんでからにしたいと必死に耐えようとするヤンキー娘の気持ちなどお構いなしの感情を優先させるのであった。
「‥‥モ、モウ終ワリデスカ、菊丸‥?」
 豊かなバストに這いまわっていた手の動きが止まり、リンダは荒い息を吐きながら菊丸式乾燥術の終了を確認する。が、返事はリンダの期待とは裏腹。
「いや、リンダの体はすっかり温まったおかげでタンクトップの方はだいぶ乾いた。だが!」
「エ? ア‥?! キャアアアアアアアアッ!」
 ピラリと短いスカートを捲られ、見えそうだったローレグビキニパンティが完全に露出させられて美少女から悲鳴が上がる。
「肝心のここが掻いた汗で濡れたままなのさ!」
 言われてみればタンクトップやスカートはリンダから発した熱気にすでに乾き始めていたが、僅かな面積のそこは汗を吸って肌に張り付き、とんでもない状況に陥っていた。
「ソ、ソンナ‥イッタイドウシタライイノ」
「ふっふ、だいじょうぶ、ぼくにまかせて」
 不安な顔を見せる留学生を安心させるため、大和男児たる菊丸はまたも歯をきらめかせいい笑顔で決め台詞を吐くのであった。

「アッ、ア、ア、ア~~~~~~~~~ッ!」
 休憩室にこれまで以上に艶めかしい響きをもった鳴き声が木霊していた。
 椅子に腰かけた菊丸の、その膝上に乗せ上げられたリンダは透けるような白さの太ももをM字に割り開かれ、その中心ではマイクロビキニの純白パンティーが少女の大事な部分に惨いくらいに喰い込まされて前後に擦り付けられているのだ。
 これぞ菊丸流速乾術その奥義、爆熱神戯であった。
 光輝指動が包み込むような指の動きで対象を温めるのに対し、発展技爆熱神戯は一点集中を旨として女の子の急所を覆う下着を利用して摩擦係数を稼ぐ、まさに神業なのである。
「どう、リンダ? 菊間流乾布まさ‥、あ、いや、爆熱神戯の効果は」
「コ、コレ、ダメデスッ! ハ、激シスギテ‥ッ、ア、ヤッ、イヤァア‥ァウァアンッ!」
 その効果のほどを訊かれても答えることすらできず、リンダはひたすら美しい金の髪を乱して美貌を右に左に打ち振って、襲ってくる刺激をやり過ごそうとするばかり。
(そういや、リンダに乾布摩擦って初めてやるんだっけ。そりゃきついよなあ)
 担任教師への必殺技と化している乾布摩擦であるが、その教え子たちや同僚教師たちにもすでに使用している菊丸からするとリンダの拒絶反応は当然といえば当然のものともいえる。
(とはいえ何事も最初が肝心だって言うしね。リンダにはもう少し頑張ってもらいましょ♪)
 だからといって止めるわけではないのだが。
 膝上に乗せ上げた可愛らしい留学生が泣き喚くのを心を鬼にして汗を吸い重くなった薄布を指にかけ、さらなる熱を発生させようと神速の動きをもって大和撫子の神髄を教え込むのだった。
「キ、キクマルッ、ソレヤメッ、ホントニオカシクナッチャウウウゥッ!」
「でへ。これもパンティーを乾かすため。我慢するんだ、リンダ」
「ダ、ダッテ、コ、コンナノッ、アッ‥ヤッ、イヤアッ!」
菊丸からの指示も受け付けられないほど、襲ってくる刺激は強く、リンダはひたすら嫌々を繰り返すばかりだ。
それでも必死に奥歯を噛んで堪えようとするのは健気と言うべきか。
が、その健気さも熱気を生むための一擦りにさえ敵わない。
「ヒッ‥イッ、イイィーーーーッ!」
M字に開かされた両足がピン、と突っ張りガクンっと腰がいやらしく前へと突き出され、同級生の膝上でヤンキー娘は凄まじい悲鳴を上げて泣きじゃくりだした。
薄布は狙い済ましたように世界共通の女の急所を擦り上げ、ヤスリがけしてきたのだ。
「アアッ、ヤッ、イヤッ、イヤァアッ~~~ッ! ダメエッ、キクマルッ! ワタシ、シ、シンジャウウゥッ!」
「大げさだなあ。千春ちゃんだってこのくらいじゃ死にはしなかったから大丈夫だってば」
嘘ではない。と言っても、千春はこの責めにほとんど気を失いかけていたのだが。
 しかしそんな菊丸から伝えられる事実もなんの慰めにもならなかったらしく、親友兼恋敵である少女をして「チ、千春ノコトデスッ、ドウセ途中デ失神デモシタニ決マッテマースッ!」と真実を見事に見抜いて、また内ももの筋肉を引き攣らせてガクガクと腰を揺らし「ウッ、ゥアッア! アーッ!」と紅く塗られた唇を開いて白い歯並びを見せながら想い人に背中を預けた状態で喘ぎ泣くのである。
 リンダも辛いとは思うが、乾燥術を仕掛けている菊丸の苦労も相当だ。
 なにしろ燃えるように熱く火照ったリンダのおかげでタンクトップも、スカートもすっかり乾いてきても肝心のパンティーときたら、乾いた端から染み出る汗を吸ってすぐ汚れてしまって切りがないのだ。
 おまけに正確無比の動きの奥義も、リンダが腰を突き出し前後左右に円を描くように動くために、ぷっくり薄布越しにもわかる大き目の突起をつい、間違って刺激してしまうのだ。
 リンダには申し訳ないとは思うのだが、こう暴れられてはさしもの菊丸も乾燥術の意図しない刺激を与えてしまうのも無理からぬことだろう。
 そうして突起をやすり掛けされたリンダがまた暴れ、菊丸がまたも意図しない突起へ刺激を与えと、悪循環に陥ってリンダをますます狂わせてしまうのであった。
(モ、モウダメエッ、コノママジャ、ホントニオカシクナッテシマイマスッ!)
 いくら奔放なアメリカ娘といえど、さすがに同級生、それも想い人の目の前で恥をかくなどとても堪えられるものではない。
 それだけは、と奥歯をぎりっと軋らせ、全身の力を込めてやり過ごそうとはするのだ。
 だが悲しいかな。そこは慎み深い大和撫子と違うカウガール。
 菊丸の繊細にして大胆な薄布の摩擦攻撃に全身を燃え立たせ、秀でた額に汗を吸った金髪をべったり張り付けたままの悩ましさを隠せもせず、ルージュを曳いた唇からはすぐ「アッア‥」と舌っ足らずな喘ぎを漏らして、M字に開いた両足を宙へ蹴り上げブーツの中でペディキュアを塗った爪先がピーンと伸びたかと思えば丸まり、また広がって。
 誰が見ても敗北寸前のだらしのない姿を晒してしまうのであった。
「リンダ、もうちょっと頑張ってよ。さっきから乾かして乾かしても汗でパンティー濡れちゃって大変なんだよ」
「アアンッ! ソ、ソーリー、キクマルウッ! デモ、モウダメヨッ、ワタシ、ホントニ堪エラレマセンッ! ア、ウァッ、アア~~~~~~~~~~~~~~ッ!」
 菊丸の指摘に恥ずかしさで目鼻立ちのはっきりした美貌を真っ赤に染め上げ、愛らしくも許しを請いつつ、それでも堪えられないのだと必死に訴える。
 もうここが休憩室であることも、いったいなぜこんな乾燥術を使われているのかすら思い出せない曖昧さに意識が霞み、「我慢我慢♪」と励ましているのかからかわれているのかわからない菊丸の口調に悔しさだけが募るのに、言い返す気力もなく、いやらしく腰を振りたくって嫌々と繰り返すだけの自分の情けなさに泣きそうになる。
「ヒッ、イ、イッ‥! キ、キク‥マ、ルゥッ! ダ、ダメッ、ク、クルッチャイマスッ、リンダ、 ダメッ、ア、アアッ!」
 いくら哀願してもやまない乾燥術にとうとうリンダの全身がブルっと摩擦したかと思えば、次の瞬間支える菊丸が必死になるほどの勢いでガクんっと腰を跳ね上げ、朱唇をいっぱいに開き涎まみれの舌を可愛らしく覗かせながら、そこだけは大和撫子の義務と教え込まされ躾けられた言葉を口にしてしまっていた。
「‥‥‥ッ、~~~~~~~~~~~~~~ッ!」
 もはや母国語以上に慣れてしまった屈辱を忘れるように、金の線を悩ましくたわめて眉間に皴を作り、この日本語を教え込ませた相手の名前を呼び叫ぶ。
「アアッ、キ、キクマルッ、キクマルウウウゥッ!!」
 肩に頭を預け、頬を摺り寄せるようにして羞恥を誤魔化す様の愛らしさに、思わず菊丸もごくりと喉を鳴らすほどだ。
(ううむ、リンダもすっごい美少女なんだよね~)
 ついつい調教師としての性が従順な千春やリンダより気丈な女教師やじゃじゃ馬同級生に向かいがちだが、こうして自分に腕を回して頬を寄せ甘える留学生の魅力にちゃんと躾てあげないとなあ。と考えを改め直すのである。
(そうだ、この日本に親元を離れ一人でやってきた少女を立派なレディーに育てて親御さんのもとへ送り返してあげなくては!)
 汗でしっとりと濡れた金の髪を優しく梳いてあげながら、いまだ目元を赤らめ甘く息を吐き続ける異国の少女へと大和男児として決意を固める菊丸なのだった。
「‥ァ、ハァ、ン‥キク、マルゥ‥
 そんな男の決意を感じ取ったのか、リンダが甘く濡れた碧眼を向け、囁くように想い人の名を呼びルージュに輝く唇をそっと重ね合わせてゆく。
「むっ?! う、う‥むうっ、ん、んう‥!」
 いきなりのキスに驚く菊丸だが、それも一瞬、すぐに息を合わせてぽってりとした感触を味わいつつ、真珠の歯並びを割り開いて舌を絡めあう。
 さすが西洋文化のヤンキー娘である。
 最近になってようやく女の義務を理解しだしたじゃじゃ馬娘や腹黒女教師と違い、男女の機微を弁え男へ感謝の気持ちを伝える術を心得ているのだった。
 鼻先から「ウッ、フゥ‥ッ、ンンッゥム‥ゥ」と吐息を漏らしながら、侵入してきた舌を受け入れ情熱的に絡める仕草はさすがの一言。
(さすが本場のキスは情熱的ですなあ)
 教え込んだわけでもなく、こうも素直に唇を合わせてくるリンダに情も移って、菊丸の方もかなり熱を入れて互いの顔の向きを入れ替えながら舌を根こそぎ吸い上げ、歯の裏側まで掃除をするように舌での愛撫を繰り返して唾液を交じり合わせて飲ませてやる。嫌がりもせずこくりと喉を鳴らして嚥下してゆくのだから堪らない。
「ア、アハァ‥ン、ゥ、ムゥッ、ンンッ‥キクマル、キクマルウッ‥
「でへ。可愛いよん、リンダ♪」
 褒められ嬉しいのか、今度はリンダが舌を吸い上げ自身の唾液を飲ませようとするのが可愛くてならない。
(せっかくリンダをレディーにすると誓ったんだし、キスのお礼も兼ねて、と)
 まだ膝上で脚を開いたままのリンダの大事な場所は、もはやほとんど紐と化しているとはいえ、それでもマイクロビキニパンティが喰い込んだままだ。その布切れをまたもグッと掴む。
「‥‥っ エ、キ、キクマルッ?!」
 それに気づき、唇を離して驚きに目を見開き、肩越しに菊丸を見やる。視線が合い、ニンマリと笑みの形を作るのにリンダから「ノ、ノーーーーッ!?」と悲鳴染みた叫びが上がるのだった。

