ハートキャッチいずみちゃん SS_14

「危険な乗馬訓練!?の巻」


わたしたち、今日は牧場に来てるんです。
え、牧場なんかに何しに来てるかって?

 

 うふふ、これ。このチラシを見てもらえれば分かると思うけれど。
 そう、この牧場ではここの馬に乗せてもらうことができるの。
 それでこの牧場まで遊びにきたって訳。

 で、当然。
「わ、わ~~っ!」
 背後で菊丸が褐色の逞しい馬の背に乗って騒いでいる。
 菊丸くんも来てるのよね。
「ん、もう。何してるのよ、菊丸くん」
「そ、そんなこと言っても、いずみちゃん」
 菊丸は馬から振り落とされそうになりながらも、必死に体制を整えながらいずみに返事を返している。
 自分からこの牧場へと誘っておきながら、この体たらくである。
 ようやく菊丸は馬から降りることに成功したようだ。いずみの前まで歩いてくる。

「それにしても、いずみちゃんはスゴイな~。もう、乗りこなしてるんだもんな」
「あら、もともと訓練されてるんだもん、簡単よ。菊丸くんがだらしないだけよ」
 菊丸の言う通り、既にいずみは牧場の人間が手を貸さずとも自由に手綱を操る事が出来るようになっている。
 さすがにスポーツ万能少女、というところか。
 対して菊丸はといえば、いずみの言う通りだらしないというか、なんと言おうか。依然、先のような状態なのだ。もともとは人を乗せるために訓練されているはずなのだが‥。菊丸の邪気を感じているのであろうか。
「ちぇっ、酷いなぁ。いずみちゃんも」
「ふふ、いいじゃない。どうせまだ時間はあるんだし。今日は一日練習に充てたら」
 一泊二日の体験旅行。明日の午後に出ればいいのだから、時間はまだ十二分にあることは間違いない。
 それで菊丸が上達するかどうかは怪しいところではあるが。

 陽も暮れ始めそろそろ辺りが暮色に変わりだすと、さすがに練習どころではなくなる。
 いずみ達も当然、牧場の宿泊施設に戻る事にしたわけだが。
「‥菊丸くん。結局乗りこなせないんだもん」
「そんなこと言っても、馬が言う事聞いてくれないんだよ」
 少々、呆れ気味のいずみに菊丸はそんなふうに言い訳をする。そも、言う事を聞かせるための練習なのだが。
「ふぅ、明日は菊丸くんの言ってた湖まで遠乗りするんじゃなかったの?どうするのよ」
「いや~、ぼくもこんなに難しいなんて思ってなかったから。困ったね」
「ぅん、もう。いいかげんなんだから!」
 予定の日程では、明日は菊丸の提案でさして、有名でもないのだが風光明媚な湖へと向かう事になっている。

 しかし、菊丸がこの調子ではどうにも予定の消化は難しいだろう。
 いずみにしてみればたまったものではない。乗馬も楽しみの一つではあるが、パンフレットに載っていた湖の写真に随分と心を動かされていたのだから。
「‥ふぅ、しょうがないわね。明日はわたしの後ろに乗って行きましょ」
「うう、いずみちゃん、アリガトー♪」
「‥変な事するんじゃないわよ」
 いずみの心優しい提案に涙を流して手を握る菊丸。そんな菊丸に釘を刺すことはしっかりと忘れなかった。

 深夜。
 闇の中蠢く影、菊丸である。

「ぐふふ。うまくいったなぁ。いずみちゃん、完全にぼくが馬に乗れないと思い込んでるよ」
 なにやら聞き捨てなら無い事を呟いている。
 菊丸が忍び込んでいる場所は厩舎であった。普段の菊丸であればいずみの泊まる部屋へと足を向けてるのだろうが、今日はどうにも違うらしい。果たして、先の呟きにその真意があるのだろうか。
 菊丸は何頭かの馬の前を通り過ぎると、昼間自分が操っていた馬の前で立ち止まる。
「えへへ。昼間はアレだったけど。今度はちゃんと乗っていくから協力してね~」
 馬に話し掛ける菊丸。そのまま馬の背に跨ると、あっという間に手綱を引いて闇の中を駆け出していった。

 翌日。
 仰ぎ見れば澄み切った蒼空。
 自然と共にあることを実感できる天候である。
「うーん、いい天気」
 いずみの声も心なしか澄み切った印象を与えているようだ。
「‥そうだね」
「なによ、元気ないわね。菊丸くん」
「いやぁ、昨日遅くまで起きてたもんだから‥」
 どうやら、昨日の遠乗りが響いているようだ。菊丸の方はいずみと違い、溌剌さが感じられずおどろしい雰囲気をまとっている。

「もう、折角遠乗りするのに、大丈夫なの?」
「あ、それは大丈夫だよ。ちょっと寝不足なだけだし」
「ふぅん。ならいいけど。‥じゃ、時間も無いし、さっそく行きましょうか」
 いずみは菊丸に鞍の後ろを空けると、颯爽と手綱を引き絞る。
 カカッ!
 蹄の音が風に乗り、辺りに響き渡る。
 いずみの技術は大したもので、菊丸を乗せていようがその安定感には全く遜色が無い。馬の力を逃さずに配分し、実に軽快に草原を駆けてゆく。
 しばらく馬に駆けさせてゆくと、次第に辺りの空気が変わってゆくのが分かってきた。水の匂いが二人の鼻腔を掠めるようになってきたのだ。
「もう少しみたいね、菊丸くん」
 その香りにいずみが菊丸に目的地の確認を促す。菊丸は目的の湖に幾度か足を伸ばしたことがあるのだそうだ。
「うん、もうそろそろだね。‥ほら、そこの茂みを抜ければ‥わっぷ」
 いずみは菊丸の言葉を聞くや否や、雑木林の茂みに馬首を向けて駆け抜けていった。
 ザアァァッ
「わあああっ!」
 緑の壁を抜けた先に広がる光景にいずみは感嘆の声を上げる。
「きれ~い。こんなに綺麗だなんて思わなかったわ」
 確かに素晴らしい眺めであった。舗装された道が無いためにあまり観光客も足を伸ばさないのだろう。
 人の手によって汚された痕が見えないのだ。

 その為か、恐らく自然というものが本来持つ美しさそのままに残っている。そう感じさせる景色なのだ。
「へへ、来て良かったでしょ」
 菊丸の台詞にいずみも笑顔で頷く。
「うん。時間までここで遊んでいきましょ」
 いずみはその美しさにすっかり魅了されたようで、湖の辺で湖面を覗き込んだり、石を拾い上げたりと楽しんでいるようだ。
 菊丸はといえば、その一枚の絵画のような光景には目も向けず、なにやら茂みの辺りでゴソゴソとやっている。
(‥ちゃんとあるな。でへへ、これを使っていずみちゃんに‥)

