ハートキャッチいずみちゃん SS_11

小説管理人作品
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「獅子舞でてんてこ舞い!の巻」


みなさん、あけましておめでとうございます。
え、なんでそんなに疲れてるのかって?
それがね‥

「ふわぁ‥すごい人」
「ほんと、これじゃお参りするだけでも一苦労ね‥」
 いずみは菊丸の呟きにやや、げんなりとした声で応える。

 

 だが、その声も辺りに響く喧騒によってかき消されていってしまう。
 わたしたちも今日はお正月ということで初詣に来たの。
 でも、この人混みでわたしも菊丸くんももう疲れだしてきちゃって‥。
「はぁ、いずみちゃん。もう帰ろうか‥」
 菊丸くんがこう言い出してきたのに、わたしもさすがに反対する事も出来なくなっちゃってるのよね。
 もともと、菊丸くんが誘ったんでしょ‥心の中で呟きはしたけど、ね。
「そうね、もう帰りましょうか。‥一応御参りも済ませた事だし‥」
 疲れた声でいずみも応対しながら、その実身体の方は早くも人の波に逆らって帰り支度を始めていたりもしていたのだが。
 と、その無理な動きがたたったのか。

 ドン!
 いずみはバランスを崩し、人にぶつかってしまったのだ。
「うわっ!」「きゃっ!」
 いずみはその反動で地面に倒れ込んでしまう。
「あいたた‥」
「い、いずみちゃん! 大丈夫?」
 さっそくいずみに駆け寄る菊丸。調子に乗ってそのままお尻を撫で上げる菊丸。
「‥あっ! アン‥な、なにするのよっ! このっ!」
 パカンッ!

「あいたっ! ‥ひどいなぁ、せっかく手当てをしてあげてたのに‥」
 などとぶつぶつ文句を言う菊丸をキッと睨みつけてから、いずみは同じように地面に倒れこんでいる相手に駆け寄ってゆく。
「あいたたた‥」
「あ、あの、すみませんでした、よそ見をしてて‥だ、大丈夫ですか?」
 年の頃は50前後であろうか、腰を押さえていまだ、立ち上がることも出来ない男はいずみの言葉に手を振って応えている。
 恐らくは大丈夫。と言う事なのだろうが、よほど打ち所が悪かったのだろう。どう見たところで大丈夫そうには見えない。
「ごめんなさい、わたしのせいで‥」
「いや、なにも君のせいだけじゃないからね。私も不注意だったし‥」
 俯くいずみに男も慰めの言葉をかける。

続きはfantiaから

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