ハートキャッチいずみちゃん SS_28

小説管理人作品
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「菊丸の危ない解毒法?!の巻」


今日は学校のオリエンテーリング登山の真っ最中。
少しはりきりすぎてわたしたちはただいま一位を独走中、なんですけど。

「ほら、菊丸くん。遅れてるわよ」
「菊丸くん、がんばって」
 いずみと千春。足取りも軽く前をゆく2人が振り返り、先程から遅れだした文字通りのお荷物に声援を送る。
「二人とも、はりきりすぎだよ。後ろなんてもう誰も見えないじゃないか」
「いいじゃないの。せっかくなんだしこのままゴールしちゃえば」
「この荷物みてよ~。休ませてくれないと死んじゃうよ」
 背に負ったリュックは何を入れているのか、パンパンに膨れ上がって菊丸を押し潰さんばかりだ。
「もう、しょうがないわねえ。じゃあ、あそこの大きな木のところまで行ったら休憩にしましょ」
 その疲労をたっぷりと見せつける態度に、やれやれと首を振ると前方に見える他と比べて存在感のある大木を示すのである。

 

「ふえ~、疲れた」
 木の根元に身を投げ出した菊丸は、気だるげに手足を伸ばしひと時の休みを満喫している。その若者らしくない様子にいずみは呆れ気味だ。
「なっさけないわね~。もっと気合を入れなさいよ」
「そうは言うけどね、いずみちゃ‥」
 と、言い訳をしかける菊丸の言葉が止まり、視線がいずみに固定されたまま動かなくなる。
(お、おお~~~~~っ、もう少しで見えちゃいそう!!)
 山登りには似合わぬいつものミニスカートの裾から、俯く菊丸から今にもパンティーが見えてしまいそうな角度だったのだ。
「? どうしたの、菊丸くん‥って。きゃ、きゃあああああっ!! こ、このっ!!」
 菊丸の視線に気付くやいなや、不埒な同級生へ踵落しを決め、そのままグリグリと頭を踏みつける。
「まったくもう。あんたって人はいつもいつも。せっかく山登りに来てるのに‥」
「のぅおおぅっ!?」
 頭を押さえ蹲る菊丸に向かって小言を繰り出すいずみ。と、その背後に枝から細い紐状の影が伸びてきているのだが、しかし菊丸に説教を続けるいずみがその気配に気づく様子はなかった。
 ようやく頭の痛みが薄れ、菊丸がお小言に夢中のいずみに目を向けた途端、その表情が凍りつき血の気が失せてゆく。
「ちょっと、菊丸くんっ、聞いてるの?!」
 いずみが声を荒げるのと、硬直が解けた菊丸の叫びが上がるのは同時だった。
「い、いずみちゃんっ、危ない! へ、蛇だ~~~~~~~~っ!!」
「えっ」
 背後で窺がうようにしていた影は、菊丸のその声に驚いたように身を震わせると逃げるようにいずみの胸元にするりと入り込んでしまう。
「きゃああああっ!!」
「い、いずみちゃんっ?!」
「いずみっ?!」
 慌てていずみの下に駆け寄る二人。いずみは胸元を抑え、蹲ったままだ。
「大丈夫なの、いずみ?」
「蛇はもう逃げたんだけど、胸を咬まれて‥」
 親友の蒼ざめた表情に、同じように顔を真っ青にして千春が菊丸に助けを求める。
「ど、どうしよう、菊丸くん?!」
「とにかく先生たちに知らせよう。ここはぼくに任せて、千春ちゃんは一刻も早く先生のところに」
「わかったわ、いずみをお願いね」
 山を駆け降りてゆく千春を見送った菊丸は、今度はいずみへと向き直る。
「いずみちゃん、噛まれたところは大丈夫?」
「ちょっと痛いけど、これくらいなら‥」
「いや、安心するにはまだ早いよ。もし毒をもってたら」
「ど、毒‥?!」
「なーに、心配することはないさ。こんなこともあろうかと持ってきたものがあるのさ」
「菊丸くん!」
 ドンと胸を叩き、誇らしげに背負ってきた大荷物を振り返る菊丸を頼もしそうに見詰めるいずみだった。

続きはfantiaから

コメント

  1. いずみファンその1 より:

    「・・・とうとう女の義務を口にして・・・」
    口にしてないですね^^; ちゃんと口にさせて下さい。最後の台詞を言わせて下さい。
    悶々としたまま消化不良おこしてます。助けて・・・。