 菊丸がいずみに目を向けると、いずみはいまだ湖の辺で湖面に足を入れたりと、自然との戯れに興じていた。
(隙だらけだよ~、いずみちゃん)
 菊丸は、いずみの背中に狙いを定めるとこっそりと背後に近づき、ドン! と背中を押し出した。
「きゃああああっ!!」
 ドボ───ンッ!
 当然、いずみは重力に魂を惹かれた人よろしく、湖に落ちてしまう。
「なっ! なにするのよ~! 菊丸っ!」
「あ、いや、そろそろ時間だよって知らせようと思って‥」
 いずみの剣幕にたじたじとなる菊丸。言い訳も実に苦しい。
「だったら、声をかければいいじゃないの! んもう、どうしてくれるのよっ!」
「と、とにかく濡れたままだと風邪ひいちゃうよ。服を乾かそうよ」
「誰のせいよ! でも‥そうね。このままじゃ、確かに風邪引いちゃうかも」
 濡れてしまった衣服がぺったりと張り付いてしまい、気持ちが悪いのだろう。いずみは顔を顰めて自分の姿を見下ろしている。
「しょうがないわ。取りあえず服を乾かすしかないわね。‥菊丸くん、あっち向いててよ!」
 湖から上がり、茂みの中で服を脱ぎだすいずみ。適当な枝に濡れた服を掛け、下着だけの姿へとなってしまう。
 季節がまだ寒さを運んでこない頃だから良かったものの、そうでなければ今頃はそれこそ風邪を引いていたかも知れない。
 だが、菊丸はと言えばそんないずみの格好に鼻の下を伸ばして鑑賞中。どうやら、罪の意識など頭の中に無いらしい。
(うはは~。いずみちゃん、今日も可愛い下着を付けちゃって~! それに濡れてるもんだから今にも見えちゃいそう!!)
 相変わらずの思考回路である。
 だが、菊丸ならず眼前にある光景には心奪われるところではあろう。なにしろ、とびきりの美少女が下着姿を披露しているのだ。それも、下着は水に濡れているのだからどうしたところで素肌に近い想像を掻き立ててしまう。
「こらっ、見るんじゃない!菊丸!」
 視線を感じて菊丸を怒鳴りつけ、手近にあった小石を投げつける。
「わっ! 危ないなぁ、いずみちゃん!」
「あんたが悪いんでしょ! まったくもう、懲りないんだから」
 そんなことをやっているうちにも時間は段段と経っていく。
 太陽の位置が次第に天頂の位置に変わり始めるのを見取り、菊丸が大きな声を上げる。
「大変だ! いずみちゃん、こんなことしてる場合じゃないよ。もう戻らないと駄目な時間だ!」
「‥え?」
 菊丸に見せられた時計の表示を見ると、成るほど、確かに相当の時間が過ぎている。
「大変、もうこんな時間! 早く帰らないと‥、あ」
 そこまで言って自分の格好に気付く。菊丸のせいで濡れ鼠のままなのだ。
「どうしよう、こんな格好じゃわたし帰れな~い」
 恥ずかしそうに、両手を交差させて菊丸から半裸を隠すようにする。
「なに言ってるんだよ、いずみちゃん。恥ずかしがってる場合じゃないだろ」
「だ、だってわたし下着のままなのに」
「もう! 早く戻らないと帰れなくなっちゃうよ。いいからそのまま馬に乗って。服なら戻る間に乾くだろうし」
「そ、そんなぁ~」
 菊丸の言い草に当然の拒否を示すいずみだが、確かに時間が無い。
 これ以上、余計な手間を掛ければ馬を戻せないばかりか、予約していた列車にも間に合わなくなってしまう。
「ほら、いずみちゃん。早く」
「わ、わかったわよ! 乗ればいいんでしょっ!」
 半ばやけ気味に、いずみが馬の背に跨ると菊丸もその後ろへと続いていく。
「菊丸くん、急いでいくからしっかり捕まっててね」
 どうやら覚悟を決めたのか、それとも下着姿をいつまでも晒していたくはないのか、いずみは菊丸に声を掛けると一息に手綱を引き絞り、馬首を返してゆく。
 ガッ! カカカッ!
 蹄の音が軽快に響き、二人を乗せた馬は牧場に向けて走り出す。
 だが馬の走りが進めば進むほどにいずみの様子に変化が現れてきているのだ。
 顔が赤らみ、何かに耐えるように唇を噛み締めて切なげな表情を見せている。それに手綱を握り、馬を操らねばならぬ両手はその役目を果たさず、馬の背にある鞍に置かれて、ギュッ、と鞍に爪を立てているのだ。
 その様子に菊丸はなにやらほくそ笑みながらも心配そうに声を掛ける。
「いずみちゃん、どうしたの~? 気分でも悪いのかな~?」
「‥な、なんでもないわよっ!」
 答えるいずみだが、その様子には大丈夫な要素は何一つ感じられない。それどころか息も荒く、弱々しい口調には余計な詮索を抱かせる響しか含まれてはいなかった。
「なんでもないって、全然そんなふうに見えないよ、いずみちゃん」
「い、いいから、黙っててよ! 菊丸くん!」
 菊丸の心配にいずみの返答は常ならず険しい。普段のいずみからすれば考えられぬものだ。
 しかしいずみにしてみれば菊丸の相手などしていられる状態ではなかったのだ。
(‥! な、なんなのよ! これっ?! ‥ん、くぅっ! やだ、あそこに響くぅっ!!)
 馬の背の跨った瞬間から奇妙な違和感を感じていたが、走り始めてその違和感は決定的なものになっていた。
 刺激は馬が蹄を地に駆けるたびにズシンズシン、と鞍を通していずみに送られてきていた。鞍上のいずみの大事な部分を刺激してくるのである。だが、もちろんそんなものはさきほどまで感じることはなかったのだ。
(あ、ああっ、ど、どういうこ、と‥なのっ! ど、どうしてっ! あ、あぁうっ!)
 馬に揺られて声を出すなど、潔癖ないずみからすれば出来るものではない。しかも後ろには菊丸が乗っているのだ。死んでも声など出したくは無かった。
 それがどれほど自分を追い詰めるものだとしても、だ。
 その必死な様子に、菊丸は思わずニヤリ、と笑いを抑えきれない。

(いずみちゃんのこの様子! でへ、作戦大成功!)
 じつは菊丸、深夜の遠乗りは後から取り替える為の菊丸特製の鞍を茂みに隠すために行ったのである。
 特製の鞍といっても大した細工ではない。ただいずみ用に予めとある位置に突起物を作っているというだけのもの。
 わざわざ遠乗りの帰りにそれを用意したのは最初からそれを使ってはすぐに鞍を取り替えられてしまうだろうし、遠乗りの帰り、それも急を要するとなればいくら怪しんでも途中で止まるわけに行かないからだ。
 が、いずみの様子を見れば、菊丸の言うとおりまさに大成功だった。
「いずみちゃん、ホントに大丈夫なの? 顔も赤いし、それに手綱をきちんと持たないと馬が変な方向に行っちゃうよ」
「だ、大丈夫だってば! た、手綱もきちんと持つから‥あ、あん!」
「いずみちゃん!?」
 白々しい菊丸の声にもいずみは真っ赤になってしまう。
(や、やだ、声が出ちゃう! このままじゃどうしようもないわ、は、早く戻らないと‥)

 いずみが気を取り直し手綱を握ろうとすると、菊丸がいずみから手綱を奪い馬首を操り始めた。
「き、菊丸くん?」
 その行動に驚きの声を上げるいずみ。
「いずみちゃん、気分が悪いんでしょ? あとはぼくに任せてよ!」
「で、でも、菊丸くん、馬に乗れないんじゃ‥」
「手綱を握るくらいならぼくにだって出来るよ。だから、無理しないで」
「菊丸くん‥」
 不覚にも菊丸の心遣いに胸を熱くしてしまういずみ。実際、先ほどからの刺激に耐えるだけで精一杯で手綱を操るなど出来そうにも無かったからだ。
 が、勿論。
 菊丸にそのような優しさなどあろうはずもなく。