「アッ、ア、ア‥ッ! キ、キクマルッ、モ、モウ許シテクダサーイ! ワタシ、モウダメッ、ホントニ気ガ狂ッチャイマスッ!」
 再び始まった乾燥術に、リンダは息も絶え絶えに許しを請う。
「なに言ってるのさ、リンダ。けっきょくパンティは濡れたままでしょ? 日本人は責任感が強いんだ。きちんと最後までやらないとね」
「ソ、ソンナ‥ッ、ダッテ、コレ乾イテモ、ス、スグ濡レチャイマス‥ッ! アァッン」
「それはリンダの我慢が足りないのさ。桂木先生なんかこの乾燥術で今までパンティを何枚も奇麗にしたんだ」
「カ、桂木ティーチャーガ? 本当デスカ?」
「本当さ。帰るときには新品同様のパンティを穿いて帰ってるんだから聞いてみるといい」
「サ、サスガ大和撫子ノ教師、トンデモナイ我慢強サデス‥」
 自信たっぷりの断言にリンダが感心し桂木先生への評価を改めているが、決して嘘を言っているわけでもない。
 乾燥術と名こそ違えど乾布摩擦を受けての担任教師は校舎を出るころには、真新しい下着を穿いている。それが用意した予備のパンティだと言っていないだけである。
「納得したところで、さ、もうひと頑張りしよう、リンダ」
「アアッン‥! ヤ、ヤッパリダメエデスッ、オネガイ、菊丸ッ!」
 やすり掛けされるような一擦りにリンダの腰が跳ね、朱唇を開くと「オネガイデスッ」と必死の懇願が繰り返される。
 ここで許してしまっては忍耐強さに定評のある大和民族の元に何のために留学してきたのかわからない。
「リンダは日本の文化を学びに来たんでしょ。なら簡単に諦めちゃ駄目じゃないか!」
「ソ、ソンナコト言ッタッテ‥、ホントニキツイノッ、菊丸ッ!」
 透けるように白い肌がほんのりと上気し、全身にねっとりと浮いた汗をパンティが擦り上げられるたび休憩室に撒き散らし。白人特有の臭いのきつさに鼻腔をくすぐられ。ひっきりなしに舌っ足らずに「イヤッ、イヤッ」と泣きじゃくる留学生の愛らしさをたっぷり堪能しながら日本文化を教え込むのである。
「ア、ア、アッ‥! アァアッン、キ、キクマル、キクマルウゥッ!」
 ガクンッと大きく腰を跳ね上げ、またも同級生の名前を泣き叫ぶ。
「もう。しょうがないなあ。それじゃせめて大和撫子として礼儀を示すんだよ、リンダ?」
 つくづく我慢が足りないんだから、と恩着せがましく含めると、リンダは羞恥と悔しさとをないまぜにした、なんとも言えない目つきで菊丸を見上げ。
「アアッン、キクマルッ! リ、リンダ、マタ‥、アンッ! マタ菊丸ニオ世話サレテシマイマスッ! ア、アッ、ダメ、タエラレ‥ナイ‥ッ、キクマルウゥ‥ッ! ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ
 M字に開いた両脚がさらに大きく開き静脈が白い肌に浮き上がって、内ももがピーンと引き攣り強張る。そのまま細い紐状パンティが無残に喰い込む大事な場所を恥ずかしげもなく迫り上げ、無駄な贅肉一つない腹部を波打たせてヤンキーギャルはブルブルっと摩擦し続けるのだった。
(また一つ、リンダに日本文化の素晴らしさを教えてしまった‥)
 己の才能に身震いし、いまだ自身に背中を預けて「ア、ア‥」と可愛い舌を覗かせ喘いでいるリンダと目を合わせる。
「アア、キクマル‥」
 また甘えるように菊丸の名前を呼ぶと、留学生が挨拶のように唇を重ね合わせて日米の文化交流を果たすのである。
 しばらくそうして甘いひと時を楽しむ二人だったが、楽しい時は続かない。

「リンダー、おまた‥せ‥?」
「わたしたちもやっと休け‥い‥!?」
 ばたん、と休憩室の扉が開くと本日のコンパニオン役、いずみと千春も休憩室を利用しに来たのだ。
 先に休憩を取っているはずの異国の親友の姿を探した二人の動きがギシリと音を立てて固まった。
 なにしろそこにはコンパニオンの休憩室に入り込んだ菊丸という異物が椅子に腰かけ。
 その膝にはだらしなくスカートを捲り上げて足をM字に開き、その中心部はただでさえ小さなマイクロビキニのパンティが紐と化して喰い込み。
 そんなはしたない格好のままリンダはうっとりと菊丸にしがみついて唇を重ね合わせているのだから、思考停止にならない方がおかしいというものだ。

「リンダーっ! 菊丸くんから離れなさいよーっ!」
 そうしてしばらく。
 肩を震わせ涙目で叫びをあげたのは恋する少女、千春である。
 いまだ抱き合ったままの二人を引き剥がそうと駆け寄ってゆく。
「ノーッ! 菊丸ハワタシノタメニ頑張ッテクレマシタ。コレハ感謝ノ証デース!」
「っ~~~~! 菊丸くん、ほんとなのっ?!」
「え、いやあ、リンダの衣装が濡れちゃたから奥義爆熱神技をね」
「菊丸ハ困ッテタワタシヲ助ケルタメ、ズット奥義ゴッドフィンガーシテクレタンデース!」
 千春の剣幕にしどろもどろの菊丸をリンダが抱きすくめ「ハン、感謝ノ気持チヲ邪魔スルナンテ、千春ハ大和撫子ジャアリマセンネ! ワタシハ大和撫子ノナンタルカモ優シク教エテモライマシタ」と挑発し、再び菊丸の両頬を抑えてキスまでしての挑発行為をする始末。
「なっ、な、な、なによそれーっ! 菊丸くんっ、わたしも大和撫子のこと教えてちょうだいっ!」
 涙混じりにリンダへの対抗意識をそのまま菊丸にぶつける千春。
「ヘイ、千春! オ邪魔虫ハイケマセンネ!」
「どっちがお邪魔虫よ~~っ!」
「ちょ、ちょっと二人とも?!」
「でへへ、三人とも、喧嘩はいけませんなあ♪」
 思わぬ争いに発展するのを見かねて仲裁に入るいずみまで加わり、三人の肌も露わなコンパニオン衣装にもみくちゃにされて法悦境を彷徨う菊丸に、嫌悪も露わに肘打ちを食らわせるいずみ。
「っ、この、全部あんたのせいでしょうがっ!」
「~~~~~っ?!!!!」
 的確に延髄を狙い撃ちされ、声もなく痛みに転げまわる菊丸。
「きゃあ、菊丸くん?」
「オウ、菊丸ッ!?」
 と慌てて介抱しようと転げまわる菊丸を抱え込んだ千春から菊丸を奪おうとリンダと引っ張り合いが始まるのだから手の付けようがない。

 と、そこに新たな休憩室への訪問者がやってきた。
「いったいなんの騒ぎだい?」
 扉が開いたままの休憩室の騒ぎが聞こえてきたのか、ひょっこりと顔を覗かせたのはいずみの父親その人である。その視線が呆れかえる娘に娘の友人と取引先の令嬢が取り合っている男の姿を確認し険しく吊り上がる。
「きっさまー、また娘に妙なことをしたのかーっ!」
 勢いよく駆け寄ると菊丸の胸蔵を掴みあげぐらぐらをと揺すりたてるのに、千春とリンダの争いもその剣幕から毒が抜けたのか収まりを見せるのだった。
「ちょ、ちょっとお父さん!? なにか用事があったんじゃなかったの?」
 娘どころかその友人、果ては取引先の令嬢まで破廉恥なコンパニオン衣装にさせてしまったばつの悪さも手伝って、必要以上に菊丸を責め立てる父親を宥める形でようやく菊丸も解放された。わずかの間に菊丸もすっかり疲れ切って床に崩れ落ちるのだった。

