「菊丸流! 先生と秘密の帰省旅行の巻(後編_終)」

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「ああっ……!」

 教え子を相手に、今まさに10敗目の絶頂を迎え、慶子は薄暗い寝室でたまらず声をあげた。
 すぐ隣のベッドには、ぎっくり腰で身動きの取れない父親が眠っている。必死に声を押し殺し、なんとかくぐもった吐息に抑え込んではいるものの、限界は近かった。

「け、慶子……さっきから大丈夫なのか?」

「う、うん……っ、だ、大丈夫、だか、ら……っ」

 父親の心配そうな声に、息も絶え絶えになりながらなんとか返答を返す。
 その顔は妖しく桃色に染まり、普段の生真面目な教師の面影など微塵もない。見る者が思わず涎を飲み込むほどに、情欲的で淫猥な表情を浮かべていた。
 そして彼女の真下からは、そんな担任の歪む顔を特等席で楽しむべく、問題児・菊丸がニヤニヤと下劣な笑みを浮かべて覗き込んでいる。

(ぷぷ~、お父さんの隣だっていうのに、先生も頑張りますな~)

 教え子のいやらしい視線に羞恥を覚えながらも、慶子はこの最悪な状況を打破すべく、藁にもすがる思いで父親に言葉を投げかけた。

「お父さん、しょ、消毒はなんとか終わったわ。でも、まだ少し調子が悪いみたいで……そうね、私、ちょっと熱っぽいのかしら?」

「熱!? それはいかん、すぐに薬を飲まないと……!」

 自分がぎっくり腰で苦しんでいる最中だというのに、久しぶりに帰省した愛娘を気遣う優しい父親。その盲目的なまでの家族愛が、今の慶子にはひどく後ろめたかった。

「そうなの、く、薬がたしか私の部屋にあるはずだから、取りに行ってくる……ね」

 二階には、上京前まで使っていた懐かしい自室がある。娘を想う両親が、離れて暮らしていても娘の存在を感じていられるようにと、当時のまま残してくれた大切な部屋だ。
 慶子はとにかく、父親の隣で勝負を続けるリスクを避けたかった。劣勢を強いられている今、この生意気な問題児から物理的な距離を置き、一度冷静になりたかったのだ。
 一階の寝室を出て階段を上がれば、自分の部屋まではすぐ。そのわずかな時間だけでもいいから、快楽に乱された頭を落ち着かせ、菊丸に一矢報いるための策を練る時間が欲しかった。

『ちょっと先生~、勝負の真っ最中ですよ~。逃げるんですかあ?』

 菊丸が耳元でヒソヒソ声を潜め、このままここで続きを楽しもうと迫ってくる。しかし、慶子は厳しい剣幕で教え子を咎め立てた。

『うるさいわね! 誰も逃げないわよ! ちょっと気持ちをリセットしたいだけなんだから!』

 なんとか菊丸を牽制しつつ、ベッドの父親へ声をかける。

「私、ちょっとそれを取りに行くから……電気を、電気を消してくれない?」

 今の慶子の姿ときたら、透け透けの薄っぺらな素材で出来たベビードール一枚を纏っただけの、あられもない格好だった。しかも、大事な秘処を隠しているはずのパンティは菊丸に剥ぎ取られ、完全に剥き出しの状態だ。
 久しぶりに会った父親はもちろん、受け持ちの生徒である菊丸の目の前で、これ以上こんなはしたない姿を晒し続けるわけにはいかない。

「ん? ああ、電気? なんでわざわざ消すんだい?」

 これから立ち上がろうというのに明かりを消せという娘の要求に、父親は怪訝そうな声を出す。

「それは……あっ、あんっ……!」

 言い淀んだ瞬間、ふたたび床の菊丸が、慶子の剥き出しの粘膜にザラリと舌を這わせて仕掛けてきた。

『待ってくださいったら! 何を言ってるんですか~、まだ勝負の途中ですよ、先生』

『くぅ……っ、勝負ならあとでちゃんとするから、少し時間を頂戴……っ!』

 涙目で振り返りながら、これ以上の居残り勝負は完全に勝ち目がないと悟り、教え子を睨みつけながら必死に説得を試みる。

『くすくす、こんな楽しいシチュエーション、逃すわけないでしょ。ほら、このままここで僕と勝負ですよ~』

 菊丸は聞く耳を持たず、無防備なそこを縦横無尽に舐めしゃぶってくる。

『あ……、ぁあん! このっ……! いつまでも調子に乗るんじゃないわよっ!!』

 限界を迎えた慶子は、菊丸の頭を自慢の太ももでガッチリと挟み込むと、そのまま力任せに横へと薙ぎ払い、彼を床に横転させた。さらに「ぎゃんっ!」と鈍い悲鳴をあげる菊丸の顔面へ、トドメとばかりに膝を叩き込み、力技で大人しくさせる。

「ん? なんだ? 今のは菊丸くんの声か?」

「寝相と寝言でしょ。きっと旅の疲れが出ているのよ」

 ようやく自分にまとわりついていた、しぶとい粘着物質を剥ぎ取ることに成功し、慶子は胸の内で大きく息をついた。

「ねえ、お父さん、早く電気を消して?」

「ん? だって薬を取りに行くだけだろう? そんなの……」

「いいから消してっ!!!」

「は、はい、はい……っ」

 娘の凄まじい気迫に圧され、父親は慌てて枕元のスイッチを押し、寝室を暗闇へと沈めた。

 バタン。

「ふう……っ」

 薄暗い廊下に出るなり、慶子は額の冷や汗を乱暴に拭った。
 窓のカーテン越しに朧げな月明かりが差し込んでいる。実家から眺める久しぶりの夜景は、一瞬だけ過酷な現実を忘れさせてくれそうだった。

「まったく、なんで私がこんな目に……」

 自分から望んだわけではない。だが、教え子相手にここまで奥深く肉体を蹂躙されてしまったという事実に、深いため息とともに教師としての自信が足元から崩れそうになる。
 いくら狡猾な姦計を企てられ、媚薬まで使われて狂わされたとはいえ。実家にまでこの問題児を招き入れる羽目になり、父親のすぐ隣で醜態を晒させられ、挙げ句の果てにいやらしいゲームにまで乗ってしまったのだ。どんな言い訳を並べようと、教師失格である事実に変わりはない。慶子は悔しさに唇を噛み、拳をぎゅっと握りしめた。

「とにかくっ、これ以上あいつに好き勝手にさせないんだからっ……!」

 聖職者としての信念を奮い立たせるように激しく首を振る。

「教師の私がしっかりしないと! 絶対にこの勝負に勝って、あいつをギャフンと言わせてやるんだから!」

 威信にかけてこの異常な事態を収めてみせる。そう心に誓った、まさにその瞬間だった。

「そうですよ~、せっかく僕がチャンスをあげたんですし♪」

 背後から聞こえた、鼓膜をなぞるような低い声。
 驚愕して振り返ると、そこにはあの憎たらしいニヘラ顔を浮かべた教え子の姿があった。

「菊丸くん……っ!?」

「しっ、お父さんに聞こえちゃいますよ~。僕もお薬取りに付き合ってあげますから、安心してくだいね~」

「な、なんであなたまで一緒に出てくるのよ……!」

「いやあ、暗いし、先生が一人じゃ心細いかなーって。優しいでしょ、ボク?」

 ほんの少しの間だけでも一人になり、乱れた心に平静を取り戻したかったのに。
 これでは、体裁の良い理由をつけて寝室を命からがら脱出した意味が、完全に潰されてしまう。

「勝手になさいっ! ついてくるのは勝手だけど、これ以上悪戯したら、本当にタダじゃおかないからね!」

 精一杯の気迫で教え子を一喝し、慶子は睨みつけたまま、薄暗い廊下の奥へと足を進めるのだった。

 月明かりが微かに差し込む廊下を、慶子は進んでいく。
 その足取りは、いつもの凛とした教師の姿とは異なり、重く、どこかぎこちない。時折足を止め、何かを堪えるように肩を震わせ、熱い吐息を漏らしていた。
 その後ろ姿を、菊丸は注視していた。足元から背中のラインへと、視線が自然と吸い寄せられる。
 薄いレース地のランジェリーに身を包んだ彼女の姿は、月光に照らされ、独特の艶やかさを放っていた。その丈は極端に短く、歩くたびにその肢体が見え隠れする。今の彼女は、少し角度を変えればその全貌が露わになってしまうような、無防備な状態だった。
 慶子は背後の視線を意識してか、両手で裾を必死に引き下げ、隠そうとする。だが、その切実な仕草が、かえって見る者の心を乱れさせた。

(……すごいですねぇ。隠そうとすればするほど、目が離せなくなりますよ)

 菊丸は目を細め、目の前の光景を焼き付けるように見つめた。

(どうして付いてくるの……。私の反応を楽しんでいるんでしょう?)

 慶子は教え子の視線に気づきながらも、ただ太ももを固く閉じ、足早に歩くことしかできなかった。
 しかし、緊張からかその肌を伝い落ちる愛蜜のひとしずくさえ、菊丸の鋭い観察眼から逃れることはできなかった。

「ん……、ぅうん……。はぁ……んん……っ」

 静まり返った薄暗い廊下に、女教師の溜め息とも取れる艶っぽい声が漏れる。
 歩くたびに太ももが擦れ、そんな些細な刺激にすら、媚薬に侵された慶子の身体は過敏に反応してしまっていた。

(あぁん……、身体がおかしいわ。あ、熱く……なっちゃう……。アイツが変なモノを塗ったからだわ……っ)

 先ほど追加で塗りつけられた媚薬の効果は、時間の経過とともにじわじわと効力を増していく。慶子は思わず歩みを止めると、壁に手をついて熱い吐息を漏らし、激しく身体を震わせた。
 自分をこれほどの苦難の道に引きずり込んだ、後ろを歩く問題児を恨めしげに振り返り、睨みつける。
 見ると、後ろをピタリとついてきていたはずの当の菊丸は、なぜかこちらに背中を向け、前屈みになりながら手元で何やらゴソゴソと動かしていた。

「ちょっと、アンタ何をコソコソやってるのよ……?」

 菊丸のことだ。また何か良からぬ策略を立てているに違いないと危惧し、慶子は強い不審の目を向ける。文字通り油断も隙もないこの悪童に警戒を怠らないのは、女教師として当然の自衛だった。

「おっと。何でもないですよん~♪ でへへ、気にしない、気にしない~♪」

 背を向けたまま生返事をする教え子の行動をなおも訝しみながらも、慶子は「構ってられないわ」とフゥッと溜息をつき、再び先へと歩を進めた。
 一連の怪しげな動作を終えた様子の菊丸も、先を行く担任教師の後を追って歩き出す。前を歩く桂木先生にふたたび視線を向けると、やはり苦しげに、すらりとむっちりとした生足を震わせ、壁に手を突きつつ懸命に進む後ろ姿がそこにあった。
 細い指先でランジェリーのレースの裾が捲れぬよう、必死に引っ張りながら歩く――そんな煽情的な立ち振る舞いに、菊丸もニマニマとした笑みを止めることができない。

(なんだかもう、すっかり効いちゃってますな~。でも、やっぱりこれだけじゃ足りませんよね、先生には♪)

 普通の家よりも少し広い造りとはいえ、いつもならそんなに時間の進まない階段下まで、慶子は太ももをもじつかせながらようやく辿り着いた。肩で大きく息を整え、おそるおそる上を見上げる。

(いやん……もう、擦れちゃって歩けないわ。歩くだけでおかしくなっちゃう……っ)

 媚薬クリームの効果だろうか、熱い吐息が絶え間なく漏れ、額には珠のような汗が浮かんでいた。
 少し広い階段のたもとで、手すりに縋るように手をつき、少しでも息を整えようとする女教師。
 ただゆっくりと平地を歩くのでさえこの有様なのに、これから階段を上がるのだ。当然ながら、上るためにはもっと脚を高くあげることになり、そうなれば今まで以上に太腿が擦れ合って、媚薬の効力をこれでもかと感じてしまうに違いない。その懸念に、慶子はきゅっと身を縮こませてしまう。
 立ち止まって階段に足をかけるのを躊躇していると、

「先生、もしかしてまだお薬、効いちゃってるんですかあ?」

 背後から、菊丸がからかい口調でねっとりと煽ってきた。

「うっ、うるさいわね……っ!」

 教え子の言葉に背中を押されるように、彼女はなんとか脚をあげて階段に一歩を踏み込む。

「う……ッ、んっ……!」

 予想通り、足を大きく上げるだけで最奥への刺激が増してしまい、脳裏を焦がすような甘い感覚がじわじわと広がっていくのだった。

 堪らずハアッと熱っぽい息を吐き、最初の段差で足を止めて息を整える。

(た、たった一歩で……っ)

 慶子は気を取り直すと、なるべく刺激を受けないような足取りで慎重に足を運んだ。後ろから教え子が、丈の短い透け透けのランジェリーから大事な部分を覗き込んでいるのも意に介さず、とにかく歩を進めるしかなかった。
 しかし、太ももが大きく擦れることで、感度を増した身体はすぐさま反応してしまう。手すりに手をつき、一歩ごとに歩みを休めてしまうのだ。先ほどの父親の寝室で入念に塗り込められたクリームが、女教師を甘く痺れさせてくる。

「辛そうですね~、階段登るの僕が手伝ってあげますよ~」

「あっ、あんッ!?」

 ずっと担任の艶っぽい姿を間近で見せられ、情欲をかき立てられていた菊丸は、ついに我慢できずに手を伸ばしてプリンと張った女教師のヒップを撫で回した。

「いやんっ、いやよッ! 触らないで……っ!」

 こんな状況で敏感になっている身体に触られたら、どうなってしまうのか。
 少しの刺激でも過敏に反応してしまうこの身体をこれ以上おかしくさせられぬよう、身を捩って教え子のいやらしい手つきから逃れようとする。しかし、避けられればもっと触りたくなるのが男心というもの。菊丸はしなる細腰に手を回してグッと強引に抱き寄せると、密着しながら遠慮なく臀丘の丸みに手を添わせて這い回していった。
 レース地の裾から潜り込ませた手で、丸い豊臀を撫でては深く揉みしだく。既にパンティは脱がされ、剥き出しになったお尻の滑らかな肌触りや弾力を直に楽しみながら、無遠慮に揉み回し続けていると、美教師は一層身体を震わせた。まるで身体が、こうした大胆な刺激を待ち望んでいたかのようにも思えた。
 そして菊丸は、隙ありとばかりにするりと太ももの奥に手を滑らせる。

「あ~こりゃ大変っ、すごい熱ですよ! これは確かに早く解熱しないと~」

 そう言いながら、狭間に滑り込んだ菊丸の太くも器用な指先は、彼女の中心部をねっとりと弄り始めた。

「ンッ! うんんッ!!」

 そこはすでにいつも以上に熱を帯び、ぐっしょりと媚蜜で潤いきっていた。
 女教師の反応を伺いながら、手を太腿の狭間で滑らせるように往復させていくと、手のひらや甲にべっとりと愛液が付着してしまう。

「でへへ、こんなにびっしょりと汗かいちゃって。これもやっぱりお熱のせいですかねえ~?」

「……っ!」

 階段を登る動作でさえ身体が甘く疼いてしまって一苦労なのに、後ろからさらなる追撃を仕切ってくる菊丸を、慶子は鬱当しげに睨みつける。こんなに邪魔をされてしまっては、いつになったら二階にたどり着けるのか分かったものではなかった。

「熱出してるから、汗いっぱいかいてるんですかねえ? こ・れ・は」

 菊丸はそう言いながら、指先の優しいタッチで撫で上げるようにそこを刺激してくる。

「し、知らないわっ! だから……っ、今からその解熱剤を取りに行く……って言ってるでしょっ!」

 手に付着した自分の恥ずかしい汁を証拠とばかりに見せつけてくる菊丸に、頬を真っ赤に染めながら声を荒げる。

「そんなこと言っても先生、さっきから一歩も進めてませんよ~?」

「う……」

 直接触れられ始めてから一歩も進めていない事実に、慶子は困惑気味に言葉を詰まらせた。
 菊丸が自分と一緒に寝室から出てきた時点で、悪戯を仕掛けてくることはある程度想定していた。慶子としては、ただ少しでいいから息抜きをして頭を冷やし、菊丸に逆転するチャンスを考えたかっただけなのだ。二階の部屋に、簡単に薬を取りに行くだけのつもりだったというのに――。
 菊丸がべったりと後をついてきても、なんとかやり過ごせると思ってはいた。
 しかし、それ以上に自分の身体が、媚薬の毒気にすっかりやられてしまっていたのだ。

(アンタが邪魔をするからでしょ……っ!)

 そう言いかけた、その瞬間だった。

「しょうがないですねえ。辛そうだし、ここはボクが手伝ってあげましょう♪」

 菊丸は担任の返事を待つ前に彼女の腰を引き寄せると、そのままグイとヒップを持ち上げて強引に抱きかかえた。

「ちょっ、ちょっと……っ、菊丸くんっ!」

 いきなり教え子と正面から向き合った状態のまま抱き上げられ、慶子は激しく狼狽する。
 階段の途中ということもあり、それなりに高さがある。落ちまいとする本能から、彼女は生徒の首に必死で腕を回し、すらりと長い生脚を菊丸の不格好な胴体に絡ませてしがみつくしかなかった。

「ほら、このまましっかり掴まっててくださいね~。ちゃ~んと僕が二階に連れて行ってあげますから~」

 あまりにも破廉恥な体勢に激しい羞恥を覚え、慶子は嫌々と首を振りながら菊丸の上で身悶えた。
 なにせ二人の格好は、普通の教師と生徒の関係ではまずあり得ない、狂ったものだったからだ。
 抱きかかえられている教師の方は、上半身に透け素材のランジェリーを纏っているだけで、下半身に至っては下着すら身につけておらず、裾から伸びる剥き出しの生脚を大胆にさらけ出している。
 その担任を下から支える教え子の菊丸ときたら、上にTシャツを着てはいるものの、彼もまた下半身は何も穿いていない状態なのであった。

「な、何勝手なこと言って……っ! 降ろしなさいッ! こんなの嫌よ、自分で歩け……あンッ!?」

「でへへ♪ 両手以外にも、ここにも手伝ってもらいますねぇ~」

 なんと、ヒップを支える両手だけでなく、教え子の硬く大きな屹立が、慶子の剥き出しの中心部を下から押し上げるようにして支えてきたのだ。

「いやぁンッ!!」

 ただでさえ甘く疼いていた最も敏感な部分を、教え子の分身で下から力強く貫くように密着させられ、可憐な美教師は悲鳴をあげる。

「先生が暴れても落ちないように、こっちでもしっかりと支えてあげないとね~」

 お尻を固定する両手と、大きく割り裂かれた女の中心を下から支えてくれる、三本目の熱い存在。
 下着を身につけていないお互いの秘部が、何一つ遮る物のない生身の状態で直接触れ合ってしまうという事実に、慶子は本当に目が眩みそうになってしまうのだった。
 目の前で恥ずかしそうに耳まで真っ赤にして俯く、美貌の女教師。その無防備な反応を、菊丸は二ヘラとほくそ笑みながら、楽しむように下から覗き見る。

「い、いや……ッ……」

 さっきまで軽く擦れるだけでも甘く溶けそうになっていた秘処へ、教え子の硬い剛直が直に押し当てられる。その容赦ない質量に、慶子の身体はさらに熱く反応してしまい、気が狂いそうになる。
 しかも、ただ押し当てられているだけではない。菊丸は腰を細かく揺すり、硬く屹立した分身で、慶子の最も敏感な部分をねっとりと擦るような動きを見せてくるのだ。

「あっ、ダメッ! 動いちゃ……っ!!」

 こんな階段の途中で、これほど大胆な真似を仕掛けてくる生徒に対し、慶子は「信じられない……!」と驚愕に目を見開いた。
 しかも、それから程なくして、慶子は股間の異変に気づかされる。

「な、なに? なんか、……変……!? なんかぬるぬるして……! それになんだかもっと熱くなって……っ?」

 確かにそこからは、既に大量の濃密な愛液を溢れさせているはずだった。しかし、それとは明らかに違う、何やらネットリとした未知の感触に慶子は戸惑う。

「えへへ。気付きましたあ? 実は僕のココにも、たっぷりと媚薬クリームを塗っておいたんですよお♪」

「んなっ……!?」

 教え子のまさかの白状に、慶子は目を丸くして驚愕の表情を向けた。

「まさか、さっき……あの時……っ」

 そう、階段を登る少し前、菊丸が見せたあの不審な背信行動の正体はこれだったのだ。何やら良からぬことをしている気配には気付いていたが、まさかその短い合間に、これほど念の入った下準備を済ませていようなどとは夢にも思わなかった。

「僕のココがもっともっと、先生の割れ目ちゃんと仲良くなりたいって言うから、た~っぷりとクリームを塗っておきましたからぁ♪」

 菊丸がゆさゆさと腰を揺り動かすたびに、塗り込められた媚薬クリームは擦り合わされる粘膜から、女教師の体内へと確実に浸透していく。身体の奥深くまで甘い感覚がさらに熱を帯び、融解していくのが分かった。

「ダッ、ダメだったら……っ! ただでさえ私……、お、おかしく……っ!」

「でへへ、一瓶たっぷり僕のココに塗っておきましたからね~。先生の中にも充分に流れ込んでいくくらいの量はありますよん♪」

「い、嫌よ……こんなのッ! こんな所で……っ! 私……、これ以上されたら、ほ、本当におかしくなっちゃう……っ!」

 父親のすぐ近く、久しぶりに帰省してきた大切な実家。そんな聖域で、自分の教え子を相手にこれ以上快楽の獣へと変えられてしまう現実に、慶子は強い畏怖を抱く。

「あー、お父さんのことですかあ? ここまで来れば大丈夫ですって。あ、でも階段だし、叫ぶのだけはまだ我慢してくださいよ~?」

 確かに、音が反響しやすい階段の構造上、慶子がここで高い嬌声をあげてしまえば、一階の寝室にいる父親の耳元まで余裕で届いてしまうはずだった。

 媚薬の上乗せにより、慶子の肌がそれまで以上に熱っぽく火照り、じんわりと汗ばんでくる。その様子を見て「効果が出てきた」と、菊丸は満足げに頷いた。

「でへへ、だんだん気持ち良くなりますからね~」

 ニチャニチャと濡れた音を立てながら、淫裂に沿うようにクリームを馴染ませていく。自分の首に巻きつけられた両腕に、ギュッと必死な力がこもるのを感じつつ、
「そうだ、こうもしていられない。早く二階に行かないと」

 菊丸は自分が邪魔をしていたのを棚に上げ、二階の自室に薬を取りに行くという本来の目的をわざとらしく思い出させた。

「じゃあ、行きますよ~。しっかり捕まってて下さいね~」

 勢いよくグッと足を上方向へ上げて、最初の段差を踏み込む。

「……ッ!! ~~~!!!」

 新たな衝撃に思わず慶子は絶叫を上げそうになるが、ここは音が響く階段。なんとか悲鳴を喉の奥で噛み殺した。

「ぁ……ぁあん……っ、こ……んなの……っ」

 慶子はフルフルと身を震わせ、教え子の肩に上気した顔をうずめる。さらに力強く自分に抱きついてくる美人教師の姿に、菊丸もニヤケが止まらない。

「ただ足を上げただけなのに。こんなんでそんなに耐えきれない顔をされてもな~」

 まだまだと言わんばかりに、さらに強くもう一歩を踏み出していく。

「……っ!! あっ……ンッ……っ!!!」

 下から押し当てられた張り詰めた剛直が、慶子の媚肉に強くめり込んできた。その凶悪な刺激にたまらず絶叫を上げそうになり、口から声が出かかるが、ここも何とかこらえてみせる。

「くすっ、まだ何段もありますよ~~」

 菊丸は担任を落ち着かせようとするフリをして階段の途中で立ち止まり、また腰をゆっくりと揺すりながら、大事な部分を擦り合わせて優しくクリームの馴染ませ作業に入るのだった。
 そして油断したところで、また勢いよく足をグッと上げて階段を踏みしめる。足を角度をつけて上げるだけで、アソコが大事な部分の形を変えるほどにめり込んできて、その感覚に慶子は気が狂いそうになる。

「ほーら、こうするとよく当たるでしょ?」

「あ……ッ!! ああんっ!!」

 さらにともう一段、足を大きく上げて登ると、

「いやっ、いやんっ、菊丸くぅんっ!!」

 慶子はここが階段だということも忘れ、切羽詰まった嬌声を響かせてしまった。

「ほら、ダメでしょ先生。こんなとこで大きい声出したら、お父さんに聞こえちゃいますよ?」

「あぁん……だ、だって……っ」

 先ほどまでは自身の太もも同士が擦り合うだけでも手一杯だったのに、新たに上乗せされた媚薬と、下から教え子が歩くたびに大事な部分に食い込ませてくる強い刺激に、慶子は完全に翻弄されていた。

「あんっ、ほ、本当にいやよ……っ! 菊丸……ッ! 降ろして、降ろしなさいッ!」

「だ~め。もう先生フラフラでしょ? ボクにこうして掴まってるだけでいいんですから、楽でしょ♪」

 そう言いながら、菊丸はわざとらしく大袈裟に足を大きく上げて、急勾配の階段を登り始める。

「いや……っ! もういやよ……っ、こんなのッ!!」

 大きく足に角度をつけるだけで、それだけ強めに女芯へと硬いものが押し付けられてくる。さらには時折立ち止まって、小休止のサービスタイムとばかりにゆったりと腰を揺らし、慶子の快感のリズムを崩してくるのだ。

「あ、あんッ! そんなのっ……いやんっ!! ダメッ、菊丸くんっ! 慶子……おかしくなっちゃうぅ!!」

「声は我慢しないとお父さんに聞こえちゃうって言ったでしょ。でも……」

 菊丸はねっとりと目を細めると、慶子の耳元に口を近づけた。

「大声さえ出さなければ、どんどんおかしくなっちゃっても構いませんからねん~」

 完璧な勝利を確信したようなしたり顔で、慶子の耳元で囁くのだ。

「くぅ……っ」

 まさかここまで執拗に仕掛けてくるとは思っていなかった。
 そもそも寝室を抜け出たのは、熱くなった頭を冷ますための、ほんの短い休憩だったはずなのだ。それなのに、影のようにしつこく付きまとわれ、追い打ちをかけるように悪戯を重ねてくる問題児に、慶子は精神的にも肉体的にも完全に追い詰められていた。

(わ、わかってるわよ! 声を出さなければいいんでしょ! これ以上、好き勝手におかしくなんかされないんだからっ……!)

 気丈にも心の中でそう誓うのだが、過敏になりすぎた肉体はあまりにも従順だった。階段の踊り場に到達するまでのわずかな間に、慶子は声を出せない衝撃から、連続で三度ばかり軽い絶頂へ突き落とされてしまうのだった。
 その間も、彼女はなんとか悲鳴を喉の奥で噛み殺し、菊丸の身体に必死でしがみついてやり過ごすしかなかった。

「ここで少し休憩しますか」

 スペースのある階段の踊り場に辿り着いたものの、菊丸は腕の中の担任を降ろそうとはせず、そのまま壁の手すりに寄りかかった。
 ここいらで階段途中のひと勝負も一興――。悪童はそう企むように、休憩という言葉とは裏腹に、すぐさま腰を揺らして女教師の淫裂を抉りにかかる。

「あっ……! やっ……、ンンッ!! ダ、ダメっ、声、出ちゃうぅっ……!」

「ほらほら~、声が反響しちゃいますからね~。二階に上がるまではガマンガマンですよ~?」

 耳元で優しく励ますような素振りをしながら、その濡れた耳たぶをねっとりと甘噛みすらしてくる。

「き、休憩じゃ、ないの……? あぁンッ!」

「階段を登るのを一旦休憩しただけですよ。勝負はまだ続いてますしね~」

 休憩などというのはただの口実。すぐに二階へ行くよりも、声を完璧に抑え込まなければならないこの階段という障害を利用して、時間をかけてゆっくりと女教師を堕とし尽くしたかっただけなのだ。

 ――そう、慶子はすっかり頭の中から忘れていた。今がまさに、菊丸との「勝負」の最中であるということを。
 しかし、今の彼女は溢れ出る嬌声をおし殺すのに必死で、とても勝負どころではなかった。美貌を真っ赤に紅潮させながら、なんとか官能の渦に呑み込まれまいと、意識を無理やり外へそらそうとするので精一杯だ。

 せめて、せめて二階の自室に入るまではやり過ごさなければならない。
 階段はどうしても音を拾って反響してしまう。愛する父親の耳に、自身の破廉恥な鳴き声を響かせるわけには、断じていかなかった。

 しかし、丸いヒップを支える両手と、女の中心部を支える硬い剛直の三点――特にその真ん中をしっかりと支える力強く頼もしい剛棒に、どうしても意識が向いてしまう。
 押し付けられるだけじゃない。泉から溢れた濃密な汗がヌルヌルと滑りを良くして、大事な部分を擦られていく感覚がダイレクトに伝わってくるのだ。

「あ……あん……」

 慶子は菊丸にしがみつきながら、込み上げてくる甘い感覚から逃れようと頭を振る。

(こんな場所で……っ、くぅっ、どこまで私をおかしくすれば……っ)

「あっ! んんっ!! はぁっ……ンンッ!!!」

 次第に担任としてのプライドも、ここが音が響く階段だということも忘れ、遠慮のない声を上げていく。

「しょうがないなあ、我慢もできないなんて」

「んんっ!?」

 いきなり目の前の教え子に唇を奪われてしまう。慶子は目を見開き、苦しそうに振り解こうともがくが、しっかり抱えられた状態ではそれ以上動くことも叶わない。

「ん……ぅ……むぅ……」

 口内に侵入した菊丸のザラついた舌先が、逃げる担任の柔らかな舌を乱暴に無理矢理絡み取り、根こそぎ吸いついてくる。

「んんっ……ぅ……んん……」

 慶子はなおも逃げようとするのだが、震える可憐な舌先は、彼の荒っぽい舌に簡単に捕まり、巻き取られて強く吸い上げられてしまう。
 しばらく逃げる側と追われる側での舌の攻防が続いたが、次第に女教師の抵抗もなくなり、ついに菊丸の動きに合わせて慶子も舌を絡ませてきた。

「ん……むぅ……ぅ……」

 静まり返った階段に、二人の荒い呼吸だけが重なり合う。
 階段に淫猥な水音を響かせ、貪るようにぬめる舌を絡ませ合いながら、熱い口づけを交わす二人。

(ぷぷ~♪ 媚薬ちゃんのおかげかな、少しは従順になってきたみたいですね~)

 菊丸は淫裂を剛直で深く擦り、そうして少しずつ、確実に担任の理性を瓦解させていく。いつもならここまでこの女教師が素直になることなどなかったはず。改めてその肌で、上乗せされた媚薬の恐るべき効果を実感していた。
 菊丸はそんな慶子をまるで試すように、不意に舌を引っ込めてみる。

 すると案の定、女教師の方から積極性を見せ、生徒の舌を自主的に絡め取るような動きを見せるのだ。その変わり果てた可愛らしい態度に菊丸も満足げに微笑み、「やれやれ」とお返しとばかりに再び舌を絡ませ、根本から吸いあげるようにして舐めしゃぶった。
 同時に、腰を下から強く押し上げて淫裂にめり込ませ、強烈な刺激を与えてやる。

「……んんっ!!」

 慶子はその局所的な刺激に、菊丸の首に細い腕を回し、キスを交わしながら教え子に必死に抱きつくばかり。
 菊丸は夢中になる担任から強引に唇を振り解くと、

「キスに夢中になっちゃって」

 などと耳元でねっとりとからかってくるのだ。

「まだ勝負の途中なのに、そんな僕とのキスにうつつを抜かしていて大丈夫なんですか?」

 そう、今はまだ勝負の真っ最中なのだ。つい声を押し殺すのに必死になりすぎて、完全に受け身のまま翻弄されてしまう。菊丸の意地悪な言葉に、耳まで真っ赤に染めて何も言い返せない桂木先生だった。

「いいですか? 先生が勝ったら、もちろん今日はこれ以上悪戯しませんし、あのデータもお返しします」

 そう――。菊丸に勝つことさえできれば、あの忌まわしいデータを回収できるのだ。そのうえ、実家での目が眩むようなこの不貞行為からも、ようやく解放される。

「だけど、もし先生が負けたら、僕の言うことを一つ何でも聞いてもらうって約束なんですからね~」

 菊丸は、腕の中の担任へ念を押すように確認を求めてきた。

「わ、分かってるわよっ!」

 夜が明けるまでに、この菊丸から一度でも精を搾り出せれば慶子の勝ち。逆にその時間までに、菊丸が100回先生を絶頂させれば彼の勝ち。

(ふん、いくらなんでも一回くらいは出させてやるんだから……っ!)

