ハートキャッチいずみちゃん SS_30

小説管理人作品
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「秋の味覚に大満足?!の巻」


こんにちは。
わたしたち、今日は秋の味覚を楽しもうと山に栗拾いにやってきたんです。

「すっごーい、これ全部栗の木なんだー」
「オゥ、コレガニッポンノ風物詩デスカ」
 いっぱいに生えた栗の木にそれぞれの感想を漏らす千春とリンダ。その二人の下に屈みこんで、首を伸ばしているバカ者が一人。
「うふ。こっちの眺めも最高ですなあ」

「この‥っ、なにしてんのよ、あんたはっ!」
「いって~~っ、い、いや違うんだよ、いずみちゃん。秋といえば芸術の秋。ぼくも湧き上がる衝動に駆られてだね、美しいものについ目がいってしまったというか‥」
「やだ、菊丸くんたら」
「菊丸ハアイカワラズ正直デ~ス」
 千春とリンダ、日米を代表する天然娘二人はスカートの奥を覗かれていたというのに、殴られた頭をさすりながらする菊丸の言い訳にポッと頬を赤らめていた。
 いずみはそんな二人のあいかわらずの天然ぶりに頭痛を堪えるようにこめかみに手をあてる。
「あのねえ、二人とも。そうじゃないでしょ」
「まぁまぁ、せっかく栗拾いに来たんだし、秋の楽しみを満喫しようじゃないか、いずみちゃん」
「こいつは~~~っ。あ、こら、待ちなさい。ん、もうっ!」

 いずみの怒りもどこ吹く風、頭痛の種の張本人は千春とリンダを連れだってさっさと山道を進んでいくのだった。
「まったくもう、菊丸くんたちどこまで行っちゃったのかしら?」
 三人を追いかけ奥へと進んだいずみだったが、影も形も見当たらなかった。
 園内で渡されたパンフレットを確かめる。どうやら途中にあった枝別れの道を進んで行ったようだ。
「って、違うコースじゃないの。しょうがないわねえ‥、やだ、圏外?」
 呼び戻そうと携帯電話を取り出したが、山中ということもあって電波の状況が不安定なのだろう。不承不承いずみは元来た道を戻って行くのであった。
 パンフレットに描かれた地図を頼りに歩いていたが、土地勘のない場所に加えて背の高い木が多くなり山道に影を作り、ますます不安を煽っていまどこにいるかもわからなくなってきてしまっている。
「やだ、道間違えちゃったのかしら。戻ったほうがいいわね」
 とにかく一度戻ろうと踵を返す。が、ついさっき通ってきた道だというのに、目印のない風景はどこを戻ればいいのかもわからない。

「嘘‥、どうしよう? ほんとに迷っちゃったみたい」
 昼日中とはいえ山の中、おまけに携帯電話も通じない現実が17歳の少女に重く圧し掛かってくる。
 いくら気丈とはいえ、その辺りは普通の高校生と変わりはしないのだ。
 しかし慄いてばかりもいられない。手探りをするように景色を確かめながら、一歩、また一歩と進んでゆく。
「確か、この道だった‥と思うんだけど‥。なんにも目印ないから不安になるわね」
 カサカサと落葉を踏みながら周囲を見渡しても、一本一本の木の違いまで注意をしていなかったことを悔やむだけで目印のようなものは見つからない。
 と、これまで踏みしめていた落ち葉とは違う感覚に気づく。同時。ガサっと木々を散らす音と上から何かが落ちてくる気配が。
 それが何か確かめる間もなく覆いかぶさってきたそれにいずみの体の自由は奪われてしまっていた。
「きゃああああっ!! な、なんなのっ?!」

続きはfantiaから

コメント

  1. みなみ より:

    やっぱりいずみちゃんが責められるのは見てていいもんですね~。

  2. プリンヌ より:

    いずみちゃんサイコー!

  3. HI-R より:

    改稿ご苦労様です。
    いずみ好きとしては嬉しいかぎりです。

    • 虎馬屋@管理人 虎馬屋@管理人 より:

      >>HI-Rさん

      どうもありがとうございます。
      毎回、先生ばかりで申し訳ないです。