「用事か。あー、すまないんだが、これから大会の優勝者にインタビューをしてもらいたいんだよ」
「わたしたち、そんなことまでやらされるのー?!」
 会場に花を添える形で案内するだけならばまだしも、インタビュアーとあっては注目度が段違いだ。それにこの衣装である。屈めば見えそうなほどのスカートに下乳は丸出しのタンクトップ。極めつけはローレグマイクロビキニのTバックというのだから下から覗き込まれるだろう壇上に上げられるなど冗談ではななかった。
 が、父親も必死なのだろう。
 娘への罪悪感にいつもの強引さは鳴りを潜め、とにかく頼む、と頭を下げ続ける。さすがに娘の友人、取引先の令嬢相手に頼めないのはいずみもわかっているだけに、折れるしかないのだった。
「‥わかったわよ。お小遣い期待してるからね」
これ以上ごねたところで意味はないと悟り、せめて最低限の交渉でうさを晴らすに留めるのである。

「それじゃいずみちゃん、頑張ってねー‥ぐえっ?!」
気楽に手を振り送り出そうとする菊丸をにこりと笑めん浮かべて「ありがと菊丸くん」と感謝を伝えつつ、そのまま父親と同じように胸ぐらを掴み上げ。
「わかってるでしょうけど。これ以上変なことしたらただじゃおかないわよ?」
と、釘を刺す。
「ひ、ひどいなあ。さっきだってリンダのために‥ぐええっ」
「わ か っ た わ ね ?」
「は、はーい、わかりましたー」
「ふん」
素直な返事に鼻を鳴らし、ようやく休憩室を離れてゆくのだった。

「大丈夫、菊丸くん‥」
「イズミ、更年期ネ」
親友の気持ちも知らず咳き込むのを介抱してくれる二人に愛想笑いで応えつつ。
(いずみちゃんめー、人助けをしただけなのにこの仕打ち。きっちりお返しさせていただきますよん)
あれほど打ち込まれた釘の存在など微塵も感じさせない恨み節を燃やし、どさくさに仕込んだ小道具の相方を握りしめ不敵に笑うのであった。

「と、それはそれとして、二人とも?」
「なーに、菊丸くん」
「ナンデスカ、菊丸」
邪気たっぷりの笑顔に気付かず、素直な返事の千春とリンダ。
「なんだじゃなーい! いいかい、大和撫子とは思いやりの心! あんな風に争うなどもってのほか!」
猛々しく叫ぶ菊丸の迫力に思わず半歩を下がる二人だが、すぐ壁際へと追い詰められてしまう。
「ここはぼくが大和撫子のなんたるかを教え込んであげるしかない!」
「き、菊丸くん、落ち着いて?」
「オウ、菊丸。チョ、チョット怖イデース?!」
「ええい、大人しく菊丸式大和撫子特訓を受けるんだあ!」
「「い、いやああああああっん?!」」

「ふう。じつに有意義なレッスンだった」
額に浮いた汗を拭い、晴れ晴れとした顔で休憩室をあとにすると、ちょうど会場では下位の選手たちの紹介が終わり、上位三名の選手が発表順され盛大な拍手を受けている最中であった。
その壇上に一際目立つコンパニオン姿の美少女に目を向ける。
実のところ、拍手喝采のほとんどはこの少女に向けられていた。
そこらのアイドルなど裸足で逃げ出すレベルの正統派美少女が、痴女かと見紛う衣装に身を包み、しかもそれを恥じらっている様子がまた人の注目を集めたいだけの下品さとは無縁だと証明して、なおのことである。
先ほどからこの手の催しに現れるカメラ小僧どもがステージ下に陣取ってスカート奥を無遠慮に撮りまくり、フラッシュが瞬くたび、いずみの首筋が紅く染まり、せめての抵抗にスカートを抑えるのが見てとれた。
(あーあ。完全に見せ物になっちゃって)
予測はしていたが、ローレグミニスカートの美少女が壇上に上がります、その奥はこれまたとんでもない極小面積のマイクロビキニパンティー。
加えて後方に陣取るカメラ小僧の群れがいずみの動くたび歓声を上げ、さらに多くのフラッシュが焚かれるのは、Tバックで丸見えになっている少女の上向いたヒップに気付いたからだろう。
逃げ出したいだろうが、責任感の強いいずみがここでインタビューを放棄するわけがないと知っている菊丸は存分に同級生の羞恥の表情を観賞すると、ようやく満足したのか本来の目的に向け、動き出すのだった。
あれだけ釘を刺した菊丸が会場で見せ物と化した自分を観察しているとは思わず、ステージ下で被りつくカメラ小僧どもに菊丸を重ね、踏みつけてやりたい欲求を抑え込み、三位、二位の選手へのインタビューを終え、いよいよ優勝した選手へマイクを剥けたところで違和感を覚える。
(‥? いま、なにか‥)
ごく軽い、虫にでも刺されたような刺激に教われたのだ。
それだけなら無視も出来たが、場所が問題だった。
(やっぱり‥気のせいじゃ‥っ)
今度ははっきりとした刺激をそこから感じ、思わず身動ぎしてしまう。
意識してからはあっという間だった。
ヴヴっという小さな振動音を皮膚から感じて、そこ、つまりはパンティの中で何かが動き始めたのだ。
(お? どうやら成功、みたいですなあ♪)
壇上のコンパニオンの小さな変化にまだ誰も気付かないなかで、菊丸だけはそれを見逃さなかった。
それも当然だろう。
いまいずみの感じている振動の正体こそ、菊丸があのどさくさに紛れパンティの中に放り込んだ今大会の主役玩具、エッグマンを操作しているのだから。
(いやー、結構遠いし、電波が届くか心配してたけど、さすが信頼の日本製ですなあ)
手のひらに隠れる円盤を軽く握る。
するといずみがほんの一瞬だが、ピクッと反応するのである。
足のないロボット、エッグマンの移動は低部を駒のように回転することで行われる。
いま菊丸は円盤コントローラーを握って、パンティの中のエッグマンを軽く回転運動させたのだ。
(な、なに?! パンティの中になにか‥っ、あ、あぁんっ!)
指の先に乗る大きさの極小ロボットとはいえ、大会が開かれる程度にはその動きは激しく、またコントローラーからの指示にも敏感だ。
そんなものがパンティの中で動き始めたのだから、敏感すぎる少女にしてみれば悪夢以外の何者でもない。
ヴ、ヴヴヴッ、もう気のせいではなく、小刻みに動く何かがパンティの中で暴れ始め、いずみの口から小さく悲鳴が漏れ出てしまう。
「あっ! あぁん」
慌てて口を塞ぎ、周囲を見回し誰にも聞かれなかったことに安堵の吐息を漏らす。が、安心している場合ではなかった。
その何かはまるで意思を持つように右に左に動き回り、いずみの集中力を奪ってゆく。
「っ、ぅ‥ぁ、あっ! い、いやぁあんっ!」
堪えきれず、今度ははっきりと声を上げてしまっていた。
優勝者への喝采が止み、会場の視線がただ好色だったものから、好奇のものへと変わり、突然悲鳴を上げたコンパニオンを見詰め、
「ど、どうされたんですか?」
マイクを向けられたままだった優勝者が皆の気持ちを代弁するように問いかける。
「あ、いえ、その、フ、フラッシュがさっきから眩しくて‥」
しどろもどろの言い訳も、なるほどほの暗いはずの会場がそこだけ真昼のように瞬くのを見れば、なるほどと頷くしかない。
もともとカメラ小僧たちへの印象は最悪だ。なにしろ彼らはただでさえ場所を取る高級機材をステージ下にまるでバリケードのように設置し、一般客はいずみの魅惑のスカート下がどうなっているのか、想像するしかない状況だ。
しかもカメラ小僧どもの熱狂ぶりを見れば、その聖域が間違いなく一生の記念になると確信できるだけにいずみの非難が会場の空気を支配するに十分だった。
期せずして沸き起こる帰れコール。
傲慢なカメラ小僧たちもさすがに会場全てを敵には回せない。一人二人と機材を畳み、すごすごと退場してゆき、ついにはステージ下には誰もいなくなった、のはいいが、今度はそこでジリジリとした空気が発生する。
誰しもがそこに行きたい。
が、下心丸出しの奴ばらを追い出した今、いったいどの面下げて被りつけようか。
もっとも壇上に上がってもとよりその機会のない選手たちは話が別だ。
彼らも羨ましくて仕方がなかったのを、今度は間近でこのとんでもない格好の美少女で見れるのだから、優越感はひとしおだ。
優勝者もカメラ小僧の邪魔なくコンパニオンとの会話を楽しめると、積極的に話しかけだす。
「いやー、ようやく落ち着いて話せますね」
「そ、そうですね」
答えるいずみの方はそれどころではない。
落ち着けるどころか会場中の視線を感じ、カメラのシャッター音も消え去って誰かに下腹の振動音が聞こえはしないかと気が気ではない。
(だ‥めぇ‥、こ、声が出ちゃいそうっ!)
こうしている間も、パンティの中では休みなく何かが動き回っている。
しかもその動きは段々と意思を感じさせるものとなり、さっきからいずみは声を抑えるのに必死でインタビューどころではなくなっている。
(い、いったい、なんなのよ、これっ!? あ、あっ、だめっ、そんなとこぉ‥っ)
薄布の中で転がるような動きを見せていたそれが目的地に辿り着いたのか、今度はそこで留まり、集中的に振動しいずみを追い詰め始めたのだ。
(あ‥っ、あ、あっ! や、やぁあん、だめっ、だめえっ!)
かろうじて声を上げるのは免れても、身体の反応はそうはいかない。
膝を擦り会わせてモジモジと震えるコンパニオンに会場からゴクリと生唾を飲み込む音が聞こえてくる。
(き、気付かれた‥?!)
慌てて周囲を見渡し、選手たちや男たちの視線がはっきり自分を見詰めるのに、カーッと美貌を火照らせる。
なにか言い訳をしなければと頭を巡らすなか、群がっていたカメラ小僧たちがいなくなったお陰で見渡せるようになった会場に、見知った顔を見つけて目を見開く。
「き、菊丸っ?!」
思わず口にしてしまった名前に、選手たちが顔を見合わせ、
「菊丸? 誰ですか、それ?」
「あ、そ、その、ちょっと知り合いに似た人がいたので‥」
ちら、と見かけただけだが間違いない。
が、ここで追いかけるわけにもいかずお茶を濁すしかない。同時にこの不可解な状況の全てが菊丸の仕業だと理解するのだ。
(こ、この変なのもあいつの仕業だったのね! そういえばこの大会のロボットって無線で‥っ、あうっ!)
そこまで気付いた少女の思考を遮断するように、またもエッグマンがヴヴッと振動する。それだけではない。今度はエッグマンの腕が伸び、狙い済ましたようにいずみの急所を責め立て始めたのだ。
「ひっ!」
もう声を押さえることさえ出来ず、いずみは壇上で仰け反り、白い喉を見せ悲鳴を上げていた。
伸びた腕はツンツンと急所を叩き、次いで左右の連打まで加えてくる。
「うっ‥、くっ、ぅう、んっ!」
なんとか叫びを堪え、くぐもった呻きに変えても襲ってくる刺激が変わるわけでもない。
正体の知れたロボットを取り出したくても、まさか会場からの視線が集まるなか、スカートを捲ってパンティから取り出せるわけもなく、されるがままなのが悔しくてならない。
ロボットの巧みな動きに菊丸の悪辣さを思い知らされながら、いくら悔しがっても追い詰められてしまうほど躾られている自分の身体に奥歯を軋らせる。
(だ、だめっ‥、あんな奴が動かしてるのにいっ!)
いつの間にかスカートの奥は汗に蒸れ、マイクロビキニパンティはもしまだカメラ小僧がカメラを構えていれば、涎を垂らさんばかりの情けない状態になっている。
(でへ。いずみちゃん、大変そうですなあ)
そんなコンパニオンの様子を会場から眺め、反応の一つ一つにロボット操作に修正を加えて急所責めの精度を高める神業を見させるのが菊丸だ。
これほどの腕前を持ちながら予選敗退なのだから、やる気がいかに大事かだろう。
残念なのはかぶり付きの特等席に居られないことだ。近くで見ればもっと細かな修正を施して可愛がれるのに、などとぼやきつつ。
(今度は捻りを加えたりして♪)
本体の振動、伸ばした腕のツンツン攻撃、それに今度はロボットの必殺技である腕の回転まで加えようというのだ。
(ポチッとな♪)