 既に勝負開始から10回ちょっとも果てさせられているとはいえ、夜明けまではまだいくらでも時間はある。慶子には十分にチャンスがあるはずだった。一見すれば、圧倒的に先生側に有利な条件なのだ。

「何でも言うことを聞くって簡単そうだけど、意外とそうでもない事もありますからねえ。しっかり覚えておいて下さいね~」

 何か不穏な含みを持たせるような菊丸の物言いに、慶子は怪訝な表情を浮かべる。しかし菊丸は構わず、再び女教師の唇を強引に奪うと、熱い舌を差し込んで執拗に絡ませてきた。その上、腰の抽送を一気に早めて容赦のない刺激を与えてくる。

(ああん……いやっ……んっ、もう勝負は再開してるのね? そっちがその気なら……っ)

 このまま負ければ、またコイツの絶対的な言いなりになってしまう。
 慶子は菊丸の首にしがみつきながらも、必死に反撃を試みた。自らも柳腰を艶めかしく揺すり、教え子の剛直を擦り上げるようにして巻き返しを図る。

「……ゥ、……ぅんっ、んんッッ!」

 しかし、身体に回りきった媚薬の毒気が牙を剥く。自分から仕掛けていったはずの攻めの動きが、そのまま強烈な刺激となって、ダイレクトに自分自身へと跳ね返ってきてしまうのだ。
 唇を重ねて塞がれていなければ、あわや淫らな艶声を階段中に反響させてしまっているところだった。

「い、いやん……っ、ま、負けないわ……っ!」

 慶子は唇を振り解き、気丈にも眉宇を引き締めて教え子を睨みつける。
 そして、自分に破壊的な快感が返ってくることも顧みず、溢れ出る恥蜜を生徒の屹立に擦りつけるように、腰をクネクネと前後にうねらせていった。

「ぁん……いやッ……ぅんッ! はぁ……んっ!!」

 太腿でキュッと硬い屹立を挟み込み、巧みな腰使いでなんとか菊丸を悶絶させようとするが、喉から漏れるのは自身の甘い嗚咽ばかり。

(なんで私ばかり……っ! こ、この子には全く効いてないの……!?)

 慶子の困惑と焦燥の入り混じった視線に気づき、菊丸は何を考えているのかを察してほくそ笑んだ。

「大丈夫ですって、ちゃ~んと僕にも効いてますから。この調子、この調子♪」

「でも僕も負けませんよ~」

 菊丸は大袈裟に足をグッと上げると、再び階段の段差を力強く踏みしめた。

「あっ……、~~~っ!!」

 抱えられた状態のまま、突如として再開した上階への歩みの衝撃に、慶子はたまらず首をのけ反らせてしまう。

「そろそろ薬を取りに、二階に向かいますか~。お父さんを待たせちゃってるし♪」

 それまで淫烈の表面をぬるぬると滑らせるように擦る動きだったのが一転、いきなり大きく足を上げられて身体を揺さぶられ、慶子はパクパクと口を開いて思わず出かかった艶声をなんとか喉の奥へ飲み込む。

「先生も、いつまでもこんな所で休憩してるわけにもいかないでしょ?」

「あ……ぁあ……、ウゥンッ!!」

 右足の次は左足を、さらに強く、大きく上げて段差を上る菊丸。

「あっ……、ううっ! んんっ! ~~~ッ!!!」

 菊丸がゆっくりと、しかし力強い足取りで階段の段差を一歩ずつ踏み上げていく。そのたびに、慶子の剥き出しの秘処には、彼のはち切れんばかりの剛直が容赦なく食い込んできた。
 慶子は菊丸の首に必死にしがみつき、なんとか声が漏れるのを防ぐ。菊丸が段差を踏みしめて一歩上る度に、その肉体的な振動が彼女の芯へと直に伝わり、媚薬に疼いていた肉襞がさらにじわじわと開花してゆく。

「ほらっ、先生も負けないで! 先生も頑張って腰を使うんです!」

 菊丸は休ませる気など毛頭ないのか、腕の中の担任教師を叱咤激励しつつ、進みながらもいやらしく勝負を挑んでくる。
 しかしやはり、今の慶子は声を押さえるのが最優先で、とても勝負どころではなかった。ここで自分も勝負に乗り出して腰をくねらせたら、絶対に声など押さえられない。家中どころか、静まり返った近所にまでその淫らな絶頂の声を響かせてしまうかもしれないのだ。
 菊丸がようやく、一歩ずつゆっくりとはいえ二階へ向かって抱えて進んでくれている。とにかく今は耐えて、この生殺しの時間をやり過ごすしかなかった。

 慶子は菊丸にしがみつきながら、薄暗い階段をゆっくり上階へ進んでいく。窓から差し込む月明かりが二人の影を長く伸ばし、静まり返った家の中に、衣擦れの音と押し殺した吐息だけが微かに響いていた。

「……っ」

 必死に声を抑え、抱き抱えたまま階段を登る教え子の肩に指を食い込ませる。菊丸が一段ずつ踏みしめるごとに、言いようのない緊張感が背筋を駆け抜ける。菊丸の強引なペースに翻弄され、抗おうとする意志とは裏腹に、体温だけが熱く上昇していくのを感じていた。

「先生、顔が真っ赤ですよ。そんなに必死に隠さなくてもいいのに」

「……黙って」

 菊丸の余裕のある声が耳元を掠め、慶子は屈辱と高揚が混ざり合った複雑な感情に頬を染める。肌が触れ合うたびに伝わる熱量は、二人の境界線を曖昧にしていくようだった。
 階段を上る音さえも、階下で眠る家族に届いてしまうのではないかという恐怖が、慶子の理性をじりじりと削り取っていく。

「ほら、もっとしっかり掴まって。落っこちちゃいますよ?」

「ん……っ!」

 追い詰められたような状況下で、自らの感情を制御できないもどかしさに、慶子はただ唇を噛み締めることしかできなかった。

「意地を張らないで、もっと頼ってくれればいいんです」

「……イヤ。私は、絶対に流されたりしない……っ」

 湧き上がる激しい動揺を打ち消すように、慶子は顔を背け、必死に自分を保とうとするのだった。

「うっ、あ、やん……」

 熱い息を吐きながら教え子にしっかりとしがみつき、漏れる声をなんとか最小限に抑える。剛直が押し上げるたび強く擦れて、美麗な朱唇から声が溢れそうになる。少し菊丸が本気を出せば、若い体は勝手に反応してしまい、簡単に彼のペースに飲み込まれるのだった。

「でへ、先生のアソコ、ヌルヌルがすごくって気持ち良すぎですよ~」

「……いやっ!」

 硬い屹立が支えているその女の中心からは、さらなる果汁が新たに分泌されていく。それは菊丸の剛直を濡らすばかりか、媚薬クリームと見事な配合で混ざり合い、ぬっとりヌルヌルと最高の潤滑剤となっていく。慶子は頬を染めて、その肌の触れ合う感覚にまた溶け狂いそうになる。
 床にも溢れた汗とクリームのミックス液がポタポタと垂れ落ちて、二人が歩いた足跡ならぬ、小さな水溜まりを次々に作っていった。

「こんなにアソコをぐちゃぐちゃに濡らしちゃって♪ でも熱出してるなら、こうやって汗どんどんかいて解熱しないとね~」

「いやンッ!」

 もっともらしい菊丸の屁理屈に、慶子は頭をイヤイヤと振るも、股間からは意に反して粘つく蜜を次々溢れさせてしまう。

「たまに帰ってくる実家なんだし、床を汚すのもほどほどにしないとね~」

 ニマニマとからかいながら、菊丸は腰を下から強く押し上げて、媚薬に燻る美教師の体を遠慮なしに刺激してくる。

「ん……ッ! ぅんん…………っ!!」

 慶子はたまらず教え子の首に手を回すと、自ら朱唇を押し付け、なんとか声を抑えるのがやっとの状態だった。

「ほら、我慢なんかしないでいつもみたいにいって下さいよ~」

「イ、イヤよっ! 私……っ、絶対に、負けないん……だからっ!」

 じんじんと湧き上がる甘い感覚から意識を逸らすように、慶子は眉根を寄せてピンクに上気した美貌を精一杯背けるのだった。

 湧き上がる甘い感覚に溺れそうになるのを、慶子はなんとか堪えて全身をいきませる。

「大丈夫ですって、楽になっちゃいましょうよ~」

「くぅ……ッ、だ、黙ってて……っ!!」

「1回くらいならいっちゃっても別にいいでしょ? 朝までに全部で100回なんて、まだまだ余裕あるんだし」

「い、1回くらい……?」

 慶子は潤んだ瞳を菊丸に向ける。

「そうですよ。僕は1回でもいったら負けなのに、先生は100回も許されるんですよ? よくよく考えたらすごいハンデじゃないですか?」

「そ、そうね……1回くらい……、なら……っ」

 慶子は菊丸の口車に生唾を飲み込んだ。別に我慢なんてしなくていい、素直にこの快感に浸ってしまえばどれほど楽だろうか、と。

「そうそう、一度楽になっちゃいましょ♪ そしたら色々スッキリして、また頑張れますから~」 
 優しく諭してくる悪童の囁き。

(ダ、ダメよ慶子……っ! 一回でも言いなりになったら、また歯止めが効かなくなるのを忘れたのっ!?) 
 ついつい教え子の甘い言葉に流されかけたが、さすがは桂木先生。すかさず気持ちを切り替えて、いつもの凛とした雰囲気を瞳に取り戻す。

(コイツは優しいふりをして、こうやって口車に乗せて、いつも私を罠にはめてくるのよっ!)

 何度もこうやって追い詰められた過去がある。そう何度も同じ手に乗ってなるものか、そう自分を叱咤して奮い立たせるのだった。
 だが、そこはさらに上を行く菊丸。理知性溢れる桂木先生だ、その場の感情などに流されず、賢明に判断してきちんと教師としての理性を保ち続けるだろうということなど、すべて想定内だった。
 それならば、と菊丸は腰をもっと強く密着させ、屹立を陰裂にめり込ませるように擦りつけて、担任教師の理性を根こそぎ削りにかかる。
 塗りつけられた媚薬クリームの威力は絶大だった。学園が誇る才色兼備の女教師の硬い意志を、じわじわと切り崩していく。
 決意を固めたはずの強い意志も、悩ましげな苦悶に歪み、吐く息もいつしか甘い蜜のようなものに変わっていく。

「ほらほら~、楽になっちゃいましょ~」

「あっ、やっ、……んッ! ダメ……ッ

 媚薬によって十分に感度を跳ね上げさせられた身体は、教え子の動き一つで簡単に流されてしまう。
 決意したのも束の間、慶子はあっけなく汗を飛び散らせながら、ビクンと艶麗な身体を弾ませるのだった。
 教え子に抱えられたまま彼の肩に手を置き、必死にしがみつきながら、汗ばんだ柔らかな桃尻をフルフルと震わせる。
 担任の息が整うのを待つと、菊丸は唇を離した。

「くすくす、これで25敗目ですね~」

「………………っ!!」

 絶頂を迎えたばかりの美貌を間近で覗き込む菊丸に気づき、慶子は顔を真っ赤にして、その視線から逃げるよう慌てて顔を背けた。

(いけないわ……慶子、しっかりするのよ。こんなヤツに流されてはダメ……)

 一回気を緩めれば少しは楽になるかと思いきや、そうでもなく、体の奥の甘い官能の火種はまったく弱まってはいなかった。

「まだまだ勝負は続きますよ~」

 菊丸は再び足を大袈裟に上げながら階段を踏み締め、ズンと下から強くめり込むように押し付けては、容赦のない刺激を与えてくるのだった。

「ほらほら、どうしましたあ? 勝負なんですから先生からも攻めてきていいんですよ~?」

「ば、馬鹿にして……っ!」

 からかうような教え子の言葉に、桂木先生は悔しげに唇を噛み締める。
 事実、この階段に来てからだけで、すでに8回も果てさせられていた。少し広い造りとはいえ、一軒家の階段など本来ならすぐの距離。そこを菊丸は、ゆっくりと一歩一歩、抱え上げた担任の肉体を味わうように登る。焦れったいほどの遅歩が、慶子の恐怖を煽った。

(何が勝負よっ! やっぱりコイツには意地でもギャフンと言わせてやるわ!)

 防戦一方の展開の中、慶子は危険を顧みずに勝負に出ることを決意する。
 声が反響する階段での自発的な動きは、リスクが大きすぎる。それでも、小馬鹿にされっぱなしでは教師の面目が立たない。いや、何よりこの悪童に一泡吹かせたい。
 捨て身の覚悟で、自ら柳腰を大きく揺らす。

(おほ、慶子ちゃん、ついにやる気を出してくれましたかあ。こーゆー気が強いところがすきなんですよね~♪ でもっ♪)

「あっ、ああんッ!!!」

 勢いよく攻めたはずが、自身の動きがそのまま強烈なブーメランとなって跳ね返る。あまりの快感に、慶子は慌てて腰の動きを止めた。

(いやん……そのまま返ってきちゃう……っ)

 諦めきれず、今度は動きを小さくしてみる。だが、過敏になった秘処へ、教え子のゴツゴツとした剛直が容赦なく迫り、慶子は逆に泣きそうになった。
 媚薬クリームにまみれた屹立は、美教師の最奥にしっかりとめり込み、擦れるたびにその成分を粘膜の奥へと浸透させていく。
 菊丸がお返しとばかりに、もう一度ズンと下から強めに突き上げた。さっきまで保っていた凛とした表情が、呆気なく苦悶に歪む。
 攻勢に出たはずが、いとも簡単に形勢を逆転され、ヒップを無理やり揺さぶられた。

「あっ、ああんっ!!!」

 ついに耐えきれず、階段中に甘い嬌声を張り上げてしまう。

「おっとっと♪」

「またお父さんに聞かれちゃいますよ~」

 焦った菊丸に、声を塞ぐような深いキスで唇を奪われた。
 攻めようと心に誓えば、それを見越した菊丸に簡単にいなされ、その硬い意志は呆気なく崩される。その繰り返し。
 いつしか慶子は教え子の身体に隙間なくしがみつき、ただ波が去るのを耐えるだけの、無力な防戦一方へと引きずり込まれていった。

「お、降ろしてっ! やっぱりこんな所はいやよっ!」

「何を言ってるんですか~、まだヤル気になったばかりでしょ! 先生も僕に勝って早く解放されたいんじゃないんですか?」

「それは……っ、……ンッ、んんっ!!」

 下から滑るように押し上げてくる衝撃。美貌を真っ赤に染め上げ、慶子は嫌々と首を振る。

「で、でも……、こ、こんな所はいや……っ、せめて……っ」

「せめて? なんですか?」

「……っ」

 慶子は言いかけた言葉を飲み込み、長いまつ毛を震わせて顔を伏せた。
 この階段での勝負は、あまりにも分が悪すぎる。見慣れた実家で、教え子とこんな如何わしい行為に及んでいる事実だけでも眩暈がしそうなのに、この足場の悪さと音の反響。今は菊丸のキスで辛うじて難を逃れているが、咄嗟の悲鳴がいつ寝室の父親に届くか分からない恐怖が、彼女の身体を強張らせていた。
 2階には、かつて使っていた自室が当時のまま残されている。
 書棚や机、そしてベッド。
 せめてそこなら、ある程度声が漏れても1階の寝室までは届かない。まともに勝負と向き合えるはずだ。そこで一度でも精を搾り取れば勝てる。ようやくこの悪童から自由になれるのだ。
 それに、何より……。

「お、お願い、菊丸くん……っ」

 息を乱しながら、慶子は教え子を見つめた。勝ち気さをすっかり失ったその瞳は、何かを乞うように潤み、隠しきれない官能美を放っている。

「どうしましたぁ?」

 追い詰められた担任の姿に、菊丸のニヤケ顔がさらに歪む。

「こ、こんな所じゃなくて……、そのっ、早く……私を、二階に連れて行って……っ」

 慶子は恥ずかしさに耐えかね、教え子の耳元へ消え入りそうな声を囁いた。

「私の部屋があるから……っ。そこに、ちゃんとベッドもあるし……っ、……その……っ」

 羞恥の限界に達し、真っ赤になって俯く。

「でへへ♪ そこでボクと勝負の続きをしたいんですよね?」

「そ、そうよ……、そこなら誰からも邪魔が入らないから……。つっ、続きをしたい……のよ……」

 菊丸の姦計に嵌められていると分かっていながら、自ら生徒をベッドへ誘い込んでいるかのような言い回しに、慶子はあまりの破廉恥さで身震いした。至近距離にある教え子の顔を見ることもできず、ただ小さくなる。

「でへへ。そんなにボクと勝負をしたいんですね~? 分かりました、そこでちゃ~んと決着をつけますか。――こんな感じに♪」

「……あっ?! いっ、ヤァん……ッ、ぁあンッ!!!」

 菊丸はまた足をグイッと大きくせり上げ、怒張を剥き出しの秘部へ強烈に擦りつけた。
 快感の余韻に美教師を狂わせたまま、菊丸は彼女の望み通り、2階の自室へと足を進めていくのだった。

 菊丸は一段ずつ、階段をゆっくりと上っていく。わざと大袈裟に足を振り上げ、己の怒張で慶子の秘裂を圧迫するように、一歩一歩の段差を踏みしめた。
 しかも一定のリズムではない。時折立ち止まって生殺しの休息を与えたかと思えば、また不意に足をグッとあげる。その上げ幅も気まぐれに変え、圧迫の強弱で翻弄してくるのだ。
 執拗なまでの念の入れように、ただ必死にしがみついているだけの慶子はたまらなかった。
 部屋にたどり着くまでは、絶対に声をあげてはならない。慶子は教え子に縋るように、自らその唇に貪りついた。
 菊丸は担任の柔らかな髪をよしよしと優しく撫でまわしながら、力強く段差を踏み込み、激しく下から押し上げる。
 階段を上りきるまでの道程は、慶子にとって気の遠くなるような時間だった。
 ようやく2階にたどり着いた時には、慶子はゲーム開始からすでに合計30回目――つまり30敗目の絶頂を記録していた。

「先生の部屋はどこですか?」

「そ、そこの奥の部屋よ……扉があるわ……っ」

 部屋に入り、明かりを灯す。そこに広がったのは、少し広めで清潔な空間だった。
 白を基調とした女性らしい華やかさを感じさせる室内には、書棚やデスク、チェストが整然と配置されている。窓際には観葉植物が置かれ、いつ娘が帰ってきてもいいように両親が綺麗に掃除をしてくれているのだろう、雑然とした気配は微塵もない。
 教職に就く前の、育ちの良い理知的な女子大生が住みそうな、シンプルで清楚な部屋だった。

「ここが先生の部屋なんですね~?」

 部屋の隅には、少し大きめのシングルベッドが佇んでいる。

「ここで勝負の続きをするんですか?」

 菊丸は、俯く担任の顔を意地悪く覗き込んだ。

「……っ」

 慶子はもう返事すらできず、顔を真っ赤に染めて視線を彷徨わせる。
 部屋の中ほどまで進んでも、いまだに自分を抱きかかえたまま降ろそうとしない教え子に、歯痒い視線を向けた。

「も、もう着いたんだから……、早く降ろしなさい……っ!」

「まあまあ、まだ時間はたっぷりあるんですし」

 ぬけぬけといなされ、菊丸にはまったく下ろす気がない。
 いつまでも教師である自分が、教え子にまるで子供扱いされているような屈辱。そして、なにより恥ずかしすぎるこの対体勢に耐えかね、慶子は語気を強めた。

「いいから、早く降ろしなさいっ!」

 しかしそんな担任の言葉もどこ吹く風、菊丸はキョロキョロと部屋を見渡した。

「でも見てください。先生も自分から僕にしがみついて、離れたくなさそうにしているじゃないですか~」

 菊丸が目を向けた先には、壁際に立て掛けられた一枚の大きな姿見があった。
 縦にも横にも幅のある全身鏡は、二人のあられもない姿を隠すことなく、明るい照明の下に晒し出している。
 そこに映っていたのは、教え子に抱き抱えられ、自らその首に腕を回して、胴体に長い脚を必死に巻きつけている教師自身の姿だった。
 慶子はそれ目にした瞬間、見てはいけないものを見てしまったかのように、慌てて目を逸らす。

「こ、これは落とされないために仕方なく……っ! い、いいから降ろしなさい、早くっ!」

「まあまあ。このままでも別にいいじゃないですか~、せっかくこんなに密着し合ってるんだし」

「密着って……っ」

「それとも、そこのベッドの中でもっと仲良くなりますかあ?」

「……っ!」

 綺麗に整えられたベッドに目を向けた途端、淫らな妄想が脳裏をよぎる。

「こ、このままでいいわ!」

 さすがに立場上、自分からベッドへなんて口にできるわけもなく、顔を真っ赤にして叫んだ。
 いくら勝負とはいえ、二人きりの密室でそこまでさせるつもりはない。教師と生徒の間柄でベッドに入ってしまえば、行くところまで行って取り返しのつかない事態になるのは明白だ。それこそ本当に、言い訳すら立たなくなる。

「分かりました、それじゃあ今は、このまま仲良くしましょうね~」

 菊丸はぬけぬけと言い放つと、勝負再開の狼煙の如く腰を揺すり、ふたたびその硬い怒張を秘裂へ擦りつけ始めるのだった。

「あっ、いやぁん!!」

 静まり返った真夜中の密室に、女教師の張りのある嬌声が鮮烈に響き渡る。

「そうそう。今まで散々我慢してきたんだし、遠慮なく大きな声で鳴いて構いませんからね~」

 悲痛な呻きをあげる美貌の担任を、菊丸はからかうように眺めた。

「ここなら下のお父さんの所まで、声は絶対に聞こえませんし」

「このっ……、あっ!! はァン!!!」

 ドアを完全に閉め切った自室。いくら夜更けとはいえ、これなら1階の寝室にいる父親まで声が届くはずもなかった。
 菊丸としても、これで遮るものは何もない。思う存分、徹底的に担任を追い込めるというものだ。

「ほらほら~♪ もっと大きな声で鳴いちゃってもいいんですよ~?」

「くっ……、この……っ!!」

 しかし、慶子とていつまでも防戦一方でいるわけではない。
 さっきまでは声の反響を気にして率先して攻め込めなかったが、音の心配がなくなったことは、菊丸よりもむしろ慶子の方に味方していた。
 これは目の前の悪童から解放されるための、文字通り命懸けの勝負なのだ。慶子は菊丸の身体にキツくしがみつくと、大胆にそのしなやかな腰をうねらせ、羞恥を捨てて教え子との戦いに没頭していく。

(くっ……、絶対に負けないんだからっ……!)

 ようやく手に入れた、対等な勝負の舞台。
 慶子は菊丸の剛直を淫裂で激しく擦り上げながら、なんとか教え子から精を搾り取ろうと、悩ましげに腰を揺り動かした。

「あっ……ふっ……んん……っ」

 しかし、必死に腰を動かすたび、自身のしなる動きがそのまま強烈な刺激となって自分に跳ね返ってくる。美麗な唇から、悩ましげな溜息が何度も漏れた。
 身体に回りきった媚薬クリームはすっかり芯まで浸透しており、少しでも気を抜けば、簡単に甘い感覚に支配されて溶け狂いそうになる。
 ――だが、ここで攻めを緩めるわけにはいかなかった。
 父親から完全に隔離された密室というチャンスを生かすには、能動的に動くしか道はない。それに、たとえ自分が動かなかったとしても、菊丸が下から腰を押し付けて攻めてくるのは目に見えているのだ。受け身で蹂躙されるくらいなら、自ら仕掛けてこの問題児に引導を渡してやりたい。

(ふんっ、大人を舐めるんじゃないわよ……ッ、……ぅっ、あん……っ)
「あっ……ふぅ……、はぁん……」

 肉の擦れ合う淫らな音が響くほどリズミカルに陰裂を擦り付けながらも、自身の口からも耐えがたいほどの熱い声が漏れてしまう。

(いやっ……、ンッ、声が出ちゃう……)

 声を出すこと自体に問題はなくなった。だが、自ら鳴き声を漏らすのは自身の劣勢を証明すること。これ以上、菊丸を調子づかせるわけにはいかない。
 慶子は教え子の首に細い腕を巻き付け、必死に腰を跳ねさせた。主導権を握っているように見せかける、彼女のせめてもの虚勢だった。

「あ……、ぅん……、ふぅ……っ」

 これ以上の刺激を拒むように、次第に動きを最小限に留めようとするが、熱い吐息がどうしても漏れ出てしまう。

「あれ~? 先生、そういえば」

「な、なによ、こんな時にっ……!」

 慶子は上気した顔を向け、教え子を睨みつけた。
 ほんの少しでも気を抜けば、官能の底なし沼に引きずり込まれかねない。極限の集中を保ちたいのに、知ってか知らずか、言葉を挟んで邪魔をしてくる悪童が忌々しかった。

「お父さんのこと、忘れてませんかあ? さすがに待たせすぎじゃないですかあ~?」

「……え?」

 思考が凍りつく。勝負に狂わされて頭から完全に抜けていたが、解熱薬を手にしたら、1階の寝室に戻る手筈になっていた。

「お父さん、まだ下で待ってますよね? 薬を取ったらすぐ戻った方がいいんじゃないですか~?」

「う……っ」

 ようやくこの卑怯極まりない悪童と対等に戦える聖域へ辿り着いたのに、戻ればまたあの地獄の劣勢に立たされる。
 ――いや、今だって対等などとは言い切れない。さっきから自ら腰を振るたびに、媚薬の染み込んだ肉体は我を忘れそうになるほど、甘い感覚を暴れさせている。
 こんな状態で再び父親の横に戻れば、今度こそ完全に壊されてしまう。
 父親の傍らで、これ以上一度たりとも恥を晒したくはなかった。このまま、隔離された密閉空間で、菊丸との一対一の勝負に臨みたい。

「あ、あれは嘘よ……っ! あなただって分かっているでしょ! あの時はとにかくあそこを離れたいっていう、ただの言い訳よ!」

「なーんだ、やっぱり嘘でしたか~。でもお父さん、一人残されてまだ心配して待ってるんでしょうねえ」

 1階へ戻り、あのシチュエーションで勝負を続けようと、菊丸はなおも食い下がる。
 菊丸としても、”お父さんのすぐ横”という慶子が羞恥に震える状況こそが一番燃えるのだ。あの娘思いの父親のすぐ側で、ぜひとも記念すべき100回チャレンジを敢行したい。もちろん、声を出させないためのそれなりの配慮は必要になるが。

「い、嫌よ! 電気は消してきたから、真っ暗でもう寝てると思うし!」

「そうかな~。心配でまだ起きて待ってますよ~……」

「寝てるのっっっ!!!!」

 慶子の凄まじい気迫の絶叫に、さすがの菊丸も思わずたじろいだ。

「う、う~ん、仕方ないなあ……」

 意地でも引き下がらない担任の執念に、さすがの悪童も根負けする。
 慶子は切長の潤んだ瞳を細め、
「お願い、ここで……。ここで、さっきの続きをしましょう……っ」

 羞恥に耐えながら弱々しく呟き、彼女はあくまでも、誰もいない二人きりの空間での決戦を望むのだった。

「でへへ、まあいっか。分かりました~、じゃあここでボクと決着をつけましょうね。朝までまだまだ、た~っぷり時間はあるし♪」

 菊丸は壁の時計に目をやり、いやらしくほくそ笑んだ。

「し~っかり最後までしましょうね、セ~ンセ♪」

「……っ!」

 慶子はいささか安堵したものの、さりげなく付け足された言葉に、教え子の首に回した手をギュッと握りしめる。
 襲いかかるのは不安だけではなかった。じんじんと最奥で燻り続けている甘い熱が、同時に期待めいたものを自覚させていた。身体はすでに限界近くまで開発し尽くされている。慶子は自身の肉体の裏切りに、改めて戦慄を覚えた。

(あ、朝までなんて……、私。お、おかしくなっちゃう……っ)

 頬を朱に染め、額には珠のような汗が浮かぶ。熱を帯びた呼吸はいまだ乱れたままだ。
 なんとかこの密室での一対一の勝負に持ち込みはしたものの、女教師は己の情欲の深さに戸惑いを隠せない。
 すがるように菊丸を見つめるが、視線が交わると慌てて逸らしてしまう。そんな健気な担任の姿に、菊丸もこれからの甘い時間に胸をときめかせていた。

(うぷぷ~♪ これから本番だってのに、本当にそんな状態でボクに勝てると思ってるんですか~?)

