ハートキャッチいずみちゃん SS_06

「女子プロレス観戦でどっきり!の巻」


こんにちは!
今日はプロレス観戦に来てるんです。

 ここはいずみたちの住む近くにある市民体育館。
 そこで以前知り合った女子プロレスラー、マリアン松本の試合が行われると知り、こうして出かけてきたわけらしい。
 リング近くの席に座るいずみは、目を輝かせて興奮気味だ。
 見知った人物がこうして活躍し、今にも勝利を手にしようというのだから当然だろう。
 そうしていずみが見守る中、リング上ではマリアン松本選手が見事に対戦相手を沈めて、レフェリーに腕を掲げられていた。
「きゃー、菊丸くん! マリアンさんが勝ったわよ!」
「うん、すごいなぁ、あんなに大きい人と戦ったのに」
 いずみの嬌声に、菊丸も感心しきった声で答える。

「それにしても凄かったわね、マリアンさん」
 先程までの試合を思い起こして、やや興奮気味のいずみ。
「いずみちゃん、プロレスにハマっちゃったの?」
 菊丸もいずみの興奮振りに、苦笑混じりに言葉を返す。
 以前、確かにプロレスのレッスンを受けようとしていたのだが、あれは千春の付き添いで見学のみ。
 だから、そんな趣味があるとは菊丸にも意外であった。
「え、えへへ、ちょっとね」
 じつはたまたまマリアンの名前を見かけて試合を見に来たので、菊丸の問いにばつが悪そうに可愛らしく舌を出しながら答える。
 千春も誘ったのだが、用事があるとのことで今日は菊丸と二人で観戦に向かったのだ。
「だって、マリアンさん、凄かったんだもん。わたし、すっかりファンになっちゃった」
「うん、ぼくもプロレス好きになったよ」
 そう言う菊丸をジト目で睨むいずみ。
「あら、菊丸くんはプロレスのファンっていうよりも、マリアンさんが好きなんじゃないの?」
 観戦中、菊丸が試合ではなく、ただひたすらにマリアンの姿を追っていた事を言っているのだろう。
 声も態度も刺だらけである。
「あ、あははは、やだなぁ、いずみちゃん‥」
 乾いた笑いに菊丸の焦りが伺えるのであった。
 試合のことで、話し合う二人が向かっている先はマリアン松本の控え室。
 一応、面識のある二人だ。
 それならば、ということで試合の勝利をお祝いに行こうと相成ったわけである。

