ハートキャッチいずみちゃん SS_10

「どっきりモデル撮影!!の巻」


わたしたち、今日は湖にまで来ているの。
え? なぜかって。うふふ、それがね。

 数日前の出来事。
 いずみと菊丸の二人、学校からの帰り道の事である。

 

 目の前を走っていた車が急ブレーキをかけて止まるや、中から飛び出してきた男が開口一番。
「き、君! モデルになってくれんかね?!」
 呆気に取られたいずみと菊丸だが、男からの説明を受けてようやく納得する。
 男の名は相馬幸助。カメラマンである。菊丸やいずみでもその名を知るちょっとした有名人だった。相馬が言うには今、自分が引き受けている仕事の中でモデルの事で悩んでいたのだと言うのだ。
 仕事はいずみたちも良く知る湖の観光用のもので、テーマは湖の女神。だが、仕事を受けたは良いのだが、どうにもモデルのイメージが合わない。プロであるのだから与えられた素材を活かさなければ、とは思うのだがこればかりは感性の問題である。
 約束の期日は迫る。しかし、仕事は進まない。そんなときに偶然にもいずみに出会ったというわけだ。
「話はわかりました‥でも、モデルなんてわたしには‥」
「いや、君しかいない! 一目見た瞬間に君だと感じたんだ!」
「あ、ありがとうございます‥で、でも」

 満更ではないのだろう、いずみは頬を染めて礼を言うのだが、さすがにプロのカメラマンのモデルに。ともなれば二の足を踏むのだろう。どうしても踏ん切りがつかず言葉を濁してしまう。
 そんないずみの様子に業を煮やしたのか、相馬は菊丸に矛先を変えてくる。
「君! 君からもこの娘に言ってくれたまえ! ‥そうだ、君も一緒に来るといい。そうだ、それがいい!」
 と、芸術家肌にありがちな強引さで押しを強めてくるのだが、これは菊丸にとっても好条件。一も二もなくこの発言に飛びついていった。
「本当ですか?! いずみちゃん、ぼくも付いて行くしいずみちゃんならモデル役も務まるよ。引き受けようよ」
「ちょ、ちょっと、菊丸くん! そんなこと勝手に決めないでよ‥」
「あ~、そうなんだ、いずみちゃんは困ってる人を放って置くほど薄情な人だったんだね‥ぼく、見損なっちゃったなぁ」
 狼狽するいずみに、人情で訴えてくる菊丸。こう言われては断れる訳がないのがいずみの人の善さだろう。
「ふぅ、わかったわよ。菊丸くん。‥相馬さん、わかりました。わたしで良ければお引き受けします」

 結局、相馬さんと菊丸くんの強引さに負けて引き受けちゃったのよね。人助けにもなるし、それにモデルなんて中々なれるものじゃないし結果良ければってところよね。
 でも、菊丸くんの方はそうでもないみたい。
 と、いずみは含み笑いをしながら金魚のフン宜しくついてきた同級生に目を向ける。そこには相馬の助手をやらされ、ひいこら言っている菊丸の姿があった。
「こら! それはそっちじゃない、こっちだ!何をもたもたしてるんだ!」
「は、はいぃ~~っ、い、いま行きま~すっ!」
 重そうなバックや、レフ版をあちらこちらに移動させ、いまにも倒れそうなほどである。
 暫くして、ようやく仕事が終わったのだろう、いずみの元へとトボトボと力なく近づいてくると、そのまま愚痴りだすのだった。
「全く! なにが君も連れて行ってやろうだよ。単なる荷物持ちじゃないか‥」
「ふふ、ぼやかない、ぼやかない。一応旅費は相馬さんが出してくれたんだもの。手伝うくらいはいいじゃないの」