 喉まで出かかった本音をグッと飲み込み、菊丸はぬけぬけと言葉を紡ぐ。

「でへへ、先生が頑張っちゃったら、さすがに僕も負けちゃうかもしれませんよ~」

 わざと期待を持たせる言い回し。少しでも慶子に希望を残して鼓舞することで、彼女の積極性を引き出し、この勝負をさらに淫らに彩ろうとする菊丸の計らいだった。
 必死に抗い、教師としての勝ち気さを見せようとする姿を踏みにじってこそ、攻める価値がある。
 菊丸にとって、極限の快感に震えながらも気丈に振る舞おうとする担任教師が、可愛くて仕方がなかった。

 菊丸は慶子を抱き上げたまま、二人の姿を映す大きな姿見の前へ歩を進めた。

「ほら、見えますかぁ? 先生のとボクのが、あんな風に仲良く擦れ合ってますよ?」

「っ……いやん……」

 彼の言葉に振り返った慶子は、鏡の中の自分たちの姿に真っ赤になって顔を背ける。
 薄いランジェリーだけをまとった自分が、教え子の首に腕を回し、隙間なく体を密着させて抱き合っている。互いの秘めた場所をあらわにしたまま、ぬかるんだそこを擦り合わせる姿がありありと映っていた。
 豊かな胸は薄布越しに菊丸の胸板へ押しつぶされて形を変え、汗ばんだ丸い臀を支える彼の指が柔らかな肉に食い込む。短い裾から伸びるすらりとした下肢は彼の背中に回され、逃がすまいとばかりに引き寄せていた。
 教師である自分が、学校一の問題児にしがみついている──その事実に、慶子は眩暈を覚える。

「こんな感じで、動いちゃったりして」

 彼女の反応を楽しむように、菊丸はぬるりと淫裂に肉茎を滑らせた。

「あっ……ぁあん……っ」

「よーく見えるでしょ? 先生のと、僕のが、仲良く擦れ合ってますよぉ」

 鏡越しに、密着した狹間で互いの秘部がこすれ合う様子がはっきりと見える。そこは二人の汗と愛液に濡れててらてらと光り、卑猥さをいや増していた。

「いや……そんなの、私に……見せないで……」

 慶子は再び顔を背けようとする。

「おまけに、ほら。ぬるぬるしたいやらしい汗が、先生のアソコから次々あふれてきてますよぉ?」

 そこはねっとりと糸を引き、陰唇が肉竿を包むように絡みつき、淫らな動きを見せている。静かな寝室にぐちゅぐちゅと粘ついた水音が響く中、擦れ合う痴態を鏡越しに見せつけられ、慶子は息を詰めた。

「いやっ……ンッ……ダメ……そ、そんなの……見たくない……っ」

「目を逸らさないで、ちゃんと見てくださいねぇ。ほら、先生のお汁が床にぽたぽた垂れてる」

 菊丸は、彼女が互いの痴態をしっかりと目にできるよう、鏡の前で立ち位置まで微調整してくる抜かりのなさだ。

「き、菊丸くん……っ、そんなの、私に見せちゃ……いやぁん……っ!」

 慶子はしなやかな腕を彼の首に絡めたまま、肩に顔を埋めてしがみつく。それでも、促されるままに視線を鏡へ戻し、二人の行為をただ見つめ続けてしまうのだった。

 美麗な脚を大きく開き、割り開かれた臀丘の狭間をひたすら前後に抽送してくる教え子の剛棒。
 表面を通り過ぎるたびに、その肉厚な質量に合わせて形を変える秘裂。
 柔らかな胸の隆起も密着されることによって容赦なく押し潰され、どんどん慶子の全身の感度が跳ね上がっていく。

「どうですか~? ここをこんな風に擦られると、先生も気持ちいいでしょう?」

 そう優しく囁きながら濡れた耳たぶを甘噛みされ、敏感な場所を勢いよく擦られる感覚に、慶子はもう朱唇を震わせ蕩けそうになっていた。

「き、気持ち良くなんか……っ、あっ、ああんっ!!!」

「ほらほら、無理しないの。勝負再開の記念に、一度スッキリしておきましょうね~」

 そう言うと、慶子の弱点を探り当てた菊丸は、徹底的にそこを擦りまくってくる。
 慶子は必死に耐えるものの、ついに我慢できなくなり、「あっ!ぁあんっ!!」と清潔な部屋に一際大きな艶声を響かせた。ビクンッと艶麗な身体を弾ませ、教え子に強く抱きついてしまう。

「ほ~ら、35敗目♪」

 きめの細かい白い肌を優美に紅潮させながら、慄えて俯く美女に「頑張りましたね~」と優しく労いの言葉をかける菊丸。
 慶子は瞳を閉じて長い睫毛を震わせ、もう返事をする気力も残っていなかった。その額にはいくつもの汗が浮かび、息も絶え絶えでくったりとした艶麗な表情が、なんとも言えない扇情的な気持ちにさせる。

「でへへ。たまにはこうやって鏡を見ながらっていうのもいいでしょ?」

 慶子は菊丸のあんまりなセリフに、思わず言葉を詰まらせた。
 そして、わざと姿見越しに自分たちの不埒な行いを見せつけてくる悪童を、咎めるように睨みつける。
 しかしその目はもう、さっきまで何とか保っていた勝ち気さはすっかり失われ、淫靡な情欲にしっとりと潤んでいた。
 白い肌はピンクに染まり、乱れた呼吸を整えるのがやっとだった。
 ふと鏡の中の自分と目が合うと、普段の自分とはかけ離れた情欲的な表情に気づき、慌てて目を逸らす。

「ほら先生も、もっと頑張って。ここならお父さんもいないんだし、先生ならもっとできるでしょ?」

 耳元でからかい口調で、担任をいやらしく鼓舞してくる菊丸。

(く、悔しい……っ! 負けっぱなしじゃいられないわ。なんとか、反撃しなきゃ……っ!)

 教え子の励ましが功を奏したのか、慶子は絶頂の余韻もなお残る敏感な肢体を懸命に動かし、問題児との勝負に勝ちたい一心で、おずおずと腰を揺らめかせ始める。

(おほ、こんなにご自分から動いてくれるなんて~。先生、まだまだやれますね~)

 菊丸はひと休みとばかりに自らは動かず、ただ悠然と構えている。その腕に縋るようにして、彼女は色めかしく、淫らに腰をうねらせる。
 いくら勝負という大義名分があるとはいえ、教え子をこれほど悦ばせているとも知らずに。
 けれども、眼前の大きな全身鏡には、淫らに揺れる自分の姿がどうしても映り込んでしまう。積極的に腰をうねらせるその姿は、まるで生徒を手ほどきしているかのようにも見えて、痴女のような浅ましい自分に、慶子は目の前が眩む思いがする。

(いやぁん、私ったら生徒相手に、こんなにいやらしく腰をうねらせて……)

 鏡越しに晒された己の痴態をまざまざと見せつけられ、どれほど恥知らずで背徳的な不貞を重ねているか、彼女は嫌というほど思い知らされる。
 普段は凛とした佇まいで教壇に立ち、厳しさのなかにも生徒を思いやる優しさと温もりを湛え、その華やかな振る舞いは生徒のみならず同僚教師からも憧れと信頼を寄せられる存在。そんな自分からは、あまりにもかけ離れた不埒な姿。
 しかも、その場所は実家の自室という、見慣れた安らぎの空間。教師である自分が生徒を自室に招き入れ、淫らな行為に耽っているかのような錯覚に囚われ、背徳感は一層その胸を締めつける。
 これもあの悪童の謀略の一環なのだろうか。
 純潔な慶子は平静を保てず、これ以上みずから腰を動かすことなど到底できず、ついにその動きを止めてしまう。

(いやよ、こんなふしだらな姿……っ! もう見ていられない……)

 鏡を見ろという菊丸の言いつけを無視して、彼女は耐えきれず、その可憐な瞳をぎゅっと閉じてしまうのだった。

 自由を賭けた真剣勝負とはいえ、さすがに生徒を相手にこれ以上の所業へ及ぶことに、清廉潔白な慶子が躊躇するのは当然だった。
 生徒を指導する立場として責任感の強いこの女教師にとって、鏡に映る光景は到底受け入れられるものではない。
 この全身鏡から離れるまでは、せめてこれ以上巻き込まれまいと、慶子はぎゅっと目を閉じてやり過ごすほかなかった。
 だが、そこで大人しくならないのが問題児の菊丸である。

「あん…っ」

 担任の胸中を知ってか知らずか、休む暇も与えず、再び下から剛直を押し当ててくる。

「ほ~ら、ちゃんと見てくださいよ。ボクと先生の、愛の営みを」

「く……この……」

 剛直を擦りつけながら挑発する教え子に、慶子は目を伏せたまま歯を食いしばる。

「見ないと、こうですよ」

 菊丸は両手で丸い双丘をさらに押し開き、その中心へ切っ先を向けた。

「う……っ」

 これまでの擦り上げるような動きから一転、蜜壺を軽く突くような刺激に、慶子は思わず目を見開く。困惑のまま鏡へ視線を向ければ、ぬめる裂け目に先端がわずかにめり込みかけている。

「や……な、何をしてるの?」

「だから言ったでしょ。ちゃんと見てないと、ボクのが間違って入っちゃいますからね」

 あと少し腰を押し出せば、そのまま飲み込まれてしまいそうな角度だった。

「だ、だめ……」

 慶子の狼狽を楽しむように、菊丸は「おっと♪」と腰を引き、蜜で濡れた表面を滑らせて切っ先を逃す。

「ちゃんと監視しとかないと、うっかり入っちゃいますよ~」

「だ、だめ……それだけは許さないんだから……っ」

 女教師が取り乱すのも無理はない。一歩間違えば、本当の意味で教え子と繋がってしまうのだから。

 ぬちゃ、と小さく音を立て、先端が蜜に濡れた媚肉の浅い窪みへ沈みかける。菊丸はわざとらしいほど陽気な声を弾ませた。

「いやあ、これはもう、うっかり入っちゃっても仕方ないなぁ♪」

「おっと、危ない危ない~」

 丸みを帯びた慶子の腰をゆるゆると沈めさせては、下から軽く突き上げる。鏡のなかでは、切っ先が濡れた肉の裂け目へゆっくりと呑み込まれていくところで、その様子が慶子の目にはどうしようもなく鮮明に映ってしまう。

「いやっ、菊丸……! 本当に、い、入れたらダメ……ッ」

 桂木先生は必死に腰をよじり、汗ばんだ双丘を逃がそうとした。けれど菊丸は両手でそれをがっしりと掴んだまま、いっさい放そうとしない。浅い場所を抜き差ししながら、その感触をたしかめるように、ゆっくりと腰を上下に揺すっている。

「ほうら、先生の体が沈むとぉ~」

 腰を落とされ、先端が三センチほどぬかるみへ沈んだ。浅い粘膜のあたりで円を描くように馴染ませ、それから腰を持ち上げて、すぽん、と抜く。

「やんっ、やんっ!」

 鏡のなかの教え子の所業に、桂木先生は半狂乱で首を振り、泣き声を上げた。それでも菊丸は、担任の拒絶などまるで意に介していない。深く咥え込ませないよう加減をしながら、浅い範囲でゆるゆると出し入れを続ける。慶子は長い睫毛を震わせ、これ以上踏み込ませまいと、鏡越しに問題児の一挙一動をきつく見据えた。受け持ちの生徒に、これ以上深く挿入を許すわけにはいかない。一線を越えてしまえば、もうこれまでの関係には戻れない。それは肌で分かっている。けれど、下から抱え込まれ、身動きひとつ取れないこの体勢では、鏡越しに見張り続けることしかできなかった。

 しかし実のところ、慶子の胸を占めていたのはそれだけではなかった。菊丸の怒張にたっぷりと塗り込まれた、あの白いクリームの存在である。彼は肉茎ばかりか、その切っ先にまで念入りに媚薬を仕込んでいた。浅い抽送のたび、粘膜の襞に溶け出したそれが、吸収の良い内壁から慶子の奥へと沁み込んでいく。

「あ、そうだ。足しておかないと~」

 慶子の表情から内心を読んだのか、菊丸は片腕を解くと上着のポケットから小瓶を取り出す。慣れた手つきで中身を掬い上げ、白いクリームを自分の剛直へこれでもかと塗り重ねた。

「そ、そんなに……」

 鏡の中の光景に、慶子の声がかすれる。

「遠慮はいりませんよ。先生、これ、大好きでしょ?」

 彼は迷いなく、その剛直を慶子の裂け目へと擦り付けた。ぬめった感触が敏感な表面をゆっくりと滑っていく。

「うっ、んん……あっ、ン……」

 一通り塗り拡げるように擦り上げてから、切っ先を再び窄まりへと沈めていく。

「や、やめなさい。これ以上したら、今度こそ退学よ…っ」

 数センチを埋めたところで、担任の切迫した言葉に菊丸の動きが止まった。

「おお、こわ。……分かりました。これ以上は挿れません」

 さしもの彼も「退学」の二文字には思うところがあるらしい。腰を押し進める気配はない。

「そ、そうよ。約束して。これ以上は……あっ!? うぅんっ!!」

 安堵したのも一瞬だった。菊丸は浅い位置を保ったまま、ゆっくりと抽送を再開する。沈むたびに内側へ直接すり込まれ、甘やかな熱が下腹から滲み上がってくるのが分かった。溢れた蜜が尻の膨らみを伝い、床に点々と染みを作る。

「おや~? やっぱり少しでも中に入ると違いますね。さっきより、ずっと効いてるみたいだし♪」

「抜いて……お願い、もう……」

「ええ? このくらいならいいってさっき言ったでしょ。安心してください。それ以上は進みませんから~」

「こ、このくらいならいいなんて、私、一度も……」

「でも、声、上ずってますよ。こんなにお汁を溢れさせて♪」

「っ……!」

 菊丸の指摘は正確だった。表面をただ擦られていたのとは訳が違う。ほんの数センチとはいえ、内側の粘膜に直接塗り込まれることで、媚薬は格段に深く浸透していく。感度が底上げされていくのを、慶子は肌で感じていた。
 白い肌が火照り、うなじから胸元まで淡い桜色に染まっていく。それだけならまだ凌げた。だが、もしこの浅い場所ではなく、最奥まで貫かれたなら。そこにこのクリームを直に塗り込まれたなら。想像するだけで、慶子の太腿はふるえ、奥がひくついた。

「あっ、ン……き、菊丸……! これ以上挿れたら、絶対に許さないから……っ!」

「はいはい、分かってますってば。心配症だなあ、先生は。僕だって退学はごめんですから。これくらいで我慢しますよ~」

 涙の滲む目で睨む慶子を軽くあしらい、菊丸は浅い抽送を続ける。その律動は、やがて水音を帯び始めていた。

「本当に学校の先生なんですか~?」

「う……っ」

「こんなエッチでいやらしい先生、いないですよ?」

「そ、それは、あなたが……」

「こんな格好で生徒を誘惑しちゃって♪」

「こ、これは……菊丸くんが着ろって……」

「しかも自分の部屋に生徒を招き入れちゃったりして」

「………それ以上言わないで……っ」

 耳元で「教師失格」と烙印を押すように、容赦のない愛撫のごとく囁きを這わせる。菊丸の言葉に射すくめられるたび、慶子の理性が摩耗していく。その間も、彼の猛り狂う剛直の先端は、じくじくと愛液を滲ませる蜜壺の入り口を執拗になぞっていた。浅い侵入を繰り返すたび、溢れ出た愛蜜が最奥へと 馴染ませるように 擦り込まれ、二人の境界を濡れそぼらせていく。
 それまで左右に擦れるだけだった蠢きに、下から軽く突き上げるような仕草が混ざり始める。慶子は全身に粟立つような慄えを走らせ、しがみつくように菊丸の首へと腕を回した。もはや彼の肩に顔を埋めて、溢れ出る吐息を耐えることしかできない。

「どうですか~、僕のキツツキくんは~♪」

 焦らすように、決して激しくはない小刻みな突き上げ。だが、その執拗な刺激こそが、慶子の理性をじわりじわりと侵し、溶かしていく。

「や、やめなさい……っ。いい加減にしないと、本当に……退学にするわよ……っ」

「だから~、これくらいなら許すって言ってたでしょ、先生」

「誰も、そんなこと言って……、ぁ、あんっ!」

「3センチくらいならいいって言ってたでしょ~♪」

 悪戯めいた声音と同時に、菊丸はさらに5センチほど奥へと腰を進める。

「いっ……やぁん……っ、そんな、奥まで……っ!」

 ぬぷり、と蜜溢れる窄まりが浅く埋まったところで、退学という言葉が効を奏したのか、菊丸はそれ以上押し込まずにゆっくりと腰を引いていく。
 再び尖先をあてがい、浅く挿し入れては粘膜を馴染ませるようにかき混ぜ、焦らすような速度で抜いていく。
 悶えるような愛撫の繰り返しに、慶子の胎内は芯から疼きだしていた。

(あん……っ、なんで……っ)

 生殺しの微温的な愛撫がもたらすもどかしさに耐えかね、慶子は無意識のうちに、自らその切っ先へと腰を押し当てていた。

「っ……!」

 はっと我に返り、慌てて自身の動きを止める。
 端正な美貌は羞恥の朱に染まり、切れ長の目尻には悔しさと快楽が入り混じったような涙が滲んでいた。

(し、仕方ないでしょ……。これは勝負なんだから、自分からも動かないと……)

 そう、自ら動くのは勝負に勝つための正当な行為のはず。勝つためには自分から仕掛けることも必要なのだと、熱を帯びていく心の中で必死に言い訳を重ねる。
 しかし、自ら動けば、教え子の生意気な突起を、自身の最も神聖な最奥へと深く招き入れてしまうことは明白だった。

「これ以上は退学」と自ら牽制した手前、それ以上の破廉恥な真似など誇り高き彼女にできるはずもない。
 慶子は熱い吐息をそっと呑み込み、溢れそうになる快感を必死に抑え込むことしかできなかった。

(で、でも……っ。こっちからも、何か仕掛けないと……)

 慶子が逡巡に身を焦がしている間も、菊丸の容赦ない責め立ては止まらない。ぬぷぬぷと濡れた音を響かせ、下から突き上げるように、浅い出し入れを執拗に繰り返してくる。

「でへ。先生が奥まで挿れたら退学なんて脅すから、これくらいで我慢してあげてるんですよ~♪」

「お、奥じゃないにしても……っ、これじゃあ……、ほとんど入っているのと、同じじゃない……っ」

 先ほどまでは先端だけと言い張っていたくせに、いまや五センチ、いや、それ以上の深みまで侵入してきている自覚があった。
 熱い肉壁がぐずぐずに抉られ、蹂躙されていく。

「あっ、いやっ。あっ、うぅん……」

 教え子の首に絡めた腕に、思わずぎゅっと力がこもる。慶子の口から漏れる嬌声は、すでに隠しきれない甘い熱を帯びていた。

(だ、ダメよ……、でも、あぁんっ! 気持ちいい……っ)

 官能の渦に呑まれ、自らも腰を揺り動かしてしまいそうになる衝動を、必死の思いで堰き止める。

(ダメよ、慶子……流されたりしちゃ絶対ダメ……。でも、私、もう……っ)

 理性を総動員して肉体の暴走を抑え込もうとするが、蜜壺に灯った淫火はすでに制御不能だった。媚薬を流し込まれたかのように狂わされた肢体は、ついに主の意志を裏切り、歓喜に震えながら小刻みに腰を揺らし始める。
 しかし、その瞬間だった。

「あっ!? イヤっ! んん……っ!?」

 このまま最奥まで一気に貫かれてしまう――そんな予感に背筋を強張らせた刹那、何の前触れもなく、ぬぷりと剛直が引き抜かれたのだ。
 自ら拒絶の言葉を口にしていたことさえ忘れ、慶子は甘い虚脱感のなかで戸惑うように首を振った。

「いっ、いやよ……、菊丸くん……っ」

「はいはい、仰せの通りにしましたよ。だからちゃんと抜いたでしょ? 僕だって退学処分は御免ですし~♪」

 菊丸はにんまりと意地悪く笑うと、今度はその猛りの表面で、慶子の秘裂を優しく撫で上げるような愛撫へと切り替えた。じらすようなソフトタッチが、じっとりと濡れた粘膜に新たな刺激を刻み込んでいく。

「いやよ、そんな焦らし方……、お願い、菊丸ぅ……」

 懇願とも歓喜ともつかない声を漏らし、慶子がようやくその生殺しの感触に慣れてきた、まさにその刹那。
 再び、熱く硬い質量がぬかるんだ蜜門をぐっと突いた。
 そしてやはり、切っ先だけとはいえ、容赦なくその狭路へと控えめにねじ込んでくるのだ。
 教え子が繰り出す緩急自在の攻めに、慶子はもう「嫌々」と首を振ることしかできない。
 灼熱の快感に脳を灼かれ、慶子にはもう、正気に戻って思考を巡らせる余裕など一欠片も残されていなかった。

「うるさい先生ですねぇ。だから、これくらいで加減してあげてるんですよ?」

 菊丸は沈みかけた剛直を浅瀬付近まで引き戻すと、再びキツツキのように、入り口付近だけを小突くような動きに切り替えた。

「やっ……ンッ! ……ンンッ!!」

 刺激の急変に、慶子は思わず悲鳴のような吐息を漏らし、目の前の教え子に強く抱きついた。
 たまらなかった。奥の方まで改めて媚薬を塗り拡げられたことで、慶子の理性は完全に瓦解しかけていた。同時に、引き抜かれた瞬間の強烈な喪失感が切なさとなって胸を締め付け、しなやかな腰をカタカタと震えさせる。

「でへ、これなら先生も安心でしょ? つーん、つーん、つーん♪」

「あ……っ、ん……うぅ……っ!」

 下からつつくような、ほんの微小な蠢きに過ぎないというのに、慶子の肢体は明らかに感度を跳ね上げていた。熱っぽい吐息とともに、淫らな声が次々と溢れ出てしまう。

「ダ、ダメ……そんな、生殺しみたいな動き、しちゃ……っ」

「でへ、僕はかるーく突っついてるだけですよ。つーん、つーんってね」

「そ、それが……ッ、あ……っ! ああンッ!!!」

 あまりの物足りなさに、慶子は菊丸の動きに合わせて自ら腰を押し付けたい、という猛烈な衝動に駆られる。

「ほら、勝負なんだから先生からもちゃんと動かないとダメでしょ? 自分からもっと、欲しそうに腰を押し付けてこなくちゃ~♪」

「で、できるわけないでしょ……ッ。今そんなこと、したら……っ」

 まるで心を覗き見られているかのような教え子の言葉に、慶子は切羽詰まった声を絞り出した。官能の涙に濡れたその瞳は、言葉とは裏腹に、教え子にさらなる陵辱をねだっているようにも見えた。

「でへ。先生の気持ちいいところにも、直に僕のクリームが塗られちゃいますもんねぇ~♪」

「~~~!!」

 菊丸は女教師の秘められた熱望を敏感に察したのか、表面を弄ぶツンツン運動から、再び浅瀬へとその質量をめり込ませてきた。

「あっ、ああんっ!」

 思わず菊丸の首にすがりつく先生。
 それでも菊丸は、自分からは決して深追いしなかった。入り口からわずか三、四センチの境界線でぴたりと動きを留める。そしてそのまま、切っ先だけを浅く出し入れしたり、不意に抜いては硬い肉茎で秘唇を擦り上げたりという、拷問のような焦らし愛撫を延々と繰り返すのだ。

「あ……、いや……っ、……んん!!」

 慶子の脳内からは、もはや勝負の勝敗など消え失せていた。あるのはただ、押し寄せる快楽の濁流に、流されるか流されまいかという絶望的な葛藤だけだった。
 ほんの少しでも自分から腰を落とせば、容赦なく生徒の猛りが最奥まで侵入してくることは分かっている。
 我を忘れてうねりそうになる下半身を、慶子は残された強靭な理性で必死に抑え込み、歯を食いしばって耐え忍ぶ。

(ダメよ、慶子……! 忘れたの……っ!? あなたは教師なのよ? 今、自分から腰を動かしたりなんかしたら……っ! ほ、本当にもう、後戻りできなくなっちゃう……っ)

 ひび割れて剥がれかけた理性の破片を必死にかき集め、心の中で自身に必死に言い聞かせてブレーキをかける。
 勝負の真っ最中であるはずなのに、自分からは決して仕掛けることができないという、あまりにも歯痒いジレンマ。
 攻める手立てを完全に封じられた慶子にできることは、いまやひたすら守りに徹し、菊丸から繰り出される執拗な攻撃を耐え忍ぶことだけだった。

 当の菊丸といえば、目の前で身悶えする担任の困惑した表情にほくそ笑みながら、
「ツンツン運動と、少し挿れられるの、どっちがいいですか~?」

 などと、底意地の悪い二択を突きつけてくる。

「う、うう……」

 声にならない悩ましいため息を漏らすと、慶子は観念したように声を絞り出した。

「つ、つんつんよ……、つんつんしか、しちゃダメ……っ」

 とりあえずこの場をやり過ごすしか手はなく、ひたすら教え子に抱きつきながら、これ以上深くまで侵入されないよう鏡を注視するしかなかった。

「でへ。先生はツンツンが好きなんですね? 分かりました~♪」

 菊丸は担任の望み通り、めり込んでいた先端をずるりと引き抜くと、慶子の陰裂の入り口を再びツンツンと小突き始める。

「あっ……、イヤよ菊丸っ、はぁっ、んん……っ」

 自分から望んで選んだ刺激だというのに、あまりの気恥ずかしさに目をぎゅっと瞑り、ブンブンと顔を振って嫌々をする。
 しかし、教え子の動きに耐えようと思えば思うほど、その質量を強く意識させられてしまう。軽いツンツン運動の繰り返しであっても、粘膜を通じて徐々に甘い痺れが増していき、慶子は全身をぷるぷると震わせながらのけぞった。

「ほら先生、ここがいいんでしょ?」

「あっ……、そこはっ……、やぁんッ!!」

 何度も執拗に小突く中で、菊丸はついに慶子の最たる性感帯を探り当てたのか、そこを重点的につついてくる。

「どうですか? 僕のキツツキ運動は~?」

「キ、キツツキって……っ」

「つーん、つーん、つーん♪」

「あ……っ、きっ、きく……っ、ンンッ、ああンッ!!」

 たまらず慶子はビクンと激しく腰を弾ませた。教え子の身体にがっしりと抱きついたまま、ついに「38敗目」の絶頂を迎えたことを、痙攣する全身の震えで伝えるのだった。

「でへ。照れちゃいますねぇ。学園のマドンナ教師の桂木先生が、生徒の僕にこんなにしがみついてくれるんですからね~♪」

「ああ……っ」

 鏡に映る無様な自分たちの姿を薄目で見届け、慶子は頬を灼くような熱に染めながら、さらにぎゅっときつく菊丸にしがみついた。

(やっぱり、この子には勝てないわ……)

 心の中でそう呟いた瞬間、勝負論にすらならない、抗いようのない冷徹な現実を突きつけられる。

(くす、まったく勝負になってないじゃないですかぁ♪ ま、媚薬ですっかり痺れちゃってるから仕方ないか~)

 菊丸は、目の前で切なげに身悶えする女教師の美貌を愉しげに盗み見た。
 官能に眉根を歪め、口元からはますます熱っぽい吐息を漏らし、両頬を紅潮させたその顔は、普段教鞭を執っている姿からは想像もつかないほど凄艶を極めていた。

「でへ。やっぱり、お父さんの前でちゃんと解熱剤を飲んだ方がいいんじゃないですか? 特にここが、すんごいお熱いですよ~♪」

「んんっ……!」

 からかうように、菊丸はまるで熱源を確かめるように腰を動かし、ゆるりとそこを擦り上げた。

「ダ、…っメッ! 菊丸ッ! 私、まだ……っ、ぁあんっ!」

 絶頂したばかりで極限まで敏感になっている場所を、無遠慮に硬い塊で擦り上げられ、慶子は顔をのけ反らせてすぐに愛らしい悲鳴をあげる。

「まったく、びしょびしょに濡らしちゃって。お熱が出てるから、こんなにいっぱい汗かいてるんでしょ?」

 その証拠とばかりに、菊丸が擦り上げるたび、泉の最奥から粘り気のあるトロついた汗がどんどん溢れ出ていく。

「やっ……、そんなっ……熱なんて……っ!」

 熱のせいなのか、互いに擦れ合う粘膜は汗でしとどに濡れそぼり、そこを生徒の剛茎がヌルヌルとした愛液の糸を引きながら、滑るように撫で回る。
 そこへ時折、再び下からの小突くような動きも織り交ぜて変化をつけてくるからたまらない。

(ああん……ダメっ、そんなに動いちゃ……慶子、おかしくなっちゃう……っ!)

 ただ突くだけではない。時折、また浅めに先端を捩じ込んでくるのがたまらなく狂おしかった。

「やっぱり、お父さんの前で飲んで安心させるべきでしょ~♪」

「しつっこいわね……!! だ、だから言ってるでしょ! それは嘘だって! 熱なんて、そもそもないんだからっ!」

「あれ~? でもおかしいなあ。じゃあ、なんでこんなに汗をいっぱいかいてるんでしょうね? すんごい熱いし~♪」

「うっ……」

 菊丸の言う通り、まだまだ身体の熱は増しているのか、床に大きな水たまりを作るほどに濃密な汗を溢れさせている。

「こんなに汗でいっぱいヌルヌルさせちゃうのって、やっぱりお熱のせいじゃないんですか~?」

 菊丸は真っ赤になって俯く担任を尻目に、自身の剛茎をぬるぬると滑らせながら擦り付け、汗の湿り具合を確認する。

「し、しつっこいわねっ、もう……っ!! これは汗じゃないって言ってるでしょっ!」

 慶子は顔を真っ赤にしながらなおも言い繕うが、菊丸の手綱は緩まない。

「ええ? じゃあ何なんでしょう? う~ん、そう言われると、たしかに汗にしては妙に粘り気があるし……」

「~~~っ!」

「妙にぬるぬるして、よく滑るし♪」

 剛茎で秘唇をなぞり上げながら、そのヌメる感触を指先のように楽しむ。

「こ、これは私の……、その……」

 恥ずかしさに身を焦がしながら、慶子は菊丸の耳元に口を寄せて、ごにょごにょと何やら口籠った。

「でへ。そうですかあ。先生の愛液でしたかあ♪」

 自身の恥ずかしすぎる精一杯の告白に、慶子はさらに身を寄せて小さく縮こまってしまう。

「てことは、もしかして先生、こんなことされて気持ち良くなっちゃってるんですか~?」

「……っ! そ、そんなこと、き、気持ちいいわけ……っ」

「でへ、素直になりましょうよ。さっきから先生、気持ちよさそうに顔をとろけさせてますよん♪」

「…………」

 慶子はもう、教え子の不躾な問い掛けに答える言葉を持たず、ただ肩を震わせながら俯くしかなかった。

「さっきよりも、もっとぐちゅぐちゅに蜜を垂らしてますよ? 糸まで引いちゃって♪ なんでなんですかねぇ?」

「あ、あんたが……変なものを塗るからでしょ……っ!」

 頬を限界まで紅潮させながらも、慶子は切れ長の鋭い眼光で、憎らしげに教え子を睨みつけるのだった。

 しかし菊丸は、そんな担任の怒気を孕んだ睨みつけにも臆することもなく、横滑りの動きから、また先端を下から小突かせるキツツキ運動へと平然と切り替えてくる。

「あッ!? それっ……、やっ、いやぁんッ!!」

 いったばかりで肉壁の制御が効かないのか、慶子はそれだけで、助けを求めるように菊丸にギュッと全身でしがみついてしまう。

「でへ。やっぱり気持ちいいって事ですよね? ボクが動かすと先生の中がいやらしく潤ってきますもん」

「…………っ!」

 慶子は顔を真っ赤にして顔を背けたが、菊丸はそんな先生の顔を見て、したり顔を浮かべた。

「先生のエッチな愛液で♪」

 からかうように、そう嬉げに付け加えてくる。
 菊丸の言う通り、教え子の動きに呼応するように、秘芯の奥から粘ついた蜜を次々に溢れさせていくのだ。
 下から突くような細微な動きで刺激を与え、担任がその刺激に慣れできそうな頃合いを見計らって、わざと切っ先を外すように表面をズルリと滑らせる。そうして動きに緩急の変化をつけてくるからたまらない。
 ぬちゃぬちゃと淫らな音が室内に響くほど巧みに腰を動かし、担任教師をさらなる官能の深みに誘い、狂わせてくる。

(ああんっ、身体が熱い……! このクリームなんなのよ?! 効きすぎなのよっ……!)