「ぅ、あっ? ‥~~~~~ッ!!」
見れば壇上のいずみがまだマイクを向けつつ、残った腕を反射的にスカートへ伸ばしてパンティ中で暴れまわるロボットを捕まえる動きを見せていた。寸でで、パンティを捲りかけた手を止め、上から抑えるのが関の山となるが、それでも端からは呆気にとられる行動である。
「あ、あのー、大丈夫ですか?」
恐る恐るといった感じで声をかけられた声に、ようやく我に返りカッと頬を染め、
「あ、そ、その、む、虫がスカートに‥」
まさかパンティの中に、とは言えず、虚実を混ぜて答えるのに、ああ、と選手も会場からも納得といった声が漏れてゆく。
しかし、こんな美少女のスカートの中に虫が入り込んでいるのか、と新たな妄想の火種が撒かれて、より視線がいずみに、コンパニオンの短すぎるスカートへ注がれていずみはますます追い詰められてしまうのだ。
「虫かー。ぼくの愛機を虫呼ばわりとは‥。お仕置きが必要ですなあ」
ニンマリと笑みを浮かべ、会場の男たちへのサービスとコントローラーへと手を伸ばすのだった。

 ヴヴヴヴッ!
 振動音が激しくなりパンティの中のロボットの動きが変わる。
 高速ダッシュ機能を利用して相手を翻弄するエッグマン同士の基本戦術の一つだが、菊丸流は一味違う。
「ふっふっふ。これぞ菊丸ロボット操作術、必殺大回転真珠湾攻撃~~~♪」
 三角地帯の窪みを沿って真珠へ向かい腕を伸ばし、高速回転運動の刺激を叩きこむ、一撃必殺の技にいずみは今度こそ仰け反り、太ももを捩り合わせて声にならない悲鳴を壇上で上げるしかなかった。
「ひっ、い、いぃっ、~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!」
「え、ちょ、コンパニオンさん?!」
 突然のことに驚き、駆け寄ろうとする選手たちに、しかしいずみから鋭い拒絶が叫ばれる。
「ち、近づかないでっ! だ、大丈夫ですから、む、虫が急に動いて驚い‥っ、い、いや、いやぁあっ!」
 今度はガクンッと前に倒れ込むようにして、スカート抑え込みブルっと小刻みに震えるコンパニオンの少女。
 その時、ステージの後ろにいた観客たちからドッと歓声が沸き起こる。
 ただでさえ短いローレグスカートが屈んだことで会場の後ろ側に配置された、それまではコンパニオンの後ろ姿しか見れず不満を漏らしていた観客たちへのサービスとばかりにTバックで剥き出しになっている卵の白身のように真っ白なお尻を突き出してくれたのだから。
 そんな歓声に耳たぶまで赤くして打ち震える少女だが、今はそれどころではなかった。
 急所中の急所に加えらえる攻撃に、さっきから奥歯を噛んで上げそうになる悲鳴を抑えるのに必死なのだ。
 少女の様子に声をかけようか、駆け寄ろうかと迷っていた壇上の選手たちも会場後方の興奮した雄たけびに、互いに目配せをした幾人かが心配した体でコンパニオンの後ろへ回り込む。
「ま、まじかよ、ケツが丸見えじゃんか!」
「Tバックって、ほとんど喰い込んじゃってケツの穴まで見えちまいそう‥!」
 特に下品な下位選手たちが興奮を隠そうともせず上げる叫びに、残る選手たちや先ほどまではコンパニオンの美少女ぶりを堪能していた会場前方の観客が喉を鳴らす。
 そうして一部の勇気ある選手たちはと言えば。
「ああっ、いやっ、見ないでえっ!」
「見ないでって、あんたがケツ突き出してんだろ」
「すっげーパンティ穿いてんな、露出狂か?」
 少女の剣幕にさすがにそれ以上近づく度胸はないのか、それでも視線は一切外さず、このとんでもないお宝映像を目に焼き付けながら下品極まる野次を飛ばすのである。
 普段のいずみであれば眦を吊り上げ、この下品な男たちに制裁を加えていただろうがこうしている間も、ヴヴヴ、ヴヴッとロボットの振動、腕の突き出し、そして必殺大回転真珠湾攻撃を繰り返され、膝からくず折れてしまいそうな刺激と戦って続けて、
「あっ、あ、あぁんっ!」
 と噛んだ唇から漏れ出る喘ぎを高性能マイクが拾って、また会場を沸かせてしまうのだ。
(き、菊丸の奴ぅ‥っ!)
 あのいやらしいニマニマ笑いを浮かべているに違いない同級生へ殺意に近い念を送っても届くはずもない。
 否。
「うーむ、なぜかもっと出力をあげなければいけない気がする。ポチっとな♪」
 しっかり届いていたらしい。
 無駄のない送受信は付き合いの長さ故か、間髪入れず念へ対抗する菊丸。
 ヴヴ、ヴ、ヴヴヴ‥ッ、ヴヴッ!
 電波を受け、マイクロビキニの薄布を破らんばかりの勢いでロボットが暴れだすと、
「ッ、あっ!? ゥ、アッ、あ、あ~~~~~~~~~~~~~~~っ!」
 壇上の美少女コンパニオンの口から凄まじい悲鳴が上がり、次いで後ろに回った品性下劣な選手たちや会場後方の観客を楽しませるべく、Tバック喰い込む丸出しヒップがヒクンっと可愛らしくも艶めかしい円運動を始めたかと思えば、それを支える美脚がピーンと突っ張り全身をブルブルと小刻みに摩擦させる。
「や、やめ‥っ、あ、あっ、だめえっ!」
 スカートを押さえ、せめて一番見せたくない前面のマイクロビキニだけは死守しながら、太ももを捩らせ、腰を前後に振りたくっての淫らすぎるダンスに今度は会場の前後も関係なく歓声が上がるのだった。
「うんうん、盛り上がってますなあ。予選敗退の身としてせめて会場を盛り上げるのが特別参加を許してもらったぼくの役目」
 会場の盛り上がりに腕を組みしたり顔で頷く菊丸。
 と、その横目に見知った人影が映ったのに意識を向けると、そこにはワナワナと震え顔面を蒼白にする、いずみ父の姿が。
「ありゃ~。刺激が強すぎたかな。‥‥あ‥」
 騒動の張本人が他人事のような感想を漏らしたところで、目が合ってしまう。
「き、きっさま~~~っ、娘に何をした~~~~っ!!」
「ちょ、まっ、お、落ち着いてっ、お父さんっ!」
「貴様にお父さんなどと呼ばれる謂れはないわっ! ええい、娘に何をしたっ、吐け、吐かんか、このっ!」
「わ、わっ、うわわわっ!」
 首を絞められ「吐け、吐けっ」と前後に揺さぶられ、もう本当に吐きそうになるところで、ようやくいずみ父が年のせいか肩で喘いで動きが鈍り、菊丸も危うく難を逃れるのである。
「お、落ち着いてくださいよ、おじさん。いずみちゃんだって虫がスカートの中に入ったってさっき言ってたじゃないですか」
「うっ」
 確かに娘が挙動不審に陥った時にそんなことを言っていたことを思い出して口ごもる、いずみ父。
「それにぼくだってここにいるってのに、どうやっていずみちゃんに悪戯出来るっていうんですか!」
「う、ううっ」
 ステージ上の娘とここからの距離を冷静に指摘され、さらに言葉に詰まるいずみ父。
(まぁ、こうやって悪戯してるんだけどね♪)
 しれっと後ろに回した両手で円盤型コントローラーを操作すると、遠く壇上でまたいずみの声を拾った高性能マイクから会場に悩ましい声が伝わり、会場からの喝采が怒涛の如く広がってゆく。
「い、いずみぃ~っ?!」
 その喝采に、本来大会の盛り上がりを喜ぶべき主催側のいずみ父は涙目に娘の名を慟哭する。
(ふっふ、いつもいずみちゃんとの仲を邪魔する報いですなあ)
 日頃の恨みを思わぬ形で晴らしたところで、そこはそれ、菊丸も鬼ではない。
「お父さん、ぼくに考えがあるんですが‥」
「誰がお父さん‥っ、考えだと?」
 ニンマリとほくそ笑んでいるのに気付かず、娘の危難を救いたい一心で娘に纏わりつく害虫の提案に耳を傾けてしまう。
「いずみちゃんが虫に悩まされてるのに自分じゃ対処できないのはあの衣装のせいなのは言うまでもありません」
「ぐっ」
 菊丸の指摘に思わず唸るいずみ父。
「なにしろあんな短いスカートなのにパンティはTバックですからね。とてもじゃないけどみんなの前で虫を追い出せるわけもない」
「ぐ、ぐうっ」
 至極真っ当な指摘に胸を押さえ、苦虫を噛み潰したように顔を歪めるいずみ父。
「し、しかたがなかったんだ! わしだって反対したさっ、だが上役連中がバブル時代を引きずっていまだにあんな‥、う、うう、いずみ~、わしが悪かった、許してくれ~」
 床へ膝を落とし泣き崩れるいずみ父にサラリーマンの悲哀を見つつ、もう一押し。自らも床に膝をつき、いずみ父へ救出策を耳打ちすると。
「‥、な、なんだとおっ! き、貴様っ、そんなことを許すとでもっ!」
「いやー、ぼくはいいんですよ。いずみちゃんのことですから自分で解決すると思いますし。まあインタビューが終わるまではステージから降りれないでしょうけど」
「ぐ、ぬ」
「あー、いずみちゃん、可哀そうだなー。誰かさんに頼まれてあんな衣装着てインタビュアーまでやらされてるのに、助けてもらえないなんてなー」
「ぬ、ぐっ」
「大事な一人娘があんな格好でいつまでも見世物にされてるのに、お父さんは平気なのかなー」
 ちらっ、ちらっ、こっち見んなと言われかねないイヤーな仕草で項垂れるいずみ父を追い詰める菊丸に「わ、わかった‥。貴様の言うとおりにしよう」と絞り出すように救出策を受け入れてしまうのだった。