「ちぇっ、いずみちゃんはそうやって何もしてないからそう言えるんだよ。ぼくなんか湖に来れるって言うから釣竿だって持って来てたのに‥」
 せっかくのいずみの慰めも菊丸の言う通り手伝っているのは自分だけなのだから、不満が出るのは仕方がない。連れて来て貰ったと言ってもバイトの代わりなのだろう。
(くっそ~、こうなったら何とかして楽しませてもらうからね~)
 どうやら菊丸、この不満を別の形で晴らす事に決めたようだ。いつもの光をキラリ、と眼に浮かべ、心中笑みを浮かべるのであった。
「くしゅん! ‥急に寒気が‥風邪かしら?」
 菊丸のおかげか、撮影の準備は整ったようでいずみに相馬から声が掛かる。このために用意された脱衣所で水着に着替えると、菊丸に軽く手を上げてボートへと向かう。
 いずみの着ている水着は赤のビキニ。上下共にストラップのサイドで結わえるタイプのものであった。
(ぐふ、あの水着ならこれで‥)
 用済みとなった菊丸は、いずみの水着を見ながらなにやら計画を立ててゆくのであった。

 いずみと相馬の二人がボートに乗って岸から離れると、菊丸もそのままどこかへと姿を消してしまう。そうして、不安の影を残しながら撮影が始まったのである。
 撮影が始まると、さすがにいずみも緊張の色を隠せない。普段の魅力的な微笑もどうしてもぎこちのないものに代わってしまう。
「うーん、もっと普通にしてくれていいんだよ、いずみ君」
「え、ええ。わかってはいるんですけど、緊張しちゃって」
「はは、そんなに緊張する事はないよ。僕だって君の普段の表情を撮りたいんだから」
「普段の、ですか?」
「そうそう。‥うん、そうだな。じゃ、ちょっと世間話でも。‥あの菊丸君はいずみ君の彼氏なのかい?」
「なっ! そ、そんなんじゃありません!誰があんなっ!」
 相馬の突拍子もない台詞に、いずみは慌てて言葉を返す。確かに誤解されても仕方のないほど一緒に入る時間は長いが、それにしてもとんでもない誤解だ。

 いずみと菊丸。まさしく美女と野獣と呼べるこの組み合わせに対し、よくもそんな見方が出来るものだ。芸術家は一味違う。
「ははっ、そんなにムキにならなくても。菊丸君が可哀想だ」
「相馬さんは菊丸くんのこと、良く知らないからそんなこと言えるんです!」
 相馬、と言うよりも周りの人間から見ればそう見えてしまうのかしら。という嫌悪感からついつい語調が荒くなってしまう。菊丸との事を考えれば無理からぬ事ではある。
 しかし、この他愛もない会話はいずみの緊張をほぐすに十分だったらしい。強張っていた表情が柔らかく、普段のいずみらしさを見せてくる。流石に職業カメラマンというところか。
 さて、そんな光景を眺める者が一人いる。菊丸だ。ボートに乗り込み用意していた双眼鏡から二人の様子を眺めて悔しそうに呟く。
「なんだか楽しそうだな~、いずみちゃん。くっそぅ。ぼくだけ除け者にして。いいんだもんね。ぼくはぼくで楽しませてもらっちゃうんだから」
 にまぁ、といやらしい笑みを浮かべると菊丸はボートをいずみたちの近くへと寄せてゆくのであった。
 真っ先にボートの陰に気付き、ボートの上に立つ菊丸の声をかけたのはいずみであった。

「き、菊丸くん、そんなところでなにやってるの!?」
「あ、なんだよ。もう自由時間なんだからぼくが何しようと勝手だろ、いずみちゃん。それともぼくは遊んじゃ駄目だっていうの?」
「そうじゃないけど‥なにもこんなところに来なくたって‥」
「せっかく湖まで来たんだもん、ボートに乗って釣りしたいんだよ」
「ん、もう。しょうがないわね~、菊丸くん、釣りはいいけど撮影の邪魔しないでよ」
「わかったよ、いずみちゃん」
 なんだかんだと言いながらも菊丸には甘い、いずみである。数々の悪戯を仕掛けられてしまうのも結局はこの人の善さが原因なのだろう。菊丸もそれを分っているからこそ普通ならば有り得ないイヤラシイ悪戯を存分に楽しめるのだから。
(でへへ、いずみちゃん、やっぱり優しいなぁ。‥で・も・その優しさが命取りなんだよね~♪)
 やはり、と言うべきか。菊丸はいずみの性格を見抜いた上で悪戯を仕掛けるつもりらしい。しかし、今回は一体何をしようというのか。