 媚薬クリームにまみれた剛直によって、浅瀬の粘膜に成分がとろりと溶け込み、そこが異常な熱を帯びて彼女をすっかり狂わせていく。
 なおも菊丸は腰を器用に回転させるように動かし、慶子の敏感な粘膜を丁寧にほぐしてくるのだ。
 慶子は首をフルフルと振ってなおも拒絶する態度を示すのだが、相手はそんなことはお構いなしとばかりに、ただひたすら腰を前後に動かしながら擦り上げ、担任教師の情欲を高めてくる。
 執拗な教え子の責めに慶子はただひたすら耐えて、菊丸の首元に顔をうずめて熱い吐息を吐きかけるしかなかった。
 それでもやはり浅瀬までしか挿れてこない動きに、耐えているのとは裏腹に、いつしか慶子は次第にどこか焦れったいほどの感覚を覚えて、そのしなやかな柳腰を震わせてしまう。

(でへ、可愛い顔しちゃって。頑張って耐えてるし、そろそろまたご褒美あげないとね~♪)

 猛りが再びその狭門へと宛がわれ、強引に捩じ込まれていく。

「あっ!? いやっ、それはダメよ!! 菊丸くんっ!!」

 侵入の確かな一撃に、慶子の肢体は一瞬にして熱を帯びた。明確な拒絶を示すように、激しく首を振る。
 最初はわずか数センチ、先端のみの侵入だったはずが、時折その限界を超えて亀頭の全容が秘裂へと滑り込んでくる。菊丸の体にすがるしかない慶子は、目の前の姿見に映る光景から目を背けることができない。さらに奥まで割り裂かれるのではないかという予感に、身震いが背筋を駆け抜けた。

「お尻が震えてますよ~、僕のが入っちゃわないかちゃんと監視して下さいね~」

 本当なら視線を逸らしたいほどの屈辱的な光景。しかし、教え子の奔放な動きを監視せねばならないという大義名分のもと、慶子は釘付けにされたように鏡の中の交わりを注視するしかなかった。

「そうだ! まだ余ってたからもっと念入りに塗っておきますか」

 菊丸はおもむろに片手で上着のポケットを探ると、例の媚薬クリームの小瓶を取り出し、見せつけるように掲げた。

「え‥、それっ‥! ま、まさか‥っ?」

「そのまさかですよん♪どうせならたっぷり使わないとね~。先生も嬉しいでしょ?」

 ぬぶり、と一度先端を引き抜くと、屹立する肉茎へこれでもかとクリームを塗りつけていく。今度は一滴も残さぬと言わんばかりの、過剰なまでの量だった。

「ダメ‥っ、そ、そんなに塗ったら‥っ」

 幾重にも重なり、白く輝く劇薬クリームをまとった凶器が、鏡の中でいやらしく存在感を主張している。その圧倒的な質量を前に、慶子は絶句するしかなかった。

(あ、あんなにたくさん塗って‥‥。あんなの入れられたら私‥‥)

 そして残酷にも、再び下からの角度で切先が突き立てられ、肉門の合わせ目に先端が押し当てられた。
 べっとりと媚薬をまとった猛りが、慶子の最も敏感な場所を押し上げ、今にもその内奥をこじ開けようとしている。
 もしこれを深奥まで受け入れてしまえば、粘膜の隅々にまであの忌まわしい快楽の種を擦り込まれてしまうのは火を見るより明らかだった。

「ダ、ダメよ、菊丸‥っ、絶対入れちゃダメっ!」

 懇願を遮るように、菊丸はその硬く尖った先端を、すでに蜜を湛えたぬかるみへと捩じ込んでいく。

「あっ‥、んんっ‥」

「でへ、分かってますって。奥まで挿れたら退学でしたよね?」

 またしても、彼の侵入は入り口からわずか数センチのところでぴたりと止まった。

「そ、そうよ‥、奥まで挿れたら退学なんだから‥」

「安心して下さい、これ以上は僕も我慢しますから」

 さすがに退学の二文字は重いのか、それ以上の蹂躙はないと言い含め、担任を安堵させる。
 だがその代わりに、入り口付近の浅瀬に絞った、執拗な出し入れが開始された。

「んっ‥、あぁん‥、ふぅ‥」

 浅い刺激、されど官能に火のついた肉体は敏感に反応し、思わず甘いため息を漏らしてしまう。
 先端のクリームを熱い粘膜へと馴染ませ、融かすことが目的であるかのように、ゆったりとした速度で浅瀬が撹拌されていく。そのじれったいまでの愛撫が、逆に慶子を追い詰めた。

「ぁあん‥はぁっ、‥んんっ!!」

 ぬちゃぬちゃと卑猥な水音を室内に響かせながら、下から浅い突きが繰り返される。
 深く沈んでは引き抜かれ、そしてまた挿入される、その永劫のような反復。

「う‥ふぅ‥、んっ‥」

 決して奥までは届かない、スローペースのキツツキ運動。しかし、断続的に与えられる小刻みな刺激のたびに、桂木先生の口からは切なげな嗚咽が漏れた。こんな浅い楔であっても、慶子の若く従順な肉体は、理性とは裏腹に狂おしく燃え上がってしまっていた。

 先端に塗布された白いクリームは、溢れ出る愛蜜と溶け合い、白濁した泡となって二人の結合部でぬめりあう。それは直視を躊躇うほどに、あまりにも淫らすぎる光景であった。
 もう見ていられない――と目を逸らそうとする慶子に、

「おっと。目を逸らしちゃダメですよ~。うっかり奥まで入っちゃうかもしれないし~」

 と、菊丸は耳元で囁き、その破廉恥な境界をしっかり注視するよう促すのだ。
 確かに彼の言う通り、一瞬の油断が命取りになりかねない。
 浅瀬を小突かれただけでも既に充分すぎる効果を思い知らされているのに、根元まであの真っ白に化粧された剛直を埋め込まれでもしたら――それこそどうなってしまうのか慶子自身にも予測がつかなかった。
 教師としてのプライドも、この歪なゲームの行方もすべて吹き飛び、本当に教え子との情事を夜通し貪り尽くしてしまいそうになるのが、何よりも怖かった。
 だからこそ聖職者としてしっかりと目を見張り、一瞬の隙も許さずに、生徒の不穏な挙動を監視するほかなかった。

「ち、ちょっと……、こらっ! さ、さっきよりも入ってない……っ!?」

 亀頭の膨らみが見えなくなる三、四センチの深さまではどうにか理性を保って許容していたのに、さらにそこから一センチほど侵入しているように見えて、慶子は目の前の教え子を慌てて叱咤し、牽制する。

「え~そうかなあ? 気のせいですよお」

 菊丸は悪びれもせず、ズルズルと入り口付近まで引き抜いて、そこからまた、狭い肉路の奥へとゆっくり戻してくる。亀頭の段差からさらに一センチ、いや、二センチは奥まで入り込んでいるのではないか。

「ダメっ! ダメよ……、菊丸っ! ホントにダメだからねっ!!」

「えへ。気のせいですから~」

 などと言いながら、ついに担任教師の締め付けがもたらす極上の感触を楽しみ始める菊丸。
 気のせいなどでは断じてない。明らかにさっきよりも数センチ深くまで挿入しているのが見てとれた。入り口からもう六、七センチほどは侵入させ、その剛直が熱い粘膜へと、媚薬クリームを直接擦り付けながら蹂躙してくるのだ。
 その度に慶子の肢体は抑えきれない熱を孕み、自覚のないまま、内奥から歓喜の炎を燃え上がらせていってしまう。

「でへ。まだ勝負の真っ最中なんですよ? 先生もそんなにじっとしてないで、自分からも腰を動かしていーんですよ?」

「なっ……」

 この期に及んでとんでもない不埒を言ってのける菊丸に絶句し、鋭く睨みつける。

「こ、こんな状態で、勝負なんてできるわけないでしょ! そんな事したら……っ」

 そう、表面や浅瀬付近でただ擦り合わせるだけじゃない。今この極限状態のなか、自分からも腰を動かして応じるような真似をしたら、それは紛れもない『あの行為』そのものだった。しかも、媚薬クリームを奥の奥までたっぷりと、自ら進んで塗りつけられに行くようなものだ。

「さすがに先生から引き込んできたら、退学だけは勘弁して下さいね~」

「~~~! あ、あんたって子は~っ!!」

「まあ、先生が勝負しなくても、こっちからは遠慮なく勝負しますけどね~」

 菊丸は入り口付近まで引き戻すと、再び容赦なく奥へと押し進めてくる。

「あっ、いや……っ、ンンッ! ああんっ!!」

 気づけば、教え子の首に回した腕と、その腰に巻きつけた足にも自然とギュッと力が籠もる。
 先ほどまで鏡のなかの光景を厳しく監視をしていた目は、いつしか情欲に潤み、熱い吐息を漏らしながら二人の結合部を恍惚と見守ってしまっていた。
 しかし、ここでもこの狡猾な問題児は「そこまで」とまるで境界線を決めてでもいるかのように、それ以上は絶対に腰を押し進めて来ない。
 六、七センチ程度のところまでくるとピタリと腰の押し上げは止まり、そこから入り口までのきつく閉ざされた肉路を、前後に抽送してくるのだ。
 先ほどまでは浅瀬のみを小突く一方的な動きだったのに、いつの間にか浅いとはいえ、明確な出し入れという相互の交わりの形を成してしまっている。

「きっ、菊っ……, 入ってる、入ってるわ、これ……っ」

「でへへ~、気のせい、気のせい~」

 尚もそう言い張る菊丸なのだが、さっきより明らかに深く侵入してきている。

「先生も僕のキツツキくんに慣れて来たんじゃないですかあ?」

 そのキツツキ運動は、ただ小突くだけの感覚から、狭い肉路をみっしりと潜り込んでくる、確かな交わりの感覚へと変貌を遂げていた。

 しかも相変わらずのゆったりとした動きで、たっぷりと付着した媚薬クリームを、熱い粘膜の壁面へ万遍なく擦りつけて馴染ませる――それだけが目的であるかのような、底意地の悪い執拗さだった。

「ぁあ……、ふぅん……ッ!!」

 浅い入り口付近だけでなく、より深い内部にまでクリームを塗り広げられることで、慶子の感度は明らかに跳ね上がっていた。

「ぬ、塗らないで……っ! 嫌よ! そんなところまで塗られたら、わたし……っ」

 いよいよ切羽詰まった悲鳴のような声をあげる慶子。
 媚薬の成分がさっきより格段に威力を増してきたことに恐怖を抱くのだが、彼女のさらなる懸念は、もう一つ先の領域にあった。
 先ほどから、慶子のさらにその奥の秘所が、未知なる刺激を欲するかのように熱い愛蜜を溢れさせ、微かにわななきを始めてしまっているのだ。
 いくら待っても一向に最深部までは侵入してこず、手前でお預けを食らっているもどかしさに、肉壁はヒクヒクと切ない疼きを止められずにいる。
 それは入り口側までしかクリームが塗られていない焦燥感のせいなのか。あるいは、徐々に浸透してきた媚薬の効果によって、まだ蹂躙されていない最深部が、疎外感から狂おしいほどの切なさを覚えてしまっているのか。

(ああん、熱いわ……、熱いの……っ。た、たまらない……っ)

 慶子は無意識のうちに、菊丸が挿入しやすいように自ら腰の位置を調整し、さらには侵入してくる異物をギュッと締め付けてしまう。

(もうちょっと角度をつけてくれたら、そのまま奥まで入りそうなのに……っ)

 と、つい、心のどこかでそれを期待してしまっていた。
 そう自覚するたびに慶子はハッと我に返り、淫らな妄想を振り払うように頭をブンブンと横に振るのが精一杯だった。
 シースルーのレース状のランジェリーから覗く、きめ細やかな色白の陶器のような美肌は、いまや妖艶な薄桃色に染まり、女教師の肉体がどれほど熱を帯びているかを無言で伝えてくる。

「でへ。先生、熱くなっちゃってるんじゃないですかあ? 我慢しないで、先生からも勝負しても構わないんですからね~」

 菊丸は尚もしつこくツンツンと小突くような運動を繰り返し、担任の奥からさらに濃厚な蜜を分泌させてくる。

「で、できるわけないでしょ……っ、あっ! んんっ!」

 相変わらず表面上では教師の体裁を守ろうとするものの、次第に慶子は、浅瀬だけでいつまでも遊ぶ教え子のマイペースな動きに、じれったさを覚え始めていた。
 思わず、(もっと、奥まで……)と教え子の腰の動きに合わせて、自分からも細腰を押し出してしまいそうになる。
 そこでも慶子はハッと目を見開き、自分のはしたない衝動に気づくと、慌てて腰の動きを止めた。

(な、何してるのよ慶子! 相手は受け持ちの生徒なのよ? これ以上は……っ!)

 全身を小刻みに震わせながらも、慶子は官能に溶けかけた理性をなんとか必死に抑え込む。
 教え子にこれ以上深く侵入することを許し、たっぷりと塗られた媚薬クリームを最深部にまで塗り込められてしまったら、いよいよ自分が狂ってしまうのは確実だった。
 それこそ「勝負」を大義名分にして、我を忘れて淫乱になり、自分から貪欲に教え子を求めてしまうかもしれない。
 ぶんぶんと首を振ってなんとか正気を保ち、内奥の浅ましい願いを懸命に振り払って打ち砕く。
 その間にも、菊丸はいつの間にか六、七センチの深さまでペニスを侵入させ、それでもそこを「限界点」と制限しながら、じりじりと焦らすような出し入れを繰り返してくるのだった。


 少しずつ、ほんの少しずつだが、そのさらに奥まで、菊丸は狭い肉路を着実に割り裂き、熱い肉壁にクリームを塗りつけていく。慶子の方も、彼が少しずつ奥まで侵入してきていることに気づけないまま、じわじわと馴染ませられる快感に、自制心を甘く溶かされていく。
 そうしていくうちに、ついに慶子は無意識のまま、菊丸のゆったりとした抽送に合わせるように、自らも彼を迎えるように腰を動かし始めていた。

「ありゃ? また自分から腰を動かしてくれて。やっとヤル気だしてくれましたぁ?」

「だ、だって……」

 菊丸の言葉にハッとさせられ、自分の破廉恥な行動に気づかされるも、もう動きを止めることができない。

(菊丸くんが奥まで挿れてくれないから……)と思わず口走ってしまいそうになるのを、必死の理性で抑え込む。もちろんそんな恥知らずな本音は、受け持ちの生徒に対して口が裂けても言えるはずがなかった。

「ああ、そうですもんね~、勝負でしたもんね~。忘れてました~」

「そ、そうよ、勝負なんだから……っ、仕方ないじゃない……っ」

 慶子は「勝負」という大義名分を盾にして、恥じらいに染まりながら、そっと自分からも腰を動かし始める。もちろん、これがすべて菊丸の仕掛けた策略だとは、露ほども気づいていない。
 教え子のゆったりとしたキツツキ運動に合わせるように、自らも不自由な体勢のまま、腰を沈めるようにうねらせていく。
 ふと鏡に目をやれば、二人の結合部が鮮明に映し出されていた。
 自分から腰を沈めたことで、まだ完全に根元までは達していないものの、先ほどよりも深く生徒の剛直を受け入れているのは明白だった。その教え子を相手に、自ら進んで腰をうねらせている自分の浅ましい姿を見て、慶子はまた気が狂いそうになる。

(ち、違うのよっ! だって、仕方ないじゃない……っ)

 柔らかそうな朱唇を強く噛み締める。

(わ、私は教師なんだから……。勝負じゃなかったら、絶対にこんなこと……っ、自分からしないんだから……っ)

 目の前が眩むような淫らな光景に、必死の言い訳を何度も自分に言い聞かせ、崩壊寸前の自制心を繋ぎ止めようとする。

「でへ、先生。いくら勝負の最中だからって、そんなに腰振っちゃ危ないでしょ? 僕のがもっと深く入っちゃいますよ~?」

「だっ、だったら抜きなさいよっ! あなたが挿れなければ、わたしだって……っ」

「そうですか~、じゃあ抜いてあげますよ♪」

 先生のために心配して言ってあげたのに、と不満そうな顔をしてみせながら、菊丸は淫唇のぬかるみから、勢いよくその剛直を抜き去った。

「う……っ、ふッ、……ゥンっ!」

 ぬぷん、と生々しい音を立てて引き抜かれる。肉体の最拡部に絡みついていた愛蜜が、糸を引きながらキラキラと宙を舞った。

「いやっ……、ンンッ!」

 媚薬クリームで痺れきったそこは、一気に引き抜かれたことによって壮絶な喪失感に襲われ、慶子は頭の命令とは裏腹に、拒絶の悲鳴を漏らしてしまう。媚薬成分が浸透しきった秘所は、女教師の気高い理性など置き去りにして、ただ教え子の切先を激しく求めてしまっているのだ。
 慶子は熱に浮かされたような表情のまま、柳腰をワナワナと震わせるしかなかった。

「あれ~? 今、いやって言いましたか~? 気のせいですかね~?」

 恥ずかしそうに長い睫毛を震わせ、必死に目を背ける担任の美貌を眺めながら、菊丸はからかうように「じゃあ」と、再び猛りの先端を、愛液に濡れる陰裂へとねじ込むのだ。

 愛蜜によってたっぷりと潤わされたその場所は、小さく卑猥な音を立てて、何の抵抗もなく菊丸の分身を再び受け入れていく。

「い、いや‥ッ」

 慶子は小さく首を振り、教え子の首に回した両腕にぎゅっと力を込めた。

「まったく、嫌々って。挿れて欲しいのか、抜いて欲しいのか一体どっちなんですか~?」

 菊丸はわざと焦らすように、先端を浅い位置で行き来させて彼女を翻弄する。

「いやよっ、いやなのよっ! 私は担任なのよ? そんな事したらダメ‥っ」

 しかし、当の教え子はそんな言葉などどこ吹く風、ぬかるんだ肉路を執拗に弄び続けた。
 やがて慶子は、自らの意志とは裏腹に、菊丸の動きをなぞるように腰を前後に揺らし始める。彼が少し先端をねじ込めば、それに合わせるように腰を押し付け、彼が腰を引けば、今度は慌てて追いかけるように身を沈めて、自分から内側へ迎え入れてしまうのだ。
 それどころか、熱く脈打つ粘膜は自ら筒先に吸いつき、さらに奥へ奥へと引き込もうとする執着さえ見せ始めていた。

(おっと、これはすんごい吸い付きですなあ♪ そんなに欲しがっちゃって♪ でも、まだまだ満足させませんよ~)

 菊丸はこれ以上の侵入を阻むように、慶子の細い腰を両手でしっかりと押さえつけた。
 そして再び悪戯に引き抜こうとするが、慶子はそれを追うように細腰を突き出し、愛らしくも必死に密着させてくる。

「でへ、そんなに自分から押し付けてきちゃって♪ おかしいな、抜いてほしいんじゃなかったんでしたっけ?」

「~~~~~~~~!!」

 教え子の意地悪な指摘に、慶子は耳の裏まで真っ赤に染め、ただ恥じらうように身を縮めることしかできなかった。

「やれやれ……」と、女教師のあまりに矛盾した反応に、菊丸は少々呆れ顔を見せる。抜いてほしいと拒む割りには、なぜか自分から肌を密着させてくるのだから、彼がからかいたくなるのも当然だった。

「さっきから僕が抜こうとしてるのに、先生が自分から押し付けてきて。これじゃあ、なかなか抜けないんですけど~」

 その言葉に図星を突かれたのか、慶子は慌てたように目の前の教え子から視線を逸らした。
 恥じらいに染まる美しい顔を横目にほくそ笑みながら、菊丸は再びゆっくりと腰を引いて、熱い分身を抜きにかかる。

「そ、そうよ……そうやってちゃんと抜きなさい‥」

 慶子は声を震わせながらも、自分を落ち着かせるように艶っぽい朱唇から熱い吐息を漏らし、必死に彼を促した。

「そうですよね~、先生の言う事はちゃんと聞かないといけないですもんね~」

 菊丸がそう応じた瞬間、ずるりと質量が一気に全て引き抜かれた。

「うぅ‥、んっ!」

 内側を強烈に擦過しながら去っていく衝撃に、思わず高まった悲鳴が女教師の唇から漏れ、静かな部屋に響き渡る。
 慶子は瞳を虚ろに潤わせ、唇を噛み締めた。微かに残る理性を完全に見失ってしまわないよう、熱っぽい呼吸を整えるのがやっとだった。

(そ、そうよ、それでいいのよ‥。)

 甘くとろけそうな官能に身を焦がしながらも、内奥を満たす深い喪失感に耐え、教師としての最後の矜持に必死にしがみつく。

(わ、わたしはこの子の担任なのよ‥。こんな事してはダメ‥。大丈夫、しばらくしたら落ち着いてくるわ‥)

 何とか媚肉の疼きを無視して、平静さを取り戻そうとする慶子。
 しかし、そんな風に追い詰められていく担任の艶めかしい表情を、菊丸が見逃すはずもなかった。彼は間近で彼女を凝視しながら、硬く昂った尖端で、蜜に濡れた割れ目の表面をぬめりと滑らかに撫で上げていく。

「うぅ‥」

 優しささえ感じさせる繊細なソフトタッチで、愛おしむように秘唇をなぞり上げられる。

「あ‥、い‥、や‥ッ」

 慶子の口から途切れ途切れの声が漏れる。あまりの焦れったさに、無意識のうちに再び自分から腰を押し付けそうになってしまう。
 そんな愛らしい反応をニタニタと眺めながら、菊丸は今度は切っ先を、ぬめる割れ目へと数センチだけ沈めてみせた。
 その途端、慶子はまた柳腰をくねらせ、自ら迎えるように腰を突き出し、貪るように彼を呑み込んでしまうのだった。

 ほら、やっぱり~。先生から咥えこんでますよね」

「そ、そんなこと‥っ!!」

「でへ、気のせいでしたか。じゃあ♪」

 菊丸は女教師の羞恥に染まる美貌を楽しみながら、無情にもまた、熱く昂った先端部をぬぷりと引き抜いてしまう。

「あ‥ぁ‥」

 鏡越しに、銀の糸を引きながら剛直が離れていく様をまざまざと見せつけられ、慶子は切ないとも悲痛とも取れる、声にならない声を漏らした。
 完全に引き抜かれてしまうと、再び底なしの喪失感が押し寄せ、胸の奥が締めつけられるように切なくなる。切れ長の美しい瞳は、すでに隠しきれない情欲で潤んでいた。
 そんな彼女の動揺をすべて見透かしているかのように、菊丸は耳元にそっと唇を寄せて囁く。

「もう、我慢しなくていいんですよ。素直に『挿れて』って言ったら考えてあげてもいいですよん♪」

「~~~~~~!!」

 優しい口調でありながら、残酷なまでの毒気を孕んだ教え子の提案に、慶子は屈辱で美貌を真っ赤に染め上げた。

「素直にオマンコしてって言ってくれたら、こんな先っちょだけじゃなくて、もっと根元まで挿れてあげてもいいですよ~?」

「‥‥‥‥‥っ!!」

 慶子は絶句するしかなかった。
 根元までちゃんと挿れて――そんな破廉恥な言葉、聖職者である自分が口にできるわけがない。受け持ちのクラスの教え子である菊丸に、自分からそんなはしたないおねだりをするなど、教師としての死を意味していた。
 それに……。
 本当にこの問題児とこれ以上深く繋がってしまったら、いよいよもう後戻りができなくなる。
 我を忘れ、ここがどこであるかも忘れて、教え子相手の快楽に溺れてしまう自分自身が何よりも怖かった。
 しかも、最深部まで深々と貫かれ、そこに媚薬クリームをたっぷりと塗り込められてしまったら――。
 そうなってしまったら、理性の堤防が完全に決壊し、自分がどうなってしまうのか、慶子には想像もつかなかった。

「ぷぷぷ、さすがに教師なんだし生徒にそんなお願い言えませんよね~。分かりました、じゃあカリまで挿れてって言ったら挿れてあげますけど♪」

「‥‥っ!」

「大丈夫ですって。先っちょだけなら挿れた事にならないし、先生も少しは満足できるんじゃないですか?」

 菊丸の軽薄極まる提案に、慶子は目眩を覚えるほどの衝撃を受けながらも、溢れる生唾を必死に飲み込んだ。
 だが、身体はもう限界だった。陰裂の浅瀬を執拗になぞり、じらすような動きを繰り返されるたび、太ももの内側から全身へと甘美な痺れが広がっていく。

「菊丸くん‥」

 彼女はついに、蚊の鳴くような、消え入るほどか細い声を漏らし、教え子の耳元へと顔を寄せた。

「はい、なんでしょう?」

「す、少しだけでいいから‥っ、い、挿れて‥」

 自身の唇から放たれた、あまりにも破廉恥なおねだりに、慶子は頭が激しくクラクラした。
 それを耳にした菊丸は、厳格だった担任教師の変わり果てた姿に、じわりと五臓六腑が震えるほどの感動を覚える。

(でへ~、つ、ついに先生の方からおねだりですか~~~♪♪♪)

 高価な媚薬クリームを惜しみなく使い、散々下準備を重ねてきた甲斐があったというものだ。そう、この美貌の女教師に自らおねだりをさせることこそ、この旅行における菊丸の最大の裏目標でもあった。
 もっとも、まだまだこんなもので満足する彼ではない。さらに恥ずかしい言葉を吐かせ、そのプライドを粉々に砕いてやりたいという悪趣味な愉悦が、彼の胸を満たしていた。

「少しって? 具体的にどこまでか言ってくれないと分かりませんよ?」

 底意地の悪い笑みを浮かべながら、さらなる陵辱的な誘導を仕掛ける。

「だっ、だから‥っ、さ、先っぽよ‥‥」

「もっと具体的に言わないと分からないですよん」

 あくまで自身の口からすべてを告白させようとする教え子に、慶子は目尻まで真っ赤に染め上げた。

「あの‥っ。カ‥、カリまで‥っ、い、挿れて下さい‥‥」

 潤んだ朱唇から、求めていた最上の台詞が零れ落ちる。もはや有頂天となった問題児は、心の中で快哉を叫んだ。

(おひょ~、これはたまりまへん。あの桂木先生からそんなお願いをされちゃあ♪♪)

 ついに、この学園のマドンナであり、誰よりも理知的で聡明な教師・桂木慶子から、その立場に最も似つかわしくない、卑猥極まる懇願を引き出したのだ。

「でへ、分かりました~。そこまで言われたら仕方ないですねぇ。先生のおねだり、聞いてあげますかぁ~」

 菊丸は先生の白桃のような丸いヒップを持ち直すと、グッと陰裂目がけて腰を押し付け、その切っ先を再度ねじ込んできた。

「‥ぅンッ! あっ、ああ‥っンッッ!!」

 わずか数センチめり込ませただけだというのに、散々焦らされ続けた媚粘膜は、待ちかねていたように肉竿の先端へと吸い付くように蠢いた。

(本当、濡れ具合も吸い付き具合も最高のオマンコですなあ♪)

 心の中で勝手な批評を下しながら、菊丸は慶子に言われるがまま、カリ首までをぬぷりと挿入する。しかし、やはりそれ以上の侵入は許さぬよう、腰をピタリと食い止めた。

「あっ‥、んん‥」

 慶子は無意識のうちに、いやらしく腰をうねらせ、じっとり湿った蜜壺のさらにその奥深くまで怒張を呑み込もうと、自ら密着させてくる。
 しかし、当の菊丸はそれ以上の動きを一切見せず、美教師の反応を窺うように黙って覗き込んでくるだけだった。
 さっきまではねじ込んだ途端、キツツキ運動などと称して激しく出し入れしてきたくせに、今はピタリと動きを止めて静観を決め込んでいる。
 慶子も教え子の意地悪な視線に気づき、もどかしさに陶器のような滑らかな豊臀を慄わせた。

(な、なんで‥?)

 慶子は悲痛に眉を歪め、熱い吐息を漏らしながら、目の前の教え子を睨みつける。

(な、なんで止まったままなの‥?)

 疼く粘膜に少しだけでも挿れてくれたのはいいが、それ以上は全く動く様子のない菊丸。却って、教え子の怒張の先端から伝わる熱い脈動をダイレクトに感じてしまい、物足りなさからつい不満そうな目を向けてしまう。

「あ、あの‥‥」

「はい? なんでしょう?」

「う‥、動いて‥‥」

 蚊の鳴くような、消え入るような声で口にする。

「え? 何て言いましたかあ? もっと大きな声で聞こえるように言ってくれないとぉ~」 
 慶子は熱に浮かされたような美貌で教え子を見つめ、少しだけ声を絞り出した。

「少しでいいから動いて‥、あのっ…お願い‥。さっきの抜き差し…、もう一度して下さい‥‥」

 そう告げた途端、あまりの恥ずかしさと自責の念に襲われ、彼女は教え子の肩へと顔を深くうずめてしまうのだった。

 白を基調とした、清潔で華やかな香りの漂う寝室。その一角に据えられた大きな姿見の前で、教え子に抱えられついに自らはしたないお願いをしてしまう、美貌の女教師、桂木先生。 
 短足小太りの生徒に、モデルのようなしなやかでスラリと伸びた四肢を愛らしく絡ませ、なんとかしがみついている。 白い陶器のような肌は官能的な朱色に染まり、足元の床には愛蜜が何滴も滴り落ちて、小さくない水溜りをいくつも作っていた。
 
「おねだりしちゃって、しょうがない先生ですね~」 

 呆れたような視線を向ける菊丸に対し、慶子はもはや言葉を紡ぐことさえできなくなっていた。
 羞恥に身を震わせる愛らしい彼女をこの蜜地獄から救い出すように、すぐに悦楽で満たすべく行動にうつす優しい菊丸。
 白肌に真珠のような汗を滲ませる、丸みを帯びたお尻。その肉感に改めて手をかけると、逃がさないよう強固にホールドする。
 腰を密着させ、じっくりと 抜き差しを開始する。
 熱を帯びた秘肉の、いちばん蕩けている部分を宥め、解きほぐすように、確かな刺激が刻まれ始めた。

「あっ! ああんっっ!!」

 狭い部屋の空気を震わせ、慶子の遠慮のない嬌声が弾けた。
 まだ、カリ首が埋まった程度。結合としては決して深くない。
 だが、散々お預けを食らわされ、飢餓感に狂う膣口は、そのわずかな侵入だけで貪欲に反応した。最も狭く敏感な肉壁が、粟立つような歓喜に慄き、侵入してくる剛直を逃がすまいと吸い付くように絡みついてくる。
 そして、その緊密な結合の隙間から、堰を切ったように熱い愛蜜が次から次へと溢れ出してくるのだった。

「あっ、あっ! きっ、菊丸ぅっ! そこ…ッ!」

「先生、もうたまらない気持ちになっちゃってるんじゃないですか? そろそろ一度ご褒美ほしいですよね?」
 
「え..?」 

「そろそろスッキリしたいですよね?」

 その一言が耳を打った瞬間、慶子は青ざめるどころか、むしろ弾けそうなほどの期待に胸を昂らせていた。
 執拗なまでに焦らされ、とうに限界を迎えていた肉体が、その瞬間を、その至高の刺激を激しく求めていたのだ。
 言葉の緊縛が解かれたかのように、慶子の内なる衝動がせきを切って暴れだし、ただその一点がもたらすであろう、破壊的な快楽を待ち侘びていた。

 浅く抉るように、菊丸はその剛直を容赦なく出し入れする。担任である慶子の秘丘を執拗に擦り上げ、最奥の手前で勢いよく引き抜いては、溢れ出る蜜を派手に散らした。
 息つく暇もなく、今度は角度を変えて少し深くねじ込む。
 焦らし抜かれ、すでに限界を迎えていた慶子の身体を、さらに激しい猛打が追い詰めていく。

「あっ、あああんっっ!!!」

 慶子はビクンと背中を跳ね上げ、甘い絶頂へと突き落とされた。なりふり構わず菊丸にしがみつき、全身を愛の震えに委ねる。

「でへ、どうでした? 散々焦らされた後だし、最高だったでしょ?」

 久しぶりに昇り詰めた慶子はしばし絶頂を味わいながら恍惚の表情を浮かべる。

「さあ、今まで我慢したんだし、何回でも天国に昇っていいですからね~」

 悪戯っぽく笑う菊丸は、まだ余韻に震える慶子の腰をがっちりと押さえつけ、熱を帯びた割れ目へ向けて何度も出し入れを繰り返す。

「あっ、あっ、」

 何度目かの突きを繰り返すと、重い衝撃に身体をブルっと震わせ、またしてもいってしまう桂木先生。

(ああん……た、たまらないわ……)

 もはや、勝負にすらなっていなかった。自分から腰をほんの少しでも押し付けたら、その瞬間に奥までぬるりと呑み込んでしまいそうで、慶子はひたすら身体を強張らせて耐えるしかない。

「あっ! 菊丸っ、それダメっ! んんっ!!」

 反撃の機会など微塵も与えられない。慶子は防戦一方のまま、ただ貪欲に快楽を注ぎ込まれ、何度も連続で逝かされてしまうのであった。

 浅瀬ばかりを執拗に弄ばれる焦燥感のなか、秘窟の最深部は甘やかな飢餓感に震えていた。熱の届かぬ最奥が、置き去りにされたように切なく疼き、愛おしさに身悶えする。

(も、もっと深く……、ちゃんと奥まで挿れてほしい……。そんな入り口だけじゃなくて、しっかり慶子の奥まで突いて……!)

 過度の快楽に溶けゆく意識の淵で、ハッとなって首を激しく振る。

(ダ、ダメよ慶子! 何を考えてるの? そんなことしたら、もう本当の、あの行為になってしまうのよ……っ!?)