 救出計画が動き出し菊丸も片手間に高度な遠隔操作を行えず、エッグマンはヴヴヴッと待機状態の軽い振動をいずみに与えるのが関の山になっていた。
(こ、これなら‥なんとかっ)
 真珠湾攻撃に壊滅寸前だったのを持ち直し、なんとかインタビューを続けようとするのは、さすがの気丈さだ。
 インタビューさえ終えてしまえばステージから離れられる。
 そうすればこの忌々しいロボットを取り出し、菊丸を探し出して二度と下らない真似ができないようにしてやる、と恥ずかしさを脇へやって「ええと、本当に大丈夫なんですか?」「ええ、ご心配をお掛けして申し訳ありません」と笑顔で答えるのもその一心からだ。

 そうしてようやく本来の優勝者へのインタビューが再開されようとしたその時である。
「そのインタビュー、待ったぁあああああっ!」
 雄叫びが会場中に響き、壇上に謎の覆面男が乱入してきたのだ。ざわつく会場に動揺する選手たち。
「な、何者だっ、貴様っ!」
 意外ににノリのいい優勝選手が突如現れた覆面選手へお約束の対応をすると、
「フッ、ぼくの名前はミスタークリセンセマム! このぼくを差し置いて優勝を名乗ろうとは片腹痛い。どうだ、ぼくの挑戦を受けるか!」
 ビシッと指を突きつけ挑発する覆面男に、並み居る選手たちを押しのけ優勝した矜持が刺激されたのか、優勝選手も不敵に笑い返し。
「いいだろう。クリセンセマムとやら。貴様などここで戦った漢たちに遠く及ばないこと、この俺が証明してやろう!」
 これまた見事に挑発し返すのに会場が沸き立った。
 一方、一連の流れに呆気にとられていたコンパニオンの少女はそんな男たち特有のノリについては行けず、しかしだからこそ謎の覆面男の正体を見抜くのである。
「な、なにがミスタークリセンセマムよ?! あんた菊‥っ、むぐっ‥」
 皆の前で正体が暴かれそうになったのを慌てて口を塞ぐ覆面男。
「シ、シーっ! いずみちゃん、黙って! これはおじさんも承知してるいずみちゃん救出作戦なんだよっ!」
「お父さんが? って、救出ってなによ! あんたの仕業のくせにっ」
「なんのことかなー。ぼくは虫が追い出せなくて困ってるいずみちゃんを助けに来ただけさ」
「~~~~っ」
 菊丸のおためごかしに肩を震わせ、憤るいずみだが証拠がない。パンティの中のロボットを見せればそれがなによりの証拠になっても、菊丸の言う通りそれが出来ないからこそ困っていたのだ。
 いずみが黙り込んだのを作戦承認とみて、菊丸がマイクを受け取り再びの交渉開始。
「ではルールを説明しよう。戦いは大会ルールの則った標準戦。ただし三回勝負ではなく一戦のみ。漢の勝負にたらればは要らぬ!」
「‥なるほど。確かに貴様の言う通り。漢ならただ一度に己の全てを賭けて戦うのが定めよ」
 またしても始まる謎空間。しかし会場は盛り上がりに盛り上がっているのだからこれでいいのだ。
「そしてもう一つ」
 人差し指を立て、皆々の注目が集まったのを確認すると覆面男が厳かに言い放った言葉に誰しもが驚愕する。
「勝者に言葉は要らぬ。栄光は美女より賜るもの。この勝負を制した者に、そこのコンパニオンからの口づけを所望する!」
「なっ!?」
 そして誰よりも驚くコンパニオンを他所に、もはやこの謎のノリを妨げるものなどなく、うおおおおおおおっ! と会場が揺れるほどの雄叫びが吹き上がった。
「キ、キスだ‥と‥」
 おもむろにコンパニオンを視線を向け、頬を赤らめる優勝選手。
「いや、しかし、彼女の意思も聞かず‥」
「心配ない。大会運営からも、彼女からも承諾は得ている」
「なん‥だと‥」
 再び巻き起こる大歓声に「ちょ、なにを勝手に‥」といずみの非難の声もかき消されてしまう。その横でまたもいずみに耳打ちする覆面男。
「しょうがないでしょ、こうしないとインタビューになっちゃうし、いずみちゃんにくっつけないんだから」
「あんたが負けたらどうするのよっ! じゃなくて、なんでキスしなきゃ‥っ、あ!?」
 勝手な提案に柳眉を逆立て、勝気な少女の面目躍如で食って掛かったいずみの動きが止まり、またスカートを押さえて震えだす。
「あれー、どうしたの、いずみちゃあん?」
「こ、の‥っ、なにがどうし、いぃっ、ひいっ!」
 ヒクンっと背を反らし、収まっていた振動に油断していたいずみが情けない悲鳴を上げてしまい赤面し、覆面男を睨みつける。
「また虫が動き出しちゃったのかな? いやあ、インタビューの時に動いたら大変だよねえ♪」
「あ、あんたって人は~~~~~っ!」
「で、どうするの? インタビュー? それともキス?」
 ニマニマといつもの笑みを浮かべる菊丸をその視線で人一人殺しかねない鋭さで睨み続けるいずみだったが、やがて囁くように小さく口にしてしまう。
「え~、聞こえないよ、いずみちゃん」
「キスよっ、キス! いい、負けたら承知しないわよっ!」
「でへ、大丈夫、ぼくにまかせて」

 そして菊丸は勝利したのだった。

「し、信じられん。なんだあの動きはっ!」
 がっくりと壇上に設けられた特別闘技場の横で、いまだ己の敗北を信じられず立ち尽くす元大会最強選手。
「男子、三日会わざれば刮目して見よ、と言う。ぼくはこの僅かな時間にエッグマン操作の精緻の極みに至ったのさ」
 覆面男の口上に感銘を受けたのか、はっきりと己の負けを認め次なる戦いに備え漢が去る。
「‥‥俺の負けだ。だが俺もまた男子! 必ずや貴様を超える男となって大会で相まみえること約束しよう! さらばだっ」
 あまりに見事な、別次元の戦いに沸いていた会場も、元優勝選手が去ると別のざわめきが伝播し次第に支配していった。
 そう、覆面男の求める戦いの栄誉。美女との口づけ。その期待に波を打ったように会場が静まり返る。