 菊丸は用意してあった竿を取り出すと、頭上に振りかぶり勢いよく放り上げる。ヒュンッ!と風切る音が鳴り、釣り糸はなんといずみ達へ向かって飛び出してゆくのである。
「えっ?」
 風鳴りに気づいたいずみが不審げに振り向くとほぼ同時に釣り針がいずみの水着に引っ掛かる。
「なっ?! きゃっ、きゃあああああっ!!」
 慌てて胸元の水着を押さえるも、菊丸の神速に敵う事も無く。あっ、というまにブラが外されてしまう。それだけではない。菊丸は素早くリールを返すと再びいずみに向けて釣り針を放り出すのであった。
 その菊丸の意図に気付いたいずみは水着を慌てて押さえ込む。思わずちっ、と舌打ちする菊丸。まさか、その音が聞こえた訳でもあるまいがいずみはキッと菊丸を睨みつけると、早速菊丸へ怒鳴り始めるのであった。
「こ、こらぁっ! 菊丸っ!」
「ご、ごめん、いずみちゃん。手元が狂っちゃって‥」
「なにが狂っちゃって、よっ! どうせいつもみたいに狙ってやったんでしょ! いいから早くこれ、取ってよ!」

「酷いなぁ、いずみちゃん。‥わかったよ、今すぐ取るからさ。機嫌直してよ」
 いずみのあまりの剣幕に殊勝に頭を下げて、菊丸はいずみの水着に引っ掛かった釣り糸を取りに掛かった。‥先程のように‥。
「なっ、ちょ、ちょっと、まさかっ!?」
「ほら、いずみちゃん、水着を押さえてたら針が取れないよ」
「なっ、何言ってるのよっ! あ、あんた自分が何してるのか解ってるのっ?!」
「いずみちゃんが取れって言うから頑張ってるんじゃないか~~♪」
 水着を押さえながらのいずみの抗議もどこ吹く風。菊丸はニコニコ顔で釣竿を引っ張っている。先ほどの殊勝な態度もこれを控えての事なのだろう、とんでもない男だ。
「バカァッ! こ、これじゃわたしの水着‥あ、ああっ!!」
「‥解けちゃうじゃない!」まさしくそう言いかけた瞬間、パラリ、と音を立てていずみの下半身を包む唯一の布地が菊丸の戻す釣り糸と共に空高く舞い上がるのだった。

「あ、ああっ!! み、見ないでえぇっ!」
 いずみは宙に舞う水着を追ってボートから飛び出してゆく。当然、いずみはそのまま湖面にその身を沈めてしまうのであった。と言っても、もともと小さい湖だ。それほどの深度は無いらしくいずみのスラリと伸びた脚が浸かる程度の深さであるのは不幸中の幸いだろう。
「ば、ばかぁあっ! か、返しなさい、菊丸ぅっ!」
 羞恥に顔を真っ赤に染めて、湖面に浮かぶボートの上に仁王立ちする菊丸に叫びを上げるのだが、肝心の菊丸はそんな剣幕もどこ吹く風と言った風情である。相変わらずの根性だ。
「いずみちゃ~~ん、ごめんね~っ、まさか水着も一緒に付いてきちゃうなんて思わなかったんだよ」
 そう言いながら菊丸はいずみの水着に頬擦りなどをしている。
「あ、当り前でしょっ! とにかく早く水着を返しなさいよ!」
 あまりにも当り前のことを抜け抜けと言ってのける菊丸にいずみの癇癪も爆発してしまっている。まぁ、当り前といえば当り前ではあるのだが。
 何しろ菊丸に水着を剥ぎ取られたお陰で、身を覆うものも一切無く美しい肢体を晒してしまっているのだから。