 蕩けかける意識を強靭な理性で辛うじて繋ぎ止める。しかし亀頭だけで執拗に攻め立てる菊丸の愛撫が、その防壁を少しずつ削り取っていく。数センチだけ沈み込む質量をさらに奥へと引き込もうと、抗えなくなった女教師の身体は、自ら腰を打ち付けるようにして圧しつけてしまう。

「おっと♪ 先生~、そんなに腰を押し付けてきたら、僕たち一線を超えちゃいますよ~?」

 意地悪な声音とともに、慶子の自由を奪うように暴れるヒップを抑えつける菊丸。彼は徹底して先端の刺激のみで、入り口を焦らし続ける。

(ああ……、きっ、菊丸くんっ! わ、わたし、もう……っ!)

 見放された最深部が愛液に濡れ、肉ひだを震わせながら、じんじんと甘く疼いて狂いそうだった。
 菊丸が玩具にするように手の力を緩めると、案の定、女教師は自ら腰を押し進め、彼の質量を胎奥へと引き込もうとする。

「先生もエッチなんですね~、こんな風に自分から腰を押し付けてきちゃって♪」

「い、言わないでっ! だっ、だって菊丸くんが……」

 反射的に腰を振ってしまう淫らな自分を、なんとか糊塗(こと)しようと言い訳を紡ぐ。

「ボクがなんですか?」

「…………」

 教え子の確信犯的な問いかけに、慶子はただ、熱い吐息を漏らして口をつぐむしかなかった。

 もう限界だった。入り口付近を弄ばれるようなもどかしい感覚に、意識の奥が焦れてしまう。もっと確かな手応え、抗いようのない力強い刺激を、本能が求めていた。

(こ、これは勝負なんだからっ……! コイツを屈服させるためには、仕方のないことよ……っ!)

 一度だけ。夜明けが来るまでに、ただの一度でも菊丸を陥落させれば慶子の勝ち。そうすれば晴れて忌々しい約束から解放され、平穏な日常に戻れるのだ。
 冷静な戦略家としての慶子は理解していた。菊丸を追い詰めるには、受け身の姿勢では限界がある。彼の熱を懐深くへと迎え入れ、能動的に相手のペースを乱し、こちらから勝負を仕掛ける必要があった。
 このまま弄ばれているだけでは決着がつかず、ついには朝の光が差し込んでしまう。
 朝を迎えてなお、菊丸が余裕の笑みを浮かべて「まだ勝負は続きですよ?」などとしつこく迫り続ければ、最悪の場合、厳格な父にこの不純な密室の出来事を露呈させられてしまう。
 その破滅的な展開を恐れるあまり、慶子の中で冷徹な決意が固まる。リスクを承知で、一度そのすべてを呑み込み、渾身の力で教え子を翻弄してやる。それこそが、この泥沼の戦いに終止符を打つ最善の奇策であると、彼女は己に言い聞かせた。

 しかし、そこで辛うじて担任としての理性が踏みとどまる。

(目を覚ましなさい慶子! 教え子と一線を越えるなんてダメに決まってるでしょ! しっかりするのよ……! 別に全てを受け入れなくたって、こんなヤツ、いくらでもいかせる術はあるわ……!)

 女教師としての矜持と、雌としての本能が、泥沼のような葛藤を繰り広げる。

「どうですか~、そろそろちゃんと勝負したくなってきたんじゃないですか~?」

 まるで彼女の脳内を見透かしているかのように、菊丸がその懊悩をあざ笑うかのような声をかけてきた。

「だっ、だからさっきから言ってるでしょ! 勝負なんてできる訳ないじゃない……っ」

「えへ、でも先生、奥が切なくなって、僕と勝負したくてたまらないんじゃないですかあ?」

「そ、そんな事……」

「でへ、そんなに隠さなくてもい~んですよ? いい加減に素直になっちゃいましょうよ」

「だっ、だって……」

 なおも喉元にまで迫る快楽を、教師という呪縛が押し留めようとする。

「だっても何も、今は僕との勝負の真っ最中なんですよ? これは仕方ない事ですよね? いつまでも、受け身のままでい~んですか?」

「し、仕方ない……?」

「そうそう、仕方ないんですよ。早く僕との勝負に勝って、あのデータを僕から奪い返したくないんですか?」

 教え子との禁断の交わり。本来ならば、大人の、そして教師の理性を総動員して、毅然と拒絶しなければならない局面だった。しかし、限界まで追い詰められ、愛液に濡れた肉体は、もう脳の命令に従ってはくれない。
 菊丸の囁いた「仕方のない勝負」という甘美な大義名分が、決壊寸前だった彼女の心を、いとも容易く奈落へと突き落とした。

 慶子は観念したように喉を鳴らし、溢れる生唾をゴクリと飲み込んだ。

「き、菊丸くん‥」

「はい、なんでしょう?」

「お願い‥、もっと‥、もっと奥まで‥‥」

 身が焦げるほどの羞恥に苛まれながらも、潤んだ瞳で目の前の教え子を縋るように見つめる。

「慶子の奥まで‥、そ、その‥っ、あなたのソレを‥‥、いっ、挿れて‥」

「また分かりにくいことを。もっとハッキリ言ってくれないと分からないですって」

 やはり、この悪童は底意地が悪い。最後の最後まで、担任である自分に決定的な大不祥事の言葉を強要してくるのだ。
 慶子は耳まで真っ赤に染めながら菊丸の耳元へ顔を寄せ、蚊の鳴くような声で本音を囁いた。
 それを鼓膜で拾った菊丸の口元が、下卑た満面の笑みに歪む。

「でへ、僕のおチ◯チ◯を先生のおマ◯コの奥深くまで挿れてほしいんですね?」

 慶子はあまりの恥ずかしさにいたたまれず、バツが悪そうに伏目になると、小さく、しかし拒むことなく頷いた。

「でへ、教師と生徒なのにいいんですかあ? 退学にしないで下さいよ?」

「分かってるわ‥! 退学にしないわ。だ、だってこれは勝負なんだから‥! 仕方ないじゃない‥っ!」

「でへ、そうですよ、これは仕方ないんですよ~♪」

 うんうんと菊丸も頷き、担任教師の大義名分に同調する。

「そんなに奥が切なくなっちゃってるんじゃ仕方ないですよん。確かに先生の中が僕のに吸い付いてきて、強く引き込んでくるし」

 菊丸の言う通り、教え子のモノをさらに深奥へと引きずり込もうと、慶子の淫肉は意思を持つ生き物のようにうごめき、熱い肉柱に吸い付いては、貪欲な蠕動で締め上げてくるのだ。

「い、いやらしい事言わないで‥っ! そんな事ある訳‥っ」

「でも本当にいいんですかあ? 僕のモノにたっぷり付いた媚薬ちゃんたちも先生の奥に塗りつけちゃう事になりますけど?」

「‥‥‥っ!」

 菊丸の意地悪な指摘に、慶子は息を呑んだ。
 その通りだ。このまま彼を最奥まで迎え入れれば、菊丸の剛直に幾重にも擦り込まれた淫らな媚薬クリームが、子宮口の触れるほどの深部にまで容赦なく擦り付けられてしまう。
 慶子は背筋を走る戦慄に、ぶるりと全身を震わせた。
 熱い先端に割り裂かれ、入り口近辺を蹂躙されているだけで、すでに理性は崩壊寸前なのだ。もしもあの熱狂のクリームが最深部の壁面にまで塗り込められたら、果たして自分はどうなってしまうのか。正気でいられる自信など、どこにもなかった。
 しかし、女教師の肉体は、すでに葛藤よりも渇望に支配されていた。
 最深部で燻るじんじんとした猛烈な疼きは、もう一秒の猶予も待ってはくれない。

「そ、それも仕方ないわ‥っ! 奥にでも何でも塗ったらいいじゃないっ」

 恥辱に顔を染めながらも、慶子は本能に屈した。

「分かりました~、それじゃあ先生の許可ももらえた事だし遠慮なく♪」

 桂木先生本人からの申し出によって退学の懸念が払拭された今、菊丸に躊躇はなかった。担任教師のしなやかな臀部を少しずつ沈めさせ、猛り狂う剛直で狭窄な肉路を割り裂きながら、その未知なる最深部へと侵入させていく。

「あっ……、ぁあん……っ」

 教え子の質量が、内壁の襞を一枚ずつ削るようにして進んでいく圧倒的な異物感に、慶子は身悶えしながら熱い吐息を菊丸の首筋に吹きかけた。
 たっぷり擦り込まれた媚薬クリームが潤滑の役割を果たし、鮮やかなサーモンピンクに染まった粘膜の壁面に、くまなく塗り広げられていく。
 粘膜は瞬く間にその毒を吸収し、細胞の奥深くからじわじわと甘美な熱を帯び、慶子の脳髄をこの上ない快美感で揺さぶっていく。

「ぁ……、いやぁ……ん」

 内側から湧き上がる熱に突き動かされるように、女教師の可憐な唇から、理性をなくした甘えた艶声が漏れ出た。
 そうしてついに、肉体の限界点である最深部へと到達する。

「えへ、ようやくですねぇ。ちゃんと奥まで先生と繋がりましたよん」

「いや……っ」

 教え子の容赦ない告白に、慶子は耳朶まで真っ赤に染め、恥辱のあまり美貌を背けた。

「そんな恥ずかしがらなくったって。ちゃんと僕の顔を見て下さいよ~」

 促されるまま、慶子は熱い息を吐きながら、至近距離で受け持ちの生徒と視線を絡ませる。

(ああん……、ついにわたし、この子と……)

 もはや言葉は紡げない。ただ見つめ合うだけで、濃密な時間が甘く流れていく。
 その間も、隙間なく完璧に収まった剛直から、媚薬クリームが瑞々しい肉層へとじんわりと浸透し続けていた。
 薬効が完全にその肢体を支配するのを待つように、菊丸は慶子の体に強く密着するように抱き寄せるのだった。

 慶子もまた、教え子の刻む脈動を肌裏に直に感じながら、見つめ合う気まずさに耐えかねて目を逸らす。だが、視線を移した鏡の向こうには、互いの肉体を貪るように抱き合う二人の姿が映し出されており、その背徳的な光景に胸が甘く締め付けられた。

(ああ、ついに受け持ちの生徒とこんな事‥)

 秘部の粘膜が妖しい媚薬成分を吸い上げ始めたのか、こうして素肌を重ね合わせているだけでも、みるみるうちに感度が研ぎ澄まされていく。抗えない快楽の波が押し寄せてくるのを、慶子は狂おしいほど鮮明に自覚していた。

 自身の中を深々と貫く剛直の、猛烈な脈動と圧倒的な圧迫感が、さらに慶子の理性を狂わせていく。
 それでも目の前の菊丸はどこまでも余裕の表情を浮かべたまま、何の動きも見せずに、ただ優しく慶子を抱きしめているだけだった。生殺しの快楽に、次第に焦れた慶子は、たまらず自らお尻を揺らしてしまう。

(ああん‥、な、なんで、何もしてこないの‥?)

 自由の利かない身体をもぞもぞと動かしながら、慶子はたまらず懇願するように呟く。

「あ、あん‥、菊丸くん‥」

「どうしましたぁ?」

「どうしましたって‥、なんで抱き合ってるままなの‥?」

「でへ、そりゃあ憧れのマドンナ教師の桂木先生とこうして抱き合ってるだけで感慨深いですから~。幸せを噛み締めてるだけですよ~、僕」

 などと言って剛直の先端をぐりぐりと肉壁の最奥へ強引に押し付けてくるのだ。

 その間にも、芯まで染み渡った催淫成分が慶子の理性をじわじわと侵食していく。じっと身を潜めているだけで、肉壁の最奥から甘く濃密な愛液がとめどなく溢れ出てしまう。
 秘薬のクリームは彼女のまともな思考を完全に溶かし去っていた。「お望み通り奥まで挿れてもらった」という既成事実があるにもかかわらず、貪欲になった肉体は未だ圧倒的な飢餓感を訴え、艶やかな双丘を小刻みに震わせる。
 そう、彼女は菊丸の能動的な動きを渇望していた。狭窄した入り口から最深部まで、容赦のない確かな抽送で貫いてほしかった。
 媚薬が刷り込まれ、狂おしいほどに疼く肉路を、彼の剛直で力強く抉ってほしい。
 完全に開発し尽くされた慶子の感度は、もはや引き返せないところまで跳ね上がっていた。肉体はどこまでも正直に、さらなる強烈な快楽を求めて身悶えする。ただ埋められているだけの静止状態では、かえって生殺しの焦燥感ばかりが募り、五感を叩き割るような分かりやすい衝撃を欲してやまない。
 ついに耐えかね、自ら腰を揺すってせがみ始めるものの、抱え込まれた不自由な体勢では虚しく空を切るばかり。
 淫薬によって目覚めてしまった雌の肉体は、より獰猛で、より狂おしい絶対的な刺激を求め、ただただ熱く、激しく求めていた。

「あ、あの……」

 またしても自分から、聖職者にあるまじき恥高き懇願を、他ならぬ教え子へと向けねばならない。その事実が、慶子の胸に容赦のない羞恥の炎を燃え上がらせる。

「え? 今度はどうしましたぁ?」

「もうダメなの……、私、耐えられない……」

 きゅっと眉根を寄せた瞳は官能の涙に濡れ、「これ以上焦らさないで」という無言の悲鳴をあげていた。

「でへ、またお願いですか? どうして欲しいんですか? 先生」

「い、言えない……、わたしの口からは言えないわ……」

「え? いーんですか? 言わないとずっとこのままですよん?」

「うう……」

 決定的な一線を自ら越えさせようとする教え子の執拗さに、、一瞬だけ理性の残滓が苛立ちを弾かせる。
 しかし、熱情に浮かされた肉体が頼れるのは、眼前にいるこの菊丸しかいなかった。

「う、動いて……」

「え?」

「動いて下さい……、もうこれ以上耐えられないわ……」

「えへ、やっと素直になりましたね~、じゃあ動いちゃっていいんですね? でもこの状態で動くともう言い逃れはできませんけど本当にいいんですか? 生徒の僕とセックスをしちゃう事になりますけど?」

 絶対的な教師のプライドが完全に瓦解する。
 慶子はきつく目を伏せ、羞恥に美貌を禍々しいほど紅潮させながらも、ただ快楽の奴隷としてコクコクと深く頷いてみせた。

「分かってますって、これは勝負なんですから仕方ないですよ~」

 慶子がようやく素直に欲望を覗かせたことへのご褒美として、菊丸は完全に密着した状態から、容赦なく腰を前後に動かし始める。

「あっ! ハァンッ、菊丸ッ、それっ……!」

 じっくりとした重い動き。奥深くまで達していた質量を限界まで引き抜いては、再び窄まりの最奥へと容赦なく潜り込ませていく。

「あっ、あんっ! いやんっ!!」

 ただそれだけの強烈な往復運動に、慶子は抗う術もなく顔をのけ反らせ、切ない喘ぎ声を漏らしてしまう。
 菊丸は慶子の豊かなヒップを両腕でしっかりと支え、その角度を巧みに操作しながら、浅く刻むようなピストンを、次第に深く大きなストロークへと変化させていった。
 溢れ出る蜜の入り口付近まで引き抜いては、手中に収めた肉体を力任せに自分の方へと引き寄せ、熱を孕んだ最深部まで一気にねじ込んでいく。

「あ痕!!!」

 肉体と肉体が激しく叩きつけられるたびに、気高き女教師の口からは、理性を完全に奪われた艶やかな嬌声が迸った。
 抗えるはずもなかった。散々媚薬に狂わされ、熱を孕んだ肉体。そのずっと焦らされ続けていた最奥の渇きを、教え子が容赦のない猛りで容赦なく貫いてくる。
 慶子は菊丸の首筋へ細い腕を必死に巻きつけ、もはや無我夢中でしがみつくほかなかった。
 そして、それが己の意思か、あるいは本能の導きか――ついには、菊丸の無慈悲な衝動に合わせ、自らもその柳腰を狂おしく押し付けてしまう始末だった。

「ずっとこうされたかったんでしょ?」

 菊丸は、目の前で苦悶と歓喜を綯い交ぜにしながら歪む担任の美貌を愉しみつつ、容赦なく、かつ規則正しいリズムで腰を突き込み、粘膜同士が熱く擦れ合う極上の緊触に陶酔する。

「あンッ! やんっ!! ンッ!!

 菊丸の腰が、さらに一段と速度を速める。
 己の動きに翻弄されながらも、必死に追随してくる慶子の愛らしい腰つきに対する、彼なりの甘やかなご褒美なのだろうか。
 結合部から容赦のない水音が溢れんばかりの勢いで鳴り響き、狭く熱い肉腔を抉るように往復し、雁首の隆起がうねる肉壁を内側から激しく削るように擦り上げていく。

「あッ、ああんっ! はぁっ‥、‥うぅんッ!!」

 うら若い菊丸の無慈悲なまでの快楽の猛導に呑まれまいと、慶子もまた意地を張るように、激しく腰をうねらせて応酬する。

「先生も好きなんですねえ。ずいぶん積極的になっちゃって~」

「だっ、だからッ! 言ってるでしょう! こ、これは勝負なんだから‥っ、って!」

 慶子は「勝負」という甘美な言い訳を自分自身に強く言い聞かせ、鏡の前に曝け出された自らの不埒な姿を凝視しながら、無我夢中で真っ向から挑み続けるのだった。

 その顔は情欲に蕩け、いつもの聖職者たる凛とした気品など微塵も残されてはいない。
 淫らな醜態を晒す己の瞳と鏡越しに視線が合ってしまい、激しい羞恥と背徳の念が胸を掻き乱す。だが、一度歓喜を覚えて動き出した腰の衝動は、もはや慶子自身の意志では御しきれなかった。
 媚薬に侵された肢体がさらなる愉悦の刺激を渇望し、無意識のうちに激しく腰を突き動かしてしまう。

(こっ、これは勝負のせいなんだから‥‥っ)

 麻痺していく思考のなかで、その言葉だけを免罪符として何度も脳内で反芻し、自らの行動を正当化しようと足掻く。
 しかし、菊丸とて、試合の主導権を易々と譲るつもりはなかった。

「先生、そんなに自分から激しく腰を突き出してこないで下さいよ~」

 鼓膜を甘くくすぐる、底意地の悪い囁き。

「勝負だなんだと言いながら、教え子の僕とこんな事して。もうすっかり気持ちよくなっちゃってるんじゃないですか?」

「な、何を‥‥っ、ッん、あうっ!!」

「ほうら、ここがいいんでしょ?」

「あっ、ダメっ、菊丸っ、そこは‥‥っ!!」

「でへ、ここ先生の弱点ですもんね~」

「~~~~!!」

「ほらほら、簡単にいっちゃダメでしょ?」

「~~~

 限界に達した肢体がブルリと痙攣するように戦慄き、桂木先生はまたしても、絶頂という名の敗北を喫してしまう。

「でへ42回目~」

「あ、あぁ‥」

 抗う力を完全に削がれた慶子は、菊丸の肩へ縋り付くように頭を乗せ、ただ狂おしくその肉体に全身でしがみつくのだった。

「ま、まだよ……まだ、諦めないわ……っ!」

 慶子は、歓愉の余韻に痺れる身体を強引に奮い立たせた。
 鉛のように重い腰を執念で再び動かし、彼を迎え入れる。

「すごいですね~、まだ勝負を諦めないなんて。先生は教師の鏡ですね♪」

「バ、バカにしないで……っ!!」

 熱に浮かされた表情の裏で、彼女の芯はまだ完全に屈していなかった。
 ここで屈してなるものか――泥沼のような快楽の中で、女としての、そして教師としての剥き出しの意地が燃える。この生意気な悪童から、限界を超えて精を搾り取って勝利してやる。その盲執だけが彼女を突き動かしていた。
 しかし、少年は嘲笑うかのように、決定的な不意打ちを放つ。

「いずみちゃんとか他のクラスメイトが、今の僕らの行為を見たらなんて思うんでしょうね~?」

「いやっ!!」

 突如として耳元で囁かれた、耳馴染みのある教え子の名。
 その一言が、肉の歓楽に溺れていた慶子の意識を、容赦なく冷徹な現実へと引き戻した。
 激しいピストンと甘美な痺れに身を委ねることで、辛うじて忘却しようとしていた事実。自分と菊丸の間に横たわる、決して許されない、深すぎる泥濘(ぬかるみ)。あまた存在する生徒のひとりに過ぎないはずの少年が、いまや自分の世界を支配する、あまりにも特別で、圧倒的な存在になってしまっているという現実を、彼女は突きつけられたのだった。

 目を背けたいはずの禁忌に、菊丸の言葉によって強引に直面させられ、自分が教え子の一人と激しい肉体関係に耽溺しているという現実を、改めて脳裏に突きつけられる。
 あまりの背徳感の強さに、慶子はきつく目を瞑り、現実を拒絶するように頭(かぶり)を振った。羞恥に震える指先が菊丸の背中に深く爪を立てる。
 そんな彼女を宥めるように、菊丸は髪を優しく撫で、耳元で囁いた。

「大丈夫ですよ、分かってるって言ってるでしょ。これは勝負なんですから~」

 言葉とは裏腹に、彼の肉体は容赦のない変化を選択する。
 それまでの猛烈な突き上げから一転、今度は肉壁を優しく、スローペースに撫でるような愛撫へと切り替えたのだ。
 さらに、熱を帯びた剛直を入り口付近まで引き抜くと、今度は浅瀬だけを、カリ首の突起だけで出し入れして、焦らすような刺激を執拗に与えてくる。

「い、いやよ、そんなの……ッ! 菊丸くんっ」

 逝ったばかりの敏感な肉体に、これまでにない異質の快感を与えられ、慶子は全身をわななかせた。
 策士である菊丸は、主導権を完全に我が物とするため、あえて力任せの動きを止め、彼女の感覚を狂わせるような「捏ねくり運動」へと戦略を切り替えたのだ。
 クラスメイトの名を挙げられて理性を揺さぶられ、さらに激しい衝撃から甘美な愛撫へと切り替えられたことで、先ほどまで保っていた慶子の毅然とした姿勢は、完全に崩壊していった。
 それどころか、浅瀬をなぞるソフトタッチにじらされ、肉の奥が切なく疼き出し、抗うこともできずにさらなる愛蜜を溢れさせてしまう。

「どうですか? この動きは? また違う感覚で気持ちいいでしょ?」

「ぁぁん、菊丸う……っ」

 ゆったりとした動きのまま、やがて剛直の先端が再び最奥へと到達する。そこからさらに、這い上がるような緩やかな動きで、内壁の性感帯をじっくりとなぞり上げてくる。

「ンッ、あっ……、あ、ああぁ……っ!」

 ブルリと全身を激しく痙攣させ、慶子は抗う術もなく、連続して絶頂の波に呑み込まれてしまった。

「でへ、こんなスローペースも意外と満足するもんでしょ?」

 主導権をいとも簡単に奪い返した菊丸は、すべてを見透かしたような、にへらとした笑みを浮かべた。

「こ、こんな事……っ」

 顔を真っ赤に染めながらも、慶子はついつい肢体を映し出す鏡の中の自分を視線で追ってしまう。教え子に抱えられ、淫らな快楽に身をよじる担任教師のあられもない姿。菊丸はそんな彼女の様子を克明に観察し、そのあまりの愛らしさに、さらにサディスティックに追い詰めてやりたいという衝動を募らせた。
 絶頂を迎えたばかりで、未だ痙攣の余韻が残る熱い肉体。そこへ、菊丸は再びスローペースな抽送を再開し、じわりと緩やかな刺激を送り込んでいく。

「あ、あぁん……っ」

 やがて菊丸は、慶子がその生殺しの刺激に慣れ、物足りなさから身体を焦らせ始めた瞬間を鋭く見取った。
 刹那、彼は牙を剥くように剛直を再び最奥へと侵入させ、今度は力強く、獰猛な勢いで肉壁を貫いていく。

「あっ、やぁんッ!!」

「今度はこの方向からはどうですか?」

 菊丸はズルンズルンと、下からの突き上げる角度を巧妙に変え、彼女の最も敏感な性感帯を抉るように突いた。
 衝撃に耐えかねた慶子の嬌声が夜の部屋中に響き渡り、ますます遠慮のないものになっていく。

「先生、夜中なんだし、あんまり大声出すとお父さんの所まで聞こえちゃいますよ?」

 菊丸はいつものように、悪戯っぽく微笑みながら彼女の可憐な唇を自らの唇で塞ぎ、溢れ出ようとする声を強引に抑え込んだ。
 しばらくしてそっと唇を離すと、額に張り付いた髪を優しく掻き分けてやる。

「どうですか先生、気持ちいいですかぁ?」

 すべてを支配したような、勝ち誇った笑みを浮かべて問いかけてくる悪童。

「き……、気持ち良くなんか……、あるわけないわ……っ」

 朱唇を微かに震わせながらも、慶子はなんとか理性を崩さぬよう、菊丸の問いを必死に否定した。
 もちろん、自分たちが決して許されない関係であることは痛いほど分かっている。いくら受け持ちの生徒からの、練りに練られた狡猾な策略に嵌まったのだとしても、せめて教師である自分だけは、最後までプライドを保ち、しっかりしていなければならない――。
 そんな果てしない背徳感の中で、彼女は辛うじて残った理性の糸を、ぎりぎりのところで繋ぎ止めていた。

 自室という本来なら最も安全な聖域で、このような行為に耽溺し、あろうことか受け持ちの生徒に対して「気持ちいい」などと、間違っても口にできるはずがなかった。
 いくら官能の熱に浮かされた肢体の最奥を、剛直で深く貫かれてしまっているとはいえ、最低限の聖職者としての尊厳と誇りだけは、何が何でも死守しなければならない。

「おっかしいなあ、じゃあこの角度はどうですか?」

「あんんっ」

 下からの突き上げる角度を巧妙に変え、再度質問を重ねてくる菊丸。

「そんな角度なんか‥、私‥っ」

 フルフルと狂おしく首を振り、慶子は苦悶の表情を浮かべながら、教え子が仕掛ける快楽の罠に呑み込まれまいと、必死に否定の言葉をあげる。

「じゃあこっちからはどうですか?」

「この強さなんてどうです?」

 悪童は、彼女の反応を愉しむように、少しずつスピードや強弱、角度を変化させ、しつこく確認をとってくるのだ。

「はぁ、ンンッ‥」

 もはや担任の口から、理性を保った否定の言葉を紡ぐ余裕は失われていた。ただ、翻弄されるがまま菊丸の首に細い腕を回し、「うっ!うぅん‥っ!あんっ!やんっ!」と、教え子の腰の動きに合わせて、切羽詰まったうめき声を漏らすばかり。
 そして、高まる波に耐えきれず、またしても連続で絶頂の淵へと突き落とされてしまうのだった。
 おまけに菊丸ときたら、彼女のヒップを支える手の力加減まで緻密に変え、陰部へのめり込み具合まで完全にコントロールしてくる始末だった。

 苛烈な絶頂に抗いきれず、慶子は真っ赤に染まった全身を媒介にして、ぶるっと激しく震わせた。またしても、従えるべき生徒の眼前で無様に果ててしまう。

「また逝っちゃいましたね、これで50敗目~」

「うっ、うう‥」

 情けないほど脳を白濁させる快感の余韻のなか、慶子は縋りつくように両腕両足で教え子の身体をしがみつき、熱く艶かしい吐息をその首筋へと容赦なく吹きかけるしかなかった。

「先生、本当に気持ち良くないんですかぁ?」

 汗ばんで上気した自身の美貌をじっと覗き込まれている事実に気づき、慶子は居心地の悪さにバツが悪そうに目を逸らす。

「あ、当たり前でしょ‥、あんたに何されても気持ちよくなんか‥」

「でも先生さっきからずっと逝きっぱなしじゃないですか~」

「そ、それは‥」

 容赦のない核心への指摘に、悔しさに震える唇を噛んで言葉を詰まらせる。だが、そこは桂木先生だった。容易に屈せぬきりっとした毅然たる眼差しを、目の前で不敵に微笑む悪童へと向ける。

「でも、確かに逝ってるのかもしれないけどっ、それとこれとは別よッ!別に気持ち良くなんかないわっ!!」

 これは教育者としての勝負なのだ。菊丸に心まで調教されるわけにはいかない。学園一の問題児である少年に、肉体の最奥まで気持ち良くさせられているなど、爪の先ほども認めたくなかった。

 これはただの肉体的な形式だけの勝負であり、心までは決して屈しない――それこそが、菊丸に対して残された慶子のせめてもの反抗心だった。

(強情ですね~、でもだからこそ攻め甲斐があるってもんですけどね~)

 未だに鋭い牙を剥いて強気の姿勢を崩さない担任に、菊丸はむしろ底知れない愉悦と、頼もしささえ覚えていた。

「じゃあそこまで言うなら絶対に『気持ちいい』だなんて言っちゃダメですからね♪」

「あ、当たり前じゃない! そんな事‥言うわけないでしょ!」

 精神の領域だけは絶対に侵させないという確固たる自信があるのだろう。慶子は凛とした表情のまま、教え子を突っぱねるように撥ね退けた。

「へ~、んじゃあもし気持ちいいって認めたら、この勝負のお願い事とは別に、もう一つ聞いて欲しいことがありますけどいいですかあ?」

 菊丸は容赦なく慶子の耳朶へと口を寄せると、吐息に毒を混ぜるように小声で囁いた。それを聞いて慶子の顔はみるみるうちに朱に染まっていく。

「な、なんてこと言うのよ!! そんなこと教師の私ができる訳ないでしょ?!!」

 問題児の提示した条件があまりに想定を超えていたのか、慶子はもはや余裕をかなぐり捨て、焦燥を隠すこともできない。

「あれ~、さっきまで余裕っぽい感じだったけど。それとも何ですか? 口では強気な事言ってるけど、実際にはたまらないくらい気持ちいいんじゃないですか?」

 すべてを見透かすような教え子の淫らな問い掛けに、慶子はプライドだけで声を張り上げる。

「ふ、ふん! だから私は菊丸くんなんかには一切感じたりしないわ! いいわ、その提案受けてやるわよ!」

 自ら退路を断つように、慶子は菊丸の新たなる要求を、その身に受け入れるのだった。

 それから二時間近くが経過した。
 今の慶子はもう、ベッドに組み敷かれたまま、九十回目となる絶頂の波に押し流されていた。

「どうですか? まだ気持ち良くなってないんですか~?」

「ああん‥、あ、当たり前‥でしょ、アンタのなんて全然気持ち良くなんか‥」

 息も絶え絶えになりながらも、慶子はなお、悩ましい拒絶の表情を教え子に向ける。

(く~たまりませんなあ、こんなにされてるのにいまだ素直にならないで反抗的な目を向けてくるんですから)

 ――二時間前。

「ずっと抱えているのも疲れたし、そろそろベッドの上で愛し合いませんか?」

「い、いやよ、なんで菊丸くんとベッドの中で」

「勝負なんだしいいじゃないですか。それにベッドの上なら先生を気持ち良くしてあげられる自信あるんだけどな~」

「あんたに私のベッドに入ってほしくないのっ!」

「そんな事言って、ベッドだと気持ち良くなっちゃうのが怖いんじゃないですか?」

「ふん、あんたなんかどこだって一緒よ。べ、別にベッドの上でも何でも構わないわ」

 ようやく頑なな担任を説得すると、抱えていた体をそっと降ろし、そのまま女教師をベッドの上に押し倒した。
 柔らかなマットレスの上で自分を見上げる担任の美貌に、改めて菊丸は生唾を飲み込む。

(か、可愛いですなあ♪)

 これから行われる熾烈な一戦を予期してなのか、清潔な純白のシーツの上で恥ずかしそうにこちらを睨みつけてくる先生が愛おしくてたまらない。
 菊丸は、担任が身につけているシースルーのランジェリーを器用にすべて剥ぎ取ると、自身の衣類も脱ぎ捨てた。
 お互いが全裸になった上で、無防備な担任の身体へと覆い被さる。
 すらりとした長い脚を割り開いて、その最奥、秘められた中心部に自身の硬くいきり立った剛直をあてがうのだ。