    • 虎馬屋@管理人虎馬屋@管理人 より:

      >いずみファンその1さん
      おわかりかと思いますが、行間というか、一応言っているのを書き起こしていないという体でして。
      想像で補っていただけると助かります。

      • いずみファンその1 より:

        そういうことでしたか、無念です(血涙)
        でもなんか加筆というかちょっと内容がかわりましたね。ありがたいことです。

        「初めてこのじゃじゃ馬娘がそれを口にしたときの感動は今も忘れられない。」
        このときの話が読みたいなあ・・・なんちゃって^^

  2. Maxwell より:

    ううむ、妄想を掻き立てられますねえ。w
    「     」
    と空き台詞を入れておくのはどうでしょう。

  3. 虎馬屋@管理人虎馬屋@管理人 より:

    >Maxwellさん

    ああ、なるほど。
    つか、それで全ての台詞をやったら殴られそうですね‥

  4. プリンヌ より:

    いずみちゃんはやっぱり乳首責めが一番ですねー。

  5. Maxwell より:

    そして・・・
    『台詞はあなたの心の中にあります!』
    とか宣うわけです。

    だめですね。w

  6. 虎馬屋@管理人虎馬屋@管理人 より:

    >Maxwellさん
    銭形…。

    >プリンヌさん
    なるほど、その辺りはそれぞれ思い入れがありそうですねえ。

    >いずみファンその1さん
    分かりづらかったですか。申し訳ないです。
    ちょいと加筆しました。

    • Maxwell より:

      銭形って、じゃあ真顔で?
      それじゃ変態じゃないですか。w
      いずみちゃんの台詞はいつか教えてください。

      • 虎馬屋@管理人虎馬屋@管理人 より:

        >Maxwellさん

        や、なんとなくカリオストロの銭形が浮かんだもので。
        台詞はまあ、適当に口惜しそうにしながらも、どこかホッとしてしまう自分がまた情けないいずみちゃんが菊丸如きに言ってしまう感じの。
        まあ、前部言うのも粋ではないかな、と。韻を踏んでみる。

  7. ゆきファン より:

    えーと、実は以前のアップデートで、いずみちゃんが義務の台詞をはっきり口にしていた時期があったのを知っています。
    ・・・何て虎馬マニアな私(^^;;

    • 虎馬屋@管理人虎馬屋@管理人 より:

      >ゆきファンさん
      お久しぶりです。
      もうその辺はその時の気分次第なのです。←いい加減で申し訳ない。
      でも実際、どうなんでしょね。
      毎回毎回そういうセリフを言わせるよりはその時々で我慢できたり、耐えきれなかったりすることで堕ちきっていない感を出しているつもりではありまして。
      菊丸が無理をすれば、まあ何とでもなりはするのですけれど、そこいらは菊丸もどの位我慢できるのか楽しんでいるわけです。ドSですね。

  8. ゆきファン より:

    素晴らしいです。毎回堕ちてたら、単なるエロ小説ですからね。そうじゃないのが虎馬屋の魅力です。これからも、毎回言わせないで下さい(^^;;

    でも各話の改稿で、たまに出てくると、それはそれで嬉しい感じです

    • 虎馬屋@管理人虎馬屋@管理人 より:

      >ゆきファンさん
      賛同いただけてありがたいです。
      なるたけいずみちゃんたちには頑張ってもらいたいと思っています。
      菊丸の気分次第で無理やり言わせることもあるかと思いますが、そこはそれ、あくまで無理やりなので日常に戻れば菊丸如きにいつまでも調子には乗らせませんので。

      菊丸の強さは地球上では三分しか保たないのです。

  9. かめ より:

    管理人 さま

    いずみちゃんも桂木先生がいない時は菊丸に対して弱いですね。
    菊丸の躾が徐々に浸透していて良い傾向です^^。

    気の強いいずみちゃんは桂木先生の前では強がってじゃじゃ馬娘になっていますが、
    蕾と勃起を責められ躾られている時には、かわいくなっているんでしょうね。

    かなり穴も開いているのでしょうか。

    先生と2人そろって陥落することはなかなか訪れないと思いますが、
    今後も菊丸の責めに期待しています。

    • 虎馬屋@管理人虎馬屋@管理人 より:

      >かめさん

       基本いずみちゃんも先生も他人事だといまだ強いのですが、我が事になると菊丸に抵抗は難しくなっております。
       可哀想ですね。