「でへへ、いずみちゃ~ん。約束通り勝ちましたよ~ん♪」
「わかってるわよ‥。ったく、予選ではあっさり負けてたくせして」
「それだけいずみちゃんのキスが魅力的だったってことさ」
「ふん、勝手に言ってなさい。まぁいいわ、約束だもんね」
 二人が短く応酬しながら近づき壇上の真ん中で向き合うのを会場中が見守る中で、その会場の片隅、縛り上げ転がされている中年男性が「い、いずみ~~」と血の涙を流しているのに誰も気づいていない。計画が始まってしまえば邪魔だからと、菊丸に縛り上げられたいずみ父の哀れな姿だった。
「さ、いずみちゃん♪」
 むちゅっ、と唇を突き出す菊丸を半目で睨め付けながら、諦めたように溜息を吐くとそっと自らの唇を近づけてゆく。
 ほんの一瞬触れあったかどうか。
 会場からは盛り上がった空気が一気に冷えていくのと、そりゃそうだよな。と一種の安堵感がもたらされてゆく。
 これで終わりと離れようとするコンパニオンだが、それを阻んだのが覆面男だ。
「なっ!?」
「あんなのがご褒美なわけないでしょ。それに虫もちゃんと捕まえないとね~♪」
 救出策の本音をぶちまけ、抗う暇さえ与えず腕の中に招き入れた美少女コンパニオンの唇を奪ったのである。
「んっ?! ぅっ、むぅっ、んんんっ! ゃっ、めっ! ぁ、ん、んうっ!」
 さっきのような触れ合ったどうかさえわからないキスではない。それどころか本気も本気の唇の重なり合いに会場の空気が燃え盛った。
「うおおおおおおおおっ!」「あんた、男だぜ! 覆面!」「おれたちにはできないことを平然とやってのける!」「そこにっ」「しびれるッ!」「あこがれるうううぅっ!」
 凄まじい盛り上がりの中、「あのクソガキがあぁあああっ!」と血管がちぎれんばかりに悔し涙を流す中年親父。
 そんな周りの空気など知ったことではなく、菊丸は美少女同級生が暴れるのも構わず唇を重ね強引に舌まで侵入させて、甘い息と唾液とを堪能して同級生の舌を絡め取って根こそぎ搾り取ってゆく。
(し、信じらんないっ! こんなとこでなに考えてんのよっ、コイツッ!?)
 いくらなんでも父親が会社主催の会場、その最注目を浴びる壇上でお遊び程度のキスならともかくここまで大胆な行為に出るとは思わなかったいずみだ。
 突き飛ばしてやろうにも、こうも密着されてしまうといくら身体機能は自分が上と言ってもやはり単純な力勝負なら男を相手には敵わない。
 グッと抱きしめられたまま、コンパニオン衣装に合わせた淡いルージュの唇を蹂躙されてしまうのだ。
「っ、むぅっ、う‥、んっ、うっ‥ぅ! ‥ぅ、っう、んむっ‥、う、‥ん、ぁ、は、っぁん‥」
 一分、二分。次第にコンパニオンの鼻息が甘く湿ってゆくのを高性能マイクが拾い上げ、会場へと響かせてゆくと、歓声が静まりその官能的な調べに聞き惚れてゆくのだった。
(は、はやくなんとかしないと‥っ、あ、あぁん、だめ、舌が絡んで‥っ)
 ぬらぬらと舌に絡め取られるおぞましさに鳥肌が立つのに、何度何度も舌を絡めあううちにゾクゾクと背筋に走る不思議な感覚にどうしても力が入らない。
 悔しいかな。この同級生とはすでに一度ならず唇を重ね合っているのだ。
 それもただ重ねるだけのものではなく、交し合っている間も執拗に悪戯をされて何度恥をかいたか知れない。
 情けないことに、こうしていてもその記憶に縛られて思うように力が入らないのである。
(しっかりしなきゃ‥っ、このままじゃ、またコイツにっ‥?!)
 必死に自分を叱咤していたいずみの目が意識しないように努めていたパンティーの中で違和感にハッと見開かれる。
 あろうことか菊丸がスカートを捲り、わずかな隙間からマイクロビキニのパンティへと手を入れてきたのだ。さすがに見過ごせず、あらん限りの力を込めて菊丸から離れようともがき、ようやく抱きしめられたままではあるが、唇を離すことには成功した。
「ちょっと菊丸くんっ、いくらなんでも冗談じゃないわっ! なに考えてるのよっ?!」
「なにって。いずみちゃんを助けるのに決まってるじゃん」
「アンタの計画はインタビューを止めさせることでしょうがっ! もう成功したんだから離れなさいよっ!」
「やだなな。虫が取れなくて困ってたんでしょ? それならぼくにまかせてよ」
「ふざけないでっ! あんたの仕業だってわかって‥、うっ! あ、あ、やっ、いやぁあん!」
 高性能マイクに聞こえないよう、互いの耳元で小さく囁きあうような応酬がコンパニオン少女の悲鳴に遮られる。
「まーたぼくを犯人扱い? 冤罪を晴らすためにも絶対虫を捕まえないと」
「あっ、あ、やめっ‥、どこ触って‥、ひ、い、いぃっ!」
 芋虫のような指先がマイクロビキニの薄布の中で蠢くのに、少女が嫌悪とおぞましさに呻き。
「やっ、あ、あァんっ、だ、だめぇええぇえっ、‥‥むぅっ、ん! ぅ、むっ、んんっ!?」
 ついには白い喉を見せてはっきりとして悲鳴を響かせようとするところで、間一髪、菊丸が唇を再び塞いで事なきを得るのだった。
 観客からは二人がぴったりと密着していて何をしているのかはわからない。ただ一度は嫌がって離れたように見えたコンパニオンがまた覆面男への報酬を続けたのだと解釈するのである。
「でへへ、危なかったね~、いずみちゃん」
「ぅ、むっ、ぁ、ふ、ふざっ、あっ! ハァ‥んんっ、うぅっん!」
 唇を重ねながら器用に囁くのに感謝どころか怒りしか沸かないいずみだが、それも舌を吸われ、パンティの中で芋虫が蠢くに合わせて封じられて好き放題にされてしまう。
 ただでさえ菊丸の操作していたロボットのせいで感覚が狂い始めているのに、よりにもよって菊丸自身に駄目を押されてしまってはどうなることか。
(だ、だめっ‥、こんなッ‥あ、あんっ)
 いつもいつも不思議で仕方ないのが指が這っているだけなのに、そこから電流のようなものが走って背筋を震わせ頭の中が霞んできてしまう。
 こうして唇を重ね合わせながらの行為に慣れ始めている自分に勝気な少女も不安と焦りを禁じえなくなるのだ。
 菊丸といえば同級生の嫌悪も葛藤も知らず、虫探しに夢中である。
 こっちはどうかな、あっちはどうかな、やっぱりここかな~、などと指を動かしては少女の反応を楽しむのだ。
(でへへ。人を犯人扱いしてくれちゃって。リンダとのお楽しみも邪魔してくれたし、ここはきっちりお仕置きしないとね♪)
 この才色兼備な同級生をどうやって追い詰めてやろうかと考えつつ、本命の虫の居所を探り当てニンマリとほくそ笑む。また唇を離すと。
「いずみちゃ~ん、虫ってもしかしてこれのことかな~?」
「ひっ、いっ、ぃッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!」
 パンティの中でわずかに感じた異物の存在を探り当て、そこを指先でクリクリと指摘する菊丸にいずみが声にならない悲鳴を上げ、仰け反った。
「おっと、危ない♪」
 予想していた動きに危なげなく同級生を支えてやりながら、なおもしつこくクリクリ、クリクリと異物を指の腹で転がす菊丸に、
「い、いやっ、いやあっ! やめっ、それやめてえっ!」
 と今度はマイクの集音性能がなくとも響く叫びを上げて仰け反り続けるのだ。
「あれ~、違った? う~ん、おかしいなあ。すっごく可愛い虫っぽいんだけどな~。ずっと可愛がってやりたいくらい♪」
「あっ、あ、あ! あんたわかって‥っ、あ、ぅっ、やっ、イヤッ、いやアァッ!」
 上がる悲鳴も観客からはさすがにしつこすぎるキスへの嫌悪だろうと納得し、でもまあ、と運営も止めてないしなあ、とこれもまた納得するのだ。
 運営はといえばコンパニオンの実の父親から突如決められた特別戦に報酬であり、その本人からなんの連絡もないのだから止める口実もない。
「‥‥‥」
 会場片隅のいずみ父はあまりに興奮しすぎに白目を剥いて気を失っていた。

「いや、でもやっぱりこれのような‥」
「だから違うって‥っ、やぁあんっ! 駄目だったらぁ‥っ、あ、あ! ひ、いっ、い!」
「お、こいつめ。怒って威嚇しだしたぞ? ふん、いくら体を大きく見せても無駄さ」
 指の先で転がしていた虫がプルプルと震え、威嚇するように膨らんで硬くなり始めるのをキュウっと摘まんで威嚇し返す。
「い、いやああっ、駄目ッ、だめええぇえっ~~~~~~~~~~~~っ!」
 ガクンッとコンパニオンが絶叫し、覆面男の腕の中で暴れるのを苦労して支えつつ、どちらの立場が上かを教え込むようにキュッと摘み上げたまま扱き上げる。
「だめっ、お願いっ、それやめてっ、狂っちゃうっ!」
 どうやら効果覿面だったようでいずみが泣きじゃくりながら許しを請うて抱きついてくるのに、それならばと、さらにゴシゴシと虫を扱きたててやるのだ。
「うっ、あ、あっ! ほんとにおかしくなっちゃうっ! こんな場所で、お願い、菊‥っ、うっ、うぅっん!」
 と名前を呼ばれかけ、慌てて口を塞ぐ覆面男。
(おっと、あぶない。こんなところで正体ばらされちゃったら、予選落ちだってことも気付かれちゃうよ)
このご褒美は謎の覆面選手なれば通用するのであって、実は予選落ちの選手でした、では八百長を疑われかねない。
さすがにそれはあの優勝選手にも悪すぎる。
(ということで。いずみちゃんにはこのまま頑張ってもらいましょうかね♪)
唇を奪い、声を封じて一安心。クリくり、コリこりと指で摘まんでは扱き、扱いてはキュウッと捻り。
時々爪先でカリカリ削り上げ。
「うっ‥、ぅあっ、んんんっ! ゃ‥ァ、ハァッ‥あ! ~~~~っ!」
とうとういずみから抱きつかれ、いよいよ仕事がやりやすくなった覆面男。
舌を絡めたまま器用に「でへ、いずみちゃん、どうもこれは虫じゃないみたい」指先で弄びながら、囁くのに「だ、だは、らっ、ひょ、ひょうイッて、るぅっ、ううっんっ!」とこちらは苦しげに応え。
「うーむ。どこへいったのかなー。もう少し奥まで探さないと」
「お、おく、でふって‥っ?! あっ! あぁっー!」
つぶりと、今度は伸ばした指が虫の逃げ込んでいそうな亀裂を探り当てて侵入するのに、いずみがまたも唇を振りほどき仰け反るのだった。
「とっと、そんな大きな声を出しちゃ怪しまれちゃうでしょ、いずみちゃん!」
「や、やめっ、あ、あ、だめっ、だめえっ!」
 同級生からの嗜めも耳に入らないのか、コンパニオンの職種も忘れてひたすらに「駄目ッ、駄目」と黒髪を揺すりたて、背中に回していた腕に力を入れて菊丸に必死にしがみついてしまうのだ。
「んもう、声が大きいってば」
「だ、だったら、手を抜いてッ! あ、いやっ、いやぁあんっ!」
「仕方ないでしょ。虫が隠れてそうなのここくらいなんだから♪」
 言いつつ、マイクロビキニの中で蠢く芋虫は好き勝手に探索を始め、美少女コンパニオンから悲鳴を引き続き上げさせるのである。
 いくら通気性を重視してのローレグミニスカートにマイクロビキニの極小逆三角の薄布とはいえ、こうも暴れては汗に蒸れて菊丸としても指がふやけるような感覚にけっして気持ちのいい状態ではない。
 ねっとりと絡みつくような汗を掻き分けて探してあげているのだから感謝して欲しいところだが、さっきから嫌々ッと泣き叫ぶばかり。
(うーむ。せっかくの人の親切を‥)
 ツンツンとまさしく手探りで虫探しをする苦労も知らぬ同級生の態度に、さすがに半分は優しさで出来ていると評判の菊丸も少々懲らしめてやらなければと、いよいよお仕置きの最終段階に入るのであった。