「さあ、ベッドの上でも思い切り気持ち良くしてあげますからね~」

 そう囁くと、凶悪な切っ先を淫裂の泉へとねじ込んでいく。

「あっ、ああんっ!!」

 再び、慶子の狭い肉路を切り裂くようにして、奥へ奥へとゆっくりと剛直を進めていく。

「あぁ‥」

 最深部までその剛直が到達した瞬間、 あまりの充溢感に慶子は観念したような甘いため息を漏らした。もはや身動き一つせず、されるがままに身を委ねている。それでもなお、至近距離で教え子と視線を合わせるのだけは拒むように、頑なに顔をそっぽへ向けていた。

「やっぱりベッドの上でこそ本当のセックスですよね~、セ~ンセ♪」

 菊丸は彼女のしなやかな太ももを小脇に抱え込むようにして、担任の体を強引に引き寄せると、容赦のないピストンを開始した。 
 逃げ場を阻むように足を大きく開かせ、根本まで腰を叩きつけて最深部を抉り、肉の熱を味わいながら入り口付近まで引き抜く。

「ああっ! いやっ、そんなに激しくっ……!!」

「でへへ、先生のここは、本当にきついですなあ」

 菊丸の言葉通り、秘肉の路はどこまでも狭隘で、彼の猛りを受け入れるのを拒むように強く締め付けてくる。
 事前に塗り込んだ媚薬クリームと溢れ出る愛蜜のおかげで滑り自体は滑らかなはずだった。しかし、それを上回る肉壁の緊搾が行く手を阻むため、菊丸はうねる肉を割り進めるように、じっくりと最奥へ押し進めるしかなかった。

 なんとか最奥まで貫いては、肉壁を抉るようにして入り口付近まで雁首(かりくび)を引き戻す。そして、溢れ出る愛液をかき混ぜるように、容赦なく再び深く突き入れていった。

「あっ! あぁンンッ!!!」

 慶子とて最初はつれない表情を崩さずにいたが、菊丸が大きく腰を動かすたびに、その拒絶は艶を帯びた甘い鳴き声へと変貌していく。
 菊丸が猛然と腰を使うたび、実家の平穏な寝室にベッドのギシギシという不埒な軋み音が響き渡った。

「どうですか~、実家の自分のベッドで教え子に犯されてる気分は~」

「くっ! 勝負でしょ……っ、これは!! 別に一方的に犯されてるわけじゃ……っ!」

「そうそう、先生もそうやって積極的に腰をバウンドさせないとね~。このままだと僕は朝まで一回も出せませんよ♪」

「あっ、ああっ!!」

 菊丸の言葉に抗おうとするものの、激しいピストンに上体を揺さぶられ、慶子の指先はシーツのシワを必死に掴みしめることしかできない。

「いやあ、やっぱりベッドは気持ちいいですねえ。バネが効いてるぶん、お互いに深く繋がれますし」

「だから……ッ、私は気持ち良くなんて……、ンッ、ハァンッ!!」

「まったく素直じゃないですね……、って、おや、おやおや~? おっぱいちゃんが何やら寂しそうに震えてますねえ」

 菊丸の眼前で、ピストンの衝撃に翻弄されるように揺れる美巨乳。豊かな張りを湛えたそれは、仰向けになっても型崩れすることなく、まるで菊丸を挑発するかのように、桜色の乳首をツンと上へと向けていた。
 その若々しく傲慢な膨らみに狙いを定めると、菊丸は根元から肉を絞り上げるようにして力強く揉み立てる。

「あっ、はぁんっ!!」

 揉むたびに指を力強く押し返してくる、瑞々しい弾力がたまらない。

「媚薬が効いて乳首ちゃんも切なそうにしてますね~。しゃぶって欲しそうにフルフル震えてますよ~」

 十分に揉みほぐされ、ピンと硬く尖った先端へ、菊丸は這わせた舌を重点的に転がしていく。

「んっ、あぁっ……!」

 最深部を容赦なく突かれる快感と、乳首への執拗な愛撫。二条の熱に責め立てられ、慶子は自らの官能をますます燃え上がらせていった。

「先生、乳首も弱いもんね~。ここを舐めながら突くと、すごくボクのを締め付けてくるのは気のせいですかぁ?」

「いやよ……っ、そんな事いちいち私に報告しないで……っ!!」

 自身の淫らな体の癖を教え子に暴かれ、慶子は恥ずかしそうに顔を嫌々と振る。
 シーツを握りしめていた彼女の手は、いつの間にか行き場をなくし、菊丸の逞しい肩へと無意識に爪を立てていた。
 菊丸はそんな彼女の反応を愉しむように、それまでの大きなストロークから一転、ゆったりと最奥を小突くような動きに切り替えた。

「あっ!? あ、それっ……、いやんっ」

「奥をツンツンされるのもいいでしょ?」

 最深部まで深く貫いた状態での、執拗なキツツキ運動。粘膜の最も敏感な部分を直撃され、大きく開かされた慶子の太ももがカタカタと快感に震える。彼女はもう、脳が溶け狂いそうな快楽に支配されてゆくしかなかった。
 そうして彼女がその浅い刺激に慣れ、ふっと力を抜いた瞬間――菊丸は今度は腰を大きく引き、畳みかけるように強烈なストロークを叩き込んだ。

「あっ、ハァンッ!!!」

「でへへ、こうして小さく小突かれるのと~」

 菊丸は一度、大きく腰を引いた。雁首が入り口付近まで戻り、最深部の圧迫から解放されたのも束の間、次の瞬間には一気に深くまで叩きつけるように力強く突き込んできた。下腹部が激しくぶつかり合い、肉と肉が衝突する生々しい音が寝室に響く。

「先生はこうやって、大きく強めにされるのはどっちが好きですかぁ~?」

「どっちって……、そんなの私は知らないわ……っ」

 口では頑なに拒絶するものの、菊丸の力強い腰の動きに翻弄され、慶子のしなやかな柳腰は知らず知らずのうちに大きくグラインドを始めていた。突き入れられる衝撃をより深奥で迎え入れるように、無意識に自分から腰をうねらせて教え子の前縦を迎え入れてしまう。

「これくらいの強さの方が、ここの締め付けが強くなってる気がしますよ~」

 事実、菊丸が容赦なく腰を打ち付けるたび、慶子の肉体は彼の思惑通りに熱く脈打ち、キュンキュンと切なげに肉茎を締め付けては、その剛直を離さまいと貪るように絡みついてくる。

「締め付け具合からして、こっちの強めの方がお気に召してるんですか~?」

「だっ、だからっ、知らないって言って……、あっ、ああンッ!!」

 自分の体でありながら、その秘められた快感のありかを教え子に完全に看破されている――。いちいち嬉しそうに報告してくる菊丸の態度に激しい苛立ちを覚えるものの、それ以上に、脳を支配していく圧倒的な愉悦に慶子の理性は完全に塗りつぶされようとしていた。

 教え子が刻む容赦のないリズムに翻弄されながら、慶子は抗うことも忘れて腰をうねらせ、ただただ快感の濁流に呑み込まれてゆく。

(も、もうダメ……っ、き、気持ち良すぎる……っ!)

 激しく貪り合うような肉の擦れ合いの果てに、慶子はついに限界を迎えた。背筋を弓なりに強張らせ、ビクンと大きく腰を弾ませて絶頂の淵へと突き落とされる。
 それと同時に、彼女は背中にまで回した両手と両足で、必死に教え子の体にすがりつき、これ以上ないほど緊密にその肉体を密着させた。

(た、たまらない…………

 慶子はシーツに指の爪を食い込ませ、波のように押し寄せる激しい余韻に耐えようと必死に息を詰まらせる。しかし、体の芯から湧き上がる心地よい気怠さに抗うすべはなく、ついにガクリと全身の力が抜けてベッドへと沈み込んだ。

「でへへ、どうでしたか? 正常位のセックスは。気持ち良かったんじゃないですかぁ?」

 悪戯っぽく顔を覗き込んできた菊丸の、すべてを見透かしたような微笑み。
 慶子は言葉を返す気力すら奪われ、胸を占める悔しさと耐え難い羞恥から、ただプイと顔を背けることしかできなかった。

 慶子は乱れた呼吸を整えることもできず、ただ実家の天井を見つめていた。肌を伝う汗が、菊丸の体温を吸ってじっとりと熱い。

「……もう、満足したでしょう。早く服を着て、帰ってちょうだい」

 そっぽを向いたまま、かすれた声で精一杯の威厳を保とうとする。だが、シーツに投げ出された太ももは快感の余韻でまだかすかに震えており、説得力は皆無だった。
 菊丸はそんな彼女の横顔を愛おしそうに眺めながら、乱れた髪を大きな指で優しく耳にかけ、そのまま柔らかい耳たぶを指先で弄(もてあそ)んだ。

「そんなに冷たいこと言わないでくださいよ、セ~ンセ。さっきあんなに僕の背中、ギュって抱きしめてたじゃないですかぁ」

「それは……っ、あなたが、強引に……っ」

「でへへ、体が素直な先生って、学校のときより百倍かわいいです。実家のベッドだと、いつもより甘えん坊になっちゃうんですかねえ?」

「……うるさい。からかわないで……っ」

 恥ずかしさに耐えかねて布団を頭まで被ろうとする慶子。しかし、菊丸はその細い肩を後ろからそっと抱きすくめると、耳元で低く楽しげに囁いた。

「それと~、いいんですか? そんなふうに勝負を放棄しちゃって。このまま終わらせたら、あのデータは二度と先生の手元に戻らないんですよ?」

「っ……!!」

 慶子の身体が、恐怖と屈辱で一瞬にして強張る。忘れていたわけではない。これは彼女にとって、絶対に負けられない卑劣な「勝負」なのだ。
 言い返す言葉が見つからず、慶子が絶望に唇を噛み締めた瞬間、菊丸の気配がガラリと肉食獣のそれへと変わった。

「さて、お次は……」

 菊丸はまだ絶頂の余韻から抜けきれず、ガクガクと震える慶子の身体を強引に抱き起こした。有無を言わさぬ腕力で彼女を反転させると、実家のベッドのヘッドボードに無理やり両手をつかせ、無防備な四つん這いの姿勢へと仕立て上げていく。さらに、抵抗を許さない手つきで彼女のしなやかな脚を大きく割り開かせると、その豊かなヒップを天を向くように高く持ち上げた。
 完全に背後から支配される、屈辱的な後背位の構え。

「い、嫌よ……こんな格好……っ」

 獣のような、あるいは情欲を貪られるためだけの淫らなポーズを強制され、教師としての誇りや尊厳が内側から激しく警鐘を鳴らす。慶子は涙目で嫌々(いやいや)と首を振った。
 だが、本当の地獄はそこからだった。ベッドのすぐ脇に立てかけられた大きな姿見に、視線が否応なく吸い寄せられる。
 そこに映っていたのは、教え子の前に従順に腰を突き出し、涙目で拒絶を口にしながらも、先ほどの快感のせいで肌を火照らせて微振動している自分自身の姿だった。聖職者としてはあまりにふしだらで、淫猥にすぎるその光景に、慶子は己の輪郭が羞恥で内側から焼き尽くされるような錯覚さえ覚える。

 菊丸は四つん這いにさせた慶子の真後ろに膝立ちになると、その豊かな丸みを帯びたヒップを両手で無慈悲に掴み、秘裂の中心へとその切っ先を当てがった。
 そして、逃げ場をなくすように腰を固定したまま、先端を一気にめり込ませる。先ほどの愛蜜と媚薬で十分に濡れそぼったぬかるみへと、剛直がヌルンと滑らかに侵入していった。

「あっ、ハァンッ!!」

 肉壁を内側から強引に押し広げられる異物感に、女教師の艶やかな嬌声が部屋の空気を震わせる。

「でへへ、背後からも先生と繋がっちゃいましたね~」

「あ……あぁ……っ」

「ほら、鏡を見てください。教え子の僕と、こんな嫌らしい獣みたいな格好で繋がってるんですよ?」

 菊丸の底意地の悪い言葉に促されるように、慶子は拒絶しきれず、横に置かれた姿見へと視線を吸い寄せられてしまう。

「嫌っ……!!」

 鏡の向こうに映し出されていたのは、生徒の欲望のままに背後から貫かれ、完全に主導権を握られた雌犬のような自分の姿だった。
 学校では常に凛とした態度を崩さず、誰もが慕う「教師の手本」として生きてきた。そんな日常の自分からはあまりにかけ離れたふしだらな輪郭を突きつけられ、慶子は激しい羞恥と絶望に身を震わせる。
 しかし、菊丸はそんな彼女の精神的な動揺を置き去りにするように、背後から女教師の背にのしかかるようにして前傾姿勢を取った。
 逃げられないようにその身体を自身の重みで圧迫しながら、一転して猛烈に腰を前に推し進め、丸いヒップへと容赦なく自身の腰を激しく叩きつけ始めた。

「あっ、あんんっ!!」

 最初は重く、確かめるような静けさで腰をヒップへと叩きつけてくる。しかしそれも束の間、菊丸の抽送は瞬く間に速度を上げ、室内にはパンパンと肉と肉が激しく衝突するリズミカルな音が鳴り響き始めた。
 菊丸は思う存分欲望のままに、美貌の女教師を背後から猛烈に攻め立ててゆく。四つん這いにされ、逃げ場を失ったハート型のヒップに対し、一切の容赦なく腰を打ちつけていく。激しい衝撃に耐えかねたベッドのバネがギシギシと悲鳴を上げるが、菊丸はそんな不埒な雑音など気にも留めない。ただひたすらに、その豊かな肉の弾力を味わい尽くすように、激しい出し入れを果てしなく繰り返した。

「うはあ、この体勢も最高ですねえ。先生の中、めっちゃ気持ちいいですよ~」

「あ……、んっ、ん……っ

「えへへ、そんな声出しちゃって♪ やっぱり先生も、本当は気持ちいいんじゃないですかぁ?」

「し、しつっこいわね……っ、気持ち良くなんか……、ぅうっ、……ンッ、ぁあんっ!!」

「無理しないでいいですよん。だって、溢れ出るほど媚薬クリームを塗られてるんだし♪」

 菊丸の言葉に弾かれたように、慶子はきつく目を閉じる。しかし、激しいピストン運動が繰り返されるたび、結合部の隙間からは白いクリームが溢れ出し、互いの愛液と混ざり合ってどろりと太ももを伝い落ちていた。
 菊丸が深く突いては引き抜くたびに、最奥に溜まっていたクリームが容赦なく外へと掻き出されていく。その光景は、いかに彼女の体内に大量の媚薬が塗り込められているかを無残に物語っており、慶子のプライドを視覚からも徹底的に削り取っていった。

 慶子は媚薬の毒のせいで、白皙の全身を妖艶な桜色へと染め上げ、四つん這いの姿勢のまま指先ひとつ動かすことすらできない。

(あん‥、体が、おかしいわ…)

 熱に浮かされた頭のなかで、辛うじてそれだけの懸念を呟くのが限界だった。
 そんな彼女の苦悶など知る由もない菊丸は、慶子の細い腰を背後から両手で強引に掴み、逃げ場を奪うようにその色白のヒップを高く突き出させる。
 完全に自由を奪われ、無防備に晒された肉の質量。その吸い付くような極上の感触を掌で堪能しながら、菊丸は背後から激しく腰を打ち付け、何度も執拗な抽送を繰り返して最奥の柔肉を貫いてくる。

「あ、ぁんっ……! ぅうんっ……っ」

 狂おしい衝撃が背中から突き抜けるたび、慶子の指先は痙攣するように震え、耐えきれずに寝具のシーツを破れんばかりに強く握り締めていた。

 もちろん、目の前で豊潤に揺れる大振りのバストを、貪欲に揉みしだくことも忘れない。指塊を食い込ませるようにして、荒々しく、しかし確実にその柔らかさを支配していく。
 枕に顔を埋めて身をよじる慶子の背後から、圧し潰さんばかりの勢いで覆い被さり、容赦のない熱情を叩きつけた。
 背後から見下ろす、しなやかな曲線を描く背中。そこには真珠のような汗の雫がいくつも浮かび、彼女がすっかり深い情欲の底へと堕ちていることを、雄弁に物語っていた。

「んっ……あぁっ……」

 時に首筋や耳の裏へ優しく舌を這わせ、耳元で「まだ気持ち良くないんですか~?」などと、こちらの矜持を見透かすように確認を取ってくる。

「ああん、気持ち良くなんか‥、あん‥ッ、ないんだから‥」

 必死の拒絶をあざ笑うかのように、これでもかとばかりに、再び背後から容赦ない質量を持った衝撃が肉を鳴らし、激しく攻め立てられた。

「えへ、鏡を見てください、生徒の僕に服従している雌犬って感じですよん」

 後背位特有の、なす術のない被虐感。心まで完全に組み敷かれているという絶対的な支配感の前に、慶子の秘丘は熱い疼きに狂い、彼を逃さぬようその最奥にある肉門をギュンギュンと狂おしく緊搾させてしまう。

(いやんっ、こっ、こんな格好‥、私は担任なのよ‥?)

 屈辱という名の甘美な毒と、禁忌を犯す背徳感が脳内で激しく火花を散らし、皮肉にも慶子の内なる淫靡な本能は限界を超えて燃え上がっていく。

(こんな、後ろから生徒に容赦なく貫かれて、犯されて、悔しいのに‥ッ!ああっ、たまらないわ‥っ

 菊丸もまた、飢えた獣さながらの荒々しさでヒップを腰で叩きつけ、手に余るほどの豊かな果実を乱暴に揉みしだいた。

 容赦のない強硬な攻勢にさらされながらも、薬効が心身の芯まで回りきった慶子にとっては、今やその衝撃のすべてが甘美な恍惚感へと塗り替えられていく。

(ああっ! もっと強くっ! 菊丸ッ! もっと強く慶子を虐めて! 慶子をたくさん犯して‥っ!!)

 背後から力強く打ち付ける菊丸の腰使いに、自らも無意識にヒップをうねらせていた。
 その激しい接触の証拠であるように、結合部から垂れ落ちるクリームと愛蜜がベッドに滴りおちて、濃いシミを次々と作ってゆく。
 抗いきれない重力に従って、視界の端でシーツに次々と広がっていく濃い熱の痕跡は、慶子の理性をさらに朧げに翻弄していくようだった。

(うはっ、ギュンギュン先生も締め付けてきちゃって♪)

 油断すれば一瞬で持っていかれそうな強烈な圧に、菊丸は歯を食いしばる。

(くうっ、負けてたまるか~)

 教卓の上で見せる厳格な顔からは想像もつかない、担任である慶子の容赦のない締め付け。菊丸はその圧倒的な圧力を強引にねじ伏せ、さらにギアを上げた。猛烈なスピードで、その弾む豊かな桃尻に向かって力強く腰を打ち付けていく。
 部屋にはパンパンという肉と肉が弾けるような音と女教師の切ない嬌声が響き、
 清楚で静かな部屋には似つかわしくない、濃厚で淫靡な雰囲気を作り上げる。

(いやんっ、きっ、気持ちいいっ! 菊丸くんっ、慶子、気持ちいいわっ! もっと! もっと強く責め立てて!!)

 全身を熱い朱に染め上げ、一瞬、ビクンと大きく身体を跳ね狂わせる。
 そのまま限界まで剛直したかと思うと、次の瞬間には張り詰めていた糸が切れたように、ガクッと枕へ崩れ落ちるのだった。

「ほうら、大丈夫ですか? 頑張らないと、あっという間に朝が来ちゃいますよ」

 枕に顔を埋め、甘やかな余韻の海に溺れていた慶子の身体を、彼は優しく引き起こした。視界が揺れる。その目の前で、菊丸はベッドの中央に悠然と大の字に寝転がってみせた。

「ほら、チャンスを与えてあげますから。僕の上に乗って、積極的に攻撃していいですよ」

「……っ!」

 その言葉の裏にある淫らな意図を、慶子は瞬時に悟った。
 無防備を晒して仰向けに横たわる菊丸。その肉体に跨るということは、天に向かって猛々しくそそり立つ彼の剛直を、自らの秘肉で迎え入れ、女の側から貪るように腰を振れという意味に他ならない。女が主体となって愉悦を貪る、騎乗位の誘いだ。

(そんな……、この子の上に自分から跨るなんて……)

 これまで嬲られるがままだった慶子に差し出された、甘美で傲慢な招待状。攻守逆転の好機。
 だが、自ら秘処を開いて彼を迎え入れるという、そのあまりに大胆な行為に、慶子の理性が激しく躊躇の声を上げていた。

「ほら、早く乗って下さい。負けないんでしょ?」

「分かってるわよ……」

 口では強がってみせるものの、シーツの上で悠然と大の字に寝そべる教え子を見下ろし、慶子は激しい羞恥に身悶えした。あろうことか、教壇に立つ聖職者であるこの私が、教え子の腰に自ら跨がらなければならないのだ。
 しかも、目の前で図太くそそり立つ、あの忌々しい屹立。それを自らの手で掴み、自身の淫裂へと捩じ込む――。その行為がどれほど女としてのプライドを粉砕し、屈辱を与えるか。菊丸はすべてを見透かした上で、慶子が自壊していく瞬間を待ち望んでいた。

 猛り狂う肉塊には、先ほどの交わりの証である愛液と、いまだ溶け残った媚薬クリームが白く絡みついていた。そのドロドロとした濁りが、慶子の視界を否応なしに捉え、頭が狂いそうなほどの背徳感で彼女の全存在を支配していく。
 誰もが羨む美貌の持ち主でありながら、その実、慶子はそこまで男性経験が豊富ではない。自分から男根を自身に迎え入れたことなど一度もなく、しかもそれが、よりによって自分が受け持つ教え子の質量なのだ。少女のように戸惑い、怯えてしまうのは、彼女にとって当然の帰結であった。

「ほら、早くオマンコを開いて僕のを咥え込まないと~」

「いっ、いやらしい言い方しないで‥っ!」

 慶子はついに観念したのか、ゴクリと細い喉を鳴らして生唾を飲み込むと、恐る恐るその熱に触れた。

(あ、熱い……。それになんて硬いの……?)

 手のひらから直に伝わる、猛烈な脈動。慶子は羞恥に顔を火照らせながら、それを自身の秘門へと宛がった。

「そうそう、ゆ~っくりと慎重にね~」

 菊丸の言葉に促されるように腰を下ろすと、媚薬と愛液で濡れそぼった結合部が、じっとりと湿った音を立てて彼を受け入れ始める。

「あ、あんっ!!」

 しかし、ほんの僅かに先端を呑み込んだところで、慶子はたまらず動きを止めてしまった。
 想像を遥かに超える教え子の質量に対し、あまりにも自身の肉路が狭く、頑ななまでにその侵入を拒むように締め付けてしまうのだ。

「大丈夫、大丈夫。そのまま自分の体重をかけて~」

 菊丸の甘い唆しに抗えず、慶子は姿勢を保ったまま、恐る恐る自らの重みを下へと預けていった。
 悲鳴を上げる肉壁の抵抗を押し退け、彼の熱く硬い砲身がズブズブと、一寸ずつ深奥へと沈み込んでいく。

「あっ、ああんっ!!」

 内壁を激しく擦り上げる凄絶な摩擦は、そのままダイレクトに脳へと突き抜け、慶子の全身に伝播する。あまりの心地よさに、思考が甘く蕩けてしまいそうだった。
 ようやく根元まで到達したところで、彼女は荒い息を整え、自分を落ち着けようと大きく深呼吸をする
 実家の自室という、自らの聖域で。あろうことか、年下の教え子の屹立を自らの秘処へと咥え込みにいっているのだ。
 いくら勝負、いくら賭けの延長とはいえ、そのあまりに倫理を逸脱した背徳行為に、慶子は勝負の行く末さえ見失うほど、正気を失いかけていた。

 しかも、正面に目を向けた慶子は息を呑んだ。菊丸があらかじめ手早く位置を調整していたのだろう。そこには、二人の結合部を克明に映し出す大きな鏡が据え付けられていた。

「いやんっ!」

 恥ずかしさのあまり、慶子は反射的に顔を背けた。
 全裸になり、年下の教え子に跨っている、娼婦さながらの不埒な自分。そんな到底受け入れ難い姿を、まざまざと見せつけられたのだ。しかし、どれほど視線を逸らそうとも、正面に位置する鏡は、目を開けるたびに彼女のあられもない醜態を否応なしに網膜へと焼き付けてくる。

「ほら、どうしました? 今回は先生のペースでいいんですよ。この方が、お互いの顔もよく見えるでしょう?」

 ベッドに大の字に寝そべったまま、菊丸は下から美貌の女教師の破廉恥な姿を特等席で堪能し、愉しげに煽り言葉を投げかけてくるのだった。

 そう、自ら能動的に仕掛けていかねば、そもそもこの勝負を受ける意味自体が霧散してしまう。それは紛れもない事実だった。
 慶子は意を決して菊丸の逞しい胸板に突っ張るように両手を預けると、遠慮がちに、しかし確実に腰を上下に動かし始める。

「ぅっ、あ、んっ……」

 促されるまま、主体的に腰を使い、秘処を蠢かせてみる。確かに彼の言う通り、自分の意思で上下する方が、角度も深さも自由が利き、動きやすかった。
 だが、その利便性は甘美な罠でもあった。自ら腰を落とすたびに、最奥に埋め込まれた教え子の猛烈な怒張が、逃げ場のない内壁を容赦なく擦り上げる。その摩擦のすべてが、強烈な刺激の塊となってダイレクトに己の脳髄へと跳ね返ってくるのだ。
 自らの手で自分を極限まで追い詰めていく、因果な自虐行為。

(やんっ、ダメ……、動くと菊丸くんの太いところが、こんなに奥に当たって……)

 攻めているはずの慶子自身が、内側から突き崩される快感に甘え鳴きを漏らし、身悶えていた。

 菊丸はベッドに寝転がりながら、目の前でひたむきに動く慶子の姿を悠然とした表情で眺めていた。

(いやあ、本当に教師にしておくには惜しいくらい綺麗な体ですなあ)

 透明感のある色白の肌に、すらっとしたスリム体型。それなのに胸はグラビアアイドル顔負けの豊かな盛り上がりを見せ、ウエストにかけてはキュッとくびれて優美なメリハリを産んでいる。ヒップは柔らかそうな女性らしい丸みを帯びながらもツンと上がっていて、男性はもちろん、同性から見ても羨ましがるぐらいに均整の取れた完璧なプロポーションであった。
 そんな学園のマドンナ教師が髪を振り乱し、その重たそうな美巨乳を揺らしながら、柳腰を弾ませて自分のために精一杯尽くしてくれる――。その圧倒的な光景を前に、菊丸の理性の底からも、たまらない昂ぶりが突き上げていた。

 快感の呼び水に背中を押されるように、慶子の動きは徐々に大胆さを増していった。腰を大きく上下にグラインドさせ、みずからの意思で、凶暴な剛直を蜜路の最深部へと迎え入れていく。
 だが、歓喜の頂点へと達する途端、「あっ……」と小さく肉声を漏らしてビクンと身体を硬直させ、慶子は動きを止めてしまった。
 突き上げられる衝撃の余韻に囚われたまま、ただフルフルと小刻みに震えることしかできない。

「あれ~? もしかして自分で腰動かしてそのまま逝っちゃいました?」

 菊丸の底意地の悪い囁きが、熱く火照った鼓膜へと滑り込んでくる。
 そう、自ら貪るように躍らせた腰の、その果敢な動きがそのまま甘美な凶器となって自身へと跳ね返り、抗う術もなく耐えきれずに絶頂の深淵へと墜ちてしまったのだ。

(いやん……こ、こんなの、私のほうが先に……っ)

 ハアハアと荒い呼吸で胸を上下させ、なんとか白濁していく意識を繋ぎ止めようとするが、頭の芯は甘い痺れに支配されて使い物にならなかった。

 慶子はかろうじて理性の糸を繋ぎ止め、再びなんとか腰を動かし始めた。しかし、みずから肉路を蠢かせるたび、最奥に埋め込まれた剛直の熱量が、ダイレクトに狂おしい刺激となって身を内側から抉った。これでは思うように攻勢に出られるはずもなかった。
 一度火がついた肉体はあまりにも脆い。久しく忘れていた快感に狂った肉体は、ほんの少しの刺激でも限界を迎えてしまいそうだった。これ以上激しく動けば、またすぐに絶頂の深淵へと突き落とされて、またあの破廉恥な悲鳴をあげて果ててしまう――。その恐怖に怯えながら、彼女はただ、ゆっくりと慎重に腰を揺り動かして見せるのが精一杯だった。
 そんな消極的な自衛を、教え子が逃すはずもない。

「ほら、休んでないで、ちゃんと腰を動かさないと~」

 菊丸は底意地の悪い笑みを浮かべると、下からじわりと、逃げ場のない肉壁の奥へ向かって容赦なく肉厚な腰を押し付けてきた。

「ああっ!~~~~」

 衝撃の余韻を噛み締める暇もなく、下からの突き上げは少しずつ速度を増していく。それどころか、狡猾に強弱や緩急の変化を交えながら、狭窄した肉層を深く抉り抉りしてくるのだ。
 絶頂を迎えたばかりの、極限まで敏感になった最深部をダイレクトに蹂躙され、慶子は電流に打たれたように背中を弓なりにのけ反らせる。
 もはや、どちらが攻めているのか分からぬほど形勢は逆転していた。

「せっかく先生に勝てそうなチャンス与えてあげてるんですよ、もっと頑張らないと~」

 どこまでも余裕に満ちた言葉を吐きながら、菊丸は下からリズミカルに腰を浮かせるようにして、狂おしい衝撃を突き上げてくるのだった。

「いやっ、やんっ! ダメっ、そんなに動いちゃ……菊丸ぅっ

 教え子の逞しい胸板に両手を突っ張り、崩れ落ちそうになる身体をどうにか支える。だが、なすすべもなく下から穿(うが)ち上げられる容赦ない衝撃に、ただ翻弄されるしかなかった。

「先生が動かないから、代わりに僕が動いてあげてるんでしょ?」

 どこか楽しげな、やれやれといった面持ち。しかし、その表情とは裏腹に、菊丸は下から強く担任教師を突き上げ、容赦なく追い詰めていく。
 これ以上は耐えきれない――必死に抑え込もうとしていた己の制御を、無慈悲に、そして深く貫かれる。
 それでも、快楽の奔流に流されまいと、慶子はかろうじて残った理性の糸を必死に手繰り寄せ、自分を維持しようともがいていた。

 そんな担任の必死な抵抗を楽しむように、菊丸はさらに手を伸ばした。激しく揺れる豊かな双丘を下からすくい上げるように包み込み、瑞々しい弾力を味わいながら荒々しく揉み立てる。
 もちろん、先端に咲く可憐な桜色の蕾を、指先で優しく愛撫することも忘れない。

「ぁあんっ!! んん…っ!!」

「でへ、やっぱりこうやって突きながら、こっちも可愛がってあげるとオマンコをキュッキュッと締め付けてきますね~」

「いや…っ、言わないで…」

 秘め事の最中、あまりにも赤裸々な言葉をぶつけられ、胸への容赦ない愛撫に呼応するかのように、慶子は無意識のうちに、自身の中に受け入れた菊丸の剛直を熱く締め上げてしまう。そればかりか、下からの激しい突き上げに合わせ、無自覚に腰をくねらせ、迎えにいくような動きを始めていた。

「どうですか~? 気持ち良くなってきましたか~?」

「あ、あんっ! ゥンン…っ!」

「こうやって胸を揉まれて下から突かれたら、先生もいいんでしょ?」

「そ、…れっ…、だめぇ…っ!!」

「キュッキュッと締め付けちゃって、身体の方は素直ですよ~」

「そ、そんなこと…っ、ないっ…」

 あくまでも慶子の口から、快楽を認める言葉を引き出そうとする菊丸の執拗な攻め。

「きっ、気持ち良くなんか…」

 よほど菊丸から耳元で約束させられた中身が、彼女の理性を引き止めているのだろう。これほど激しく翻弄され、蜜に濡れそぼりながらも、意地でも自分を失うまいと教師の顔を保とうとしていた。

 しかし、慶子の頑なな言葉とは裏腹に、その肉体はすでに蜜液を滴らせて従順になり始めていた。

「いい加減素直に言っちゃいましょうよ、気持ちいいって」

「だ…からっ、あなたがいくら何をしても気持ち良くなんか…ならないわ…っ」

 あくまでも慶子は陥落しかけている事実を認めたくなく、言葉だけで虚しい抵抗を試みる。
 だが、陵辱の裏返しからくる猛烈な快感ゆえか、あるいはせめてもの仕返しのつもりなのか、彼女の最奥は、自身を貫く熱い塊を容赦なく締めつけ、吸い上げていく。

「くうぅ…」

 予期せぬ極上の締め付けに、思わず菊丸の口からも切迫した呻き声が漏れた。
 しかし、菊丸も女教師の烈しい抵抗に負けてはいない。それまでの優しい愛撫から一転、容赦なく乳首を強めに捻りあげる。
 その苛烈な刺激に、菊丸に跨る慶子の桜色の肢体がブルっと大きく跳ねあがった。

「いやっ! 菊丸っ、そんな事されたら慶子また‥ッ」

 狂おしく泣き叫び、

「~~~~~~っ~~~~~~」

 言葉を失った慶子はふたたび全身を激しく悶えさせ、五十九回目となる極上の恥を晒すのだった。

 慶子はガクッと力尽き、菊丸の胸へと倒れ込むように熱っぽい上体をくたっと重ねた。すかさず菊丸は、汗の滲むその背中に腕を回し、愛らしい肢体を強く抱きしめる。
 しかし、それが束の間の休息になるはずもなかった。
 息を整えるいとまさえ与えず、抱きしめた体勢のまま、菊丸は慶子をさらに追い詰めるように下から容赦なく腰を突き上げていく。

「やんっ、ダメ、慶子、また……っ」

 執拗な責め苦に、慶子は必死の悲鳴を上げた。

「そうそう、いく時はちゃんといくって言うんですよ?」

「け、慶子っ……ぁぁんっ! いくっ! また、いっちゃいますっ!!

