ハートキャッチいずみちゃん SS_26

小説管理人作品
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「お見舞いでドッキリ?!の巻」


「ぶええっっくしょんっ」

みんな元気にしてる?
インフルエンザが流行してるっていうし、健康には気をつけてね。
え、今のクシャミは何だって?
じつはね‥

「もう大人しくしてなきゃ駄目じゃない」
「い、いやあ。そろそろ薬を飲む時間なんだよね」
 花を花瓶に活けていたいずみは大音量に振りむくと、ベッドの上で寝ていた菊丸が布団を剥いでコップを手にしているのが見えた。
「でも、もうだいぶ良くなったみたいね。一週間も学校に来てなかったし、お見舞いも無理だっていうから心配したのよ?」
 担任の桂木慶子がプリント類などを手渡しながら、ホッとしている。
 菊丸、かなりタチの悪い風邪にやられてここ一週間は自宅療養中だったのだ。ようやく病状も回復したということで、二人が代表でお見舞いに来たのである。
「ほんと、死ぬかと思いましたよ~。辛いのなんのって‥」
 そこまで言いかけたところで、菊丸の目は担任教諭の胸元に釘付けになっていた。
(お、おお~~っ!? こ、これは‥)
 屈んでいることでサマーセーターの胸元からこぼれんばかりの迫力で二つの果実が覗けそうなのだった。

 

「? 菊丸くん、どうしたの? ‥!」
 薬瓶を手にしたまま、じっと自分を凝視する菊丸に不審を覚えて視線を辿ってみれば。
「きゃああっ、どこ見てるのよ」
「こ、のっ‥またあんたはっ!」
「あいたっ!」
「きゃあっ、冷たいっ」
 慌てて胸元を隠す桂木先生とすぐさま飛んできたいずみがお仕置を据えるのだが、その拍子に菊丸は持っていた薬瓶を取り落とし中身が担任教諭に降りかかってしまった。
「あ~あ、薬がなくなっちゃった」
 空になった薬瓶を振りながら、恨みがましくいずみを見る菊丸。

「な、なによ、菊丸くんが悪いんじゃないの」
「そうかもしれないけど、薬がないんじゃ治るものも治らないよ。お見舞いに来てくれたんじゃなかったの、いずみちゃん?」
「う‥、わ、悪かったわよ。今からお薬を貰ってきて上げるから、それでいいでしょ?」
 見舞ったその相手を殴りつけたことに罪悪感を覚え、ジト目で見続ける同級生から逃げるようにして菊丸が描いた簡単な地図を手に病院へと向かうのだった。
「ふぅ、わたしの服も乾かさないと‥。お気に入りだったのに」
 薬に塗れてしまった服を見下ろしながら呟く桂木先生。菊丸はそんな女教師を横目で見やり、ニンマリといつも笑みを浮かべている。
(でへ、いずみちゃんもいなくなったことだし、このチャンスを逃す手はないですよ~♪)
 お風呂場を借りるわね、と出て行こうとする桂木先生を菊丸が引き止めた。
「ま、待ってください、先生」

続きはfantiaから

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