「職員室潜入騒動?!の巻」
「う~、どうしよう」
「もう、自業自得でしょ。ちゃんと勉強しないからそうなるのよ、さやか先生にだってちゃんと勉強みてもらってるのに」
朝のホームルームも終わり、授業が始まるまでの間いずみの隣でひたすら唸り続けている菊丸。
その顔は苦渋に満ちて、この世の終わりを告げられたようだった。
そんな菊丸を心配そうに見ている千春やリンダとは対照的に辛辣なのは普段の菊丸を理解しているいずみである。

え、どうしたのかって?
それがね、菊丸くん、今度のテストで赤点を取ったら休みの間、ずっと補習授業を受けることになっちゃたの。
それでさっきからずっとこの調子。
まったくもう、情けないんだから。
「オウ、菊丸、ガンバルデス」
「そうよ、次のテストで頑張ればいいじゃない菊丸くん」
リンダと千春の励ましにも菊丸の反応は薄い。
「いや、そうは言ってもね」
「二人の言うとおりよ。これを機会にしっかり勉強した方がいいわ。このままじゃ本当に留年しちゃうわよ?」
「りゅ、留年?! そんなことになったらさやか先生になんて言われるか‥」
いずみの一言に菊丸の顔は見る見る青ざめてゆく。
「そりゃそうよ。せっかく家庭教師をしてるのに赤点なんて取ったら怒るに決まってるでしょ? その為にもちゃんとさやか先生に教わって勉強しなさい」
「わ、わかりましたよ。ちゃんとやればいいんでしょ、やれば」
ようやく観念したのか渋面を作りつつも、学生の本分を実行する覚悟を決めた菊丸、ではあったのだが。
(そうは言ってもそう簡単に勉強が出来るようになるなら苦労はしないんだよね)
そんな会話のあった次の日の朝。
いつもなら遅刻寸前で教室にやってくる菊丸が誰もいない校内を歩いている。しかし、その様子は辺りを窺い、足音を立てないように歩き、と挙動不審の見本である。
そろそろと忍び足で歩く菊丸がようやく辿り着いた場所は職員室。
(ここならテスト用紙が見つかるはず)
続きはfantiaから

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