 促されるまま、菊丸の耳朶に届くように、部屋中に響かせるように、彼女は昂る声を震わせた。しなやかな肢体を教え子の上で激しく跳ねさせ――慶子はそのまま、逃れられぬ快楽の波に幾度も連続で昇天させられてしまうのだった。
 その後も執拗な突き上げに翻弄されながら、慶子はベッドの上で幾度となく天国への淵へと引き摺り込まれた。
 身体の芯まで融かしていく媚薬の熱と、何より菊丸という存在そのものに完全に狂わされた若い女教師の肉体は、教え子に果てさせられるたび、その甘美な快楽を貪るように味わい尽くしていくのだった。

 それから二時間が経過した、今。
 純白だったはずのベッドシーツは、二人の汗や秘薬のクリームと溢れ出た愛蜜が混ざり合い滴り落ち、生々しい痕跡をいくつも刻んでいる。 部屋の空気はすっかり様変わりし、ふたりの熱気と淫らな芳香が容赦なく充満する、濃密な空間へと塗り替えられていた。
 慶子は今、正常位の体勢のまま、上から乱暴に腰を打ち付けてくる菊丸を必死に迎え撃っている。
 彼の剛直は、浅く抉るように引かれたかと思えば、次の瞬間には最奥を激しく突くほどに深く穿たれる。寄せては返す容赦のない刺激に、慶子は翻弄されるしかなかった。

「やんっ、そこダメっ! 菊丸ぅ……」

 狂おしく生徒の名を呼びながら、彼女自身も抗うように腰を浮かせ、彼の熱に自ら押し付けるのだ。
 骨の髄まで行き渡った熱い毒――媚薬はすでに女教師の肢体を完全に支配していた。今や全身のあらゆる微孔が、快楽を貪るための性感帯と化している。
 ほんの少し、互いの肌が擦れ合うだけで、彼女の唇からは「ああんっ」と、切なくも甘い喘ぎがこぼれ落ちてしまうのだった。
 丸く張り詰めた豊かなバストを無遠慮に揉み回され、乳首をキュッとその無骨な指で潰されて、ピンピンに勃ったところを優しく舌で舐めまわされる。そのまま首筋まで舌で舐め上げて、慶子は朱唇を震わせてしまうのだ。
 そこを菊丸の容赦のない剛直が、強弱を自在に操りながら、最奥を抉るように出し入れしてくるのだからたまらない。

「こうして‥」

 菊丸は焦らすようにゆっくりと腰を引き、
「こうすると!」

 女芯を的確に捉え、ズンと容赦のない一突きを最深部へと叩き込んでやる。

「ああんっ!!」

 慶子は抗う術もなく背をのけぞらせ、あまりにも容易く、九十一回目となる敗北の深淵へと突き落とされた。

「えへへ、あと9回逝ったら先生の負けですよん。そろそろ空が明るくなってきたし、僕も頑張らないと~」

 教え子の無邪気な宣告を裏付けるように、カーテンの隙間から差し込む光の輪郭が、じわじわと白み始めていた。夜明けという名のタイムリミットが、すぐそこにまで迫っている。

(も、もう少し待てば朝なのね? それまでに、あと九回耐えきれば……あのデータは返してもらえるのね?)

 朦朧とする意識のなか、慶子は縋るようにその希望だけを胸に刻みつけるのだった。

 あのデータさえ無事に取り戻すことができたなら、もうこの悪童の言いなりになる必要などどこにもない。
 泥に塗(まみ)れた教師としての威厳も、踏みにじられた尊厳も、その瞬間にすべて奪い返すことができるのだ。
 ──それどころか。
 握られた弱みさえ完全に消滅してしまえば、自分をここまで散々な目に遭わせてくれた問題児に、合法的に、かつ容赦のない痛烈な罰を与えることだってできる。

(そうね、どんな凄惨な罰を与えてやろうかしら。……ふん、さすがに退学処分までは可哀想だから、まずは教室の居残り掃除よ。毎日、放課後に一人きりで泣くまでやらせてやるんだから。テストだって一人だけ地獄のような量を解かせてあげる。それから宿題も……)

(──いやいや! そんな生ぬるいお仕置きで足りるわけがないわ! 私にこれほどの事をしたのよ!? そうね、毎日毎日、私の肩が軽くなるまで奴隷のように揉ませてやろうかしら! それから荷物持ちは当然だし、職員室の私のデスクも、指一本の埃すら残さないくらいピカピカに磨き上げさせるんだから……!)

 ──と、そこまで妄想が膨らんだ瞬間、無慈悲にも菊丸の腰が再び凶暴に跳ね上がった。

「あっ、ああん!!」

 脳天まで突き抜けるような強烈な一突き。その衝撃で、頭の中に築き上げていた都合のいい菊丸復讐劇は木端微塵に吹き飛び、慶子は再び抗えぬ官能の激流へと呑み込まれていく。
 朝という終わりの時間はすぐそこまで来ている。だが、過敏になりすぎた今の肉体では、そのタイムリミットが訪れる前に、あと九回など文字通り「簡単に」果てさせられてしまうかもしれない──そんな底知れぬ恐怖が、熱い快楽の隙間から慶子の背筋を凍らせた。

 ──あと数分で、九回。
 物理的な時間はごく僅かだ。そうはいっても、特効性の媚薬が五臓六腑にまで染み渡り、完全に開発し尽くされた今の慶子の肉体は、指先ひとつ触れられただけでも容易に陥落してしまうほど脆い。最後まで正気を保って耐えきれるだろうかという底知れぬ不安が、どうしても脳裏をよぎる。

(くぅ、ここまで来たら、もう絶対に負けないんだから……!!)

 慶子は奥歯を噛み締め、最終決戦に向けて霧散しかける意識を強引に繋ぎ止めた。
 敗北の恐怖に震えるだけのままで終わるつもりはない。彼女は最後の意地を振り絞るようにして、自身の内壁をキュッと力強く収縮させ、今度は自ら菊丸の精を限界まで搾り取ろうと、猛烈な逆襲へと打って出るのだった。

「ううっ‥」

 ──その瞬間、これまで完璧な余裕を崩さなかった悪童の口から、初めて動揺の混じった呻きが漏れた。

「先生、キツすぎ……っ、それ、たまらないよ」

 慶子の決死の抵抗がその肉体を確実に追い詰めているのか、菊丸の声には明らかな焦燥が滲んでいる。

(き、効いたのね……!? じゃあこのまま、すべてを吐き出させてやるわ!)

 勝機を確信した慶子は、朦朧とする意識のなかで猛然と牙を剥いた。菊丸が突き込んでくる暴力的なまでのピストンに必死で自身の呼吸をシンクロさせ、腰を迎え入れるように蠢かせる。それだけでなく、ここぞという最奥のタイミングを見計らい、自らの肉壁をさらに強烈な力でキュッと絞り上げていくのだ。

「せ、先生、でもいいんですか? いくら勝負とは言っても、このまま僕が先生の中で出したら、いよいよ本当の意味で先生と繋がっちゃいますよ?」

「!!」

「そしたらもう今までの関係ではいられないかもですね~」

 そう、慶子がこの泥沼のゲームで完全な勝利を手にするための、唯一にして絶対の方法──それは、眼前の悪童から一度でもそのすべてを搾り取り、強制的に果てさせることだった。
 だが、それこそが底なしの矛盾(ジレンマ)だった。
 いくらこの絶望的な勝負に勝つためとはいえ、彼のすべてを体内で爆発させ、それをそのまま無抵抗に受け止めることだけは──教師としての、そして一人の女性としてのプライドが、断じて許さなかった。
 もし、あの猛烈な熱を自身の最奥へと迎え入れてしまえば──それは教師という聖職の立場を完全に捨て去り、この傲慢な悪童に魂まで屈服したことを意味するのだから。
 そして何より、理屈抜きで彼を「一人の男」として子宮に受け入れてしまうことになる。それだけは、自尊心にかけて絶対に避けなければならなかった。
 ──もちろん、最初から内で暴発させるつもりなど毛頭ない。
 限界のその直前、文字通り紙一重の瞬間に引き抜かせ、外へと吐き出させる。
 慶子が狙うのは、そんな破滅と隣り合わせの綱渡りのような奇策だった。

「あ、当たり前でしょっ! 絶対に外で出してもらうからね! さすがに出す時は抜いてよね?」

 慶子はジロリと、咎めるような強い視線を射すくめるように向けた。

「わ、分かってますって! さすがにその時が来たら言いますから」

 担任が放つ容赦のない気迫に気圧され、菊丸は上ずった声で慌てて弁明した。

「約束よ」

 慶子は低く艶を帯びた声で念を押すと、再び執拗に腰をくねらせた。容赦なく彼を快楽の絶頂へと追い込みにかかる。

(うーん、先生も僕に勝つ気満々ですねえ。まあ、最終的に先生の中に放出できれば僕としては願ったり叶ったりですが……ここは最強の調教師・菊丸の名に懸けて、先に音をあげるのは先生の方ですよん)

 菊丸は腹の内でにんまりと邪悪に口元を歪め、その裏でさらに嗜虐的な計画を巡らせる。

(ちゃんと100回達成してもらうし、『気持ちいい』って絶対に言わせちゃいますから! 僕が解き放つのは、先生が負けた後です♪)

 余裕を崩さない菊丸は、彼女の最奥まで深く差し込んだ剛棒を、あえてゆったりとしたストロークで抽送し始めた。

「あっ!? いや、んん……っ」

 焦らすような緩慢な往復を繰り返し、完全に油断させたところを見計らって――菊丸は一転、引き抜く寸前まで腰を引くと、容赦なくその最深部へと肉棒を叩き込んだ。

「ああっ! そんないきなりっ、ダメぇ!」

 教え子の卑劣な緩急に、慶子の防壁はいとも容易く打ち砕かれる。

「あああっ!!!

 抗う術もなく、彼女は瞬く間に甘美な絶頂の淵へと突き落とされた。

 慶子が絶頂の余韻に身を震わせる、そのわずかな刹那さえ菊丸は許さない。
 奥底へ深く潜り込ませた剛芯の先端が、最深部の柔壁をキツツキのように細かく、そして執拗に突き穿ち始める。
 ――それだけで、慶子は全身をびくんと激しく跳ね上げた。

「ああぁっ!!」

 息を吹き返す暇さえ与えられず、再び容易く奈落へと突き落とされてしまう。

「でへ、こんな早く連続でいっちゃうなんて先生も我慢が足りませんねえ。このままだと9回なんてすぐですよ♪」

「あ、あぁん‥」

「また簡単に負けちゃいそうですね、ま、いつものことですけど」

「バ、バカにして‥」

 慶子は熱に浮かされた表情のまま、肩で荒い息を刻み、恨めしげに教え子を睨みつける。 すっかり身体の芯まで媚薬が回りきった彼女は、もはや微かな刺激にすら容易く昇天してしまう、完全な快感の奴隷と化していた。

(でへへ、これなら100回まであと7回、心配なく達成できそうですなあ。でも‥‥) 

 担任との勝負に勝てる算段こそ立ったものの、菊丸にはたった一つだけ、頭を悩ませる懸念が残っていた。

(『気持ちいい』――この一言を言わせるのだけは、どうにも一筋縄ではいかんですなあ。だが菊丸、ここで引き下がるわけにはいかんでしょう! 何かガツンと効く妙案は……)

「ああンッ!!」

 そうこうするうちに、ついに慶子は甘い嬌声とともに99回目の恥を晒してしまう。

「はい、これで、99回目~」

 あと一回で慶子はこの勝負に負けてしまうのだ。

(あ、あと1回……。勝てない、勝てないわ。どうすればこの子に勝てるの……っ?)

 いよいよ100敗目という完全敗北の淵まで追い詰められ、いまだ一度も菊丸を果てさせられていない現状に、慶子は苛立ちを隠せない。
 そんな息も絶え絶えな彼女の髪を、菊丸は「よく頑張りました」と優しく撫で、いたわるように囁いた。

「ほら、そんな顔しないで。あと一回分残ってますから。もうすぐ完全に夜が明けるし、先生ならなんとか耐えられるでしょ?」

 そう――もし菊丸から精を搾り取れなくとも、夜明けまでの残り1回を耐えきれば、それだけで慶子の勝利となる。
 あとわずか。あとちょっとの間さえ耐え忍べば、あの忌まわしいデータを奪い返せるのだ。

 しかし、追い詰められた窮地に立たされているのは、菊丸もまた同じであった。
 未だこの厳格な担任の口から、決定的な敗北とも言える『気持ち良い』という台詞を吐かせることができていない。その事実が、彼の胸の奥で焦燥の炎をじりじりと煽っていた。

(うーむ、どうすれば先生からあの言葉を引き出せるのか……)

 思考の迷宮を彷徨ったその瞬間、脳裏に閃光のような、とびきりの名案が浮かび上がる。

(でへへ、もうこれしかないですねえ~♪)

 菊丸は、目の前で力なく横たわる慶子を一瞥し、それまでの優勢を確信しながらも、次なる一手のために大胆な行動へと出た。
 目の前で絶頂を迎えたばかりの慶子を冷徹に見下ろしながら、その秘肉の奥深くまでねじ込んでいた剛直を、あえて溢れんばかりの入口付近へと引き戻す。

「あっ、ああんッ……!」

 すでに情欲の蜜に溺れた肉体は、ただそれだけの愛撫にも過敏に跳ね、狂おしい悲鳴をあげた。
 菊丸は獲物を追い詰めるような笑みを浮かべ、もう一度念を押す。

「どうなんですか、先生。本当に気持ち良くないんですか?」

「な、何回も言わせないで……ッ、あ、あなたのなんて……き、気持ち良くなんか絶対にないわ……!」

(うーん、こうまで断言されると、さすがに僕もショックですねえ~。まあいい、それなら無理矢理にでもその唇から白状させるまでです♪)

 菊丸は再び躊躇なく腰を叩きつけ、その剛直で最奥を深々と貫いた。

「あっ、ああんッ!」

 ずちゅ、ずちゅ、と粘膜の擦れ合う卑猥な音が、静かな室内に容赦なく響き渡る。菊丸は激しく腰を揺らし、熱を帯びた屹立を時に浅く、時に抉るように深く突き立て、翻弄していく。
 ひとたびその烈しい快楽の渦に巻き込まれれば、慶子の冷徹な仮面は呆気なく崩壊した。いつもの厳格さが嘘のように妖艶な表情を浮かべ、熱い吐息を漏らす。そればかりか、抗えぬ快感に身を委ねるように、その腕を教え子の背中へと回し、しがみついてしまうのだった。

 いつもの突き離すような拒絶は、流されまいとする聖職者としての、せめてもの最後の抵抗に過ぎなかった。しかし、こうして肉の会合を重ねるたびに、その防壁は呆気なく溶け崩れていく。
 それほどまでに、彼女の気高い精神はすでに官能に燃え狂っていた。
 その証拠に、今の慶子は反撃のために締め付けることすら忘れ、無意識のうちに教え子の動きを乞うように、その腰を淫らにうねらせて応えるのだった。

「どうですかあ? 先生。気持ちいいですか?」

 耳元で囁かれる菊丸の声音は、どこまでも軽薄で、だからこそ残酷なほどに慶子を追い詰めていく。

「くっ、うっ、……菊丸っ、私……っ、もう、たまらない……っ!」

  ついにその唇から漏れ出たのは、懇願とも敗北宣言ともつかない、熱を帯びた悲鳴だった。
  慶子は切羽詰まった苦悶の表情を浮かべ、脳裏を焼き尽くさんばかりの烈しい快感に、全身を戦慄かせながら耐え忍ぶことしかできなかった。

「気持ちいいなら、素直に言っちゃいましょうね。『気持ちがいい』って」

 菊丸は耳元で囁きながら、さらに大きく腰を動かし、奥の膣肉を容赦なく抉りにかかった。

「はぁんっ! 菊丸くぅんッ…、慶子っ、きっ、気持ち……っ」

 禁断の言葉が蜜のように唇から溢れかけた、その刹那――彼女はかろうじて正気の縁へと這い上がり、必死の思いで口を噤んだ。
 さすがは、平素から優れた理知性を誇る桂木慶子。最後の最後、破滅の深淵を一歩手前で踏みとどまらせたのは、やはり教師としての矜持と理性であった。
 その必死の抵抗を、菊丸は愉悦を孕んだ瞳で見下ろす。

(うーん、本当に強情ですねぇ。仕方がない、それなら――やっぱり奥の手を使いますか♪)

 これ以上の言葉責めは通用しないと見切ったか、菊丸は慶子の最奥を容赦なく穿っていた剛直を、溢れんばかりの入口付近へと一気に引き戻す。

「あっ!? ぅうんっ……!」

 急激な摩擦に慶子が悲鳴をあげた次の瞬間、ぬぽん、と粘つく濡れた音を立てて、菊丸はその圧倒的な熱源を完全に引き抜いてしまった。

「い、いや……っ、なんで……っ?」

 烈しいストロークの中で渾然一体となり、融け合っていたはずの肉体を唐突に引き離される。あまりの狂おしい喪失感に、最奥を暴かれた慶子の肉襞は行き場を失い、ひりひりと熱い欲情にわななき、ただ空虚に震えることしかできなかった。

 菊丸はその最奥を再び満たすことはせず、ただ屹立の切っ先で入り口の浅瀬を、じわり、じわりと生殺しにするように浅く出し入れするだけに留めた。

(な、なんで抜いちゃうの……? ああん、奥が、奥が疼いて仕方ないわ……っ)

 隙間なく埋まっていた熱い質量を唐突に奪われ、慶子は奈落のような激しい困惑に突き落とされる。

(菊丸くん……、お願い、また慶子の奥深くまで挿れて……っ。このままだと私……おかしくなっちゃいそう……!)

 あくまで淫裂の表面だけを意地悪くなぞるように焦らす、教え子のあまりにも残酷な仕打ちに、慶子はただ太ももをガクガクと震わせ、歓喜を求めるように腰を浮かせることしかできなかった。

 散々埋め込まれていた質量を失った喪失感に、最奥がじんじんと切なく痺れる。

「でへへ、奥の方が寂しくなっちゃってるんじゃないですか~?」

「そ、そんなこと……」

「太もも、ガクガクに震えてますよ?」

「腰もなんだか、物欲しそうに僕を催促してるみたいだし」

「……ッ!」

 自身の身体の変化をすべて見透かされ、慶子は返す言葉すら見つけられない。
 菊丸の指摘は、ぐうの音も出ないほど残酷な事実だった。最奥までたっぷりと塗り込められた媚薬クリームが内壁を灼き、再び彼を迎え入れたいと激しく疼き狂っている。
 長時間に及ぶ執拗な攻防によって開発され尽くした肉体は、教師としての理性を嘲笑うかのように、もう一度その芯へと熱い杭を打ち込まれたいと、本能の底から激しく鳴き声をあげていた。

 慶子は猛烈な喪失感に苛まれ、もう一秒だって待つことなどできなかった。一刻も早く菊丸の狂おしい砲身を受け入れ、この脳を焼き尽くしそうな疼きを鎮めたかった。

(ま、またいやらしいお願いを、自分からしなければならないの……?)

 菊丸が暗に「次の恥ずかしい言葉」を求めていると察し、慶子は羞恥に顔を真っ赤に染めながら、今一度、破廉恥なおねだりをその唇から零すのだった。

「ああん、菊丸くん……、また慶子の、オマンコに……、そっ、その……、挿れてほしいの……っ」

 慶子は激しく目を泳がせながら、さらに言葉を絞り出した。

「オ、オマンコの奥が……切なく疼いて、たまらないから……っ」

 すべてを言い切ると、あまりの恥ずかしさに耐えかねたように、ぎゅっと目を閉じて顔を背けてしまうのだった。

(うへへ~♪ あの桂木先生が、こちらから促してもいないのに自分からあんな風におねだりしてきましたよ~)

 いつもは清楚で上品な佇まいを崩さず、卑俗な雰囲気など微塵も感じさせない聖職者。それが、限界まで追い詰められて肉欲の虜になった途端、これほど従順にはしたない言葉を吐き散らす。菊丸自身、目の前で繰り広げられる彼女の無残なまでの変貌ぶりに、背筋が粟立つような極上の興奮を覚えていた。

 もはや誘導すら必要とせず、本能のままにおねだりをするまでになった担任教師の「調教され尽くした姿」に、菊丸はグッと暗い喜びを噛み締めるのだった。
 本来なら、あのプライドの高い先生にここまで言わせた時点で満点以上の合格点だ。今すぐにでも要望通りに最奥まで貫いてあげたいところだったが、まだ、本当に必要な「あの言葉」を引き出せていない。

「くすくす、オマンコが疼いてしょうがないんですねぇ? ってことは、さっきまでの行為が『気持ち良かった』って、先生も認めてるってことですかあ?」

「~~~~っ!」

 慶子は先ほどの約束を思い出し、言葉を失う。どうしても菊丸は、この美貌の女教師の口から『気持ちいい』という禁断のフレーズを吐かせたいのだ。

「ベ、別に……っ、き、気持ち良くなんか……なかったわ……っ」

「でも、奥まで挿れてほしいのは、また気持ちよくなりたいからなんじゃないの?」

「い、言ったでしょ、それとこれは別よ! 女は本当に愛してる人にしか、気持ち良くなんかならないんだから……っ」

「へえ、本当、強情ですよねえ」

 ここまで快楽に溺れ、肉体を蹂躙されながらも、最後の最後で決定的な理性を手放さない担任の強靭な精神力に、菊丸は内心で舌を巻く。だが、それでも彼の不敵な笑みが消えることはなかった。

「じゃあ、とりわけ気持ちよくないんなら、特に挿れる必要もないですよね。このままでいいじゃないですか~?」

「う……っ」

「挿れないで、このまま表面を擦ってるだけでも、今の先生なら100回目なんて余裕で果てちゃうでしょ?」

 残された時間は少ないというのに、菊丸は微塵も焦る様子なく、剛直の先端で淫裂の表面を執拗に撫であげる。
 同時に、目の前で大きく揺れる乳房へ狙いを定めた。散々舐めまわされてベトベトに濡れそぼったバストを根元から絞るように揉みたて、力任せに揉みしだく。質量のある柔肌は、手のひらの中で無残に変形させられていく。ピンと張り詰めたトップの可憐な蕾を、親指と人差し指で抉り取るように激しく捻りあげた。
 それだけで、慶子は顔をのけ反らせて果てそうになる。

(そ、そんな……。思い切って、あんな恥ずかしいことまで自分から言ったのに……っ)

 決死の覚悟で口にしたおねだりさえ、まともに取り合ってもらえない。

「奥まで挿れてほしいのは、本当は先生も気持ち良かったからでしょ?」

「うう……っ」

「だから『気持ち良かったから奥まで挿れて』ってはっきり言ってくれないと、僕は挿れる気にすらなりませ~ん」

 菊丸はどこまでも冷酷に言い放つ。
 あんな約束、しなければよかった。嘘でも何でもいいから、あの時に素直に快感を認めていれば、今頃は最奥を幾度も貫かれ、天にも昇る昂揚感に溺れていられたはずなのに
 しかし、もしその唇で「気持ちいい」と認めてしまえば、あの時菊丸から耳打ちされた、もう一つの「約束事」を受け入れなければならない。それは教師である自分にとって、これ以上ないほど耐え難い内容だった。
 勝手に結ばされたその約束が重い足枷となり、気持ちいいとも言えず、されど奥までも挿れてもらえない。肉体的な飢餓感と理性の板挟みの中で、完全なお預けを喰らっている。

 快感を素直に口にすることは、菊丸との勝負に完全に敗北し、自分を根底から変えてしまうような隷属の契約にサインをすることと同義だったからだ。
 身動きの取れない絶望の渦中で、菊丸は剛直の先端を陰裂へ容赦なく捩じ込み、粘膜の浅瀬をぐりぐりと短くかき混ぜてくる。その無慈悲な刺激に、慶子の理性の糸はもう限界だった。
 菊丸がその切っ先をわずかに潜り込ませると、待ってましたとばかりに慶子は自ら腰を浮かせ、貪るように押し付けた。しかし、菊丸はそれ以上の侵入を決して許さず、熱源をすっと引き抜いてしまう。

「あっ、うっ……んっ」

 もどかしさに耐えかねた慶子は、無慈悲に逃げていく教え子の剛直を追いかけるように、狂おしく腰をくねらせた。

「ど、どうして……っ」

 涙に潤んだ瞳で、あからさまな不満と飢餓感を露わに見上げてくる女教師に、菊丸はどこまでも意地悪く微笑むのだった。

「くすくす、先生、本当はもっと奥まで挿れてほしいんじゃないですか?」

「……っ」

 もはや否定の言葉すら紡げず、彼女は耳根まで真っ赤に染め、恥辱に視線を彷徨わせる。

「でも、先生がなかなか素直に『気持ちいい』って言ってくれないからな~」

「そんな……っ」

「素直に言ってくれるなら、奥まで挿れてあげてもいいんですよ? ――たとえば、こんな風に」

 言い落とすと同時にぐいっと腰を押し付け、その強大な質量を最奥まで一気に突き刺した。

「あうっ……!」

 脳裏が白く染まるほどの侵入感に、慶子は圧倒的な歓喜で全身を戦慄(わなな)かせる。しかし、菊丸はその絶頂の予感を逆手に取るように、すぐに入り口付近まで熱源を引き戻してしまった。再び始まった浅瀬だけの生殺しに、最奥を取り残された慶子の肉襞が狂おしい悲鳴をあげる。

「こ、こんなの……っ」

 限界のさらに先まで容赦なく追い詰められ、慶子は快楽の苦悶に顔を歪めた。
 飢餓感に晒したまま極限の快感の縁で焦らし続ける菊丸の攻めは、今の彼女にとって、あまりにも甘美で残酷な拷問そのものだった。

(うーん、焦らしたらすぐに降参して『気持ちいい』って言ってくれると思ったのに、意外と粘りますねえ……)

(でもまあ確かに、認めちゃったら『アレ』を身につけて学校に行く羽目になるんだから、そりゃあ必死で拒むか~)

 菊丸はいささか見通しが甘かったと認め、少し切り口を変えることにした。

「分かりました。ここは一つ、僕が少し妥協してあげます」

「え……?」

「『気持ちよくなりたいから挿れて』――それだけ言えたら、奥まで挿れてあげますよ」

「? それって、どういう……っ」

「分からないですか? 『気持ちよくなりたい』というあくまで願望の段階なら、まだ『今気持ちいい』と断言したことにはなりません。だから、まだ先生が勝負に負けたことにはなってませんよね?」

 巧妙な言葉のニュアンスのすり替え。だが、確かにそれだけなら、まだ決定的な快感を認めたことにはならない。

 慶子には、もう躊躇っている時間など残されてはいなかった。
 一刻も早く最奥まで深く貫かれ、この狂おしい生殺しの苦悶から解放されたかった。そればかりか、彼女の肉体は激しく、何度も、あの圧倒的な熱質量によって無慈悲に蹂躙されることを、本能の底から切望してしまっていたのだ。
 実のところ、菊丸もまた、この女教師の凄まじい精神力には完全に舌を巻いていた。

(このままだと最後まで約束の言葉を引き出せないまま、朝が来てタイムアウトになっちゃいそうですしね)

 だからこその、一歩引いた交渉だった。しかし、菊丸の唇には不敵な笑みが浮かんだままである。

(それに……これだけ極限まで焦らされた状態で、また僕の剛直を最奥まで挿れられちゃったら、さすがに先生もまともに思考なんて保てないでしょ♪)

 一度その牙城を崩してしまえば、あとは快楽の波に呑まれて、勝手に「あの言葉」を口にするはず――。陥落寸前の身体を見つめながら、菊丸は確実な勝利の算段を組み立てていた。

「さあ、どうします? 本当に僕に奥まで挿れてほしいのなら、そのように言ってください」

「うう……っ」

 もう、迷っている余裕など一秒たりともなかった。

「菊丸、くん……」

 罠なのか、それとも一縷の優しさなのか。思わぬ教え子の助け舟に、慶子はまともな思考がまとまらない。意を決して言葉を紡ごうとするが、直前でどうしても『契約』への恐怖が勝ち、喉の奥に飲み込んでしまう。

「大丈夫ですって。気持ちよくなりたいって言うだけなら、まだ『気持ちいい』とは認めてないでしょ?」

 どこまでもずる賢く、卑怯な手を使ってくる教え子だ。きっとこれも、自分を奈落へ突き落とすための罠に違いない。そう分かっているのに、焦れ狂う肉体が「早く言え」と激しく命令してくる。慶子は悔しさに歯噛みしながら、目の前の問題児を忌々しげに睨みつけた。
 菊丸の言う通り、とにかく『気持ちいい』とさえ、はっきり告げなければいいはずなのだ。
 慶子の迷いを見透かすように、菊丸は再び腰を押し付けて剛直をねじ込み、深く割り込んできた。そして最深部をツンツンと軽く小突いたかと思うと、またすぐに引き上げて生殺しにする。
 一瞬だけ極上の蜜を吸わせ、すぐさま残酷なお預けを喰らわせる拷問のような手管に、慶子の股間からはさらに熱い愛液が溢れ出してしまう。

「ほらほら、時間も迫ってきてるんだし、早くおねだりしてくださいよ。――『気持ちよくなりたいから、もっと深くまで挿れて』って」

「ううっ……!」

「『そして、奥をたくさん突いて』って」

 菊丸のあからさまな言わせ振りに、慶子は羞恥でその美貌を真っ赤に染め上げるしかなかった。
 慶子は耐えがたい飢餓感に突き動かされ、震える唇を開いた。

「き、菊丸くん……っ」

「はい、何でしょう?」

 すべてを見透かしたような教え子の返答に、慶子はさらに追い詰められる。

「け、慶子は……もっと気持ちよく……」

 しかし、あまりの羞恥心に襲われ、肝心な語尾がごにょごにょと消え入るような声になってしまう。

「え? 聞こえませんよ?」

 菊丸は意地悪く耳を傾け、冷徹にその先を促した。

「け、慶子は……もっと気持ちよくなりたいから……っ。だから、もっと……あの、奥深くまで挿れて……だ、出し入れして、ください……っ」

 ついに、屈辱に塗れた破廉恥な願望をすべて絞り出した。慶子は羞恥に身を焼き尽くされながらも、涙の浮かぶ瞳で懸命に懇願するのだった。

「でへへ、でも大丈夫ですかあ? 奥まで挿れてまた最深部を小突かれたら、さすがの先生も簡単に100敗目を迎えちゃうんじゃないですか?」

「ああん、だって……仕方ないじゃない……っ」

 普段の理知性溢れる瞳を涙で潤わせ、目の前の教え子を睨みつける。もう、今の自分の身体では、簡単に最後の限界を迎えてしまうことなど百も承知だった。むしろ、過敏になりすぎた今の状態では、このまま表面を擦られるだけで狂いそうだったのだ。

「100敗目でも、何でもいいから……っ! 私が負けて、ずっと菊丸くんの言いなりになってもいいから。だから、早く、奥まで……っ」

 切羽詰まっていたとはいえ、それがどれほど致命的な暴言か、今の慶子には理解できていなかった。
 100回目に到達した瞬間、彼女の敗北は確定し、学校でも自宅でも、菊丸に付きまとわれ、玩具にされ続ける日々が確定する。それどころか、帰省先でついに一線を越えてしまったことで、今後はこれまで以上に執拗に求められるに違いない。
 しかも、それだけではない。「気持ちいい」と認めさせるための菊丸の罠は、ここからが本番なのだ。一度奥へと迎え入れ、そこで好きなように蹂躙されれば、混濁した思考のまま「気持ちいい」と口走ってしまうリスクは跳ね上がる。
 少し冷静になれば分かるはずの破滅への道。しかし、官能に脳までドロドロに溶かされた慶子に、まともな判断力など一欠片も残っていなかった。ただ、一刻も早く飢えを凌ぎたい――理性より肉欲が完全に勝ってしまった、決定的な瞬間だった。

「分かりました~。じゃあ深く挿れて、満足するまで突いてあげます。けど、絶対に『気持ちいい』なんて言っちゃダメですからね?」

 完全な勝利を確信したのだろう。菊丸はどこまでも底意地の悪い余裕を浮かべ、あえて逆説的な禁忌を突きつけてくるのだった。
 菊丸は抵抗を止めた女教師にのしかかり、再度その照準を合わせた。切っ先で陰裂を割り裂きながら、獰猛な剛直をふたたび最深部へとねじ込んでいく。

「あ、ああんッ!!」

 待ち焦がれた圧迫感だった。引き抜かれてから一時間も経っていないはずなのに、飢えに狂っていた慶子には、それが何倍もの空白に感じられた。肉の剛棒に無理やりこじ開けられる感覚に、それだけで喜悦の悲鳴が上がる。

(あれだけ何度も出し入れしたのに、まだこんなにキツいんですね~)

 慶子の蜜壺を冷徹に品評しながら、曲がりくねった肉路を奥へ奥へと押し進める。
 最奥に到達すると、今度はすぐに引き抜いたりはしなかった。そのまま腰で円を描くようにグラインドさせ、奥の壁面をじっくりと撫行(なぞ)り回していく。

「あ、いや……っ!」

 執拗に、かつ優しく愛撫する動きから、今度は細かく突き刺すようなピンポイントの刺激へと切り替えた。

「あ…ッ、あぁンッ!!そ、それ、だめ……っ、菊丸、くん……っ!