「ここね」
 廊下を渡りきったところで、控え室と書かれた扉があった。その目の前にいずみたちは立っている。
「なんか緊張するなぁ」
 いずみに応えて掬丸がやや緊張した面持ちで応える。確かにいきなりの来訪だ。
「ふふ、掬丸くんが緊張するなんて珍しいわね」
「ああ、ひどいなー、ぼくだって緊張くらいするよ」
 いずみの言いようにむくれてしまう菊丸。いずみはそんな菊丸の様子に、苦笑しながら扉を叩く。
「‥はーい」
 扉の向こうから澄んだ声が聞こえ、ノブの回る音とともに扉が開き件の人物、マリアン松本が現れた。
「‥あら、あなたたち? ‥たしか‥」
 マリアンは扉の向こうに立つ二人の姿を確認すると軽い驚きの声をあげた。
「あ、こんにちわ。マリアンさん。あの、わたし達のこと‥覚えてますか?」
 いずみはマリアンに控えめな確認を取る。
 いきなりの来訪だ。相手に覚えてもらっていなければ、単なる押しかけのファンになってしまう。それに対する、マリアンの応えはいずみを安堵させるものであった。
「ええ、覚えてるわよ。いつかの体験入門のときの‥確か、いずみさん、だったわね」
「はい! わぁ、覚えててくださったんですね」
「まぁね。そこの男の子にはお世話になったから」
 マリアンは笑いながら菊丸を見る。その表情に屈託はなく恨まれてはいないのだろうが、どうにも居心地が悪い。
「あははは。ども」
「うふふ。そんなに固くならなくてももう怒ってないわよ」
 菊丸の態度にどうやらご満足のようで、マリアンは魅力的な笑みを作る。その微笑みはとても先程まであれほどの試合を繰り広げていたとは思えないものだった。
「ところで、今日はどうしたの? 二人して」
 マリアンに水を向けられた事で漸く本来の目的を思い出したのか、いずみが腕に抱えていた花束を差し出す。
「あの、今日はおめでとうございます。わたし感動しちゃって」
「わあ、見ててくれたんだ。ありがとう、いずみちゃん」
 差し出された花束を受け取ると、いずみに礼を言う。
「いえ、本当は観に来たくてきたわけじゃないんです。たまたまチケットがあったから。‥でも、今日のマリアンさんの試合を観てプロレスのファンになっちゃいました♪」
 やや申し訳なさそうに、マリアンに告げる。対してマリアンはその言葉にむしろ嬉しそうにいずみに笑いかける。
「あら、じゃあ、わたしの試合でプロレスに興味を持ってくれたのね。うふ、嬉しいな」
「はい! あの、これからはマリアンさんの試合は必ず観にいきます!」
 いずみの方でも頬を紅潮させて宣言する。どうやら、相当に今回の試合内容がお気に召したようだ。
「ありがとう。‥あら、もうこんな時間?」
「どうしたんですか、マリアンさん?」
 なにか約束でもあるのだろうか、時間を気にするマリアンにいずみが不思議そうに問い掛ける。
「あ、うん。今日、試合が終わったら先輩が来てくれる筈だったんだけど‥」
「‥先輩って黒猫マスクさんですか!」
「ええ。でも、随分遅いから今日はもう来ないのかしらね」
「そんなことないですよ、きっと、遅れてるだけですよ」
 いずみは寂しげに顔を伏せるマリアンの不安を解消するように、慰めるように言葉をかける。
「そうかしら?」
「ええ、きっともう来ますよ。わたしたち、お邪魔にならないようにもうお暇しますね」
「ごめんなさい、もっと、お話できれば良かったんだけど」