「いずみちゃん、その前に早くボートに上がってきなよ。そのままじゃ風邪引いちゃうよ~~っ」
 どうやら菊丸、水着をいずみに渡そうなどと考えてもいないようだ。しかし、いずみは胸と大事な部分を隠すために両手が塞がっている状態である。菊丸の元に行き水着を取り返そうにも身動きが取れないのだ。
「こ、こんな格好で動けるわけないでしょっ! とにかく、水着を返しなさーいっ!!」
「う~ん。それもそうだね、‥でも、安心してよ。こんなこともあろうかと、ちゃんと準備してたんだよっ、いずみちゃん!」
 言うや、菊丸、ボートから身を乗り出して右手を湖面に突っ込み、何かを勢い良く引っ張り挙げたのである。
 ザバァッ!
 飛沫を上げて水の中から現れたそれは、モーゼの示した奇跡の如くいずみに向かって湖面を二つに割りながら伸びてゆく。
「えっ? あっ、ああっ?! きゃあああああっっ!!」
 いずみの悲鳴と共に菊丸の両手にしっかりと握られた荒い結びのロープが姿を現すと、なんといずみの優美な両脚にしっかりと潜り込んでしまったのである。

「なっ、何よこれ~~~ッ!?」
 突然現れた荒縄に太股を割られ、慌ててロープを掴んで叫ぶ。それはそうだろう。いきなり何の脈絡もなく水の中からロープが現れ、あろうことかそれが自分の下肢を割ってきたのだから。
「でへへぇ~~。実はもしもいずみちゃんがボートから落ちたら助けられるようにと思って、このロープを用意しておいたんだよ」
 この言葉に嘘はない。いずみがボートから落ちる事を想定して菊丸は用意周到にもロープを対岸にある樹に結び付け、あらかじめ湖の中に沈めていたのである。
 勿論。目的の方は、全く方向性が違うのではあるが。
「まさか、ホントに使うとは思わなかったけど‥。いずみちゃん、今助けてあげるからね~~♪」
「えっ、ちょ、ちょっと‥菊丸くんっ! まだロープがわたしのっ‥」
 菊丸救助宣言に瞬間的にこれから起こることを予想して、いずみは青い顔で菊丸に自らの窮状を伝えようとするも全ては遅すぎた、のである。