「えっ! あ、きゃあああっ!」
 菊丸は手綱を握るや平坦な道を外れ、辺りに小石の散らばる荒れた道へと馬首を変えたのである。
「き、菊丸くんっ! み、道が違うわよ!」
「いいんだよ、いずみちゃん、急ぐんならこっちの方が近いんだ!」
「そ、そんなっ!」
 いずみにしてみれば堪ったものではなかった。先ほどの平坦な道ですら耐えがたい刺激があったのに、この荒れた道ではいずみに伝わる振動は尋常のものではないのだ。
(あっ! ああっ! ひ、響いちゃうぅっ!)
 少しでも刺激から遠ざかろうと、鞍の上に置かれた手に力をこめて腰を浮かすのだが、馬の動きの激しさの前には気休めにもならない。
 すぐにズシン、ズシンッと、いずみの下腹に刺激を送ろうと待ち構える鞍の上に戻ってしまう。
 それどころか、なまじ腰を浮かせた為に余計に勢いがついた形でいずみに刺激を与える事になってしまうのだ。
「あ、ああっ!」
 ついにいずみの口から悲鳴が漏れる。
「き、菊丸くん! う、馬を止めてっ!」
 悲鳴を発した事で、耐え切れなくなった事を自覚したいずみは馬を止める事を哀願してしまう。
「なに言ってるのさ、いずみちゃん。それじゃ、間に合わないよ!」
「い、いいからっ! 早く止めてーっ!」
「もうっ! 理由を言ってくれなきゃ止められないよ。ぼくだって急いでるんだからね」
「あ、ああっ! ‥だ、だって、さっきからこの鞍が‥!」
「え、鞍がなんなのさ?」
「‥! な、何でもないわよっ!」
 鞍の異常を教えるということは、その突起に自分が悩まされているのを教えるということだ。それを潔癖な少女が自分から言えるはずもなかった。
「何でもないんなら、このまま一気に牧場まで行くよ、いずみちゃん! それっ!」
「そんなっ! ‥あ、ああっ! ダメェッ、菊丸くんッ!」
 菊丸が一気にスピードを上げたことで、いずみは更に振動に悩まされていってしまう。

 カカカッ!

「う、うんっ!」

 カカカッカッ!

「あ、あアンっ! いやっ! 菊丸くんっ! イヤァッ!」
 蹄の音と一緒に可愛らしい声を上げつづけるいずみ。
「ん、んっ! 駄目っ! アン、アンッ!」
 いずみの下腹部を襲う刺激は激しさを増し続けて、ズンズンッ!! と、凄まじいばかりの衝撃を与えてくる。
 菊丸の作った突起はいずみの敏感な部分を確実に責めるように作られ、馬の動きに合わせていずみを責め上げる。
「はァっ、うっ、、んっ!」
 馬に乗せ上げられて身悶えている下着姿の美少女。
 しかも、身に纏うパンティーも度重なる振動でずり落ちる寸前にまでなっているのだ。
「いずみちゃ~ん、このままじゃ大事なところが見えちゃうよ~」
 菊丸が揶揄する事で初めて己が状況に気付いたのか、いずみはハッとして唯一身を護る下着へと目を向ける。
「あっ! いやぁ~ん、このままじゃ見えちゃう~!」
 途端、慌てたようにそれまで必死に腰が落ちないように支えていた両手をパンティーへと伸ばす。だが、

 ズンっ!!

 当然のように、何とか分散させていた下腹部への衝撃が一息にいずみへと襲い掛かる。
「‥っ!!」
 声にならない悲鳴をあげて仰け反るといずみは菊丸にもたれかかるように倒れこんでゆく。
 菊丸はぐったりと力の抜けたいずみを支えて悶え喘ぐ美少女の耳元に息を吹きかけつつ囁きかけるのだ。
「いずみちゃん、大丈夫~?」
「あっ! ヤンっ! み、耳に息かけるなぁっ!」
 菊丸の腕の中でブルブルと震えながらも、気丈にも拒絶の言葉を上げるいずみだが、息を吹きかけられるたびにピクンッ、と可愛らしく身体が反応してしまうのを止められない。
「ひどいなぁ、いずみちゃん。倒れそうになったから支えてあげただけなのに~」
「‥くっ! わ、悪かったわよ、で、でも、もう大丈夫だから手を離して! ‥あ、ああんっ、いやっ!」
「ちぇっ! わかったよ。でも、いいの? ほら、パンティーどんどん下がってるよ~♪」
「え、あ?! いやぁっ! 見ないでェッ!」
 菊丸から逃れて、体制を立て直し再び鞍の上に手をついて身体を支え、衝撃をやり過ごそうとしていたものを菊丸の言葉に、またも両手を下着を直すためにパンティーへと伸ばしゆく。それがどういう意味を持つのか。聡明ないずみである、考えなくとも分かるはずであった。が、少女らしい羞恥心がそれを忘れさせてしまう。

 結果、ズン、ズズンッ! と先ほどのように菊丸の作り上げた責め具がいずみを襲う。

「! ふあっ! ああああ~~~っ!」
 いずみは再び自分に襲い掛かる強烈な刺激にビクンッ! と優美な上半身を摩擦させてしまう。
「あ、あ、あ‥、いやぁ、こ、こんな‥き、菊丸くん、お願い、馬を止めて‥」
 逃れようのない刺激に、いずみは降参といったところなのだろう。再び菊丸にもたれかかりながら甘いと息と共に馬を止める事を哀願する。
 この悪循環から逃れるには、それしかないのだから当然の選択であろう。
「もうっ! さっきも言ったでしょ。このままじゃ間に合わないんだよ? 止めるんなら理由を言ってもらわなきゃ」
 菊丸は勿論、いずみの「理由」を知ってはいるが、それをいずみの口から言わせるために敢えてそんな言葉ではぐらかす。
(でへへ~。いずみちゃん。きっと、あそこに突起が当たって大変なんだろうなぁ。でも、ちゃんと言わないと止めてあげないんだもんね~)
 どうあっても、いずみから直接聞き出したいようである。いずみの性格から考えれば、ほぼ不可能な気もするのだが。
「い、いいから、止めてェッ! 菊丸くんっ! お願いよッ!」
 尚もズンズン、と襲い掛かる刺激に耐えながら、菊丸へと叫びを上げる。
 菊丸に、今の自分の状態を教えるなど出来るはずもない。
 なにしろ、いずみの身体は馬が伝える振動に為す術もなく、恥ずかしい反応を示してしまっているのだから。
(うっ、ぅんっ、いやっ! う、馬が動くたびに‥、アンっ、あ、アアンっ! ひ、響いてっ、感じちゃ、う、‥こ、こんな、菊丸くんに言えるわけ‥あっ!)
「大体、ぼくが馬を巧く操れないのは知ってるだろ? いずみちゃん。止めるにしたって、簡単にはいかないよ」
 間近でハァハァと吐息を漏らすいずみの表情に見惚れながらも、じつはこのために必死に乗馬の腕を磨いたことなどおくびにも出さずにこんなことをのたまうのである。
「い、いいわ、だったらわたしが止めるから‥、手綱を渡してよ!」
 菊丸から手綱を奪おうと片手を伸ばすいずみだが、その瞬間、菊丸は手綱を返して馬首をずらし、更に荒れた道へと乗り上げたのである。
「!! きゃっ、ふっ! う、ああああんっ!!」
 手綱を取ろうと片手で身体を支えていた為に、急に荒れた道に乗り上げた衝撃を交わしきれずに、これまで以上の衝撃をそのままに受けてしまう。
 それどころか、片手の為に体勢がずれ、突起がいずみの下腹に不規則な責めを与えたのである。
(ああっ! いやよ‥こんなっ、こんなのっ! 気が狂っちゃうっ!)
 これまでの責めも十二分にいずみを恐怖させたが、それでも次第に衝撃を分散させる事を覚えさせる事は出来たのだ。
 だが、菊丸によって突入した荒地は凹凸の激しさに馬体の均衡を保つ事が難しく、いずみに不規則な、それでいて凄まじい刺激を送り込んでくるのだ。
「くぅっ! き、菊丸くんっ! 馬を、馬を止めてっ! あ、ああんっ!」
「だ~か~ら~、それならいずみちゃんが止めてよ」
「あ、あんっ! だ、だってっ! わたし、このままじゃ手綱っ、握れないっ!」
「じゃあ、ぼくには止められないよ。こんなに道が荒れちゃってたらいずみちゃんでなきゃ」
「そんなっ‥あ、あ、ヤァンッ」
 菊丸の言う通り、手綱を握ろうにも鞍を抑えて、少しでもこの刺激をやり過ごそうとするだけで精一杯なのだ。
 いずみは菊丸に甘い恨みを込めた視線を向けるしかない。しかし、それでもいずみは気力を振り絞り手綱へと手を伸ばそうとする。
 とにかく、今この瞬間を耐え切れば、馬を止める事ができるのだから。