「でへへ、ずっと放っておいたから。奥のヒダヒダに謝ってるんですよ、ごめんね~って。ずっとこうして欲しかったんでしょ?」

「ンンッ!! ああ……っ!!」

 ソフトタッチで奥の粘膜を擦り上げられたり、小突かれたりするもどかしさに、慶子はただただ悶え、無意識にその柳腰をうねらせてしまう。

「でへへ、分かりましたよ。そろそろご褒美のストロークの時間ですね♪」

 それを聞いて、慶子の内襞は期待感に戦慄き(わななき)出す。

「ちゃんとおねだりできたご褒美ですからね~。満足するまでいっぱい突いてあげますよん」

 菊丸は自分の下で無抵抗に横たわる、担任教師のすらりと長い脚を両腕で抱え、その体を引き寄せた。
 一気に腰を引いて、入り口付近まで先端を戻す。――そして、獲物を仕留めるように、最奥へ向けて腰を力強く叩き込んだ。

「はぁっ、ンッ!!

 少しずつスピードを上げていき、大きなピストン運動は容赦のないものになっていく。それは、担任教師を一気に甘い官能世界へと引きずり込んでいくかのようだった。

「あっあっ! 菊丸くん……っ!」

 慶子はもう無我夢中で、その長い手足を自ら教え子に絡ませ、必死にしがみついた。

「先生、どうですか~? 気持ちいいですか?」

 頃合いを見計らい、菊丸が耳元でねっとりと確認を求めてくる。

「あっ、う……んっ、きっ、菊丸くんっ、慶子……気持ち……っ」

「え?」

「なっ、なんでもなっ……あっ、ンッ、ウゥンッ!!」

 思わず禁断の言葉を漏らしそうになるのを、慶子はすんでのところで堪え、かろうじて理性を引き戻した。
 何せ、菊丸が耳打ちしたあの提案は、慶子にとって教師人生を取り返しのつかない破滅へと導く危険を孕んでいる。下手をすれば自らは免職となり、菊丸だって退学処分になるかもしれないのだ。聖職者としての矜持はもちろん、二人の破滅を避けるためにも、慶子にとってこのセリフを口にすることは絶対に許されなかった。

 しかし、一度徹底的に焦らされた肉体は以前よりも遥かに敏感になっており、彼女の強固な意志をも容易く崩しにかかる。
 秘丘の最奥にまでたっぷりと塗り込められ、未だ熱を帯びている大量の媚薬クリーム。散々その芯を剛直によって削られ、その形を脳裏まで覚え込まされた。その状態からの突然の喪失感、そして自らおねだりをするまでに追い込まれたという事実。

 今や菊丸の肌が触れ合うだけで、慶子の身体は極上の快美感に包まれてしまう。すべてを忘れて教え子にしがみつき、ただその甘い夢見心地の世界へ、どこまでも堕ちていきたかった。
 部屋には女教師の甘い嬌声が断続的に響き渡り、彼女の肉体がとうに限界を超えていることを告げていた。
 もはやまともな思考力など残っていないと確信し、菊丸はトドメを刺すように改めて言葉の刃を突きつける。

「『気持ちよくなりたいから奥まで挿れてほしい』とは言いましたけど、実際のところはどうなんですか? ――今、気持ちいいんですか~?」

 菊丸の計算通り、慶子は度重なる喜悦の波にすっかり脳まで呑まれ、何一つ考えられない状態に陥っていた。

「んん…っ、はぁっ、ぅむう……、はぁあん……っ」

 菊丸が腰を打ち付けるたび、ただ無防備な喘ぎ声だけが唇から溢れ出る。
 慶子は全身を激しく震わせ、すがるように彼の首へと腕を回すと、ついに禁断のフレーズを解き放ってしまった。

「菊丸くん……気持ちいい、の……慶子、気持ち、いいわ……っ」

 震える声で、目の前の教え子に向かってはっきりと、自身の敗北を告白した。
 それを確かに耳にした菊丸は、ニヘラと歪んだ笑みを浮かべる。あえて腰の抽送をピタリと止め、冷酷な確認を重ねた。

「そんなに気持ちいいんですかぁ?」

「ぁあ……たまらない……っ! 慶子、気持ちよすぎて、狂っちゃうわ……!」

 恍惚の表情を浮かべながら、彼女は我を忘れてベッドの上で悶え狂う。

「ぷくく、必死に我慢してたけど、やっぱり無理だったみたいですね~」

 菊丸は満足げに鼻を鳴らしながら、彼女の額に張り付いた乱れた髪を優しく整えてやった。
 その冷ややかな指先に触れられ、慶子はハッと我に返る。今しがた自分が口にしてしまった取り返しのつかない告白の重さに、急激な困惑と恐怖が押し寄せてきた。

「でへへ、ちゃんと言いましたからね~。録音もバッチリできてますし」

 いつの間にか枕元に置かれていたスマートフォン。そこには、担任教師の破廉恥な禁断ワードが克明に記録されていた。

「やん……ずるいわ……。まともに考えられないの、分かってて……っ」

「ずるいも何もないですよ。教え子相手に奥まで貫かれて、夢心地になってる先生が悪いんですから」

「あ、あん……っ」

 言いながら、菊丸は再び腰を小刻みに揺らし、最奥をツンツンとゆったり刺激し始める。

「くすくす、あの約束、絶対に忘れないでくださいよ~。今度ちゃんと用意しておきますから。学校に行く時、制服の下にアレを着けてもらうんですからね?」

「わ、分かってるわ……」

 慶子はもう、その甘い拷問のような刺激に翻弄されながら、従順に頷くことしかできなかった。

 念願だった言葉を耳にして、菊丸はいよいよラストとなる記念すべき100回目の絶頂を目前に、慶子の最深部に向けて最後にして最大の強烈なストローク攻撃を開始する。
 いったん入り口付近まで戻して、反動をつけながら一気に奥へと叩きつける。

「やっ、ンンッ、ああンンッ!!

 ベッドは二人のラストスパートにギシギシ悲鳴をあげ、部屋には女教師の甘い嬌声に嫌らしい水音、肌と肌がぶつかり合う音が響いて、淫らな空間をさらに濃密なものにさせていく。

「菊丸っ、菊丸うっ!!」

 教え子の背中に爪痕をいくつも残しながら、無我夢中に生徒の名を呼ぶ慶子。
 慶子も菊丸をより深く迎えるべく、下から腰を突き上げ柳腰をうねらせるのだ。

「きっ、気持ちいい…っ! 菊丸くん、気持ちいいわっ!! 菊丸くんも私と一緒に気持ち良くなって‥」

 すっかり翻弄された慶子は、熱い吐息とともに、せき切ったように秘めた本音があふれ出す。

「でへ、すっかり素直になっちゃって♪ じゃあ僕を愛してるって事で間違いないですね?」

「な…?」

 悪戯っぽく、けれど有無を言わせない確信を孕んだ彼の言葉が、鼓膜を揺らす。快楽の泥に沈み、虚ろになっていた瞳が、驚きに大きく見開かれた。

「だってさっき自分で言ってたでしょ? 愛してる人以外には絶対に気持ち良くなったりしないって。あれは嘘なんですか?」

「……っ!!」

 突然の鋭い指摘に、慶子は言葉を詰まらせる。さっき身体を重ねながら問い詰められた時、意地を張ってそう言い返してしまった記憶が、朧げながらに脳裏をよぎった。
 最奥を容赦なく貫かれ、突き上げられる衝撃の最中、必死に思考を巡らせようとする。

「どうなんですか~?」

「う、うう……っ」

 しかし、もう限界だった。狂おしい快楽に蝕まれた身体と心は、菊丸の前にただ従順に、剥き出しにされていた。

「そ、そうよ、愛してるわ……っ!」

 禁断の告白。それを皮切りに、教師として決して口にしてはならない不埒な言葉が、熱い吐息とともに溢れ出す。
 それは聖職者としての理性を自ら踏みにじる背徳の言葉だった。

「だ、だからっ! 愛してるからっ! 慶子をたくさん気持ち良くして……っ! 私を……っ、もっともっと狂わせて!!」

 なりふり構わぬその懇願を鼓膜に受け、菊丸はニタリと暗い愉悦に唇を歪める。

「でへ、身体だけじゃなく心ももうすっかり従順ですね~。分かりましたあ~」

 目の前で歓びを待ち受ける女教師の最奥へ向かって、容赦のない力強いストロークを叩き込む。

「あっ、あはぁんっ!! そ、それ……ッ、たまらない! たまらなく気持ちいいわっ!!」

 凄まじい衝撃に翻弄されながらも、慶子の身体は菊丸の猛りへと貪欲に応じる。その動きを導き入れるように、もう無意識のうちに腰を浮かせ、自ら熱を押し付けていた。
 密やかに蠢く狭隘な秘肉が、絡みつくように教え子の猛りをギュンギュンと締め付けては、容赦なく悦びを貪るのだ。
 そのあまりの緊密さに、互いの境界すら溶けてしまいそうだった。

 東の空が白む前の静寂の中、ベッドの上だけは外界から切り離されたように、二人の熱を帯びた肉体が激しく交錯していた。

「うう、ま、まずい‥っ」

 慶子が刻む容赦のない妖艶なグラインドに、菊丸の昂ぶりは逃げ場を失い、絶頂の淵へと追い詰められて、思わず自失しそうになってしまう。
 ただ彼を悦びへ導きたいという純粋な衝動が、彼女の動きを驚くほどしなやかで流麗なものへと変貌させていた。計算のない本能のままの躍動が、二人の境界を溶かし、抗いようのない熱情をダイレクトに刻みつけていく。

(せ、先生、すごいですよっ……! もの凄くウネウネしてるし、アソコが……最高のタイミングで締め付けてくるしっ……! い、いやらし過ぎですよぉ!)

 絶対の勝利を確信していた菊丸の表情が、驚愕に歪む。よもやこの土壇場に至って、担任のこれほど狂おしい反撃に遭おうとは夢にも思っていなかったのだ。
 内壁のうねるような蠢きと、容赦のない緊迫した収縮が、彼の理性を猛烈に削り取っていく。

(ま、負けてたまるか~!)

 脳髄を焼き尽くさんばかりの射精感が、一気にせり上がってくる。
 だが、菊丸はここで 抉られるような快感に 屈しなかった。
 歯を食いしばって熱い衝動をグッと堪えると、油断していた己の精神を猛烈に引き締め直す。
 今度はこちらの番だと言わんばかりに、彼は 貪るような腰つきで、女教師の最奥へと狂おしく肉棒を 抉り入れた。

「も、もうダメぇッ……、わたし……もう、ダメぇ……ッ!

 容赦のない猛反撃に、慶子は早くも限界を超え、指先までが痺れるような戦慄に、その柔肌を激しく打ち震わせた。

「ほうら先生、もう少しで100回目に到達ですよ~、やっぱり先生の負けですなあ」

 実際には、菊丸自身も一歩間違えれば、そのまま天国へと引きずり込まれそうなほど限界を極めていた。だが、そんな窮地はおくびにも出さない。
 ニヤリと不敵な笑みを浮かべ、今度は自分が完全に支配してやるのだと、傲慢な勝利の予告を口にする。

「先生が100回目に到達するのを見届けたら、そろそろ僕も我慢できなくなって、先生の中に出しちゃうかもしれませんけどね~」

 その教え子の言葉が、慶子の脳髄に冷や水を浴びせかけた。
 快感のぬかるみに沈んでいた理性が、恐怖と羞恥によって一気に引き戻される。

「い、いやよっ……! やっぱり抜いて、お願い、やっぱり奥はダメぇッ、ダメよッ……!!」

 涙目で懇願する慶子の細い腰を、菊丸は大きな両手でガシリと掴んで固定した。逃げようともがくほどに、結合部からは淫らな水音が激しく弾ける。菊丸は怯むどころか、獲物を完全に追い詰めた愉悦の笑みをその唇に浮かべた。

「今更何を言ってるんですか、先生。さっきは自分から、もっと奥まで挿れて、っておねだりしてきたんでしょ?」

 菊丸の 嘲るような、けれど酷く甘やかな囁きが耳元を抉る。
 確かにその通りだった。だが、流石にこのまま教え子のなすがままにされる訳にはいかない。
 もしこの 腔の最奥で、菊丸のたぎる熱い飛沫を受け止めてしまえば――それこそ、決定的に教師失格だった。

 いくら肉欲の 懊悩から解放されたい一心だったとはいえ、やはりこの菊丸を最深部まで迎え入れたのは致命的な失策だったのだ。
 激しいピストンが内壁を蹂躙するたび、慶子の頭の中では三つの熾烈な感情が軋みを上げてせめぎ合っていた。
 ――このまま彼のとどめの一撃を受け入れ、すべてを忘れて官能に溺れたいという、雌としての甘美な降伏論。
 ――ここで勝負に負けてはダメだと、必死に踏みとどまろうとする女の意地。
 ――外でならまだしも、教え子の滾る熱い飛沫を最奥で受けることだけは、絶対に許されないという、聖職者としての最後の理性。
 本能と理性の狭間で、思考が快感に融けそうになる。
 だが、このままギリギリのところでまた菊丸に敗けてしまえば、あの秘匿されたデータを盾に、これからも永遠に好き放題に貪られ続けるのだ――。

 しかし、そんな悲壮な決意とは裏腹に、菊丸の容赦のない剛直が突き上げるたび、慶子の堅固だったはずの理性は少しずつ削られ、ひび割れ、音を立てて瓦解していく。
 菊丸の攻めは、狡猾極まりなかった。
 腔内を灼熱で焼き尽くすかのように激しく大胆な往復を繰り返したかと思えば、突然、喉元を軽く小突くような焦れったいスローな蠢きへと変化させる。
 深さ、角度、そしてスピード――あらゆる緩急を気まぐれに変えながら、執拗に彼女の弱点を穿ち、抉り、翻弄していく。
 それだけでなく、目の前で主張をやめない揺れる汗ばむ豊乳も同時に攻略していく。根本から搾り込み、蹂躙し、可憐な先端の蕾に吸い付いては全体をベトベトなるまで舐め上げていく。
 押し寄せる快感の波状攻撃に、慶子の視界は淫らに歪み、ただ菊丸の与える官能の奔流へと呑み込まれていくしかなかった。

「ああ、もう本当に我慢できない‥っ!」

 慶子も菊丸の腰の動きに合わせて腰をなめらかに動かし、ベッドの上で激しく肢体を跳ね上げる。完全に理性の箍(たが)が外れた彼女は、なりふり構わず言葉を吐き出した。

「ああん、菊丸くんッ! もっと! もっと突いて! 慶子を気持ち良くしてッ!

 そのなりふり構わない懇願を耳にした菊丸は、自分が完全に優位に立ったことを確信し、下卑た笑みを浮かべてわざと動きを鈍らせる。

「でへ、本当に先生ですよね? 先生が生徒にそんなおねだりしていいんですかあ?」

 じらされる焦燥感と快感の波に襲われ、慶子は涙目で教え子の肩を叩いた。

「意地悪っ、菊丸くんの意地悪ッ! お願い、何もかも忘れさせてっ! 慶子をもっと狂わせてッ!!」

 教師としてのプライドを完全に捨て去ったその姿を見届け、菊丸は満足げに頷くと、一気に終幕へ向けて腰のピッチを上げた。

「じゃあそろそろいきましょうか~」

 汗をにじませた二人の肢体は、シーツの上で幾重にも絡み合い、もはやどちらがどちらの肉体なのかさえ判然としない。
 肌と肌が激しく擦れ合う摩擦の熱を確かめ合うように、ただ貪欲に腰を打ちつけるたび、結合部からは粘つく水音が絶え間なく弾け飛ぶ。
 これまで二人を縛りつけていた立場も、データの脅迫も、教師としての理性も、すべては溢れ出した情動の奔流に押し流されて消えていく。
 脳髄を白く染め上げる目眩のするような快感が、逃れようのない濁流となって二人を同時に呑み込み、ただ純粋な絶頂の頂へと一気に押し上げていった。

「きっ、菊丸くんッ!気持ちいいわっ……! わたしっ、もう……ッ!!」

 熱い涙を浮かべ、もはや教師の威厳などひとかけらもなく哀願する慶子。
 だが、見下ろす教え子の瞳にあるのは、冷徹なまでの支配欲と悪戯っぽい愉悦の光だけだった。

「い~んですよ、もう我慢なんてしなくて。先生の好きなタイミングでいっちゃって下さいね~」

 その悪辣な優しさに背中を圧し潰されるようにして、慶子は最後の防波堤を完全に決壊させた。

「もう、だめぇ……っ、いくっ! 慶子、いっちゃうゥ……ッ!!」

 慶子は喉を裂くような一際大きな嬌声を上げた。
 次の瞬間、腔壁が限界まで収縮を起こし、ブルブルと全身を激しく震わせながら、縋るように菊丸の背中にしがみつく。
 頭の中が真っ白な快感で塗り潰されていく中で、彼女はただ、教え子の逞しい体にしがみつき、痙攣する肢体を跳ね上げ続けることしかできなかった。

 慶子は眉根を寄せ、その朱唇をだらしなく開いたまま、本当に教師かと疑いたくなるほどに、これ以上ない凄艶な表情を菊丸に見せつける。
 熱に浮かされた頭の片隅で、彼女は茫然と自覚していた。

(ああ……、私……、ついにいっちゃった……100回も……)

 窓の外は、まだ完全に夜が明けておらず、仄暗い黎明の光が部屋を満たしていく。
 シーツに沈み、体の芯まで貪り尽くされた慶子は、冷えていく空気の中で、ついに自分の完全な敗北を自覚するのだった。

 と、その時、カーテンの隙間から一筋の白い光が差し込むのが分かった。
 長く激しい夜の終わりを告げる、夜明けの訪れだった。
 菊丸もまた、自身の感情が制御不能な領域に達していることを自覚していた。
 夜明けの光に照らされ、上気した肌で懸命に息を整えようとする担任の姿は、この世のものとは思えないほどに神秘的で、圧倒的な美しさを放っている。
 その神々しくも艶やかな姿を前にして、彼の中の情動は一気に高まり、もはや抑えきれないほどに膨れ上がっていった。
 潤んだ瞳で真っ直ぐに見つめ返されたその瞬間、菊丸の中で張り詰めていた理性の糸が、静かに、けれど決定的に弾け飛んだ。

「あっ、あっ、やばい……僕も出ちゃうっ……!!」

 衝動を抑えきれなくなった菊丸は、目の前の慶子に貪るように覆い被さった。

「いやっ、な、中はダメよっ……!?」

 しかし、菊丸は慶子の艶やかな肢体に容赦なくのしかかり、互いの肌を隙間なく密着させたまま、決して離れようとはしない。

「やん、菊丸くんっ! 中はダメよっ、約束したで……」

 懇願するような慶子の切ない声を最後まで聞く余裕など、今の菊丸には微塵も残っていなかった。
 言葉を遮るように最奥まで深く腰を突き入れると、激しく抗う慶子の腔内へと、せき止めていた熱い飛沫を容赦なく解き放つのであった。

 長く、濃密だった夜が去り、ようやく本当の朝が訪れた。

「お父さん。まだ寝てるの?」

 慶子は父親の寝室のドアを静かに開け、隣に立つ菊丸とともに、そっと部屋の奥を覗き込んだ。
 遮光カーテンによって外界の光が完全に 遮断され、夜の闇をそのまま残したかのような真っ暗な室内。
 その奥にあるベッドから、気配を察した父親がゆっくりと身を起こした。

「ん? 慶子か、おはよう。いやぁ、今まですっかり寝ていたよ」

 その穏やかな声を聞いた瞬間、慶子は張り詰めていたものを一気に吐き出すように、心の底からほっと胸を撫で下ろした。
 昨夜から明け方まで、あの部屋で菊丸とどれほど熾烈な攻防を繰り広げていたかなど、目の前の父親は知る由もない。その無防備な姿が、今の慶子には救いだった。
 離れた二階の部屋だったとはいえ、同じ屋根の下だ。快感に耐えかねて、何度も我を忘れ、破廉恥な大声をあげてしまった自覚はある。万が一にでも気づかれていたらという恐怖で、心臓が潰れそうだった。

(良かった……、気づかれてない……)

 菊丸との決して許されない関係が辛うじて秘匿されたことに、慶子はひとまず、深い安堵の息を漏らすのだった。

「じゃあお父さん、お世話になりました。僕らはこれにて帰ります」

 朝食を終え、身支度を整えた菊丸が、玄関先でハキハキとした声をあげる。
 昨夜の狂乱が嘘のように、今は非の打ち所がない「お利口な教え子」の顔をしていた。
 そんな二人を、ギックリ腰の痛みに顔を しかめながらも、わざわざ玄関まで見送りに来てくれた父親へ、慶子もまた笑顔の裏で複雑な思いを抱えながら、別れの挨拶を交わすのだった。

「そうか、菊丸くん。まだまだ教師として未熟かもしれないけれど、慶子をよろしく頼みますぞ」

 父親の目には、どこまでも不器用で、けれどいくつになっても可愛い愛娘の姿が映っているのだろう。
 ほんの僅かな時間ではあったが、娘と接する菊丸の生真面目そうな態度を見て、すっかり信頼を寄せてしまったようだった。都会の荒波に揉まれる娘を、自分の代わりに誰かに支えてほしい――そんな親心からの言葉だった。

「はい、お任せ下さい。先生を困らせないように、僕がちゃんと先生を支えますから」

 まるでクラスの代表者か何かのような頼もしさで、菊丸は快活に自分の胸を叩いてみせる。
 その言葉の裏に隠された悪辣な二面性を知る慶子は、父親の隣で、ただ顔を引き攣らせることしかできなかった。

「じゃあお父さん、お世話になりました。僕らはこれにて帰ります」

 朝食を終え、身支度を整えた二人がギックリ腰を引きずり玄関先まで見送りに来た父へ別れの挨拶を交わす。

「そうか、菊丸くん、まだまだ教師として未熟かもしれないけれど慶子をよろしく頼みますぞ」

 なんだかんだいくつになっても可愛い娘なのだ。僅かな時間ではあるが、娘と接する菊丸の姿を見て、信頼を得たのであろう。都会に出てしまった娘を自分の代わりに支えてやってほしいという想いなのだろう。

「はい、お任せ下さい。先生を困らせないように僕がちゃんと先生を支えますから」

 クラスの代表者気取りで、自分の胸を叩く菊丸。

「慶子も良い生徒さんを持ったな。向こうでも頑張ってやるんだぞ」

 そんな父からのな激励の言葉を横で聞きながら、慶子は膝の上で拳を烈しく握りしめた。爪が手のひらに深く食い込み、微かな痛みが走る。

(何が困らせないようによ!散々私を困らせているくせに‥っ!!)

 横目で調子良く元気に挨拶する教え子を睨みつけながら、慶子は怒りに肩を震わせるしかなかった。

 色々あった帰省の日々は終わり、ガタゴトと単調な夜の重低音を響かせ、列車はいつもの二人の住む都会へ向けてひた走る。
 乗客のまばらな車両のボックス席には、まるで隔離されたかのように向かい合う二人の姿があった。
 美貌の女教師・桂木慶子は、向けられる不躾な視線に、ただ黙って厳しい眼差しを突き刺し続けている。
 しかし、その奥で小さく震える動揺を、目の前の教え子は見逃さなかった。

「やだなあ、いつまで睨みつけるんですか~?」

 なんともバツの悪そうな表情のまま、どうしても目を合わせようとしない菊丸。

「あれだけ抜いてって事前にお願いしてたのに‥っ」

 慶子の唇から、恨めしげな追及がこぼれ落ちる。
 旅先での狂おしい情事の余韻。100回目という記念すべき天国へと彼女を送り込んだ直後、この大胆不敵な問題児は、禁忌を犯すように自らの熱いすべてを担任の胎内へと注ぎ込んだのだ。体内に残る教え子の証が、今も慶子の理性をじわじわと焼き尽くそうとしていた。
 これでもかとばかりに放たれたそれは、本当におびただしい量で、彼女の最奥へ一滴残らず注ぎ込まれてしまったのだ。
 慶子がこれほど激怒するのも無理はなかった。
 静寂の中に漂う気まずい空気の中で、慶子の怒りは静かに、しかし確実に膨らんでいく。

「まあまあ、アレは事故ですよ、僕も本当はちゃんと抜くつもりでしたから」

 静かな怒りをたたえた慶子の迫力を前に、さすがの菊丸もただたじろぐばかりだった。

「でも先生がいけないんですよ、あんな腰をうねらせられたら誰でも我慢できないですよ~」

 菊丸の悪戯めいた言葉に、慶子は今朝のやり取りを脳裏に蘇らせ、その端麗な美貌をたちまち鮮やかな朱に染めていく。
 思い出されるのは、徹底的に翻弄され、理性を見失って思わず教え子である彼を自分から狂ったように求めてしまった事実だ。羞恥に身を焦がしながらも、慶子は精一杯の反論を口にする。

「だって勝負だったでしょ、それは仕方ないじゃない‥」

「でへ、先生の締め付けも最高でしたよ~。アレじゃ僕も耐えれませんって」

 ここはいったん、中に放出してしまったことを担任のせいにして、なんとかこの場をやり過ごそうとする菊丸。
 その言葉に、慶子の胸に不意に罪悪感が去来する。自分が教師でありながら教え子を強く求めてしまったという事実が重くのしかかり、彼女は溢れそうになる熱をせき止めるように太ももを固く閉じ、ただ俯いてしまうのだった。

「でへ、お父さんに『先生を支えてやってくれ』って頼まれちゃったしなあ♪」

 菊丸は悪びれもせず、窓の外に流れる夜景を眺めながら鼻歌交じりに呟いた。父親の信頼を逆手に取ったその態度に、慶子は悔しさに唇を噛む。

「アンタの本当の姿を知ったら、あの人は卒倒ものよ‥っ」

「まあ、理由はどうあれ先生は勝負に負けたんです。まだまだ、僕の言うことをたっぷり聞いてもらいますよ?」

 身を乗り出すようにして囁かれた低い声に、慶子の背筋にゾクリとした熱い戦慄が走った。

「‥くっ」

 反論の言葉は喉の奥に消える。たしかに夜明けまでに、100度目という気の遠くなるような絶頂へと狂わされてしまったのだ。それと同時に菊丸のすべてを吐き出させることには成功した。だが、その宿願が叶ったのは、無情にも夜が明けてからのことだったのだ。
 慶子にとって、これ以上はないほどの最悪のタイミングだった。
 時間に遅れたというただそれだけの事実が、彼女の運命を決定づけてしまう。
 これまでの「データ」を盾に取られた主従関係は変わらぬまま、その上さらに、菊丸の命令をもう一つ、無条件で受け入れなければならなくなったのだ。

「それにもう一つの約束事、覚えてますかあ?」

 すっかり調子に乗った菊丸が、意気揚々と顔を輝かせながら覗き込んできた。

「そ、それは‥」

 言葉に詰まる慶子を尻目に、彼は唇の端をますます愉快そうに吊り上げる。

「生徒の僕に『気持ちいい』って言っちゃいましたしね。約束は覚えてますかあ?」

「‥‥」

 慶子は返す言葉もなく、ただ唇を噛みしめるしかなかった。
 そう――いくら我を忘れるほどの狂乱に叩き込まれていたとはいえ、理性を完全に裏切って、つい口にしてしまった禁断の告白。
 快楽の濁流に溺れるどさくさに紛れ、半ば強引に交わさせられた契約ではあったが、あのとき菊丸から耳打ちされた破滅的な約束が、今も耳の奥で生々しくリフレインしていた。
 慶子はもう返す言葉もなく、ただ視線を落として俯くしかなかった。

(この子は、どこまで私のことを狂わせれば気が済むの‥)

 恥ずかしそうに顔を伏せる年上の女教師の、その無防備なうなじを見下ろしながら、菊丸は暗い愉悦に胸を躍らせてほくそ笑む。

(まだまだ先生には、僕の特別なおもちゃになってもらいますからね~ぷぷ。アレを付けたまま学校に行ったら、一体どうなっちゃうんでしょ?)

 はたして、あの狂乱の情事のどさくさに紛れ、菊丸が慶子の耳元で囁いた「淫靡な企み」とは何だったのか。
 引き返せない二人の背徳の行く末を乗せたまま、夜の列車はガタゴトとスピードを上げ、彼らの日常が待つ都会の街へと向けてひた走るのだった。


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