「さぁ、いずみちゃ~~ん♪ ロープをしっかりと掴んでてねぇ。・・・それっ!」
 菊丸はいずみの必死の叫びなどまるで無視して、美少女の股間に当てられた荒い結び目の縄を勢い良く引っ張りあげたのであった。
「あっ?! 駄目ぇっ、やめ‥‥あっ! ああっ!!」
 途端、いずみはビクンッ!と身体を仰け反らせ、口を開いて喘ぎを洩らす。
(‥あっ、ああっ! ロ、ロープが‥っ!)
 ザラついたロープが菊丸の動きに合わせてグイグイといずみの股間に食い込むのに、悲鳴が上がる。
「あうっ! いっ、いたぁあ~~い!」
「なにやってるのさ。はやく縄を伝ってこっちにくるんだ!」
 移動しやすいようにグイグイっとロープをピーンと張る菊丸に、いずみはそれどころではなくなってゆく。
「あ、あっ、ひ、引っ張らないでッ! ロ、ロープが食い込んじゃううぅっ」
 引っ張られるたびに喰い込みがきつくなり、いずみに痛みと同時に敏感な場所を擦られる危うい感覚が襲ってくるのだ。
 またいで逃れようにも大きく脚を開けば菊丸たちに大事な場所を見らてしまう。それを防ぐためにもいずみは自分からもロープに跨がり続けるしかないのだった。
(ど、どうしたらいいのっ、引っ張られるたび擦れて‥?! あっ、あっ、あぁあん!)
 とにかく菊丸のところまで移動しようとしても、それがまた大事な場所を自分から擦ってしまう刺激に変わっていずみは一歩を踏み出すだけでゾクゾクと背筋が慄えて力が抜けてしまうのである。
(えへ。さすがのいずみちゃんもあんなとこ擦られて身動き取れないみたい。でもまだまだこれからだよ~ん)
 襲ってくる感覚をやり過ごそうとロープの動きを少しでも緩めるため、懸命にロープを握りしめ湖に立ち尽くすいずみに。
「相馬さん、いずみちゃんが一人は動けないんです。手伝ってください!」
 追い打ちをかけるような叫びが菊丸から上がるのだ。
「た、助けると言ってもどうやって‥」
 あまりの展開に呆然としていた相馬が菊丸の言葉に我に返ると、大人の余裕もどこへやら、あたふたと右往左往するのに、菊丸が「反対のロープも使っていずみちゃんが動きやすい高さに上げてあげるんです!」と指示を出す。
「な、なに言ってるのよ、菊丸くん! そんなことしたら‥」
「こ、こうかね?!」
「あっ、い、いやぁああっん!」
 すぐに菊丸の意図に気づいたいずみと違い、目の前の状況に動揺している相馬はなにも考えず指示のまま湖面に沈んだロープを勢いよく引っ張り上げてしまった。
 少しでも喰い込むロープから逃れようとしていた美少女の懸命な努力をあざ笑うように、相馬によって高く掲げられた荒縄が背後からもきつくいずみの大事な場所へと喰い込まされてしまう。
「そ、相馬さん‥、ロ、ロープを戻し‥て、ください」
「す、すまないっ、いずみくん!」
 弱々しい嘆願に相馬が慌ててロープを離すと、今度は菊丸からの叱咤が飛ぶ。
「なにやってるんですか、相馬さん! いまは人命第一です、ロープを早く!」
「し、しかし‥」
「もしいずみちゃんがこのまま風邪でも引いてそのまま湖で溺れでもしたらどうするんです!?」
「た、確かに‥。ここは菊丸くんの言うとおりだ」
「ちょっと相馬さんっ?! 菊丸の言うことなんて聞いたら‥ァ、ウッ、ひぃっ!」
 相馬と菊丸のやり取りに危機感を覚えたいずみの叫びはしかし、勢いよく引っ張り上げられたロープに封じられ、いずみは大事な場所に襲ってきた刺激に仰け反りブルブルと小刻みに震え続ける。
「そう、そのまま相馬さんもロープを引っ張っていずみちゃんが伝いやすいようにしてください!」
「‥き、菊丸っ、あんたなに言って‥っ、あっ、あ、ああーっ!」
「こ、こうかね?」
 人命第一という菊丸の言葉に冷静さを失った相馬は素直に菊丸の言いなりにロープを引っ張り返す。
「そうです。さ、もう一度」
「や、やめなさい、菊丸ッ! あ、やっ、やぁん!」
「うむ、わかってきたぞ。菊丸くん」
 たるんだロープを均一の高さに保つため、高々と掲げつつ、菊丸に合わせて引き合い押し合いを続けるうちにコツを掴んだのか、指示がなくともロープを動かす手が止まらなくなってゆく。
「あっ、イヤッ、嫌ァっ! ロ、ロープ、擦らない、いぃっ!」
 一方で堪らないのはいずみだ。
 前後から調子を合わせてロープを引かれた上に、グイグイと痛いほど大事なところに喰い込まされて、もう跨いで逃げることすらできなくなってしまっている。
(でへ。菊丸流乾布摩擦、力と技の複合技だよ~ん♪)
 相馬を言葉巧みに操り、美少女の敏感すぎる部分を雑な荒縄で擦り上げる妙技に、とある美人教師ならなんと言うだろうか。が、もちろん菊丸の乾布摩擦がこの程度で済むはずもない。
「いずみちゃん、ロープを持ちやすいように瘤を作ってあるから、それを掴むんだ!」
 言って菊丸は相馬への指示をこちらにロープを手繰らせるように変え、湖面に沈んだロープの半ばをボートへと引き上げてゆく。
「な、なにを言って‥、ウッ!? あ、あ、いやぁあああっ!」
 そうしてある程度までを引き上げた頃に擦れるロープの刺激になんとか口を噤んでいたいずみから凄まじい悲鳴が漏れる。
「えへへ、ようやく瘤のとこまできたみたいだね。さ、いずみちゃん、それを掴んでこっちまで来るんだ!」
「ふ、ふざけ‥っ、あ、いやっ、こ、こぶが‥、当たってっ、ひ、ひいっ、いやっいや、いやああっ!」
 ご丁寧にも荒くけぶった縄だけでなく、菊丸は大小様々な大きさに瘤まで作って、同級生の少女の大事なところを刺激する仕掛けを作っていたのだ。
「相馬さん、またロープを引っ張るんです、さあ」
「‥う、うむ」
 さすがにいずみの様子のおかしさに気付きつつもあの勝ち気そうな少女が上げる女の生々しい悲鳴が段々と相馬から人命優先の大義名分を忘れさせ始める。
「や、やめっ、やめてください、相馬さんッ! あ、ああンっ、だ、だめっ、そんなに引っ張ったら‥っ」
 湖面からギリギリ浮き出た真っ白いお尻がロープの動きに合わせてクイクイと揺れ動くのに、相馬が思わずグビリと喉を鳴らし、その勢いで強くロープを引っ張ってしまう。
「だ、駄目って言ってっ、あ、あ、ああ~~っ!」
「その調子です、相馬さん! いずみちゃん、相馬さんの頑張りを無駄にしちゃ駄目でしょ」
 一方、いずみの前に陣取る菊丸は勝ち気な美少女が艶かしく腰を突き出し、大事な部分に喰い込んだ瘤付きロープが前後に動くたび、黒髪を乱して「あぁッ」と舌っ足らずの悲鳴を上げるのを楽しむのである。
「こ、このっ、き、きくまるうぅっ! あ、ぁあっン、だ、だめっ、擦れ‥っ、そんなとこっ!」
 憎んで余りある同級生を睨みつけようとしても、喰い込んだ特製瘤付きロープが許してくれず、はしたない腰振りダンスを披露するばかり。
(こ、こんなのッ、あ、あ、く、くるっちゃう‥っ)
 湖に沈まないよう必死にロープを支えにしようとすればするだけ、助けのはずのロープは哀れな美少女を急所責めに精を出し、大人の助けも菊丸に誑かされた相馬はいつの間にやら指示もないのに、緩急をつけた綱引きを始めだしている。
「あっ、あっ! も、もうやめっ、あ、あン、いやあぁん!」
(うほほ~♪ いずみちゃん、いろっぽ~~い)
 あのいずみが為す術もなく、相馬との綱引きに泣きじゃくり始める様子に菊丸は涎を垂らさんばかりである。担任教師で確認済みとはいえ、瘤の位置には苦労しただけに喜びも一入だ。
「でへへ。いずみちゃんが来ないならこっちから行きますよん」
 器用にもロープを操りながら、それを辿っていずみに近づいてゆく菊丸ボート。
「ち、近づくんじゃ‥ッ、アウッ、うぅっ! き、きくまるぅっ!」
 この状態で側に寄られて、なにをされるかわかりきっているだけに抗おうとするのだが、すぐにまら瘤付きロープを操作され、みっともなく身震いして汗を撒き散らしてしまうのだ。
「でへ。さ、いずみちゃん。続きはボートの上で‥」
「‥‥っ、ちょ、調子に乗ってるんじゃ、な~~~~~~~いっ!」
 ニヤニヤと笑みを浮かべ、手を伸ばす菊丸を、しかしいずみは掴んだその手を思い切り引っ張る。
 