「‥ん、くぅっ! わかったわよ! 菊丸くんっ、手綱を、手綱を貸してっ、はやくっ!」
 菊丸から手綱を受け取ろうと、手を伸ばす。勿論、その間も絶え間なく刺激が襲うが唇を噛み締めて、必死に耐える。
「あっ! あん、は、はやくっ! はやくしてよっ!」
(うわ、いずみちゃん頑張るなぁ。まぁいいか。どうせ渡したってなにも出来ないだろうし)
 などと考えている菊丸から、ようやくの思いで手綱を受け取ったいずみは、力を振り絞って馬を止めようと手綱を操る。
 だが、力が入らない。
 ズンズン、と下腹を襲う刺激にいずみは身を捩って耐え、何とか馬首を巡らそうとするのだが、その度に狙い済ましたように、ズンッ! と一際強烈な振動がいずみを襲うのだ。
「あっ! いやぁあっ!」
 両手の中にある手綱をギュッ、と握り締めて刺激から逃れようと身を固くする。
(‥このままじゃ‥だめ、だめぇっ! 馬を止めなくちゃ、駄目なのにっ! あ、ああっ! でも、無理よ、こんな状態でっ、と、止められる訳‥ないじゃないっ! き、菊丸くんのイジワルゥっ!)
 いずみの胸中の叫びは、しかし、まだまだ甘いと言うべきだろう。
 菊丸の意地悪、とはこの程度のものではないのだから。
「いずみちゃん、そんなに暴れたんじゃ馬は操れないよ」
「だって、だってっ! こんなの、菊丸くんっ!?」
「大丈夫、ぼくがいずみちゃんを抑えてあげるよ」
「え?」

 グイッ!

「きゃふうぅぅぅううぅうっ!!」
 言い様、菊丸はいずみの腰へと手を置いて、鞍へとグイグイと押さえつけだした。
 いずみが必死に避けていた敏感な部分も、菊丸によって鞍の突起にグリグリと擦りつけられる。
「あっ、あ、あ、あ‥」
 手綱を操るどころではない。いずみは菊丸によって与えられた刺激に前のめりに倒れ込んでしまう。
 その間も、菊丸はいずみの腰を思う様、操っている。
「アンっ! いやっ!」
「ほら、ぼくが押さえてる間に馬を止めなきゃ」
「き、菊丸っ! やめなさいっ! あうっ!」
「ほらほら、早く早く。それにパンティーだって脱げそうなんだし」
 ツツー、とギリギリの辺りを覆うパンティーに沿って指を這わせながらも、グイッ、と腰を無理やりに動かし、いずみに声を上げさせる。
「あ、パンティーに触るなァッ! ‥あうっ! 駄目、ダメェっ!」
 突起はいずみの敏感な部分を容赦なく責め上げる。馬から伝わる振動だけではない、菊丸によって─幾度となく自分を追い込んできた同級生に責められる感覚。その刺激にいずみは喘ぐ事しか出来なくなってしまう。いずみにとって菊丸は拒んでも拒みきれない存在となっているのだった。
「そ、そんなこと、やめなさいっ! いや、いやっ! 菊丸ぅっ、や、やめっ!」
「だからさ、いずみちゃんが早く馬を止めればいいんだよ。その為にこうして押さえてるんじゃないか~」
「いやぁっ! やめてっ! 菊丸、‥くん、やめてぇっ!」
 馬の首に手を回し、手綱は既にその手の中にはなくなってしまっている。要するに、いずみには馬を止める事など出来ないのだが、菊丸にはそんなことは関係ないのである。
 もともと、ある程度の方向さえ決めてやれば馬は牧場まで戻るように訓練されている。菊丸はそれを知っているのである。
「ほら、いずみちゃん。もっと腰を安定させないと。馬は言う事聞いてくれないよ~」
 調教師宜しく、いずみに馬を操るための講義をする菊丸。
 その度に、グイグイ、といずみの腰を馬の動きに合わせるように動かしていく。
「あっ! ヤンっ、菊丸くんっ! いや、お願いっ! 腰を動かさないでっ! あうっ!」
「ええ~? でもこうしないといずみちゃん倒れちゃうよ」
「違うのっ! 菊丸くんがわたしの腰を動かすからぁっ‥、あ、ああー!」
「酷いなぁ、ぼくは親切でやってるのに」
「嘘っ! 嘘よっ! 菊丸くん、わたしを苛めて喜んでるんでしょっ、わかってるんだからぁっ、あっ、あうっ! いやぁっ! 許してえっ! そ、そんなに腰を動かしちゃ駄目ぇっ!」
 ついにいずみも菊丸の責めが、ただ、自分を苛め抜く事が目的だと指摘するに至る。無論、鞍への改造までが菊丸の仕業だとは思っていないようではあるが。
 ただ、それがわかったところでいずみには反撃のしようもない。
 もう、力が入らないのだ。ただ、馬にしがみつき、菊丸の責めから逃れようとくなくなと腰を揺するばかり。
「苛めるなんて。ぼくはいずみちゃんの為に」
 言いながらも菊丸はしっかりといずみの腰を掴んで離さない。
 それどころか前後に揺らして、いずみから愛らしい悲鳴を絞り上げる事を忘れない。
「な、なにがわたしのた‥めよっ! こ、のスケベっ‥、あっ! あ、あっ! いや、揺すっちゃいやぁっ!」
 いずみは渾身の力をこめて菊丸の腕の力に対抗しようとするのだが、菊丸は巧みにいずみの力を反らして、前後左右の攻撃へと切り返してゆく。
「あは、んっ! ん、ん~っ!!」
 いずみはその度に唇を噛み締めて、洩れでる喘ぎを留めようと愛らしい抵抗をするのだが、次の瞬間には菊丸の思う通りの声を上げさせられる。
「アンッ、あ、アンっ!」
「いずみちゃん、しっかりしないと駄目じゃないかっ! 馬を止めるんじゃなかったの~?」
 菊丸はブルブルと震える太股を撫でながら、いずみにからかいの言葉をかける。
「‥! っ、このっ」
 そんな菊丸に、一瞬、理性を取り戻したかのように、キッ、と鋭い視線を向け睨みつけるいずみ。
 しかし、それが菊丸の癇気を呼んでしまう。