「気にしないで下さい。きっとまた遊びに来ます、そのときは」
「ええ、じゃ、今日はありがとう」
 流石にベルトをその手にした日に、先輩との交流を邪魔するわけにもいかない。いずみは菊丸を伴って早々に退出する。

「あ~あ。ぼくはほとんど話せなかったよ」
「あら、ずっとソワソワしてたみたいだったけど?」
 ぼやく菊丸をいずみがからかう。なにしろ菊丸はといえば以前の事もあるのか、落ちつかなげな様子で二人の会話を聞いていただけだったのだ。しかしそれも無理はない。あの試合を観ていれば、いかに菊丸といえどもおとなしくもなる。
 いずみはそれを揶揄したわけだ。
「ちぇっ! いじわるだなぁ、いずみちゃん」
「うふふ」
 二人が他愛もない会話で廊下を歩いていると、菊丸がふと立ち止まり、ブルリ、と身体を震わせる。

「‥う」
「‥どうしたの?菊丸くん」
「あー。いずみちゃん、先にいっててよ」
「え?」
「ごめん、ちょっと、トイレにいってくる」
 言うが早いが菊丸はトイレに向かって走っていった。後に残されたいずみはその後姿をただ、呆れてみているのであった。
「ん、もう。はしたないんだから」
 トイレに駆け込み、溜まりに溜まった水分を勢い良く放出する菊丸。
 やがてその勢いも衰え、一息に奪われた熱量のためにブルブルと身体が震える。
「ふう~っ、生き返った~」
 なんとも気持ちよさげな声を出す菊丸の耳に、外からの騒ぎが聞こえてくる。
「なんだろう?」
 外の喧騒に耳を傾ける菊丸。
「‥!‥が。‥、でも」
「う~ん、良く聞こえないなぁ」
 どうやら、ここからではまだ聞こえる範囲ではないらしい。菊丸は好奇心から声の聞こえる範囲へと足を向けていく。暫く歩くと、段段と声がはっきりした意味を伴って菊丸の耳に聞こえ始める。
「黒猫マスクが風邪でダウン?」
 廊下の端から菊丸の耳に届いた第一声に立ち止まる。
 何しろ、黒猫マスクといえば先程のマリアンといずみの会話にも出ていた人物だ。それに女子プロに詳しくはない菊丸にも、ある意味なじみの深い人物でもある。
 その黒猫マスクのことが話題になっているのだ。
(これは、良く聞いておいて損はないかも‥)
 にへら、とだらしのない笑みを浮かべて廊下の向こうの声に聞き耳を立ててゆく。
「ああ、さっき社のほうで聞いた話なんだけどな。どうも、かなりの重症で入院までいくって話だぜ」
「って、風邪じゃないのかよ?」
「いや、風邪は風邪らしいんだが、インフルエンザの疑いがあるって事でな。団体の方でも大事を取ってってことらしいぜ」
「へー。しかし、黒猫マスクていえば、ほれ、今日の試合のマリアンと今度タッグを組むって話じゃなかったか?」
「ああ、その辺り団体の方でも頭を悩ませてるらしいぜ。なにしろマリアンの黒猫マスクびいきは有名だからな」
「はは、そうだっけな」
「ま、いずれにしても明日の記事にはマリアンの勝利と併せて、このネタを持っていくことにするよ」
「おお、じゃ頑張ってくれや」
 どうやら、会話の主達は新聞社の人間らしい。スポーツ新聞の記者らしく下世話なネタも話しに入ってはいたが、聞き耳を立てていた菊丸にとっては、非常に有意義な内容だったのだろう。その顔は、あのいつもの顔へと変化している。
(うぷぷぷ。いいこと聞いちゃった~。)
 軽やかにスキップしながら、廊下を走り抜けてゆくのであった。