 一方のいずみは菊丸のそんな計画を想像すらできないほどに追い詰められてしまっていた。
 間違いなく菊丸の仕業だろうロボットの責めに、今度は衆人環視の中でのキス。そうしてパンティの中にまで魔の手を忍ばせ、女の急所中の急所を苛め抜かれたのだから当然ではある。
(こ、このままじゃ‥、こんな舞台の上で、わたし‥っ)
 迫りくるおぞましい予感をやりすごそうとするのに、菊丸にしがみつくしかないのがまた悔しい。しかしそうでもしないと襲ってくる刺激にそれこそ会場の観客たちが見ている中で今以上に恥ずかしい台詞を口走りかねないのだ。
(ああっん、はやく誰か止めにきてっ‥!)
 いくらなんでも運営側も‥父親も菊丸の暴走を看過するはずがない、あとしばらく堪えればきっとこの状況をひっくり返せるはず。
 それだけを信じて歯を噛んで上がりそうになる悲鳴を必死で抑える。
 のだが。

 突然、パンティの中、菊丸の指以外の異物を感じたと思えば、それがヴヴヴッと振動を開始したのだ。
「っ?! ぁ、あっ! い、いやあっ!」
 固く引き結んでいた淡いルージュの唇がいっぱいに開かれ、堪えようとしていた悲鳴が再び高性能マイクに拾われ会場に響き渡る。
「なっ、なに‥を、なにをしたの‥っ?! あっ、やっ、うあっああっん!」
「やっぱりそうか! いずみちゃん、ようやく虫が見つかったよ! こいつめ、こんなところに隠れていたのか!」
 コンパニオンの疑問に覆面男が喜色満面に探し続けていた異物を発見したのだと、答えて捕まえようと指をコリコリと動かすのに「あ、あっ、いやっ、やめてえっ!」と白い歯を見せて泣き叫んでしまう。
「辛抱してよ、いずみちゃん。こいつさえ捕まえてしまえば‥、あ、くそ、動くなって‥」
「あ、あ、あっ、だ、だめえっ!」
 菊丸が指の刺激だけでなく、虫が蠢くおぞましい感触に17歳の少女は目尻に涙を溜めて泣き喚くのだが、もちろんここで中断すればなんのための救出作戦かわからない。
 菊丸は暴れるいずみを宥めすかして懸命に虫探しを続けるのである。
(でへ、さすがのいずみちゃんも追い詰められちゃってますなあ♪)
 間近で見る普段の勝気さからは想像もつかない艶めかしい表情を堪能しつつ、最後の仕掛けが成功していることにニンマリとほくそ笑む。
 パンティの中で暴れまわる虫こと、エッグマン。
 菊丸はすでに取り除いていたぞれを再び起動し、この気丈な少女へのお仕置きに使ったのだった。
 ここまで来るともう会場からの不審より、同級生の甘い鳴き声を聞くことの方が順位が上になったのか、すっかりいずみが泣き喚くのに任せて聞き惚れる菊丸だ。
 観客どころか運営もこの突発イベントを受け入れたのか、誰一人止めに入るどころか、シンと静まり返って見入っている始末だ。
 いずみ父はといえばいまだ気絶中であるから、もはや助けなど望むべくもない。
「だ、だめっ、もうだめっ、お願いっ、許してえっ!」
「でへ。許すもなにもぼくはいずみちゃんを助けたいだけだってば」
「助けなんていらないから、もう離れてちょうだいっ! あ、うっ、うぅっん! あ~~~~~~~~~~~~っ!」
 そう言いながら器用にコントローラーをこっそり動かし微細な振動を狙いすましたように急所へ与え、さらに指先は別の急所を探り当ててはカリコリと壁を擦りあてているのだから、相変わらずの役者ぶりだ。
「あ、あ、あ! お、お願いよっ、もうほんとに駄目なのっ! 狂っちゃううぅっ!」
 ぎゅうっと同級生にしがみつき、会場後方では乱れたスカートから丸見えのヒップがいやらしく円を描くのを見られているのも気にする余裕もなく、ただ泣きじゃくっては許しを請うしかない。
(だ、だめ‥っ、もう間に合わないッ、こ、こんなところでっ‥!)
 菊丸の指に苛め抜かれ、小さなロボットの振動、必殺回転攻撃にまで晒され、いかな気丈な少女ももうどうにもならないところまで追い込められてしまっていた。
 縋る者のない不安が思わず覆面の男の正体を叫びあげてしまう。
「だ‥め、きくまるうっ!」
「このままじゃみんなに聞かれちゃいますなあ♪」
「い、いや、そんなのいやよっ! お願い、なんとかしてえっ‥!」
「でへ。なんとかって、どうして欲しいのかなー、いずみちゃん?」
 そんな少女の悲痛な叫びを心地よく聞きながら、しっかり次の躾に利用するのだから本当に高校生なのか疑いたくなる調教師ぶりだ。
「こ、この‥っ」
「えへ。いいのかなー、おじさんも会場にいるのに聞かれちゃうなー」
「‥っ、お、お願いっ! ‥‥して‥っ」
「え~、聞こえないよ。なぁんですか~?」
 美貌を首筋まで真っ赤に染め上げ、一度は菊丸を睨みつけていたコンパニオンが小さく粒やく。しかしニンマリと笑みを浮かべ、いやらしく頭を振ると耳に手を当て黒い悪魔のように聞き返してやるのだ。
「き、聞こえたでしょっ」
「いやー、よく聞こえなかったんだよね~。もう一回今度は大きな声で♪」
「~~~~~~っ」
 今度こそはっきりと殺意すら感じられる鋭さで同級生を睨みつけるも「ほら早くしないと♪」と催促と同時、
「あっ、あ! だめえええっ!」
 カリカリと壁を擦られ、ロボットの必殺攻撃を一撃、また一撃と繰り返されてとうとう音を上げ、この衆人環視の中、同じ高校の好きでもない同級生に向かって声を塞ぐための要求を叫んでしまうのだ。
「菊丸っ、お願いだからキスしてっ! ああん、キスしてくださいっ!」
 高性能マイクを通して響くお願いに会場中がどよめき、色めき立つ。
「嫌がってたんじゃないのかよ?」「おねだりって‥」「まじかー、あんな可愛い子が」「それより菊丸ってあの覆面のことか?」「そういや予選でそんな奴いたような‥」
 様々な感想が広がるなか、この満員の観客たちの前でそんなことを口走るコンパニオンに菊丸はいかにも仕方なくといった感じに首を振る。
「いずみちゃんにそうまで言われちゃしょうがないですなあ。それじゃあ‥」
「んっ‥、むっぅ、ん! ぁ、はぁ‥ン、うぅっ、‥うムぅっ、ん‥」
 ようやく重ね合わせてくれたのをコンパニオンが夢中になって吸い付く様を観客たちが呆気にとられて魅入る。もう覆面男の正体など誰も口にする者はいない。
(えーと、なんだっけ、千里の道も一歩よりだっけ)
 舌を根こそぎ吸い上げ、くぐもった呻きを鼻先からこぼす愛らしい様子に満足しながら、担任教師と同じく癖をつけようと、意外な知性を披露しつつその長い道のりの第一歩を踏み出すのであった。
「っ! うっ、ふぅっん! んんっ、ぅむっう~~~っ!」
 器用にロボットを操作し、手探りで見つけ出したいずみの弱点を必殺の変形技。自慰巣歩屠振動回転攻撃を繰り出す。
 暴れだすいずみを抑えつつ、自身も人差し指と中指とでカリカリと援護し、親指は本命の真珠湾攻撃へと移行するのだ。
(トラ、トラ、トラ。我奇襲に成功セリ♪)
 先ほどまで弄んでいたぷっくりと可愛く主張する真珠を親指の腹でコリコリと捏ね繰り回してやると、もう少女の身体を抑えるのも一苦労になる。
「‥っ、うぅっん、ふゥっぁ、はっ、んむうっ!」
 眉間に皺を寄せくっきりと線を引いたような眉が八の字にたわみ、額にびっしりと浮いた汗で奇麗に揃えられた黒髪が妖しく張り付いて、一層の艶めかしさを演出していた。
 少女から漏れる鼻息が甘えるような音色を放ち、ローレグミニスカが乱れて丸出しのTバックヒップが悩ましい円運動を行い。
「‥‥‥っ、ぅ、む、ンんぅっ、~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!」
 膝を擦り合わせて踵を浮かせたコンパニオンが壇上、覆面男にきつくしがみついたまま衣装の露出部から撒き散らした汗が照明にキラキラと輝くのを背景に、やがてがっくりと崩れ折れるのを慌てたように覆面男が支えてやるのだった。
「うわっと‥いずみちゃん?! ‥‥ん?」
 ここで菊丸も会場が静まり返り自分たちに視線を集中させている居心地の悪さを遅ればせながら感じ取る。
「え、ええと。コンパニオンのことはぼくにまかせてくれっ、それではさらばだっ!」
「な、なんだったんだ、いったい」
 いずみをお姫様抱っこで抱え、そのまま逃げるように会場から去ってゆく覆面男を呆然と見送るのだった。