「いずみちゃんったら、睨むなんて酷いなぁ。‥お仕置きしないと、ね」
 言うや菊丸は撫で擦っていた太股を抱え上げる。いずみはまるで赤ん坊がおしっこをするような姿勢で抱えられて、M字型に開脚させられてしまった。
「あ、な、なにを‥」
 恥ずかしい格好を取らされ、不安気に後ろを振り向けば菊丸のいやらしい視線とぶつかる。その視線に触れた時、いずみは全てを理解して恐怖のあまり絶叫してしまう。
「い、いやあああぁぁっ!!」
 その叫びを合図に菊丸は太股から抱え上げた腰を勢いをつけて鞍に、いや、自らが作った突起へと押し付けた。
「うっ! あっ、ああああ~~~っっ!!」
 その瞬間いずみの体が反り返り、凄艶な表情を見せて叫びを上げる。
(あっ、あ、ああっ! な、なに・・よ、これっ! ひ、響いちゃうぅっっ! あ、ああ~っ!)
 菊丸のお仕置きの効果は絶大で、いずみは頭の中が焼けてしまうほどの感覚が下腹部から直接送られてきたことに抵抗すら出来なかった。
「でへへ、いずみちゃん。このお仕置き気に入ったみたいだね~」
「あ、あっ‥あんっ、ば、馬鹿~っ! や、やめなさ~いっ!」
 いずみの抗議など耳にも貸さず、菊丸は更なるお仕置きの続行に全力を傾け始める。
「それそれそれ~~~っ!!」
「あっ・・あうっ!! はぁっあ、ああっ!」
 菊丸はいずみの太股を抱え上げてズンズンと鞍に降ろしては上げ、いずみに悲鳴を上げさせては、また降ろしては上げつづける。
「はぁっ、ん、んっ、あっ! ああっ!」
 いずみは菊丸から少しでも逃れようと必死になって、鞍に掛けた両手で下半身を移動させよとするのだが、菊丸はがっちりといずみの腰を抱え込んで離そうとしない。
(う~ん、いずみちゃんったらまだ逃げ出そうとしてるなぁ。よ~し!)
 菊丸はいずみの抵抗にまだまだお仕置きが甘いと感じたのか、今度はこれまでただ押し付けていただけの攻撃に腰を降ろした瞬間にもグリグリと変化をつけるのだった。
「っ!! ~~~~! ‥いっ、いやあぁぁぁっっ!!」
 効果は覿面であった。いずみの悲鳴は一オクターブは高くなり、勝気そうな瞳からはうっすらと涙すら浮かんでいる。
 馬の背に跨る半裸はビクビクと波打ち、いずみがどれほどの衝撃を受けているかを伝えている。
「うっ‥くっ、はぁんっ・・っ! いっ、いやっ、いやぁっ!!」
「でへ、こういうのもいいでしょ、いずみちゃん?」
「‥や、やめてぇっ! こ、これ以上続けたらっ、ゆ、許さない‥っィッイヤァッ、駄目っ、そこっ!」
「それそれっ! それ~~~っ!」

 ずんっ! ぐりぐりっ!

「あっ! ひっ、いっ! いいっ!! ・・・・・・あっ!」

 ずん、ずずんっ!

「やっ! あぁああ、やあぁっ!!」

 ぐりぐり♪

「~~! っ、いっ、嫌っ、いやぁっ、ん、い、イィ‥」
 いずみの悲鳴に次第に否定だけではない、聞きようによっては肯定とも取れる喘ぎが生まれ始めてくる。
 さっそく菊丸はからかいの言葉をいずみに与え始める。
「いずみちゃ~ん、どうしたのかな~?」
「っ! ‥あ、いやっ、やめてぇっ! こんな、こんな真似っ! ・・・はぁっ、はぁ、・・」
 勿論その間もグリグリと責める手を休めるような真似はしない菊丸を肩越しに見やり、睨みつけているのだが美貌は朱に染まり目には涙まで浮かんでいる。
「え~?! やめちゃっていいの~? 感じちゃってるんじゃないの、いずみちゃ~ん?」
 抱え込んだ腰を前後に揺すり、いずみの下腹に刺激を与えながら、からかい続ける。
「バカアッ! か、感じてなんか・・・あ! ああっ! 駄目っ、そこ、ダメェッ!」
 否定の言葉を上げようにも、菊丸がそれを許さない。グリグリと下腹を突起物に押し付けて、いずみに声を上げさせる為のお仕置きを続けるのだ。
「無理しちゃって。カッワイイんだ~♪」
「だ、誰が無理なんて‥っ、く、くぅうぅっ、あっ、ああっ、そ、そんなにしたら‥い、いヤンっ! ‥いやぁっン!・・・アン、アアンっ!」
 どれだけいずみが強情を張っても、菊丸にしてみれば抵抗が徐々に弱まっているのが解るだけにニヤニヤ笑いが止められない。
「あれあれ~? 駄目だなんて言っておいて、いずみちゃんったら腰がこんなに動いてるよ~♪」
 菊丸の言う通り、無意識であるが腰がいやらしい蠢きをみせてしまっている。
 その事に気付かされるといずみは途端に顔を真っ赤に染めて俯いてしまう。
(ふぁ、あっん! どうしてぇっ、嫌なのに‥、嫌なのに、こ、腰が動いちゃううぅっ!)
 菊丸の言葉に我に返り、腰の動きを留めようとするのだが、最早いずみにはそれすらも出来なくなっていた。駄目なのだ。理性ではそれがどれだけ恥ずかしい事なのか、そんなことは判っているのに─
 止めることが出来なかった。いずみの高校生離れした感じやすい身体はもっと気持ち良くなりたい、感じさせて欲しいと望むかのように鞍に取り付けられた突起にパンティを押し付けてしまう。
「でへ、ね、止められないんでしょ? だから、ぼくも協力してあげるってば」
「アン‥そんなっ! 菊丸っ! やめ・・あっ、駄目・・い、い────っっ!」
「ほらほら、いずみちゃん。ホントは気持ちいいんでしょ♪ 素直になろうよ」
「うっ、ん、あ、駄目、ちがあっ! いやぁイヤイヤっ! ・・き、気持ち良くなんてないいぃっ!」
 いずみは菊丸の囁きに悲鳴のような抵抗を見せて絶叫する。しかし、噛み締めているはずの唇から洩れる悲鳴は凄まじい色香を同時に放って、聞く者の嗜虐心を増長させてしまっていた。
(でへ♪ 頑張ってるのは認めるけど‥こんなに感じやすいいずみちゃんがいつまでも強情張れるわけないでしょ)
 実際、いずみの潔癖さはこんな目に遭わされて悔しくてたまらないはずだろう。しかし、それ以上に敏感な身体がいずみ自身を裏切って感じてしまう。
 それが余計に口惜しいのだろう。いずみの上げる悲鳴はますます艶を増し、大人顔負けの色気を振りまいている。
(まったく、もう。いっつもこういう目に遭わされてるくせに、ぼくと遊んでくれるんだもん。期待してるとしか思えないよね~♪)
 嫌がりながらも菊丸の屁理屈に付き合った結果、ほぼ毎日のようにこうして菊丸にヨガリ狂わされているのだから、菊丸の言うこともあながち間違いではないかもしれない。
 最初のうちこそ下着姿すら隠していたいずみも、最近では菊丸の前で守り通しているのは最後の一線だけ。
 嫌がりつつも、菊丸の指先、舌の蠢きに身体中で反応して抵抗することすらできなくされてしまっている。
 これほどの理性を持つ美少女が、知り合って僅かに一年の間にここまで堕とされてしまっている事実には驚くしかないだろう。恐らく、いずみの転校前の知り合いが知れば、驚きのあまり声も出ないかもしれない。
 あまりにも敏感な身体がいずみを菊丸から遠ざけることをさせてくれなかったのだ。
 がない。いや、いずみだとて、それがどれほど恥ずかしい事か、なぞ分かっているのだ。
 それどころか人一倍気性の激しい少女である。自らの行為に死ぬほどの屈辱を感じている。
 しかし、菊丸によって感じやすくさせられた身体はいずみの理性を裏切ることしか出来なくなってしまっているのだ。
「それっ!」