「さて。確かこの辺に‥」
 ごそごそと動く菊丸がいる場所は、会場の控え室にあたる場所。といっても先程訪れた場所ではなく、いずみと歩いていたときに見つけた物置のような場所だ。
 恐らくは一時的にレスラーの私物を置くために会場側が用意したのだろう。
 その中で菊丸が何かを探して蠢いている。
「あった~!」
 叫びを上げる菊丸が手に持つはいつか見たマスク。それにレオタード。
「これを使って、またじっくり楽しませてもらっちゃおうッと」

「は~い」
 扉の叩かれる音に顔を覗かせるマリアン松本。
 その顔が喜色に染まる。
「わあ! 黒猫マスク先輩! 来てくれたんですね」
 マリアンの前に立っていたのは、待ち焦がれていた憧れの先輩、黒猫マスクだった。
 当然この黒猫マスク、菊丸の変装した姿である。
「当たり前でしょ。可愛い後輩のためだもの」
「‥あら、先輩。声がなんだか‥」
 マリアンは聞きなれた黒猫マスクの声にわずかの違和感を覚え、聞き質す。
「え、ええ。少し風邪を引いちゃって‥、声が」
「そうなんですか。それなのに来て頂けるなんて。嬉しいです」
 あっさりとその言葉に頷くマリアン。
「いいのよ、マリアン。それよりも‥」
「はい?」
 小首を傾げ、マリアンが黒猫‥菊丸を見る。
「あなた、今日の試合で疲れているのじゃないの?」
「ええ、まぁ、少しは」
「そうでしょう? 今日は頑張ってたみたいだから」
 言いながら菊丸は控え室の奥にまで進むと、壁際のベンチを指し示しマリアンに横になるように告げる。
「マッサージをしてあげるから、横になりなさい」
「えっ! そんな。先輩にそんなこと、させられませんよ」
 もとより上下関係の厳しい世界である。加えて、マリアン自身最も尊敬する先輩レスラーの黒猫マスクにそんなことをさせられるわけがない。
「何言ってるのよ。いい、試合後のクールダウンは大事よ。先輩も後輩もないわ」
「でも‥」
「それにあなたとわたしは今度タッグを組むんだし、筋肉の付き方をきちんと把握しておきたいのよ」
 遠慮する後輩に、先輩として、パートナーとしての言葉をかける。廊下で立ち聞きした内容をここぞとばかりに有効に利用していた。
「そうですね。それならお願いします」
 タッグパートナーである先輩から、こう言われてしまっては最早渋る事もない。もとより疲れていたのは確かなのだ。素直にベンチに横たわる。
(でへへ~。マリアンさんで楽しむ用意がこれでばっちり出来たわけだあ!)
 菊丸は眼下で寝そべるマリアンをいやらしい眼で嘗め回す。
 実際、じっくりと見下ろすとマリアンの体つきはレスラーのものとは思えないほど華奢なつくりをしていた。
 小柄なマリアンはパワーレスラーではなく、スピードを重視した技巧派である。故に無駄な筋肉を殺ぎ落とした結果がこの男性からすると魅力的な身体なのだろう。
 さすがに肩幅は普通の女の子よりはあるのだが、その辺りを気にしなければモデル並みのスタイルである。
 しかも、要所要所の膨らみは鍛え上げられた筋肉によってしっかりと上を向き、理想的な凹凸になっている。
(うぷぷ。マリアンさん、ぼくのマッサージでしっかり気持ち良くさせてあげるからね~♪)
 わきわきと指を動かし、マリアンに腕を伸ばす菊丸は、すっ、と背中に指を這わせる。
「‥ぅんっ!」
 ゾクゾクとした刺激に背を震わせ、声を漏らすマリアン。
「え? ‥あっ、あんっ!」
 菊丸の指は背中からその下方、こんもりしたヒップへと向かい始めている。
 純粋なマッサージならばそれも普通の行為なのだが、如何せん菊丸の指の動きはとても普通のマッサージの動きとは思えない。
 やや大きめな白い臀部に微妙な動きで刺激してゆく。
(うわ、柔らか~い!)
 マリアンの柔らかいお尻の触り心地を楽しむように、菊丸は調子に乗って指を動かしてゆく。
「あ、きゃうっ!」
 菊丸から送られる刺激にマリアンは思わず可愛らしい悲鳴をあげてしまう。
「もう、なんて声出すの、マリアン」
 菊丸はそんなマリアンを揶揄するようにからかいの言葉を向ける。
「あんっ! だ、だって、先輩の触り方‥あ、あはんっ!」
「あら、わたしはマッサージしてるだけよ」
「‥そんなぁっ?! こ、こんなマッサージあるんですか‥? あ、あぁんっ!」
「もちろんよ。これはわたしの考案した黒猫流マッサージなんだから。疲れに良く効くし気持ち良くなれてお勧めなんだから」
 うつ伏せになっているために首を回して疑問を投げるマリアンだが、尊敬する先輩独自のマッサージと言われては返す言葉もない。
(でへ、ほんとは黒猫流じゃなくて、天国直行の菊丸流だよん♪)
 菊丸は更に調子に乗って、指の動きを卑猥なものにさせてゆく。
「あっ! ああんっ! せ、先輩っ! そ、そこはっ! ‥い、いやぁんっ」
「ふうん。気持ち良くないの?」
「こ、こんなの‥気持ち良くなんか‥っ! うっ! はぁっあ、あん、あん」
「その割には、随分可愛い声で鳴いてるじゃない?」
「そ、それは‥。あ、駄目ですっ! そこっ、あ、あ、いや、いやぁっ!」
「もっと素直になりなさいよ、マリアン。ここをこうされると気持ちいいんでしょ?」
 菊丸はお尻の谷間に沿って指を動かし、マリアンを追い詰めようとする。
「あん、あ、いやですっ! 気持ち良くなんかっ! ん、くうぅっ! 駄目っ! ダメェッ!」
(マリアンさんったら、無理しちゃってるなぁ。ようし、それなら)
「もう、強情ね。いいわ、マリアンがそのつもりならこっちにも考えがあるから」
「え?」
 菊丸の言葉に不安を覚え、戸惑いの言葉を漏らす。
(‥先輩、なにをするつもりなの?)
「うふふ、いつまで我慢できるのかしらね」
「な、なに‥? っ! う、うんっ! あっ、あっ、あああっ!」
 菊丸はこれまでお尻に定めていた狙いを更に下方の、谷間に向け始めたのだ。
 といっても、まだ、直接にそこに攻撃を仕掛けたわけではない。
 内股の付け根付近である。
「あっ! ああっ! せ、先輩っ! やめっ、やめてぇっ!」
 それでもマリアンには十分な刺激だったらしい。
 これまでよりも更に違うニュアンスの声音で鳴き始める。
「ヤンッ! 駄目ですっ! 先輩っ! そ、そんなこと、ダメですぅっ!」