「ふう。一時はどうなることかと」
 額の汗を拭い、菊丸が避難したのは会場に用意された救護室だ。
 眼下には救護ベッドに横たえられ、今は浅い呼吸を繰り返す天敵同級生。
「おーい、いずみちゃーん。もう大丈夫ですよー?」
 小さく囁くように会場から立ち去れたことを伝える菊丸に、しかし少女からの返答はない。
「うーむ。すごい汗。このままでは風邪をひいてしまいますよ。それにまだ虫もそのままだし。しかたない、ぼくが一肌脱ぎますか♪」
 同級生の体調を慮り、心を決める菊丸であった。

「まずは窮屈そうなタンクトップを、と」
 はみ出した下乳を締め付けるきつさのタンクトップに手をかけ、するりと脱がしてしまう。と、ようやく自由になれた喜びを表すようにブルンと見事に張りのある二つの膨らみが、仰向けになっても一切垂れることなく天に向かって突き出すのに。
「さっすがいずみちゃんのおっぱい。この張りといい、弾力といい、まさに一級品ですなあ」
「う、うぅん‥」
 気を失っているのをいいことに同級生の膨らみを両の手で楽しみながら、好き勝手な品評をする菊丸。
 ひとしきりその手触りを楽しむと「さーて、お次は」と削いだようにくびれた腰を覆うローレグミニスカートへ視線を向け。
「さあ、お尻を上げてー。はい、よくいいですねー、その調子ですよー」
 と自身で引き締まったお尻を持ち上げながらスカートを抜き取ってしまう。
「おお、こうして見るとまたなんとも堪らない眺めですなあ♪」
 タンクトップにスカートを脱がされ、身に着けているのは極小面積のマイクロビキニパンティだけとなった美少女の艶姿に喉を鳴らし、高校生とは思えない完成された肢体に改めて舌鼓を打つのであった。
「それではまずは汗を拭いて‥」
 備え付けのタオルで手早く汗を拭き取り、いよいよ最も汗に濡れている薄い布地に目を向ける。
「これだけ濡れてるとタオルじゃ拭ききれませんな。ここはやはり、下着も替えた方が‥」
 だらしなく崩れた表情で誰に向けてかそんなことを宣い、ベッドに上がるとマイクロビキニに手をかける。
「これもいずみちゃんのため。それでは‥」
 少しでも感動を盛り上げようと、ゆっくりゆっくりとパンティをずらしてゆく菊丸。
「いずみちゃんとも長い付き合いだけど、いよいよ感動のご対面かー。感慨深いなあ」
 べっとりと肌に張り付く薄布の脱がしにくさも相まって、いずみとの思い出が走馬灯のように脳裏に浮かんでは消え、遅々として進まないパンティ撤去作業。
 しかし何事も始まりがあれば終わりがある。
 そんな昔を懐かしむ菊丸の遅延作業もあと一息で全てが過去の思い出になろうとすると、さすがの菊丸の手も緊張で震えるのだ。
「あ、あともう一ミリ。いずみちゃん、責任は取るからね!」
 覚悟を決め、天敵同級生の全てを白日の下に晒そうと力を込めるのである。

 その頃。
「大丈夫ですか、おじさん」
「う、うむ。すまんな」
「しっかしひどいことする奴もいたもんだ」
 廊下を大会参加者の青年に支えられまだふらつく足取りで進むのはいずみ父だ。
 あれからステージへの視線が外れ、ようやく会場隅に転がされていた中年親父の惨状に気付いた観客数人にこうして介抱されているというわけだ。
 いずみ父が気付いた時にはステージには娘も、覆面男こと菊丸の姿もなくいったい意識を失っている間になにがあったのか、気が気ではないがとにかく今は休んだ方がいいと救護室へ付き添われているのだった。
「お。着いた着いた。すいませーん、ちょっと診てもらいたい人がいるんですけどー」
 救護室の看板に安堵し、扉を開けた青年が目の前に広がる光景にピシリと固まり。患者予定の中年親父は最初は青く、次いで赤くと信号機のように顔色を変え。
「き、き、き、きっさま~~~~~~~っ、娘になにをやって‥?!」
 ベッドの上で半裸になっている娘のパンティを脱がそうとしている菊丸へ怒号を上げかけたところで、あまりの興奮に目を回し、再び意識を失いバタンと倒れ。
「お、おじさん? 大丈夫ですかっ!」
「ありゃりゃ」
「う、うぅん、なーに、うるさいなあ‥? って、な、なによ、この格好っ! き、菊丸っ、あんたの仕業‥、え? お、お父さんっ?! もう、なにがどうなってるのよ~~~~~っ!」
 騒ぎに目を開けたいずみも加わり三者三様の叫びが救護室に響き渡るのであった。


 そんな騒動から再びのロボット格闘大会。
「いやー原田くん。なかなか評判だねえ、例の覆面」
「はっ、ありがとうございます」
 新たな大会で評判のミスタークリセンセマムを名乗る覆面選手。その企画を持ち出したいずみ父に社のお偉方が肩を叩くのに満面の笑みで迎えるいずみ父。
 なにしろ覆面選手は無料奉仕の24時間戦ってくれる素晴らしい条件に、関連のキャラクター商品も飛ぶように売れているのだから。
 その立役者をいずみ父の背中越しに見やって、一筋の汗を額に垂らし。
「あー、しかしあれだね。ここ最近、世間もうるさい。あまり働かせすぎては‥」
「ご心配なく。覆面ですからいくらでも誤魔化せます。倒れたところでまぁ、別に」
「う、うむ、そうかね。きみがそう言うのなら、まあいいのだが」
 周囲をはばかり、耳打ちするのをこれまたきっぱりと断言するいずみ父の迫力にこれ以上の深入りは禁物と見たのか、及び腰に立ち去る上役。
「さーて、挨拶も済んだし次の現場へ行ってもらおうか、クリンセマムくん」
 振り返るとそこには椅子に死んだようにぐったりと腰かけていた覆面男が、ビクンっと肩を震わせる。
「も、もう無理ですってば。これで一週間寝てないんですよ、お父さん!」
「誰がお父さんだっ! ええい、一週間くらいでなんだというんだ! き、貴様が娘になにをしたかっ」
 聞く耳持たずと覆面男の襟首を掴んで次の会場へ引きずってゆくいずみ父であった。

またお父さんを怒らせて。ほんとにしょうがないんだからっ!

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コメント

  1. HI-R より:

    リンダ 新鮮!

    いずみ 最高!

    新作感謝!❤❤❤❤❤

  2. 通りすがりのファン より:

    新作ありがとうございます(^^ゞ
    リンダが新鮮でした。
    これからも執筆頑張って下さい(^^)d

    • 虎馬屋@管理人虎馬屋@管理人 より:

      >通りすがりのファンさん

       頑張ります。
       リンダ、そうか、新鮮かー。そうですよねー。

  3. 匿名得雄 より:

    リンダの登場とても新鮮でした。リンダと千春の争いは原作を思い出して懐かしくて嬉しいです。テクノロジーの進歩って凄いですね。使いこなす菊丸はさすがですが、いずみちゃんにとっては災難ですね。

    • 虎馬屋@管理人虎馬屋@管理人 より:

      >匿名得雄さん

       どれだけこのサイトでリンダの扱いが不遇なのか、よくわかりました。
       すまんこってす。

       他はともかく、日常場面は原作の範疇を超えず、なるたけ当時の雰囲気を怖さないようにしているので嬉しいです。
       自分も書いていて、リンダと千春はこうだよなー、と懐かしくなりました。

  4. シャーロック より:

    初めまして。全ての作品を拝見させて頂きました。管理人様の作品はキャラクター愛に溢れているように感じました。そこに原作にはない過激さが加味され、興奮せざる終えません。特に菊丸によるイタズラと言う名の性技の数々、その描写、台詞ひとつとっても。その場面を思い浮かべる事が出来る書き方は、素晴らしいです。是非今後も股関に響く作品…期待しています!!

    • 虎馬屋@管理人虎馬屋@管理人 より:

      >シャーロックさん

      初めまして。
      過分なお褒めの言葉、ありがとうございます。

      やはり愛ですよね、愛。
      どっかの誰かも言ってました。
      最後に愛は勝つと。
      愛の戦士たち 2022は許さねえけどな。

      あれ。それだと菊丸勝ち目ないような。

      嘘をつきました。
      やっぱあれですわ。
      愛じゃなくて最後は悪戯の名を借りた調教っすわ。

      それはそれとしてこれからも頑張りたいと思います。

  5. かめ より:

    管理人様 最新の投稿 楽しく拝見させていただきました。

    リンダ、千春ちゃんがいるとほっこりしますね。
    原作ぽくっていい雰囲気です。

    桂木先生にも劣らぬいずみちゃんには
    躾+衆人プレイで羞恥責めですね。

    今回は出番がありませんでしたが、きっと居てたら、
    会場の端っこのほうで、桂木せんせがもじもじしているのでは?(( ´∀` )

    • 虎馬屋@管理人虎馬屋@管理人 より:

      >かめさん

       ありがとうございます。原作っぽいと言われるのはなによりの誉め言葉でございます。

       衆人環視による羞恥ネタ好きなもので、破綻しているとはわかっていてもつい多用してしまう業の深さをお許しください。
       先生、ド変態なのでモジモジしてると思います。

  6. Maxwell より:

    リンダも登場できて良かったね!
    …良かったのかな。w

  7. コォコォ より:

    うーむ!傑作ですね♪♪
    それにしてもお父さんの目の前で酷すぎますね、菊丸wええ、酷いですよ、酷すぎますよw
    そりゃお父さんも失神しちゃいますってw
    しかもエロのためなら優勝者も僅か一行のみで倒してしまうとは…
    そこに痺れて憧れますね、はいw
    今回は新技が多かったですね。この調子で【菊丸流48の必殺技】を完成させたいですねw
    僕もそのうち微力ながら協力します♪w

    • 虎馬屋@管理人虎馬屋@管理人 より:

      >コォコォさん

       ありがとうございます。
       新技、誰も突っ込んでくれないので悲しいです。
       ガオガイガー知らんのか‥。

       新技、ぜひコォコォさんの作品で拝見させてください。