 ズンッ!!

「あああっ! いいっ!」
「それそれっ!」

 グリィッ! グリッ!

「くぅっ! あ、だめっ! いっ、いイっ、ん、んうぅっ、も、もう駄目っ! 助けてっ!」
 いずみの体が何かに耐えるようにブルブルと震え始めた。
 全身には汗がびっしょりと浮かびあがり、象牙の肌はトロ火で煮詰めたように朱に染まっていた。なんとも色っぽい姿だが、いずみ自身はこれ以上声を上げないようにするためか、唇を噛み締めてイヤイヤを繰り返す。
 菊丸はそんないずみの腰をしっかりと掴み、そのまま高々と抱え上げると改造された鞍の突起物の部分へ照準をあわせている。
「な‥に? なにするつもり!?」
 抱え上げられている間の長さがいずみを不安にさせる。相手は菊丸なのだ。用心をしてしすぎる事はない。肩越しに菊丸を見やり、牽制も兼ねて菊丸を睨みつける。
(こ、これ以上‥好きにされてたまるもんですかっ!)
 もともときつめの美少女だけにこうして睨みつけるとかなりの迫力がある。大抵の相手ならこれでたじろぐだろう事は間違いない。が、相手は菊丸である。普段の状況ならまだしも、睨みつけただけでどうにかできるわけがないのだった。事実、いずみの剣呑な質問にも怯んだ様子すら見せずに、いつもの調子で応えてゆくのであった。
「でへ、なにするもなにも、‥いずみちゃんがもっといい気持ちになれるようにしてあげるだけだよ~♪」
 にへら、と笑うと今度はそのままいずみをただ降ろすのではなく、なんと菊丸はいずみから手を離してしまったのだ。
「やっやだっ! は、離したらっダメエエェェッッ!!」
 悲痛な叫びは、衝撃によってかき消された。

 ズッン! ズズン!!