 女子レスラーには幾つかの禁止事項がある。
 その中に「異性交遊禁止」という項目があるわけだが、マリアンはその事項に忠実であった。だから、というわけでもないのであろうが、マリアンはこの手のことに疎く、また刺激にもことのほか弱いのだった。
 その上、今は敬愛する先輩の手で行われるマッサージに嫌悪感よりも、素直な反応の方が先に立ってしまっている。
(あん、ど、どうしてマッサージでこんなに‥! ああっ! ど、どうしよう‥)
 考えればこれがどれほど非常識なものかは分かりそうなものだが、なにしろ、菊丸を黒猫マスクだと疑ってもいない上、男との接触がないのだから、あくまでマッサージの動きと信じてしまっているのだ。
「‥だめ‥、先輩っ! ダメですっ! ほんとにもう駄目なんですっ! こ、こんなぁっ」
 菊丸の指はマリアンのもっとも敏感な部分を焦らすように這いまわり、彼女に可愛らしい声を上げさせ続ける。
「ね、もういいかげんに認めちゃいなさい。気持ちいいんでしょ? マリアン」
「あ、あ、いやぁ、いやです‥。気持ち良くなんか、ありま‥せん‥」
 その声には既に甘い屈服の響が含まれている。
 おそらく、菊丸があと一押しをすればマリアンは自分から菊丸の望む言葉を紬ぎ出すだろう。
 菊丸はマリアンへの責めにより一層の鋭さを加えてゆく。
「あっ、あっ! ああんっ!」
 汗まみれの太股をブルブルと震わせてマリアンは喘ぎを漏らしている。
(うひゃぁ、可愛いなぁ。これがさっきまであんな試合をしてたマリアンさんだなんて)
 自分よりも遥かに強いであろう女性を指の動きだけでここまで愛らしい声を上げさせ続けることに、菊丸は倒錯した喜びを覚えている。
 もちろん、ここまでくれば指一つでマリアンに無理にでも言葉を強要することは出来るのだが、菊丸にしてみれば可愛らしく声を上げ続ける女性を苛めてみたい欲求に捕らわれていた。
「ん、くぅっ! ‥あ、あっ!きゃふぅっ! ‥あ、だめっ、許してェッ!」

 菊丸の指は肝心要の部位には決して触れずに、焦らすように内腿の付け根を刺激し続ける。
(‥あ、ああん。マッサージのはずなのにっ! あんっ! 嫌、イヤンッ! 先輩の意地悪ッ! こ、こんなにされたら、わたし‥あ、アン)
 太股の付け根に這い回る菊丸の指にマリアンは次第に追い詰められ始めていた。試合でも流さないほどの量の汗をネットリと肌に浮かびあがらせ、その極め細やかな肌を淫靡に演出している。
「マリアン、どう気持ち良くなってきたでしょ?」
「あ、はい‥あっ、いやぁっ! ちがっ、違いますっ、気持ち良くなんかっ! あっ、ああーっ!」
 思わず頷いてしまった事に気付き黒髪を打ち振って否定するのだが、その後に続く叫びは更にそれを否定する喘ぎになってしまう。
「アン、嫌よ、いやぁっ! 先輩っ! も、もういやですっ、こ、こんなのっ! あ、あ‥!」
 マリアンはあまりの羞恥に目には涙すら浮かべて哀願する。
「ふう、マリアン。別に苛めてる訳じゃないでしょう。これはマッサージなんだから」
「で、でも‥」
「いいわ、じゃ、今度は他のやり方にしましょう」
「え?」
 このマッサージは気持ち良くないんでしょ? じゃ、他のやり方でやらないと効果が無いじゃないの」
「そんな、わたしもう、十分です。先輩、だから‥」
「いいから。さ、お尻を上げて」
「あ、きゃああんっ!」
 何とかこのマッサージを止めてもらおうと黒猫マスクに意見をしても取り合ってもらえず、それどころか無理やりにその張りのあるヒップを抱え上げられ、突き出す格好にされてしまった。
 抵抗しようにも、既に下半身には力が入らず黒猫マスクの為すがままになってしまうのだ。