「わっ、わああああっ! 助け、い、いずみちゃ‥なっ?!」
 足の届く深さだと言うのにみっともなく溺れる菊丸を後目に、水着を着込んだいずみがトドメとばかりに岩を落とす。
「‥相馬さん?」
 いずみの底冷えする視線に相馬も凍りついたように動けなくなるのだった。

 


「も、もういい加減、勘弁してよ~、いずみちゃん‥」
「あら、相馬さん。アシスタントの人が何か言ってますよ?」
「い、いや、しかしいずみくん、この荷物は‥」
「あら、相馬さんまでなにを言ってるんです?」
 菊丸を弁護しようとする相馬もいずみの一睨みで黙り込む。
 撮影用の機材や千春たちへのお土産と凄まじい量の荷物を送ることもせず、菊丸と相馬とで抱え歩く姿は哀れを誘うが、いずみはもう口を聞く必要もないとさっさと先を歩いてゆくのだった。

ふぅ。菊丸くんと行動するといつもこうなっちゃうんだから。少しは懲りるって事を知らないのかしら?

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ふぅ。菊丸くんと行動するといつもこうなっちゃうんだから。少しは懲りるって事を知らないのかしら?

コメント

  1. HATAKE より:

    ご無沙汰してます。加筆お疲れさまです。
    コブ縄責め、「担任教師で確認済み」の部分が気になりますね。

    • 虎馬屋@管理人 虎馬屋@管理人 より:

      >HATAKEさん

      ご無沙汰であります。
      まぁ、その辺りは適当に想像していただければ。