「ドッキン!!生着替え?!の巻」
「わあ。すごい!」

え、何に驚いてるのかって?
ふふ、見て、これ。
すごい衣装でしょう。
いずみのいる場所はまさしく壮観ともいえる衣装の山だった。
「どう、いずみちゃん? なかなかのものでしょう、演劇部のコレクションも」
感嘆するいずみに声をかけたのは演劇部の部長で、三年生の森尾尚美。
以前にいずみや菊丸が演劇部の英語劇に参加した事もあって、その後、旅行に行ったりと親しい仲になっていた。
その尚美がいずみに面白いものを見せてくれるというので、いずみの行った先が演劇部の所有している衣装の倉庫だったのだ。
「ほんと、すごい数ね。尚美ちゃん」
そう言って、手前にある衣装を手に取るいずみ。
それにしても、流石に面白いものを。と言うだけの事はある。
これだけの数を揃えるなど、なまなかな事ではない。少なくとも、一高校の部活の範疇に収まるものではないだろう。
しかも、いずみが触れている衣装の手触りから想像するにかなり良い生地を使っているようだ。
いずみも、その手触りを楽しんでいる。
「ふふ、そうでしょう。うちは園長先生が協力してくれてるの。なんでも昔、宝塚に憧れてたらしくって、それで、ね」
尚美の顔にわずかに不謹慎な笑みが浮かんでいる。
いずみのも尚美の説明に苦笑気味だ。
二人とも園長の顔を思い浮かべているのだろう。
なにしろ、園長といえば昔はどうなのかは知らないが、今はしわくちゃのお婆ちゃんなのである。
だが流石に部長の立場もあるのか、いちはやく表情を引き締めると軽く咳払いをしていずみに声をかける。
「で、どれか気に入った衣装はあった?」
「うん、これなんだけど‥」
と、いずみが差し出したのは‥
続きはfantiaから

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