「菊丸流、健康診断!の巻」
「ねえ、いずみちゃん。本当に行くの?」
「ん、もう。まだ言ってるの、菊丸君。しょうがないでしょ、頼まれちゃったんだから」
「でもさあ」
「いいから、行くわよ。菊丸くん」

まったく、もう、菊丸くんったら往生際が悪いんだから。
え? どうしたのかって?
それがね、わたしたち、ユキちゃんのおじいちゃんに子供たちの健康診断のお手伝いを頼まれちゃったの。
菊丸くん、それが嫌でこんなにグズグズしてるってわけ。
あ、見えてきた。あそこが子供たちの保育園みたいね。
「ほら、もう、いい加減に観念なさい。往生際が悪いわよ」
いずみの声にいやいやながらも、扉をくぐる菊丸。その菊丸を向かえたのは子供達の嬌声であった。
園児達にとっては、こんな状況も楽しいイベントのようなもので園内は走り回る子供達で騒がしいことこの上ない。
「すごいわね。これじゃ、おじいさんも手伝って欲しいって言うわよね」
思わず、そんな言葉が洩れるほどの惨状である。
泣き出すガキ。
走り回るガキ。
鼻水を垂らしているガキ。
何がおかしいのか笑っているガキ。
ガキ、ガキ、ガキのオンパレードだ。
菊丸もうんざりした調子でぼやいている。
「うー、だから、いやだっていったんだよ」
「ごめんなさい、先輩。おじいちゃんが無理言っちゃって」
「え?」
自分の愚痴に応えられたことに驚いて振り返る菊丸。
「ユキちゃん!」
そこには後輩の水田ユキが立っていた。
以前、千春が妊娠騒ぎを起こしたときの縁で、水田医院の孫娘である彼女の家庭教師を勤めた事もあるのが菊丸だ。その後、ユキは自分たちの高校に入学して菊丸の後輩になったのだが、考えてみればあの時も身体測定の時に再会したのだから、よくよくこんな状況に縁があると言える。
「あら、ユキちゃんも来てたの?」
「はい、いずみ先輩。わたしもおじいちゃんに頼まれちゃって」
ちょっと困ったように答える様子には、以前の小生意気な様子はみえない。
「なーんだ、ユキちゃんも一緒なんだ。やだなあ、迷惑なんて。ユキちゃんのおじいちゃんの頼みなら断れないよ」
調子よくユキの手を握り自分をアピールする菊丸。
「あ、あはは、ありがとうございます。菊丸先輩」
続きはfantiaから

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