 それは、これまでの刺激がままごとのように感じるほどの強烈な震えを伴っていずみに襲い掛かってきた。抱え上げられた高さからいずみ自身の重さがそのままパンティーに包まれた大事な部分を抉ってきたのだ。
 鞍に落とされた瞬間、この美少女は前身を弓なりに反り返させて汗を飛び散らせ、豊満な胸を揺らし、白い喉を見せる。
(あ、ぐぁぅっ、こん・・な、の‥)
 圧倒的なまでのその刺激に、いずみは瞬間的に噛み締めていた唇を開き、可憐な16歳の美少女とは思えないほど生臭い悲鳴を発してしまう。
「!! っ~~~~!! ヒッ、ぎっひいきいぃいぃぃぃいいぃっっ!!」
 全身がおこりにかかったようにブルブルッと摩擦し、暫くは身動きすら出来ない状態なのだ。ようやく摩擦が収まると、いずみは前のめりに倒れこみ、馬の鬣に身を沈めてしまう。
 少女の受けた衝撃の名残を示すように、突き出された量感のある双臀がピクンピクンといやらしく蠢いていた。
「あ、あ、あ‥」
 あまりにも受けた衝撃が凄まじかったのか、いずみは馬の背に倒れこんだまま起き上がる事も出来ない。
 馬の鬣をギュッと握り締め、美脚は丸太のような馬の胴体に絡みつき、ピクピクと震え続けている。そして普段は勝気さの残る美貌も今はネットリと赤く染まり、切なげにたわめられた眉、眉間に刻まれた皺、薄く開かれた両目には涙まで浮かんでいる。だらしなく開いた可憐な唇から可愛い舌先まで覗かせて今も「あはン、ハアン」と喘ぎ声を漏らしているほどだ。
 しかしそれでも「女」としての最大の恥を晒すことはせず、ひたすらに耐え忍び、菊丸に原田いずみと言う少女の忍耐力を示して続けていた。無論、耐えれば耐えるだけ少女の肉体が抱え込むものは大きくなり、いつか示すであろうその時に晒す狂態は凄まじいものになるだろう。少女にとって耐え抜こうとすればするほどに、菊丸を喜ばすことになるだけなのだ。
(でへ、さすがのいずみちゃんもこれには敵わないみたい。でも、さすがだなぁ‥それでも我慢できるんだもん)
 菊丸は快楽の波に押し流されつつも、馬にしがみつき、必死に堪えるいずみを見下ろしながら、いずみの精神力に敬意を表していた。ただ、その敬意を示した後の菊丸の仕打ちはまさに鬼畜そのものではあったが。
 この、普通ならば堪える事など出来ない攻撃に見事耐え切った美少女への御褒美に、菊丸は自慢の指で応えてゆく事にしたのである。
「ぐふふ~~♪ いずみちゃん、よく頑張ったね~。御褒美にマッサージしてあげちゃう」
 言うや菊丸は目の前でピクピクと蠢くヒップに手を近づけて撫で回し始めた。
「ひぅっ! ふぅぁっん!」
 菊丸の指が触れた瞬間、いずみは可愛く悲鳴を上げてしまう。
 普段だとてその感受性は、高校生の少女とは言えぬほどの敏感さである。それが今は菊丸の姦計に嵌り、馬の背の上で徹底的に苛め抜かれた後なのだ。何処を触れられても、耐えられなかった。耐えられはずもなかった。
「い、いやぁっ! さ、触らないでっ」
 力の入らぬ腕で、それでも必死に上半身を支えて卑猥な悪戯を仕掛ける菊丸に懇願する。蹴飛ばしてやりたい、殴りつけてやりたい、そう思っても身体が言うことを聞かないのだ。先ほどからの刺激の連続に耐えるだけでいずみの理性は精一杯のところにまで追いつめられている。いつものように菊丸に対抗しようにも出来ないほど、美少女の身体はジンジンと甘く疼いているのだった。
 そんないずみの様子を見逃すほどに甘い菊丸ではない。普段の仕返しとばかりに自慢の技を披露し始めるのである。
「ひっ!」
 菊丸の指がこんもりと盛り上がったお尻の谷間に触れると、いずみはそのおぞましい感触に短く悲鳴を漏らす。
 もちろん、そこで菊丸の責めが終わるわけもない。左手ではやさしくお尻を撫で回しながら、右の手指はパンティーを擦り上げるように上下に移動させてゆく。
「あっ! ああ~~っ、あ、アン、あン」
 谷間を指がゆっくりと這うたびになんともいえない感覚が背筋にまで湧き上がり、その度に可愛い声でいずみは鳴いてしまう。
「でへへ、いずみちゃんはお尻も感じやすいんだね~」
「‥~~~っ! ば、馬鹿あッ‥あ、ああっ、嫌っ!」
 恥かしさに声を上げようとした時、菊丸は谷間を滑らせていた指を鍵状に曲げ、クイクイっと刺激する。
「うあっ、あ、あああああっ!!」
 下着越しにとはいえ、触れられた場所への嫌悪感にいずみの悲鳴は一段と高くなる。
「そ、そんなとこっ‥さ、触っちゃ、だ‥あ、ああンっ!」
 指が蠢く。布を介してその部分に菊丸の指を感じてしまい、いずみはゾクゾクとした感覚を無理矢理味合わされてしまう。
(な、によ‥これっ、こ、こんなのって)
 今まで、幾度も菊丸に苛められたことがあるいずみだが、この異常な感覚にまるで菊丸に初めて悪戯をされた時のような感覚が蘇る。今でこそ菊丸の攻撃を受けるだけで簡単に声を上げてしまうようになってしまったいずみだが、始めの頃は下着姿になることすら疎んでいたのである。それが執拗なまでの悪戯を受けつづけることで徐々にいずみの持つ敏感さを暴かれ、開発され、胸を触られるだけでなにも考えられなくなるほど感じてしまうようにされてしまったのだ。
 そして今、菊丸の指がお尻を這いまわるたびに、おぞましさだけではない、別の感覚を確かに感じてしまっている。
「あ‥、ああんっ、アンっ」
 尻たぼの中で指が動くとまるで感じてしまっているかのような声すら上げてしまうのだ。
(い、いやあっ! お、お尻なんて‥あ、だめぇっ、菊丸くんっ!)
 少女の潔癖さが、責められる場所への嫌悪感で拒否を示そうとする。しかし、菊丸によって開発され、目覚めさせられた感覚が責めを完全に拒絶させない。むしろ新しい感覚を菊丸に教えてもらえる事を、いずみは自分でも気付かぬ心の底で期待してしまっていた。それが、いずみに強い拒絶の言葉を紡がせない。
 一方の菊丸は、そんないずみの心の動きが手にとるように理解できた。もとより人の気持ちなど忖度しない男ではあるが、ことHな事にかけてはこの男、常人を遥かに越えている。
(でへへ~。おっぱいやアソコもいいけど、こっちでも感じるようにしちゃうんだもんね~~♪)
 更なる変化をつけて、指を谷間にそって動かしてゆく。美少女の口からは、その度に「アンっ! アン」と可愛い喘ぎが漏れている。菊丸の狙い通り、確実にこの勝気さの勝る美少女は本来嫌悪するべき箇所で、感じ始めていた。
「いっ、‥はぁっう‥、や、やんっ!」
 感じちゃ駄目ッ、駄目なのにっ! そう思っても、いずみの敏感さはまるで言うことを聞いてくれない。どころか、そう命令を下す理性を蕩かそうとするように、疼くような甘い、微弱な電流をお尻の、口にも出来ない場所から送りつづけてくるのだ。
(‥と、とろけちゃう‥)
 コリコリ、と指の動きを感じるたびに脳を直接攪拌される錯覚を覚えてしまう。
 普段であれば、こんな行為を許しはしない。例え悪戯をされたとしても撥ね退けることはできたはずだ。だが、鞍に仕掛けられた突起に、散々大事な場所を責められ、菊丸の激しい後押しにどうにもならない高みにまで追い込まれてしまっている状態のいずみには、このおぞましくも甘美な悪戯を撥ね退ける事など出来なかった。
 菊丸もまた、しっかりと自分の仕掛けを利用していた。馬が走り、上下に揺れる背の鞍がいずみを突き上げるのに合わせて、指を振動させ、上下に突き入れては、美少女に悲鳴を上げさせていたのである。
 いくらいずみでも、前方は突起に責められ、後方は菊丸に苛められては耐えられるはずもなかった。菊丸の目論見どおり、お尻を苛められているというのに、嫌悪の悲鳴よりも、恥かしくも愛らしい悲鳴をこそ上げてしまうのだ。
「アンっ、ああっ、あん! ああああ~~~っ!!」
(こ、声が、出ちゃうぅ‥、お尻を弄られてるのに、声‥止めらんないっ、こ‥れじゃ、菊丸の思うツボなの、に‥くぅっ! せ、せめて馬が止まってくれたら‥)
 朦朧とする意識の中で、今尚走り続け、自分を抉り続ける凶器を持つ馬を見つめるいずみ。どうにか馬を止めようと胴に絡みついた美脚に力を込めるのだが、下半身は完全に菊丸の手練手管に溶かされ自分のものではなくなってしまっているかのようだ。それどころか、力を込めようとした瞬間に、より強くズンズンと抉るような刺激を意識してしまい、一層の悲鳴を上げてしまう。
 そして、そうして悲鳴をいずみが上げる度、菊丸も谷間で蠢く指の動きを活発化させ、コリコリとした感触を楽しむのだった。
「あふぅっ! あ、だっ、めっ! ダメエェッッ!!!!」
 このままでは本当に自分はおかしくなってしまう。最低のやり方で最悪の悦びを覚えこまされ、最高の、抜け出せなくなってしまうかもしれないほどの気持ち良さを知ってしまう。
 なにより、馬に突起でアソコを責められているとは言え、菊丸に指でお尻を苛められて恥を晒してしまうなんて耐えられるはずがない。
 だが、いずみの精神力は限界にまで達している。あと、ほんの僅かの刺激で16歳の少女の望まぬ崩壊を示すだろう。
(ゆ、許して‥もう、堪忍してっ、これ以上はもう耐えられないっ、おかしくなっちゃうぅっ!)