「ぁ、嫌‥、こんな格好‥先輩に見られるなんて‥」
 敬愛する先輩ではなく、以前にも自分をファンの前で辱めた菊丸の眼前に無防備な姿を晒しているのだが、マリアンは気付かない。無論、気付いていれば菊丸などは瞬殺ものだろうが。
 しかし、普段ならばともかくも、今この瞬間は菊丸がマリアンの命運を握っているのだ。まさしくイカすも殺すも菊丸次第といったところか。
(ぐふふ~、イロっぽ~い。ついにマリアンさんにこんな格好までさせちゃった~)
 その菊丸は、マリアンの示す姿にマスクの中で鼻の下を伸ばしまくっている。
「さ、じゃあマッサージを続けるわよ」
「あ、嫌っ! 先輩、待って! ‥あっ、ダメェッ!」
 菊丸の指が突き出された事で、無防備な状態の下腹に這い回りだすとマリアンは拒絶の言葉と共に甘い喘ぎを漏らしてしまう。
「駄目っ! 先輩ッ! そ、そんなところ、駄目ぇっ! ‥くうっ、ん、あはんっ!」
 菊丸はレオタード越しにであるが、谷間に沿って指を動かし、マリアンの最も恥ずかしく思うであろう部分から最も敏感な部分へと往復を繰り返す。
 その刺激から逃れようと、マリアンは豊かなヒップを揺らして菊丸の指の動きをずらそうとするのだが、自身の動きがまた新たな刺激となって襲い掛かってきてしまう。
「きゃふぅっ! あ、ぅんっ! いやぁっ!」
 だが、それでも菊丸は決して直接的な攻撃は仕掛けない。先程と同じくその周辺に微妙な刺激を与えつづけるに留めている。
(あ、ああっ! な、なんなのっ?! ど、どうして、こんなっ、‥あ、あン、いや、わたし駄目になっちゃう‥)
 ジワジワと与えられる微妙な刺激が、段段とマリアンを追い詰め始め出していた。
 マリアン自身は気付いていないが、先程まで菊丸の指を避けるように揺れている双臀が、今では求めるように揺れ動いている。
(でへへ。マリアンさん、そろそろ我慢できなくなってきたのかな~。で・も・。もっと、焦らしちゃって苛めちゃうんだもんね)
 菊丸は決意も新たにマリアンをじわりじわりと追い詰めてゆく。
 太股の内側につうっ、と指を這わし、触れるか触れないかのギリギリの距離で中心部を襲う。その度に、マリアンはビクビクと震え、可愛らしい喘ぎを上げ続ける。
「きゃうっ、あ、あ、ああっ!」
「どう、マリアン。気持ち良くなってきたんじゃない? それとも、まだ物足りない?」
 菊丸の焦らし責めに純真初心なマリアンの意識は霞み始め、この初めて思い知らされる感覚に堕ちそうになっているというのに、耳元ではそんな囁きが聞こえてくるのだ。
「あ、も、もうダメェッ! 先輩っ! わ、わたしっ! わたし‥もう、ダメなんですっ!」
 ついにマリアンは控室を震わすほどの音量で先輩レスラーに屈してしまう。
(でへ。いくら強くてもぼくのテクニックの前にはこうなっちゃいますよん)
 アイドルレスラーとしてファンを魅了する美貌を真っ赤にしているマリアンを見下ろし、ニンマリと笑みを浮かべる菊丸は本格的マッサージへ移行しようと指先を奥深くへと滑らせるのだった。
「マリアン、こんなことで音を上げたらこの先やっていけないわよ。さ、わたしに任せて」
「せ、先輩、あ、ああンっ、ゆ、許して、もう許して。ほんとにだめになっちゃいます!」
「だ~め♪」
 後輩の健気な願いを無碍にし、鍛えられていないのが一目瞭然の、芋虫のような指がレオタード越しとはいえ、大事な場所へと這い回り女の急所を責めだすのだった。
「い、いやっ、いやぁあん」
 女同士とは言え敏感すぎるそこに触れられる嫌悪感は、すぐに別の感覚にすり替わってしまう。
「あ。あ、あっ! だ、だめです、先輩ッ! そ、そんなところっ!?」
「ほらほら、暴れないの」
「あっ、あっ、あっ! いやっ、あんっ、いやん!」
 大事なところに這った指が時折、クイッと押し込まれクリクリと捩じ込まれると背中が弓なりに反り返るのを止められない。だというのに黒猫マスクは暴れるのを窘めるように、さらに指先で苛めてくるのだ。
「ひっ、ひぃっ」
「マリアンはココが弱いのね♪ それなら、ここを」
「ッ、アッ! あっ、あ! や、やめっ、やめてっ、あうっぅ、ああ~~~っ!」
 うつ伏せのまま足先が浮き上がり、ピンと突っ張らせると黒猫マスクの指先に女子プロレスを代表するアイドルレスラーは、ファンが見れば涎を垂らしそうな生々しい喘ぎを洩らし脂汗を浮かび上がらせる。
「試合をしたらもう敵わないけど、先輩の威厳を見せないとね♪」
 試合どころか戦えば何一つ敵わない菊丸こと黒猫マスクに言われ、マリアンは返す言葉もなくベンチの上でレオタードをびっしりと汗に濡らして嫌々と恥ずかしさに身を捩るのだ。
「それにしてもすごい汗ね。ここもこんなになっちゃって」
「あ、あ、言わないでくださいっ! あぁあん、わたし、おかしくなっちゃうっ!」
 マッサージが始まってから40分は経っているがレオタードは汗に濡れ光り、とりわけ大事な場所は集中的なマッサージのせいでグショグショで洩らしたようになっていた。
「なに言ってるの。汗をかくってことはいいことなんだから。もっといっぱい濡らしていいのよ?」
 レオタードの中から汗を掻き出すように指を動かされ、マリアンの口から「ああ」と羞恥に染まった悲鳴が漏れる。同時に先輩に促されるまま、トローと指先に絡ませるように、さらなる汗を吹きこぼしてしまう。
(は、恥ずかしいっ、こんなに濡らしちゃって‥。先輩の指まで。ああん、もうこのコスチューム着れないわ)
 煮えたぎるような羞恥に焼かれ、先輩の指をふやけるくらいに汗を溢し、下ろしたてのコスチュームに恥ずかしい染みを作るのを口惜しく思いながら、またトロリと水溜りの面積を増やしてしまう。
「さ、一度楽になりましょ、マリアン」
「‥っ、や、いやですっ!? お願い、先輩っ、あ、いやっいやあっ!」
 その言葉がどんな意味を持つのか理解するとマリアンがベンチの上で暴れまわり、悲痛な叫びが控室に響き渡る。
「先輩に逆らっちゃ駄目でしょ。ほら、マリアン」
「いやっ、いやっ、ああ、誰か助けてっ!」

 と、その頃。
「菊丸くん、遅いわね。一体どこのトイレにいったのかしら」
 律儀にも菊丸を待ち続けるいずみ。その耳に人の声が聞こえてくる。
「ちょっとぉ! 黒猫マスクさんのマスクに衣装をどこにやったのよー!」
「えー、わたしちゃんとその中にしまったわよ」
「だって、どこにもないわよ。もう、黒猫マスクさんは今日お休みなんだから、さっさとしまわないと‥」
 ここまで聞けば十分だった。
 いずみは全てを悟ると、マリアン松本の控え室まで走り出す。

 そして数分後。
 勢いよく扉の開かれる音といずみの怒声が響き渡ると同時に、飛び込み様のドロップキックが菊丸を直撃するのであった。

 


 ここは、マリアンの所属するプロレス団体。
 その事務所前。
 入り口には「マリアン松本チャンピオンベルト獲得記念無料マッサージ」なる看板が置かれて普段なら考えられないほどの長蛇の列が出来ている。
「も、もう腕が動かないよー」
 そこには幾人ものマッサージに一人励んでいる菊丸がいた。
「あら、菊丸くん、マリアンさんのマッサージを自分からやるくらいなんだから当然、このくらい平気なんでしょ」
「そ、そんなー。こんなに出来るわけないじゃないか」
「何言ってるのよ!マリアンさんにあんな事して! ここでマリアンさんのために少しは役に立ちなさい」
 どうやら菊丸、マリアンへの悪戯の罰に強制マッサージに駆り出されたらしい。これだけの人数を相手にしていれば終わる頃には、最早悪戯する元気など残らないであろう。

全く、菊丸くんったら全然懲りるってことを知らないんだから。ボランティアでマッサージでもして少しは、奉仕の心を学べばいいんだわ。

満足度に応じて星を付けて下さると励みになります。
1 Star2 Stars3 Stars4 Stars5 Stars (2 votes, average: 4.00 out of 5)

Loading...

コメント

  1. 匿名希望 より:

    サイトのリニューアル、お疲れ様です。
    加筆もされている様で大満足です。

    • 虎馬屋@管理人 虎馬屋@管理人 より:

      >匿名さん
      素直に疲れました。
      加筆によく気付かれましたね。気に入っていただけて何よりです。