 いずみの必死の叫びは、菊丸に届く事もなく無残にも砕け散る。
 ここまでされても最後の瞬間だけは守りきるいずみの精神力に驚きながらも、菊丸は辺りの様子の変化に気をつけていた。
「ん? あれは‥」
 訓練された馬とはいえ、二人も乗せて手綱も満足に握っていない状態だ。一応、周りの様子に気を配るのは当然ではある。その菊丸の注意力がいずみの望みを打ち砕くのである。
(おお~~っ♪ あそこからならいくらいずみちゃんでも耐えられっこないよね。もう時間もないし、一直線に牧場までGo~~~~!!)
 一体、何を見つけたのか菊丸は既にいずみの手から離れていた手綱を握り締めて、荒地を走っていた馬を牧場に向けて変えていった。
「いずみちゃん、牧場が見えてきたよ、後は一直線だからぼくに任せて休んでいてよ」
「‥え‥?」
 菊丸に声をかけられ、いまだ倒れこみ、身悶えていたいたいずみが身を起して、前を見据える。‥瞬間紅潮していた顔から血の気が引き、蒼白に変わる。
「ちょ、ちょっと、き、菊丸くん‥前は‥!」
「心配しないでいいよ、いずみちゃん。この馬なら訓練されてるし、あの程度の崖は簡単に越えられるよ」
 そう、二人の前方には道などなく一段低い場所に目的の牧場が見えるだけだったのだ。勿論、そんなに深い崖ではない。菊丸の言う通り、訓練されているこの馬ならば越えるのは容易いだろう。しかしいずみの心配しているのはそんなことではない。
「い、いやっ! い、いまあんなとこ降りたりしたら‥っ!」
 いずみの叫びが終わる暇もあらばこそ。ひと息に駆け出した馬体は崖を飛び越そうとしていた。
 ただ、駆けているだけでも、こうまで凄まじい刺激を与えられるのに‥っ、
 いずみは次に襲いかかるであろう衝撃に、これまで感じたことのないほどの恐怖を感じた。
「い、いやああああああああっ!」
 背後の菊丸にしがみつくようにして悲鳴を上げるいずみ。それは崖から落ちる恐怖からくるものよりもなお切迫したものからの叫びであった。

 ズッズズッ~~~~ンンッ!!!!

 前脚が地面に着いた瞬間。菊丸から鞍に落とされた衝撃など軽く凌駕するほどの凄まじい衝撃がいずみを襲う。
「うあっ! ぁあ、ああ、あぐぅっ・・あ、ああっ~~~~~~っっっ!!!! い、いっ、ひああぁああああっっ~~~~~~~~~~!!」
 ギュッと菊丸の首に腕を回してすがりつきながら、いずみは凄まじい叫びを上げる。
 それでも、菊丸の首に両腕を巻き付け必死になっていずみは堪えようとする。全く、この勝気な少女の忍耐力には敬服するしかない。だが、菊丸はニヤニヤ笑いを崩さない。まるで、まだ手があるかのごとく。
 疑問に思う間もなく。答えはやってきた。

 ズン、ズ、ッズ~~ッッン!!

 全身の力と、残る理性の全てを使って堪えていた美少女に容赦なく、遅れて着地した後脚の衝撃が襲ってきたのである。
 前脚から来た衝撃を堪えることに全てを使い切った16歳の少女に、この衝撃に堪える力は残されていようはずもない。
 ビクンビクンッ、と汗に濡れ光る半裸を仰け反らせる。突き出された乳房の先端は可哀想なほどに尖り、この勝気な少女の肉体がどれほどの衝撃を受けているのかを物語っていた。

「ひ、ひいぃぃいいいぃっっ! い、イ・・ぃ、っ! ・・・く、あ、ああっ! ~~~~~~~~~~~~~~っっ!!!!」

 薄いパンティ越しに受けるとてつもない刺激にいずみは菊丸にしがみつき、ギュッと目を閉じてブルブルと震えながら絶叫する。
 耐えるだけの力など残ってはいない。もうどうしようもないほどの感覚に全身が砕け、心臓が破裂するかと思うほどの衝撃が襲ってきた。何かに掴まっていなければ消し飛んでしまう。そんな錯覚すら覚える大波にいずみは流されそうになっていた。

 このままじゃほんとにどうかなっちゃう‥っ

 同級生の前で死ぬほどの恥をかくくらいなら、とついにいずみは覚悟を決める。
「き、菊丸くんっ、と、止めてっ、馬を止めてっ!」
「んもう、だからさっきから言ってるでしょ。止める理由がないんじゃ止められないって」
「‥っ、く、鞍に‥、なにか変な突起があるのよっ! それがさっきから当たって‥、あ、あっ、ああっン!」
「突起って、これのこと?」
 その突起にグリグリと大事なところを押し当てられ、いずみは菊丸に抱きかかえられながら汗まみれの上半身を仰け反らす。
「そ、そこに当てないでぇっ! ああッ、あ、あっ! ひ、ヒィッ!」
 高校生とは思えない生臭い悲鳴を発し、黒髪を振り乱して美貌を打ち振る。
「そっかー、いずみちゃん、これのせいでさっきからおかしかったんだね♪ う~ん、こんな不良品を貸し出すなんてあとで文句を言わないとね」
「ああン、や、やあんっ! やめてっ、やめなさいったらっ! 早く馬を止めてっ、これ以上、たえられないっ‥」
 泣きそうになりながら限界を告げ、突起に大事な部分を刺激され追い詰められていたことを同級生に告白する恥ずかしさ、悔しさに泣きそうになる。
 でもこれ以上、こんなことを続けられるよりマシだった。
 とにかく馬を止めて鞍を外すのだ。
 それだけがいずみの今を支えている。だというのに肝心の菊丸は。
「うん、うん、あともう少しだからね、いずみちゃん」
 一向に馬を止める様子もなく、いまだ突起を使って大事なところを刺激しようとするのだ。とうとういずみちゃんも堪忍袋の緒が切れる。
(このっ! 一体なに考えてるのよっ! ‥よ~し、心の中を‥)
 菊丸の心の中を覗き込むいずみ。

「や、やめっ、あ、ああンっ、菊丸っ!」
「でへへ、いずみちゃ~ん、そんなに気持ちいいの? いやらしく腰振っちゃってさ♪」
「あ、あ、あっ、だめっ、もう‥、だめぇっ、菊丸くうんっ!」

 いずみの脳裏に菊丸の心の中の映像が浮かび上がる。
 そこには自由を奪われ木製の馬に跨った自分が菊丸に責められ、見ているのが恥ずかしい激しさで腰を振り、蕩けきった表情で泣き叫ぶ姿が写ったのだ。

(なっ! 全部菊丸の仕業だったのね!)
 ようやくことの真相を察したいずみは同級生への怒りと妄想のいやらしさとに顔を真赤にする。
「こ、このっ! きくまる~っ!」
 鞍上にも関わらず、いずみは怒りに任せて背後の菊丸へと拳を振り上げて殴りつけようとする。その反動で二人とも馬から放り投げだされてしまうのだった。

「うわあああっ!」
「きゃあああっ!」
「お、おわあっ!」

 悲鳴を上げる二人だが、もう一つ重なるように聞こえる叫び声。
 二人の落ちた先は牧場の入り口で叫び声は牧場主のものだった。
 どうやら既に馬は自分の帰る場所へと戻っていたのである。
「一体、何事なんだ。あんた達、いったい何をして‥」
 何もわからぬ牧場主の声だけが、辺りに空しく響いてゆくのであった。

 


「うわ~! 待ってよ! いずみちゃ~ん」
 列車の窓から菊丸の追いすがる姿が目に映る。
「あら、菊丸くんはまだ、乗馬に慣れてないみたいだしそこで訓練していった方がいいんじゃない?」
「そ、そんな~。ぼくも一緒に帰らせてよ~!」
 しかし、そんな菊丸を置いて列車は徐々にスピードを上げながら、菊丸の姿を遠いものに変えていく。

まったく、もう。菊丸くんったら少しは自然に親しんでまともな気持ちを持って帰ってきてよね

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